転生したらご褒美もらえた

思考の旅

早朝のような空気の澄んだ
不思議な薄暗さ
サ～っというだけの音が
流れている世界

遠いところで
街並みや
人々が動いているようすが見える

手は届かず
霧を隔てて
別世界になっているようだ

「次は思考の旅となります」

案内人に声をかけられた

「あなたが自分自身と
とことん向き合い
その先へどんな
希望を持って
進まれるか
じっくり時間をかけて
お考えください。」

「こちらが思考の旅・
あなたと共に過ごす
列車になります。」


案内人の指し示す先へ
古めかしいが
落ち着いたデザインの
列車が現れた

靄がかかっているのか
最終車両はずっと後の方に
あるようで確認できない

気が付くと
列車内の席に
座っていた

車内放送なのか
頭の中に働きかけているのか
不明瞭だが
案内人の声が聞こえてきた

「この列車と共に
あなたは思考の旅に
出発します。

これから列車全体の構造を
お話します。

まずは、前方から
車掌室には誰も
いません。

この列車は基本あなたのみの
ご乗車になります。

車掌室に、操作盤はありますが
その都度姿を変えます

あなたが願ったり
助けが必要とされた場合には
操作盤に助けが入ります。

舵をきるのはあなたです。

列車はよく姿を変えます。

ある車両には
通路を挟んで自動扉が両側に
無数に並んでいるでしょう。

そこではあなたの望む
世界が体験できます。

あなたが願えば
扉の向こうはその世界が
現れます。

あなたが基本
戻る場所は
今いる席になります。

列車は姿形を変えますが
最終車両は思考の車両に
なります。

そこであなたは
今世について
来世について
様々な形で
自分自身と
向き合っていただき
これからの在り方を
心に決めてください。

あなたの中に
これからが腹に落ちた時
ここをあとにする
決心がついた時

思考の車両からの
出口
最後の扉を
開けて下さい。

そこからは
新しいあなたの人生が
始まります。

ここでは時間の制限は
ありません。

あなたがここに
永遠にいたければ
それでもかまいません。

自分と向き合う時に
辛いこともあるでしょう。

そのようなときは
あなたの望む
癒やしを受けて下さい。

働かなくてよいし
病気にもなりません
お金もかかりません。

一つ人生を終えたところで
少しゆっくり休んで
御自分を
心を
労って
差し上げて下さい。

列車のここち良い揺れと
優しい走行音が
あなたを癒やして
くれることでしょう。

それでは。
よい旅を…