異世界召還されたのでありがたく敵をぶっ殺します

バナナの人

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自由の魔獣召喚編

蹂躙はまだ続く

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「よっと」
「「「「ぎゃああああああああああああああああ!!!!?」」」

 次は勇者様の姿が消えました。……いえ、高速移動を開始しました。
 あまりの速さに消えたように見えましたが、それは点の動きではなく線の動きです。現に、勇者様の進行方向の途中にある魔物たちは切り裂かれているのですから、すれ違いざまに剣か何かで切り裂かれているのでしょう。
 こうして残りの魔物たちも勇者さまは『掃除』しました。

「どうしたどうした!?まだファーストギアすら入れてねえぞ!」

 勇者様は馬鹿にしたような、見下したような声で言います。
 いえ、本当に弱いと思ってるのでしょう。現に勇者は退屈そうです。

「な……なんだあのバケモン!?」
「か……勝てるわけねえ!!」
「無理だ!逃げようぜ!!」

 勇者様の強さと殺戮に恐れをなして逃げ出す魔物たち。ですが勇者さまは容赦しません。まるで攻撃自身に意思があるように追いかけて仕留めました。

「う……うろたえるな!遠距離から攻撃しろ!」
「さっき魔力弾を見なかったのかよ!? 破壊双魔光弾デストロイ・デュアルバレット!」

 勇者様の両手から赤い光の玉が次々と吐き出されました。それはすべて外れることなく魔物たちに命中し、その熱量で標的を燃やします。逃げるもの、立ち向かうもの、隠れるもの、例外なく魔力の光は魔物たちを燃やしました。
 そして勇者様は魔物が密集した地点に両手の平を向けました。……まさかさっきの弾丸で誘導したのですか!?

「さて、仕上げだ。破壊広範囲魔光線デストロイ・ラージビーム!」
「「「ぎゃああああああああああああああああ!!!!?」」」

 勇者様の掌が眩く光り、私たちは咄嗟に目を腕で覆います
 すごい輝きです。まるで太陽を直視したかのようでした。

 光が止んだので目をゆっくりと開けます。そこには、もう魔物たちはいませんでした。

「な……私の魔族軍団が……」
「実に歯ごたえの無い奴等だ。なぁ?猿山の大将さんよ?……だがもう飽きたから一気に決めるぞ」

 ガクガクと震えるゴブリンの親分と、それをあざける勇者さま。

「ふ…フン! 余裕こいてるのも今のうちだ! そのうち援軍が来てお前を殺す!!」
「援軍? ……ああ、教会に設置された転移用の魔法陣か。それなら俺が壊したぜ」
「な……なに!?」
「他にも病院と町外れの倉庫と廃墟の密集地帯。全部壊させてもらった」
「………」

 ゴブリンは更に顔を青くしました。一体何を言ってるのかさっぱりわかりませんが、勇者さまが片付けてくれたのならもう安心です。

「ま……待ってくれ!?」
「あん?なんだ?」
「俺たちを見逃してくれたらなんでもやる! それほどの力があるならば、魔王様も相応の地位を約束してくれるはずだ!どうだ、魔王軍に入らんか!?」
「魔王軍ねえ……」

 ……まずいです。勇者様は興味ある素振りを見せました。

 勇者様にはこの国を守る理由がありません。
 彼はこの国の者ではなのですから当然です。家族や知り合いもいなければ国への愛着もありません。無償で戦う理由はあの人にはないのです。
 感情がなければ人を動かすのは利益です。ですから私はその魔物が提示する以上の利益を用意しようとしましたが……。

「興味ねえな」
「……な!?

 ですが、予想外なことに答えはノーでした。

「何故俺が誰かの下に付かにゃならん? 俺は誰の下にもつかねえ。俺の主は俺だけだ!」
「ば……馬鹿かお前は!? 魔王軍に入れば富も栄誉も思うがままなのだぞ!なのに何故拒む!?」」
「興味ねえっつてんだろ。俺は見た目こそこうだが、中身は獣だぜ?」
「……」

 あっけらかんと答える勇者様に歯ぎしりをするゴブリン隊長。

「貴様は……貴様は一体何者だ!?」







「リオン・グリフィンオール。魔獣王だの全て破壊せし黄金の獣キングオブデストロイヤーだの様々なあだ名はあるが、今じゃただの一匹の人間だ」



全て破壊せし黄金の獣キングオブデストロイヤー……」

 知らずの間に、私はその名を口にしました。

 破壊の獣。それはまさしく勇者さまを表すに最もふさわしい言葉です。
 あれは破壊そのもの。とても人の手には縛れるものではありません。

「(私たちは最強であると同時に、最悪の勇者を召喚したのかもしれません……)」

 女好きだったり守銭奴ならまだ交渉の余地があります。何故なら勇者様の欲するものを提供することで戦ってもらえるのですから。
 私は勇者召喚をする際、既にこの身を勇者様に捧げるつもりでいました。この身体一つでこの国が救えるなら安いものです。


 ですが。あの方が欲しているのは暴力と闘争そのものです。


 彼にとって戦いとは手段ではなく目的。戦闘こそが彼の求めるもの。つまり私たちには物やコントロール出来ないものです。

「さぁて、残りの雑魚もお掃除しますかぁ!!」

 勝利と歓喜の咆哮を上げ、『獲物』を探すためにその場を高速で去る勇者様。そのあり方はまさしく獣そのものでした。
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