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1万文字以内短編
舞い散る桜の儚さに(約10分 男1女1)
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ジャンル【コメディ・シュール】
配役 2名
通行人:女性・20代前後くらい(基本設定自由)
儚い人:男性・20代前後くらい(見た目イケメン)
○桜並木(夜)
通行人:「ここを通るとちょっとだけ近道なのよね~。夜は暗くて人通りも少ないから、普段はあんまり使わない道だけど……へぇ~、こんなに桜が咲いてたんだ」
ちょっと間
通行人:(……ん? 暗闇に紛れて、誰か立ってる……?)
よく見ようとして思いとどまる
通行人:(いや、あんまり見ないでおこう! こんなところにひとりで突っ立ってるなんて、変な人かもしれない。さっさと通り過ぎちゃお)
儚い人:「…………キミは、……この家の人かい…?」
通行人:「………はい?」
通行人:(うわっ、話しかけられちゃった! え、この家? 家なんてどこにもないけど………え、まさか、いやいや、まさか……)
通行人:「あの……『この家』って………まさか、コレのことを言ってます……?」
儚い人:「………おや、違ったのかい……?」
通行人:「……これ、電話ボックスですけど。なんで私が電話ボックスに住まなきゃいけないんですか」
儚い人:「……そうか…。……この世界の建造物は、難しいね………」
通行人:(うわうわっ! 何この人!? 究極にヤバい人に絡まれちゃったよぉ!!)
儚い人:「……桜の花は、恋愛体質だね…。こんな微(かす)かなそよ風にさえ、さらわれてしまう………」
通行人:「さよなら~……」
儚い人:「…美しいお嬢さん」
通行人:「(即答)はい」
儚い人:「少しだけ……この哀れな男の話を、聞いてはくれないかい……?」
通行人:(……き、聞きたくない……けど、よく見たらこの人、顔だけはやたらと良いんだよなぁ……。私のことも美しいお嬢さん扱いしてくれるみたいだし、ちょっとだけ付き合ってやるか!)
通行人:「まぁ、少しだけなら」
儚い人:「………ありがとう。……ねぇ、キミは……僕のことをどう思う……?」
通行人:「怪しいと思います」
儚い人:「……そう、僕は儚い…。この散ってゆく桜達と一緒さ…」
通行人:「怪しいって言ったんスけど」
儚い人:「……キミのような人には……僕は一体、…何者に見えているんだろうね……?」
通行人:「何者って……さっき『この世界』とか言ってたし、厨二…じゃなくて、えーと、人間じゃないとか?」
儚い人:「……僕が何者なのか……その答えはね……」
通行人:(ああぁ~、顔が好みでさえなければ、いくら私でもこんな変なのに引っかかったりしなかったのに~~)
儚い人:「僕は、この世界の輝きなのさ……」
通行人:「はぁ?」
儚い人:「……わからないかい…?」
通行人:「あ~と、やっぱり私、このへんで~」
儚い人:「……『輝き』を英語にすると…?」
通行人:「へ? 何よ急に」
儚い人:「Sから始まる……」
通行人:「えー? もう何よ……えーと、あー、SHINE(シャイン)?」
儚い人:「……そう。…僕は、輝きなのさ」
通行人:「………………あー、どこかの会社の社員さんなのね」
儚い人:「…契約されし、輝きさ………」
通行人:「契約社員さんなのね」
儚い人:「……風が強くなってきたね…。……この桜達のように……僕達もさらわれてしまうかもしれないよ…」
通行人:「私まで儚くしなくていいから!」
儚い人:「……人は夢を見るものだ…」
通行人:「やっぱもう帰ろ! …きゃあっ、もう何よ!? 何かにつまづいた~!」
儚い人:「……夢は決して、……お金では買えない…」
通行人:「何よこれ? …ビールの空き缶? うわっ、よく見たらすごくいっぱい転がってる!」
儚い人:「……けれど、……中には…例外もある…」
通行人:「あんた酔っ払ってるんでしょ。…もうカンベンしてよ~。引っかかる私も私だけどさ…」
儚い人:「……美しいお嬢さん」
通行人:「(即答)はい」
儚い人:「……夢を手にした時、………人は愚かになるものだね…」
通行人:「はい?」
儚い人:「……特に大きい夢は」
通行人:「あの~…」
儚い人:「……『大きい夢』を英語にすると……?」
通行人:「え、また? なに、ビッグドリーム?」
儚い人:「ううん…」
通行人:「じゃあ何」
儚い人:「ドリームジャンボ」
通行人:「宝くじかよ!」
儚い人:「……僕は手にしたのさ。…ビッグドリーム………ドリームジャンボ、一等3億円を」
通行人:「え? え、えええっ? ほんとに!?」
儚い人:「………お嬢さん、……キミは知っているかい…?」
通行人:「は、はい? 何をよ? もうさっきから情報がどんどん増えていって追いつけなくなってるんだけど!」
儚い人:「……あぁ、…風が僕を嘲笑っている……。……それとも、哀れんでいるのだろうか……?」
通行人:「そういうのもういいから! で、何!?」
儚い人:「……知っているかい? 夢には、期限があるのさ………」
通行人:「は?」
儚い人:「……宝くじには、引き換え有効期限があるのさ」
通行人:「………………ん?」
儚い人:「…僕はね、…………失念していたんだ」
通行人:「………………」
儚い人:「……どうやら、キミにも察しがついたようだね…」
通行人:「………なんか………何と言葉をかけていいものか、わからないですが……気を落とさず、頑張ってください…」
儚い人:「……はは、はははは…」
儚い人:「僕の正気は………桜のように、春風にさらわれていったのさ…」
終
配役 2名
通行人:女性・20代前後くらい(基本設定自由)
儚い人:男性・20代前後くらい(見た目イケメン)
○桜並木(夜)
通行人:「ここを通るとちょっとだけ近道なのよね~。夜は暗くて人通りも少ないから、普段はあんまり使わない道だけど……へぇ~、こんなに桜が咲いてたんだ」
ちょっと間
通行人:(……ん? 暗闇に紛れて、誰か立ってる……?)
よく見ようとして思いとどまる
通行人:(いや、あんまり見ないでおこう! こんなところにひとりで突っ立ってるなんて、変な人かもしれない。さっさと通り過ぎちゃお)
儚い人:「…………キミは、……この家の人かい…?」
通行人:「………はい?」
通行人:(うわっ、話しかけられちゃった! え、この家? 家なんてどこにもないけど………え、まさか、いやいや、まさか……)
通行人:「あの……『この家』って………まさか、コレのことを言ってます……?」
儚い人:「………おや、違ったのかい……?」
通行人:「……これ、電話ボックスですけど。なんで私が電話ボックスに住まなきゃいけないんですか」
儚い人:「……そうか…。……この世界の建造物は、難しいね………」
通行人:(うわうわっ! 何この人!? 究極にヤバい人に絡まれちゃったよぉ!!)
儚い人:「……桜の花は、恋愛体質だね…。こんな微(かす)かなそよ風にさえ、さらわれてしまう………」
通行人:「さよなら~……」
儚い人:「…美しいお嬢さん」
通行人:「(即答)はい」
儚い人:「少しだけ……この哀れな男の話を、聞いてはくれないかい……?」
通行人:(……き、聞きたくない……けど、よく見たらこの人、顔だけはやたらと良いんだよなぁ……。私のことも美しいお嬢さん扱いしてくれるみたいだし、ちょっとだけ付き合ってやるか!)
通行人:「まぁ、少しだけなら」
儚い人:「………ありがとう。……ねぇ、キミは……僕のことをどう思う……?」
通行人:「怪しいと思います」
儚い人:「……そう、僕は儚い…。この散ってゆく桜達と一緒さ…」
通行人:「怪しいって言ったんスけど」
儚い人:「……キミのような人には……僕は一体、…何者に見えているんだろうね……?」
通行人:「何者って……さっき『この世界』とか言ってたし、厨二…じゃなくて、えーと、人間じゃないとか?」
儚い人:「……僕が何者なのか……その答えはね……」
通行人:(ああぁ~、顔が好みでさえなければ、いくら私でもこんな変なのに引っかかったりしなかったのに~~)
儚い人:「僕は、この世界の輝きなのさ……」
通行人:「はぁ?」
儚い人:「……わからないかい…?」
通行人:「あ~と、やっぱり私、このへんで~」
儚い人:「……『輝き』を英語にすると…?」
通行人:「へ? 何よ急に」
儚い人:「Sから始まる……」
通行人:「えー? もう何よ……えーと、あー、SHINE(シャイン)?」
儚い人:「……そう。…僕は、輝きなのさ」
通行人:「………………あー、どこかの会社の社員さんなのね」
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儚い人:「……風が強くなってきたね…。……この桜達のように……僕達もさらわれてしまうかもしれないよ…」
通行人:「私まで儚くしなくていいから!」
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儚い人:「……夢は決して、……お金では買えない…」
通行人:「何よこれ? …ビールの空き缶? うわっ、よく見たらすごくいっぱい転がってる!」
儚い人:「……けれど、……中には…例外もある…」
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儚い人:「……夢を手にした時、………人は愚かになるものだね…」
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儚い人:「……特に大きい夢は」
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儚い人:「……『大きい夢』を英語にすると……?」
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儚い人:「ううん…」
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通行人:「宝くじかよ!」
儚い人:「……僕は手にしたのさ。…ビッグドリーム………ドリームジャンボ、一等3億円を」
通行人:「え? え、えええっ? ほんとに!?」
儚い人:「………お嬢さん、……キミは知っているかい…?」
通行人:「は、はい? 何をよ? もうさっきから情報がどんどん増えていって追いつけなくなってるんだけど!」
儚い人:「……あぁ、…風が僕を嘲笑っている……。……それとも、哀れんでいるのだろうか……?」
通行人:「そういうのもういいから! で、何!?」
儚い人:「……知っているかい? 夢には、期限があるのさ………」
通行人:「は?」
儚い人:「……宝くじには、引き換え有効期限があるのさ」
通行人:「………………ん?」
儚い人:「…僕はね、…………失念していたんだ」
通行人:「………………」
儚い人:「……どうやら、キミにも察しがついたようだね…」
通行人:「………なんか………何と言葉をかけていいものか、わからないですが……気を落とさず、頑張ってください…」
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