フリー声劇台本〜1万文字以内短編〜

摩訶子

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1万文字以内短編

こんな静かな夜には(約20分 男1女1)

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ジャンル【愛憎サスペンス】


配役 2名

容慈(ようじ):男性・社会人。
静夜(しずよ):女性・社会人か学生。


《概要》

こんな静かな夜には、
――愛しい人の悲鳴を響かせたくなる。


※本作は『悲鳴』をテーマとしています。
両者に無茶な叫びの指定があります。
大声を出せる環境の方のみご使用ください。

※ストーリーの性質上、演者様のアドリブ頼りになる部分が多いです。
指定のないアドリブも自由にどんどん入れて頂いてOKです!
ただ、作品の世界観を壊すようなものや内容からかけ離れたようなものは御遠慮ください。

※異常性愛を扱っているので15歳以上推奨。苦手な方は逃げてください。


====================

○容慈の独白

容慈(ようじ):(N)こんな静かな夜には、愛しい人の悲鳴を響かせたくなる。
 そんな自分が異常だということは、とっくにわかっている。
 俺の愛しい恋人は、とても穏やかで、優しくて、そして冷静で……。叫んだり、泣いたり、それどころか、本気で驚いているところさえ見たことがない。
 『そんなところが好きだ』と言えば聞こえはいいかもしれないが、……正しくは、『そんなところを俺の手でぐちゃぐちゃにすることを妄想するのが好き』なのだ。


○容慈の自宅(朝)

静夜(しずよ):「容慈さん、おはようございます。今日もとても良いお天気ですね。朝ごはんは何がいいですか? …あ。たまには外で食べるのもいいかもしれないですね。駅前のカフェのモーニングって、何時までだったかなぁ」

容慈(ようじ):(N)のんびりと朗らかに朝の挨拶をする彼女に、俺は笑顔で相槌を打って、優しく頭を撫でる。
 その笑顔の裏側で、何を考えているのかなんて……純粋な彼女にはとても想像できないことだろう。

容慈(ようじ):「静夜。おまえは本当におっとりしていて可愛いな。一緒に居るといつも癒される」
静夜(しずよ):「そうですか? 容慈さんこそ、いつも優しく包み込んでくれるみたいで、そばに居るととても安心できます」

容慈(ようじ):(N)本当は、癒されている時間などあるはずがない。決して見せない腹の底が、歪んだ欲望でこんなにも煮えたぎっているのだから。
 ……この何も知らずに俺の腕の中で安心しきっている柔らかい身体を、………一瞬にして驚きと恐怖で硬直させてみたい。
 その時この腕に抱いている感触は……どんなにそそられることだろう……。

容慈(ようじ):「静夜」
静夜(しずよ):「(優しく)…はい?」
容慈(ようじ):「愛してる」
静夜(しずよ):「(幸せそうに)……私もです」
容慈(ようじ):「嬉しいよ…。俺はこんなにもおまえが愛しくてたまらない。……だから、」
静夜(しずよ):「(とろんと)……ん?」
 
容慈(ようじ):「(耳元で囁く)………だから、……【おまえを殺したい】」
 
静夜(しずよ):「………………え……?」

容慈(ようじ):(N)……言った瞬間。腕の中で、羽のようにふわふわと柔らかかった細い身体が、ぴくんと小さく跳ねたと同時に、芯が通ったように固まった。
 ………あぁ、これだ。
 これだ。これだ。これだ。
 ……そう。たとえば、こんなことをしてみたら。……俺の秘密の欲望は、まず1つ満たされるのだろう。


静夜(しずよ):「容慈さん、どうしました? さっきから何だかぼんやりしているみたいだけれど、(心から心配そうに)どこか具合でも悪いんですか?」
容慈(ようじ):「……あぁ、いや、何でもないよ。ちょっと考え事をね。心配させてごめんな」
静夜(しずよ):「考え事? 何か悩んでいるのですか?」
容慈(ようじ):「いや、違うよ。……とても、楽しいことを考えていた。おまえが傍にいるからだろうな」
静夜(しずよ):「よかった! ねえ、それなら早く出かけましょう? せっかくのお休みなんですから、あなたとの時間を少しでも無駄にしたくないです」
容慈(ようじ):「あぁ、そうだな。すぐに支度をしよう」
静夜(しずよ):「(嬉しそうに)…ふふふ」

容慈(ようじ):(N)どこまでも穏やかな彼女をぐちゃぐちゃに壊してしまう妄想は、日に日に俺を狂わせていくようだった。


○同(夕)

静夜(しずよ):「映画面白かったですね」
容慈(ようじ):「そうだな。映画を観てその足で原作を買いに本屋まで行ったのなんて、久しぶりだ」
静夜(しずよ):「原作の小説を1冊買うだけのはずだったのに、関係ない漫画を10冊以上も買っちゃうなんて」
容慈(ようじ):「(笑いながら)まぁいいじゃないか」
静夜(しずよ):「よくないです。ほらぁ、帰ってきて早々、もうそれ読もうとしてるじゃないですか」
容慈(ようじ):「だめ?」
静夜(しずよ):「せっかく一緒のお休みなのに…」
容慈(ようじ):「なんだ、寂しいのか? …それなら、こうやって一緒に読めばいい!」
静夜(しずよ):「え、ちょ、ちょっと…」
容慈(ようじ):「びっくりしたか?」

容慈(ようじ):(N)時々こうして、不意をついて驚かせてみようと試みる。
 少しだけ慌てた素振りを見せてはくれるものの………これでは足りない。全然足りないんだ。

静夜(しずよ):「…もぅ。しょうがないなぁ。膝枕なんてしたら、余計読みにくいと思いますけど」
容慈(ようじ):「あれ~、大人な対応されちゃった。もうちょっと驚いてくれてもいいんだけどなぁ」
静夜(しずよ):「(軽く笑って)はいはい」

容慈(ようじ):(N)どんな時でも朗らかな笑顔を絶やさない彼女は、本当によくできた人格者だと思う。
 ふんわりと笑うこの表情を、素直に守りたいと思う反面………苦痛に歪めてみたくなる。

容慈(ようじ):「…静夜、……おいで」
静夜(しずよ):「ん? ……きゃっ。……もぅ。まだ夕前ですよ? それに、床じゃ痛いです」
容慈(ようじ):「……クククッ」
静夜(しずよ):「…?」

 容慈、唐突に静夜の首を絞める

静夜(しずよ):「!!? ……なん、…で……っ…」
悶え苦しむ静夜の表情を恍惚と眺めている容慈の堪えきれない笑い声が漏れる
 
容慈(ようじ):(N)…あぁ、そうだ、たとえばこんな顔……。
 この顔が見られたら、俺はもう………。


静夜(しずよ):「容慈さん…? ねえ、やっぱり今日は、ずっとぼんやりしていますよね? 本当に、具合が悪いわけじゃないんですか?」
容慈(ようじ):「………ん…?」
静夜(しずよ):「…ほら、なんだか凄く虚ろな感じ……。それに、…あ! やっぱり熱い…。(本当に心配そうに)熱があるんじゃないですか?」
容慈(ようじ):「……あぁ………熱かぁ………ふふふ、……そうだなぁ……今、…だいぶ、熱に浮かされているよ」
静夜(しずよ):「容慈さん!?」


○同(夜)

容慈(ようじ):(N)気づけばすっかり夜だった。
 …今日は、自分に素直になりすぎたのだろうか。いつにも増して燃え盛る興奮と欲望に、本当に高熱にでも溺れているような感覚になっていた。
 …とても、静かな夜。
 ……あぁ、これは良い夜だ。こんな静かな、月明かりの美しい夜には………おまえの悲鳴を響かせてみたい。


容慈(ようじ):「………………」
静夜(しずよ):「…容慈さん……? しっかりしてください! 容慈さん…!? 容慈さん!!!!」

 動かずにいる容慈、少し間

静夜(しずよ):「……あ……ぁ………(容慈の聴きたかった最高の悲鳴を)」


容慈(ようじ):(N)………あぁ……これが………夢にまで見た………。
 …最高だ。おまえは本当に………


容慈(ようじ):(N)静かな夜に、聴きたくて聴きたくてたまらなかった、あの子の悲鳴が響き渡った。
 全身に熱が走るのを感じながら、……この快楽に溺れたまま死んでもいいと思っていると、……少しだけ、妙な違和感に気づいた。
 何だか随分と、リアルになってきた気がするが………これは、まだ………妄想の中のこと、……だよな……?





静夜(しずよ):「容慈さん!! 容慈さん!!!」
 
容慈(ようじ):(そうだよな、静夜……?)


容慈(ようじ):(N)どこからか、妄想と現実の狭間が曖昧になっていて。……いま自分がどっちにいるのか、よくわからなくなっていた。


静夜(しずよ):「容慈さん!!!」


静夜(しずよ):「…(楽しそうに)容慈さ~ん?」
容慈(ようじ):「………?」
静夜(しずよ):「……ふふふふふふ、ふっ!!(容慈の首を絞める)」
容慈(ようじ):「…っ!? ……な、……なんっ、……っ、」
静夜(しずよ):「死んだふりなのわかってますよぉ? …もぉ、無防備にしてるから簡単に立場逆転できちゃいました」
容慈(ようじ):「……は…? ……?」
静夜(しずよ):「…あのね? あなたはきっと、私達が惹かれ合っているのは、お互い正反対だからだと思っているのでしょうけれど……」
容慈(ようじ):「………」
静夜(しずよ):「………それは違いますよ。私達は、正反対だからじゃない。……同じ性質を持っているからこそ、惹かれ合う……いいえ、だから『私があなたに』惹かれているんです」
容慈(ようじ):「………静夜……」
静夜(しずよ):「…私があなたの嗜虐性(しぎゃくせい)に気づいていないとでも思っていましたか?」
容慈(ようじ):「………………」
静夜(しずよ):「あなたは私のことを、穏やかで優しい、純粋な人間だと信じてくれていたみたいだけれど。……私はね、」
容慈(ようじ):「……言う、な………ききたく、……ない……、」
静夜(しずよ):「私は……あなたのような加虐嗜好者(かぎゃくしこうしゃ)が、逆に痛めつけられているのを見るのがたまらなく好きなんですよ…」
容慈(ようじ):「……! やめろ……そんなの、…おまえじゃない……!」
静夜(しずよ):「あなたが勝手に勘違いしていただけでしょう? それに私は、弱い者のことは傷つけたいなんて思わないから、実際あなたよりは優しいと思いますよ?」
容慈(ようじ):「静夜………」
静夜(しずよ):「私が興奮するのは、あなたのような人が己の欲望を満たして、満足して恍惚(こうこつ)としている時に……その最高潮の状態を、ぐちゃぐちゃに握り潰された顔を見ることです」
容慈(ようじ):「………(震撼)」
静夜(しずよ):「ねえ? どうですか? 苦しいですか? 怖いですか? ……さっきのあなたのとろけるような満たされた表情は、本当にそそられましたよ…。『これを今から私が壊すんだ』って……考えただけで、もう……!」
容慈(ようじ):「……嫌だ………こんなの、…ちがう………こんなの……」
静夜(しずよ):「あぁ………こんな状態になってもまだ、口にするのは自分の欲望のことばかり……。素晴らしいです………やっぱり、あなたは最高の恋人だわ」
容慈(ようじ):「静夜………いつものおまえに、戻ってくれ……」
静夜(しずよ):「表情はクリア。……あとは、そう。わかっていますよね? この静かな夜に響かせましょう。…聴かせてください、あなたが聴きたがっていたような、最高の悲鳴を、私に」
容慈(ようじ):「(首から静夜の手が離れて咳き込みながら)……な、なに、を………………え? …!? なんだよそれ……やめろ…やめろ……おい!!!」
静夜(しずよ):「……あぁぁその顔、もはや芸術の域ですよ。だから声も聴かせてください。さぁ………」
容慈(ようじ):「…あ……あぁぁ………………(最高の悲鳴を)」


○静夜の独白

静夜(しずよ):(N)こんな静かな夜には、愛しい人の悲鳴を響かせたくなる。
 そんな自分が異常だということは、とっくにわかっている。
 私の愛しい恋人は、優しさの皮を被って、心の奥底でいつも、おぞましいほどの嗜虐心を煮えたぎらせている。
 『そんなところが好きだ』と言えば聞こえはいいかもしれないが、……正しくは、『そんなところを私の手でぐちゃぐちゃにすることを妄想するのが好き』なのだ。
 
静夜(しずよ):(N)普段はそんなこと、思っていても実践しようとなんて思わないんですけれどね?
 …でも、お互い今日は、何かが外れてしまったのでしょう。
 
静夜(しずよ):こんな、静かな夜だから。


END
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