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密事前の和みの時間
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抱いてもらえませんか。
自分が発した言葉なのに、おとめは胸が苦しくなった。それはきっと、その行為の先には相手の感情がないからだろう。
優しく抱いてもらえても、それは雨を降らせるための条件のようなものだ。
おとめはふと、気になったことを龍神に聞いてみた。
「私が、純潔な乙女じゃなくても大丈夫ですか? 初めてじゃないと力を出せないとか……」
「ん? そんな条件があるのか?」
「ないんですか?」
逆に問い返され、おとめは困惑しつつ首を傾げる。
「ない。というより……」
その言葉のあとは濁して、龍神はとにかく純潔でなくとも構わないと頭を撫でてくれた。
「そっか。――!! なら他の子じゃなくて毎回私でも良いですか?!」
そういうと、龍神は驚いたように瞬きをして 構わない と言ってくれた。
「しかし、贄の儀式など……しなくて良いのが一番だろう?」
「――は、い」
それも、そうなのだけれど……。淡い恋が一瞬にして風に吹かれて飛んでいったような気分になった。
贄でなくても会いに来て良いですか? とは言えず、おとめはただ微笑んだ。
「とりあえず、雨を先に降らせてやろう。その間に、湯浴みをするといい。準備ができているはずだ」
「あ……そうですよね!! 走ってきたから汗臭くて嫌ですよね!!」
「ん? あ、いや、違うぞ! 山を駆けてきたのだろう? 足が酷く汚れている。薬湯にしてあるから、ゆっくりと癒すと良い。……おとめはその、何日居られる?」
質問の意図が分からず、首を傾げてから男衆との会話を思いだす。すぐに雨が降るなら問題ないだろうけれど、三日の期限を自ら儲けたので、その前には戻った方が良いだろう。
雨の確認とウメが大丈夫だったかも確認したい。
「三日なら」
「そうか……三日……。わかった。湯治だと思って、ゆっくりとするといい」
「ありがとうございます」
龍神の優しさに、おとめは嬉しさと切なさを同時に感じたのだった。
たっぷりの湯に一番最初に浸かれるなど、贅沢極まりない。それだけでもありがたいのに、龍神言う通り、トロリと滑らかな薬湯にされていた。
広い湯船は、足も伸ばせるだけでなく大人が何人かは入れそうなほどだ。
「こんな広いのは……逆に落ち着かないな……」
寸胴に湯を張って入ったり、沸かした湯で身体を清めることが通常だったので、慣れない状況に心がそわそわとしてしまう。
それに、この風呂はいつも龍神が使っている風呂だ。
「ここに……座って、身体を清めて……ふあぁぁぁ……」
パシャパシャと湯の波を立てる。
(そういえば、この湯は……誰が?)
前回の龍神が清めた足の水も、出された茶も、敷かれていた布団も、神なら何でもできるのだろうか。
そう思いながら湯から上がり布で身体を拭っていると、淡い藍染の浴衣が用意されていた。
そして、その横に……水が入った湯呑みと饅頭が乗った皿。
おとめは辺りを見渡すが、龍神はもちろん、他の気配もない。
首を捻りつつ、しかし、龍神以外の何かが居ると確信し手を合わせて礼を述べた。
「ちょうど喉が渇いていたの。それに……、こ、これからちょっと頑張らなきゃだから、お腹に入れられるのは嬉しい。ありがとうございます」
肌触りの良い浴衣に袖を通し、ありがたく水と饅頭を食べ、よしと気合を入れて立ち上がる。
「上がったか?」
「――ひゃい!?」
「あぁ、驚かせて悪い。少し、俺も湯を浴びる」
戸の外から龍神が声をかけてきたことに驚いて、飛び出すように外に出た。
「急がせたか?」
「いえ、ちょうど出るところでした」
「そうか。……この廊下の突き当たりの部屋に先に行っていてくれ」
軽く頷くと、龍神はおとめの頭を撫でて脱衣所に入っていった。
その手から微かに雨の香りがしたので、既に村は雨模様なのだろう。
ほっと息を吐くと同時に、背後からしゅるしゅると帯を解く音がした。
(ぬ、脱いでる――! お背中流しますとか言うべき?! いや、だめでしょ! 言われたこと以外はしない方が――で、でも――)
龍神の整って鍛えられた美しい背中を想像し、おとめは脳が溶けそうなほど熱くなる。一度抱かれたというのに、その姿はほとんど見れていなかったので、想像で手一杯だ。
(――っまだむり!)
逃げるようにその場を離れ、廊下を駆ける。その途中、台所、厠、最初に通された縁側のある居間と応接間、そして最奥に寝室があった。
一部屋一部屋はそれなりに広いが、合わせたとしても屋敷全体は思っていたほど大きくはないらしい。
しかし、この間取りでは龍神以外の者の居住できる場所がない。
「お手伝い……外から通ってるとか?」
首を傾げながら寝室に入り、布団に腰を下ろす。
考えても分からないことは分からないので、きょろきょろと辺りを観察することにした。
といっても、寝室にはおとめが座っている高級な布団と行灯しかない。
戸が開いているので明るいが、きっと閉めれば行灯の微かな光だけになるのだろう。
龍神は物に執着しないのかもしれない。
「ふぅー……」
いくら龍神が優しいとはいえ、今回はただ純潔を捧げに来たわけではない。二回目の図々しい願いを叶えてもらうために来ている、という自覚はある。
なので、おとめは山を走っている最中に決心した。今回は、龍神様に奉仕するのだ。と。
有難いことに、既に結婚しているゆきやこうから色々と房事は教わっている。……というより、龍神の話をした時にあれもしなかったのか、これもしなかったのかと 受けるだけじゃ駄目なの! 喜ばせないと!! と、ご教授頂いたのだ。
それが上手くいけば、龍神はおとめに惚れるかもよ! なんて殺し文句を添えて。
そんな可能性は万が一にもありえないと思いつつ、後々の為に聞いておいたのが良かった――と、おとめは教えられた房事の内容を思い出す。
(胸が嫌いな男はいない――だから、この無駄に大きくなった乳房で奉仕は有効。それと、気持ち良い時やイク時はちゃんと伝えると喜ぶ。あと……おちんぽは許可を取ってから……く、くちに、口に)
「待たせた」
「ひぃやぁい!!」
前回は触れることすらなかった硬く熱い肉塊を思い出している最中に声をかけられ、おとめは布団の上で飛び上がる。
その様子を見た龍神は口元に手を当て、笑いを堪えているようだ。
何だか恥ずかしくなって、おとめは 笑うなら笑って下さい と俯いた。
「悪い、あまりに愛らしかったのでな」
「そんなことないです」
変な声が出てしまったのは自覚している。
そんな声を気にしていないというように龍神は隣に座り、おとめの頬を撫でて顔を上げさせた。
「いや、愛らしかった」
「……慰めてるんですか?」
「ふむ……本心なのだが」
龍神の表情が真面目そのもので、今度はおとめが笑い出す。
「どうした?」
「いえ、ありがとうございます。雨も……降ったようで安心しました。本当にありがとうございました」
にこりと笑った龍神は、かまわんとだけ呟いた。
「どれくらい降りそうですか?」
「俺の力は殆ど使わなかった。秋の雨が近付いているようだったからな、それを少しばかり刺激してやった」
「そんなこともできるんですね」
「それくらいしか……できんさ。夏の暑さももうすぐ終わるだろう。そしたら、日照り終わる」
おとめにとって――人間にとっては、それくらいではない出来事だが、龍神にとって大したことではないのかもしれない。
そう思ったら、疑問が浮かびおとめは龍神に問いかけた。
「他に、何ができるんですか?」
「んぅ……そうだな。水の流れを変えたり、水自体を操ったりもできなくはない。しかし、俺は力が弱いからな」
「こんなに凄いのに?」
「そう言ってくれるのは、おとめだけだな」
そんなはずはない。おとめだけでなく、母のトヨも、ゆきもこうも、村長も龍神を褒め称えていた。
「本当なのに……」
「……おとめ」
口を尖らせていると、艶の乗った声で龍神に呼ばれ、おとめは肩を揺らした。
「――はい」
「抱き締めても、よいか?」
それに頷いて答えると、龍神はおとめを前と同じように背後から抱き締めようとしてきた。
これでは前と同じように翻弄されてしまうと思い、おとめは焦って身体を反転させて龍神と対面するように身体を寄せ膝の上に乗るように座った。
「おとめ?」
「あの! 私に――私に奉仕させて下さい!!」
自分が発した言葉なのに、おとめは胸が苦しくなった。それはきっと、その行為の先には相手の感情がないからだろう。
優しく抱いてもらえても、それは雨を降らせるための条件のようなものだ。
おとめはふと、気になったことを龍神に聞いてみた。
「私が、純潔な乙女じゃなくても大丈夫ですか? 初めてじゃないと力を出せないとか……」
「ん? そんな条件があるのか?」
「ないんですか?」
逆に問い返され、おとめは困惑しつつ首を傾げる。
「ない。というより……」
その言葉のあとは濁して、龍神はとにかく純潔でなくとも構わないと頭を撫でてくれた。
「そっか。――!! なら他の子じゃなくて毎回私でも良いですか?!」
そういうと、龍神は驚いたように瞬きをして 構わない と言ってくれた。
「しかし、贄の儀式など……しなくて良いのが一番だろう?」
「――は、い」
それも、そうなのだけれど……。淡い恋が一瞬にして風に吹かれて飛んでいったような気分になった。
贄でなくても会いに来て良いですか? とは言えず、おとめはただ微笑んだ。
「とりあえず、雨を先に降らせてやろう。その間に、湯浴みをするといい。準備ができているはずだ」
「あ……そうですよね!! 走ってきたから汗臭くて嫌ですよね!!」
「ん? あ、いや、違うぞ! 山を駆けてきたのだろう? 足が酷く汚れている。薬湯にしてあるから、ゆっくりと癒すと良い。……おとめはその、何日居られる?」
質問の意図が分からず、首を傾げてから男衆との会話を思いだす。すぐに雨が降るなら問題ないだろうけれど、三日の期限を自ら儲けたので、その前には戻った方が良いだろう。
雨の確認とウメが大丈夫だったかも確認したい。
「三日なら」
「そうか……三日……。わかった。湯治だと思って、ゆっくりとするといい」
「ありがとうございます」
龍神の優しさに、おとめは嬉しさと切なさを同時に感じたのだった。
たっぷりの湯に一番最初に浸かれるなど、贅沢極まりない。それだけでもありがたいのに、龍神言う通り、トロリと滑らかな薬湯にされていた。
広い湯船は、足も伸ばせるだけでなく大人が何人かは入れそうなほどだ。
「こんな広いのは……逆に落ち着かないな……」
寸胴に湯を張って入ったり、沸かした湯で身体を清めることが通常だったので、慣れない状況に心がそわそわとしてしまう。
それに、この風呂はいつも龍神が使っている風呂だ。
「ここに……座って、身体を清めて……ふあぁぁぁ……」
パシャパシャと湯の波を立てる。
(そういえば、この湯は……誰が?)
前回の龍神が清めた足の水も、出された茶も、敷かれていた布団も、神なら何でもできるのだろうか。
そう思いながら湯から上がり布で身体を拭っていると、淡い藍染の浴衣が用意されていた。
そして、その横に……水が入った湯呑みと饅頭が乗った皿。
おとめは辺りを見渡すが、龍神はもちろん、他の気配もない。
首を捻りつつ、しかし、龍神以外の何かが居ると確信し手を合わせて礼を述べた。
「ちょうど喉が渇いていたの。それに……、こ、これからちょっと頑張らなきゃだから、お腹に入れられるのは嬉しい。ありがとうございます」
肌触りの良い浴衣に袖を通し、ありがたく水と饅頭を食べ、よしと気合を入れて立ち上がる。
「上がったか?」
「――ひゃい!?」
「あぁ、驚かせて悪い。少し、俺も湯を浴びる」
戸の外から龍神が声をかけてきたことに驚いて、飛び出すように外に出た。
「急がせたか?」
「いえ、ちょうど出るところでした」
「そうか。……この廊下の突き当たりの部屋に先に行っていてくれ」
軽く頷くと、龍神はおとめの頭を撫でて脱衣所に入っていった。
その手から微かに雨の香りがしたので、既に村は雨模様なのだろう。
ほっと息を吐くと同時に、背後からしゅるしゅると帯を解く音がした。
(ぬ、脱いでる――! お背中流しますとか言うべき?! いや、だめでしょ! 言われたこと以外はしない方が――で、でも――)
龍神の整って鍛えられた美しい背中を想像し、おとめは脳が溶けそうなほど熱くなる。一度抱かれたというのに、その姿はほとんど見れていなかったので、想像で手一杯だ。
(――っまだむり!)
逃げるようにその場を離れ、廊下を駆ける。その途中、台所、厠、最初に通された縁側のある居間と応接間、そして最奥に寝室があった。
一部屋一部屋はそれなりに広いが、合わせたとしても屋敷全体は思っていたほど大きくはないらしい。
しかし、この間取りでは龍神以外の者の居住できる場所がない。
「お手伝い……外から通ってるとか?」
首を傾げながら寝室に入り、布団に腰を下ろす。
考えても分からないことは分からないので、きょろきょろと辺りを観察することにした。
といっても、寝室にはおとめが座っている高級な布団と行灯しかない。
戸が開いているので明るいが、きっと閉めれば行灯の微かな光だけになるのだろう。
龍神は物に執着しないのかもしれない。
「ふぅー……」
いくら龍神が優しいとはいえ、今回はただ純潔を捧げに来たわけではない。二回目の図々しい願いを叶えてもらうために来ている、という自覚はある。
なので、おとめは山を走っている最中に決心した。今回は、龍神様に奉仕するのだ。と。
有難いことに、既に結婚しているゆきやこうから色々と房事は教わっている。……というより、龍神の話をした時にあれもしなかったのか、これもしなかったのかと 受けるだけじゃ駄目なの! 喜ばせないと!! と、ご教授頂いたのだ。
それが上手くいけば、龍神はおとめに惚れるかもよ! なんて殺し文句を添えて。
そんな可能性は万が一にもありえないと思いつつ、後々の為に聞いておいたのが良かった――と、おとめは教えられた房事の内容を思い出す。
(胸が嫌いな男はいない――だから、この無駄に大きくなった乳房で奉仕は有効。それと、気持ち良い時やイク時はちゃんと伝えると喜ぶ。あと……おちんぽは許可を取ってから……く、くちに、口に)
「待たせた」
「ひぃやぁい!!」
前回は触れることすらなかった硬く熱い肉塊を思い出している最中に声をかけられ、おとめは布団の上で飛び上がる。
その様子を見た龍神は口元に手を当て、笑いを堪えているようだ。
何だか恥ずかしくなって、おとめは 笑うなら笑って下さい と俯いた。
「悪い、あまりに愛らしかったのでな」
「そんなことないです」
変な声が出てしまったのは自覚している。
そんな声を気にしていないというように龍神は隣に座り、おとめの頬を撫でて顔を上げさせた。
「いや、愛らしかった」
「……慰めてるんですか?」
「ふむ……本心なのだが」
龍神の表情が真面目そのもので、今度はおとめが笑い出す。
「どうした?」
「いえ、ありがとうございます。雨も……降ったようで安心しました。本当にありがとうございました」
にこりと笑った龍神は、かまわんとだけ呟いた。
「どれくらい降りそうですか?」
「俺の力は殆ど使わなかった。秋の雨が近付いているようだったからな、それを少しばかり刺激してやった」
「そんなこともできるんですね」
「それくらいしか……できんさ。夏の暑さももうすぐ終わるだろう。そしたら、日照り終わる」
おとめにとって――人間にとっては、それくらいではない出来事だが、龍神にとって大したことではないのかもしれない。
そう思ったら、疑問が浮かびおとめは龍神に問いかけた。
「他に、何ができるんですか?」
「んぅ……そうだな。水の流れを変えたり、水自体を操ったりもできなくはない。しかし、俺は力が弱いからな」
「こんなに凄いのに?」
「そう言ってくれるのは、おとめだけだな」
そんなはずはない。おとめだけでなく、母のトヨも、ゆきもこうも、村長も龍神を褒め称えていた。
「本当なのに……」
「……おとめ」
口を尖らせていると、艶の乗った声で龍神に呼ばれ、おとめは肩を揺らした。
「――はい」
「抱き締めても、よいか?」
それに頷いて答えると、龍神はおとめを前と同じように背後から抱き締めようとしてきた。
これでは前と同じように翻弄されてしまうと思い、おとめは焦って身体を反転させて龍神と対面するように身体を寄せ膝の上に乗るように座った。
「おとめ?」
「あの! 私に――私に奉仕させて下さい!!」
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