【R18】雨乞い乙女は龍神に身を捧げて愛を得る

麦飯 太郎

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これからは二人で *

 トヨが早朝に英国へ向けて村を出た。
 別れが惜しくなるからと、見送りはさせてもらえなかったが、朝日の気配がするまでおとめは母と抱き合っていた。
 そして、その日の夕方。昼まで寝てしまった寝ぼけ眼と泣き腫らした瞼がようやく落ち着いてきたので、縁側で緋雨と並んで微かに見える夕日が差し込む湖面を見上げていた。

「お母さん、そろそろ帝都に着いたかな?」
「そうだな。朝の汽車で夕刻には着くだろうから、そろそろのはずだ」
「それから、列車を乗り継いで横浜に行くんだよね」
「あそこは大型の船も入れるからな。切符の感じからして、きっと高い旅客船だろう。目立つからすぐに分かるはずだ」

 おとめは立派な紙で作られた切符を取り出した。
 使われることはない、船の名前と思われる英字だけ金色のインクで書かれた豪華な切符。
 横浜発 英国行 その文字の下に、同じように読めない文字が書いてあるので、きっと英語の表記なのだろう。

「これ。読めるようになりたいな」
「英国に興味があるのか?」
「うーん。お父さんが住んでる国だから。でも、今まではなんとなく……迎えに来ない父親 って感じで少し嫌がってたと思うんです。今はそれもないので、興味が出た感じ……うん、やっぱり興味があるのかも」

 ふふふ、と笑うと緋雨は 学ぶと良い とあっさりと許可をした。驚いていると、緋雨はおとめを引き寄せた。

「これから、この国はもっと開かれていくだろう。そしたら必要になる。知識は無駄にはならないからな」
「ありがとうございます」
「…………寂しくは……ないか?」

 その言葉に、後悔は本当にないのかという意味が含まれている……と、緋雨の気持ちが流れてきて察することができた。
 本当に、どこまでも優しい人だ。

「寂しくないといったら嘘になります。でも、緋雨さんがいてくれるでしょう? それにヤエちゃんも、次郎くんも、三国くんも。それに、手紙でゆきちゃんとこうちゃんもやり取りしてるし」
「あの二人だけなら、たまになら会っても構わないだろう」
「え!? 本当に!?」
「年を重ねない姿に恐れなければいいが……」

 それなら二人はきっと大丈夫だ。どちらかいえば、絶対にとおとめは二人を見送ることになる。その時の悲しみの方が心配だけれど、それは何十年も先の話だ。今から憂うことはないだろう。
 そんな気持ちも緋雨に伝わってしまったようで、引き寄せてくれている手に力がこもる。

「あと、そうだな。子を儲けるか」
「へ??」
「嫌か?」
「え!? ちがっ、だって、子供はできないって……」

 確か――贄になって抱かれた時に、中に精を出しても子は成せないと言っていたはずだ。そんな重要なことで、緋雨が嘘をつくとは思えない。
 首を傾げると、緋雨は嬉しそうな笑みを浮かべ唇を寄せた。軽く触れ合うだけの口付けを終え、額を合わせる。
 おとめだけを見つめる美しい瞳に、胸がドキドキと高鳴る。

「今、おとめは俺の妻だろう? 授からないはずがない」

 確信に満ちた瞳が、いたずらっぽく弧を描く。

「今から試してみようか?」
「えっ!? 今!?」
「あぁ、今から。都合良いことに、三匹はもう山へ戻ったし、今日は来ない」

 緋雨はそう言いながら、おとめを向かいあうように膝の上に乗せ着物の袖から手を差し込む。着物を軽くくつろげ、ふっくらした乳房を揉みしだかれると、おとめの身体はヒクンと期待したように疼いた。

「でも、まだ明るい――」
「そうだな。うん、ここでシよう。ほら、見せてくれ」
「あ、んッッ――!!」

 不意に乳首を摘まれ、おとめは甘い声を出す。さらに腰を揺らしてしまうと、ゴリッと既に張り詰めた肉塊二本の存在を感じた。

「もう?」
「おとめに触れればいつだって。ほら、足を開いて跨ってくれ」
「でも……」
「ん?」

 そんなことをしたら、溢れ始めた愛液が流れ出てしまうだろう。まだ乳房を手で包まれただけなのに、おとめの身体はすっかり緋雨に愛される悦びを覚えてしまっているのだ。
 分からないという顔をしている緋雨の耳に、おとめはそっと口を寄せた。

「あ、溢れちゃう……から」

 羞恥に耐えながら伝えたのだが、緋雨はおとめを強く抱き締め はぁ と息を吐いた。

「緋雨さん?」
「……無理だ。無理無理」
 苦しむように首を振り、緋雨はまた息を吐く。
「何が……??」
「愛らしすぎる……」

 そう言うと、緋雨は着物から手を抜いた。そして自らの着物の前を開き、昂り始めたばかりの肉塊を二本露わにする。
 それを軽く握り扱く。

「ほら、俺も同じだ。おとめの乳房に触れただけでこんなにも先走りが溢れているだろう?」
「は、はい――」

 二つの亀頭の先の割れ目から、朝露のように煌めく透明の先走りがぷっくりと溜まっている。緋雨が手で肉塊を扱くと、その先走りは形を変えて亀頭全体が艶かしい光を放った。
 思わず喉を鳴らしてしまったおとめは、自らの着物の裾を持ち上げ、腰を落とす。二つの肉塊の間に身体を落とし、愛液が溢れる蜜口とまだ何も示していない後孔にそれらを押し当てた。

「んッ――」

 ゆっくりと腰を揺らせば、前の雄々しい竿が膨らみ始めた陰核を刺激する。それを求めるように何度も繰り返すと、緋雨は満足そうに口をだらしないく開く。

「おとめが自分からしてくれる時は、俺は情けないほど早く達してしまう」

 それでも、その後に何度も……本当に何度も何度も交わるのだから、気にすることはないと思うのだけれど、きっとそれは男の矜持というものだろう。

「気持良いですか?」
「もちろん。おとめの乳房も愛さないとな」

 緋雨は両手で着物を左右に開き、大きいおとめの乳房を引き出す。帯の上の乗った乳房は、緋雨に早くしゃぶって欲しいと言わんばかりに上向き、乳首はしっかりと勃ってしまっていた。
 両手の指を、おとめに見せつけるように舐めた唾液で絡ませている。その姿が堪らなく淫靡で、おとめは強めに陰核を肉塊に押し付けた。
 緋雨の唾液がたっぷりと絡んだ指がおとめの乳首の先を摘む。

「ンァぁぁぁッ!! あ、あァツ、きもちい、んッ!!」

 ビクビクと腰を揺らし、おとめは軽く絶頂してしまった。しかし、もちろん緋雨はそれで乳首を弄ることをやめたりはしない。

「すっかり乳首で達せるようになったな。ほら、カリカリとするのも好きだろう?」

 親指と中指で摘み、人差し指で迫り出した先端を引っ掻かれる。その光景に目が離せず、おとめは自身の乳首が濃く色を変えて興奮している様子を目の当たりにした。
 視線が離せず、カリカリと愛される乳首。それを感じながら肉塊に蜜口を擦り付け、陰核も押し付けた。時折、陰核に緋雨の下生えが強く絡み、ザリザリッと痺れを与えてくれる。

「あぁっ、アッ、また、イク、イクッ――!!」

 ビクビクと腰を揺らし、再びおとめが達すると同時に、蜜口から大量の愛液が溢れ出た。トロトロと溢れる蜜を、おとめは必死に肉塊に塗りつける。

「かわいい」
「緋雨、さんゥゥ」
「あぁ、おとめ。かわいいよ。もっと達してくれ」

 再び乳首をカリカリと数回弄り、今度は小さな肉塊を扱くかのように乳首を弄る。まだ達しているおとめの身体は、腰が落ちてしまい、肉塊と蜜口がピッタリと密着した。
 熱く脈打つ肉塊と、蜜道の奥で切なく疼く子宮がおとめをさらに絶頂へと押し上げる。

「ンッ――アァァ!! イッて、いってりゅ、あぁッ!! 気持ちいの、いっぱいッ」

 腰を揺らし、うっとりと緋雨を見上げた。すると、緋雨も同じように欲に濡れた瞳でおとめをじっと見つめてくれていた。
 その視線に、おとめはゾクゾクと背筋に初めての痺れを覚えた。

「ん、や。もう、欲しい――挿れるからッ」
「え? おとめ――」

 腰を軽く持ち上げ、おとめは亀頭に蜜口を添え……一気に落とした。

「ん、くぅぅぅぅ――!!」

 下がり切っていた子宮に、緋雨の太く長い肉塊が刺さる。子宮口まで開き、その先をちゅぽちゅぽと自らの身体が淫らに吸い付いているのをおとめは感じた。
 おとめは背を反らし、湖の底の空を見上げて あぁ と情けない声が出た。その口端からはだらしなく唾液が垂れてしまっていたが、今はそれを拭う力すら出ない。
 完全に達してしまい、快楽しか考えられない状態になってしまったおとめを、龍神はそっと身体を引き寄せて頭を肩に乗せてやった。

「無理ばかりする」
「らってぇ……」
「少しだけ休め」

 と、優しく囁いてくれたが、実際は緋雨の方が快楽に耐えていることをおとめは知っている。
 なぜなら、中の肉塊が今にも暴れだしそうにビクンビクンと跳ね回っているからだ。きっと少し腰を揺らせば、亀頭の先から大量の精が飛び出すに違いない。
 その光景を想像し、おとめの身体は素直に反応を示した。 

「こら、締めすぎだ……何か、イヤらしいことでも考えたのか?」
「ん……緋雨さんの、おちんぽから沢山、精液が出て、子宮を犯すの。大好き。欲しいな? ダメですか?」

 夫婦になってからのおとめは、理性の箍が一度外れると淫乱という言葉が似合うくらいに欲望を隠さなくなる。
 そして……卑猥な言葉を躊躇なく囁くようになってしまう。

「んッ、ん――」

 それを知っている緋雨は、口元を歪めた。決して嫌だからではなく、興奮からだ。
 腰を動かし始めたおとめの後孔に入れず、その周りを擦り付けてる短い方の肉塊を緋雨が手で挿入しようと調整した。
 するとおとめはそれを察し、ニコリとわらって緩く前後に腰を動かし緋雨を手伝う。

「挿れたい? 緋雨さん、私に二つとも挿れて、たくさんグチュグチュしたい??」
「あぁ、させてくれないか?」

 おとめは再び笑みを浮かべ、首を傾げる。

「どうしようかなぁ」

 本当は自身も欲しくて堪らないのに、そうやっておとめは緋雨を煽る。

「なら、俺はこれを自分で慰めるか。仕方ないな。欲しくないのだろう?」
「!? やっ、だめ! 緋雨さん」
「なら、オネダリしてくれ」

 おとめが腰を揺らし後孔に肉塊を擦り付け、その動きでおとめの中に埋めた肉塊が浅く出入りしジュポジュポとその境目を泡立てる。

「さっきしましたよ?」
「でも、それは精のことだろう?」
「んぅ……緋雨さん、――のッ、大きいおちんぽ、おしりも挿れて、い? 私の中、全部ッ――緋雨さんで、いっぱいにしたい、ですッ」

 喘ぎ混じりにおとめが伝え終える。すると、緋雨は恍惚とした表情でおとめの顔を両手で包み口付けをしてくれた。

「んッ――、んッぁ――きもひぃ……ッん」
「――はぁ。おとめ、残念なお知らせだ」
「んぁ??」
「おとめが頼みきる前に、もうおとめが全部俺の魔羅を飲み込んでるんだ」
「ふぁ??」

 我慢の効かない身体は、おとめがオネダリをしている最中に勝手に腰が下がり、二つの雄々しい肉塊をズッポリと納めてしまっていたのだ。

「あ、んッ私ッ」
「俺が欲しくて欲しくて堪らなかったんだろうう? ほら、今度は俺からしてやろう。しっかり首に手を回して……掴まれるか?」

 これからされる体勢を想像し、おとめは無意識に蜜道と柔壁が締まる。それを感じた緋雨は、嬉しそうに 期待してくれ と囁いた。
 おとめが、しっかりと腕を回して足も緋雨に巻き付けるように交差させた。――と同時に緋雨がスッと立ち上がる。

「あぁぁぁぁっッ――」

 おとめは自らの体重で緋雨の肉塊が深く深く刺さるのを感じた。そして、同時にこの体勢になる度に思うのだ。

「緋雨さん、――おちんぽ、長くて太くて逞しいから、抱っこで後ろも抜けないのぉ、ひゅごいれす」
「――そ、う思っていたのか」
「あっ、声に」
「出てたぞ? 嬉しい気持ちいいという感情から分かっていたが……嬉しいな。俺がおとめを満足させているんだ」

 お互いの感情は察しても、詳しいことは言葉にしないと伝わらない。普段は少し恥ずかしがるおとめも、快楽で理性を引き留めていたものが飛ぶと溢れるように出てきてしまうのだ。
 ……緋雨は多分、それを知っていて……交わるたびにおとめを絶頂の先へ誘っているのだと思う。

「ひさ、めさん、らけらよぉッ――んッっ」
「それは、当たり前だったな」

 グンッと緋雨が腰を大きく揺らした。そして自重でおとめの身体が落ち、バチュン!! と酷く大きな肌の触れ合う音が響いた。
 そして、その音は連続し何度もおとめの奥を貫く。

「んおっッ――あっ、――っッ!! イグッ、おぐ、じゅご、イッ――ッッ!!」

 ビクンビクンとおとめの身体が跳ねるが、緋雨がしっかりと下から支え、おとめも必死に緋雨にしがみつく。
 密着した身体で顔をあげると、額に汗を流した緋雨が淫靡に微笑んでいる。その汗を拭うように、額に手を伸ばす。
 そのままスッと頭に手を差し込むと、普段は見えていない角に指先が触れた。

「あ――ん? おっき、い?」
「ん? あぁ。おとめの中が良過ぎて、どれだけでも大きくなってしまうな。ほら」

 その言葉で緋雨は腰の動きをさらに激しくさせた。最奥を貫かれたおとめは、潮を噴いて達し身体を震わせる。

「そ、こじゃないのぉ」
「ん? こちらか?」

 中の肉塊の角度を変え、蜜道の弱い部分を亀頭がゴリゴリと擦りあげる。後孔の肉塊も柔壁を広げ、おとめの中の圧迫感と愛欲を満たしていった。

「そ、じゃなっ、――ッアァッ!! ずっろ、出ちゃって――ッッんくっッんッ!!」
「こんなに感じて、潮だって噴いただろう? 一度や二度じゃなく何度も。まだ足りないか? 何が違う??」
「あッ! そ、なかりゃ、なくてッ――」
「ここじゃないのか?」

 グジュッグジュッと酷い愛液の音が止み、緋雨の動きが止まった。そして――。

「なら、ここか」
「――ッッ!!」

 おとめの後孔の奥、曲がる直前の場所を……そして、蜜道の最奥である子宮口を広げ、立派な亀頭が入り込もうとグリグリと押し込められた。

「ンォッ――ッッ!! ――!!!!」

 強過ぎる絶頂に、おとめは身体の力が全て抜けてしまった。そのせいで、最奥だと思った場所から更に奥を二本の亀頭が突き刺さる。

「あ――、クッッ――!!」
「あっ、らめっ、出すのッ――ッ!! ンンンッ!!」

 絶頂直後に緋雨が精を吐き出し、熱い飛沫におとめはまた絶頂をしてしまう。
 チョロチョロと勢いのない潮が溢れ続け、緋雨の太ももと着物をぐっしょりと濡らしていった。

「あぁ、可愛いから、うっかり出してしまった」

 吐き出した精を塗りつけるように、緋雨が腰を回す。まるで、独占欲を示す動物の雄のような行為に、おとめは自身が緋雨のものだと自覚させられている気分になる。それは決して嫌ではない。

「もっろ、緋雨さんの、って印つけてぇ?」
「そうだな。こんなのでは足りないな」

 回していた腰が、再び前後に動き出す。すっかり絶頂しきっているおとめの身体は、落ち着くことなく更なる高い場所を目指すようにガクガクと震える。

「んぁ!! ンぐッ!! んんんッ――!! ひしゃ、めさ――の、お――ちんぽが奥ッ!! おぐゥ!!」
「凄いな。どれだけ俺の魔羅が大きくなってもおとめは飲み込んで嬉しそうに絞り取ろうとする……。もしかしたら、龍の姿でも魔羅が入るようになるかもしれないぞ?」

 それは、身体が裂けると思う。と思ったおとめだが、本来の龍の姿の緋雨も好きだし……何よりその魔羅も興味がないわけじゃない。

「なんだ? 想像したか? 魔羅をキュウキュウと包んでいるぞ?」
「ンッ、ぁァツ――!! そ。中、大きいの――」
「そうだな。流石におとめに傷はつけたくない」

 快楽を沢山与えたいな。と言って緋雨は腰を前後に揺らしながら一回大きく回した。

「ンァぁぁっぁ――!! アッ、ら、から、龍のぉ、おちん、ぽにゃめ――るッ!! イグ、イグっ!!」

 肉塊が蜜道と柔壁を擦り合わせるように蠢き、亀頭がゴリゴリと動き、おとめはまた絶頂をする。
 だが、緋雨は止まらない。

「ははッ――! 舐めてくれるのか? 龍の姿で魔羅は大きく、人とは違う形だぞ?」
「い――いのぉ、ひぁッ! あ゛ぁ!! ど、ん、ひしゃめさ、らから、へいぎぃ――!! しゅき、しゅき、らめ、またイぐ!! ひしゃめさ――イグゥゥゥ!!」
「――嬉しいな。では今度本当に見てもらうからな?」

 おとめの言葉に興奮したようで、緋雨は腰をしっかりと掴みなおし押し付けるように肉塊を奥まで挿し込む。
 目の前で光が弾けたおとめは、緋雨にしがみつき、首筋に頭を埋める。

「アァァぁっァツ!! らめらめらめ!! くる、きちゃ、イクゥっ!! またきちゃう――イクの、イ、くうゥゥぅっ!!」
「何度達しても良い。おとめが良いと俺も嬉しいからな。俺の……俺だけのおとめ」

 くったりの身体の力を抜いたおとめは、荒い呼吸を整えようとはーはーと息を吐く。そんなおとめの頭に緋雨は何度も口付けを落とした。
 ようやく落ち着き、おとめは顔を挙げずに頬を擦り付ける。

「ぐちゃぐちゃです……お風呂、入りたい」
「またすぐにぐちゃぐちゃになるのに――か?」
「――!! もう!! 休憩します!!」
「シてはくれるのか」

 嬉しそうにくっくっと笑った緋雨は、こんなことではすぐに子を成せるなと呟いた。その言葉におとめはゆっくりと顔を上げる。

「緋雨さん」
「ん? どうした?」
「あの、子のことですけど……」

 おとめは少し躊躇ったけれど、今から長い時間を二人で過ごすのだと思い、しっかりと緋雨の瞳をみつめた。

「なんだ?」
「子はもう少し先でも……いいですか?」
「子が嫌いか?」
「違います!! その、緋雨さんの子は欲しいです。……でも」
「でも??」
「でも、もう少し二人でもいいかなって……新婚だし? 私だけの緋雨さんを……もうちょっとだけ独り占めしたいな……って、ダメですか?」

 おとめの言葉に緋雨は天を仰ぐ。ダメだったかと心配になったが、緋雨が喜んでいる気持ちが心に流れ込んできた。そんな気持ちが嬉しくなり、おとめは緋雨の首筋に唇を寄せた。

「ダメ??」

 緋雨の気持ちを知っていて、もう一度問いかける。
 すると緋雨は、チラリと視線をおとめに向けてまた天を仰いだ。

「可愛いな……」
「ん?」
「俺の嫁が……妻が……いや、奥さん……おとめが可愛過ぎて無理だ。――そうだな。俺もまだおとめを独り占めしたい。赤子に時間を取られても穏やかでいられるくらい、今はおとめを独占しよう。俺だけのおとめだ」

 ブツブツと独り言を呟いているが、その内容におとめは もしかしたら、子を成せるのは数十年後では? と一抹の不安が過ぎる。
 だが、まぁ、それでもいいかと思い、再び緋雨の肩に頭を乗せた。

「沢山愛してください。旦那様」
「――分かった。今すぐに沢山愛してやろう」

 腰を揺らし始めた緋雨に、おとめは驚いて顔を上げる。

「え!? そういうことじゃ――ッッあぁっ!!」

 再び睦みあいが始まり、おとめがすっかり疲れきるまで……何日も美しい湖の底は艶かしい二人の愛で溢れていた。
 そんな湖のある山には、龍神と龍神が愛する美しい女神の物語りが後世にまで語り継がれていくことを、二人は全く気付いていなかったのだった。
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