その恋、魔ちがってませんか?~魔女DK、後輩の恋占いに巻き込まれています!

ヤマ

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11.汚れた大人

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 厳ついイケメン男子高生は、恋魔女の庵に入った瞬間、ガタっと扉に背中を打ちつけた。

 分かるぞその反応。

「上司の方針転換により、本日より恋黒猫の庵になりました」

 会釈して首がもげそうになり、声もくぐもった。

 なぜなら俺は今、黒猫の着ぐるみを着ているのだ。

 扉を開けた途端、どでかい金目の黒猫がニヒルな笑みを浮かべ座っていたのだから、安倍でなくとも驚愕する。

「あ、あー……いろいろ大変なんですね」

 安倍はまだ動揺しながらも席に着き、理不尽な社会の犠牲になった――と安倍は思っている――俺を慮った。

 良い子。

 なぜ着ぐるみかといえばもちろん安倍に正体がばれないようにするためだ。

 なぜ黒猫かといえば、姉がマスコットキャラにしようと発注したが、バカップルの片割れの青井が君というアイドルがいるのにマスコットがいるの? と宣ったため、蔵に放置されていたものを再利用したのだ。

 きちんと姉には相談し、安倍の番だけ装着可能という条件付きで許可をもらうことができた。

 甲高い声を出し続けたせいで喉が限界を突破しようとしていたので助かった。

 安倍の予約は断っても良いと姉には珍しく譲歩してくれたのだが、恋の行く末がとてつもなく気になってしまったのだ。
 
 男前の真っ黒の瞳が俺をじっと見つめてくる。

 向こうからすればイラつく顔の黒猫と目線が合うような合わないような感じなのだろうが、俺としてはばっちり目が合っているので、なんだかどぎまぎしてしまう。

「前回の占いはどうでしたか?」

 平静を装い安倍の注意をそらす。

 弁当を食べた後、さっさと立ち去ろうとした俺をなぜか安倍が引き留め、昼休み中裏門で過ごすことになった。

 こんなハイスペックでも恋の相手には尻込みするのか、とほほえましい気持ちになり保護者のつもりで付き添った。

 だが結局誰も現れなかった。

 放課後こそ邪魔せずに帰ろうと思っていたのに、鞄を持ち上げ教室を出た途端、待ち構えていた安倍につかまった。

 人妻は? 裏門は? とは聞けず、結局いつも通り一緒に帰ることになったのだ。

 俺の問いに安倍は少し照れくさそうに目を眇めた。

「少しはこっちを見てくれた気がします。これからも頑張ろうと思います」

 まぶしい! 
 
 べしん、と猫の手で猫の目を思いっきり押さえる。
 めこ、と顔がへこんだ。

「何してるんですか?」

「目がぁ目がぁ……いえ何でもないです」

 そんなまっすぐな目で俺を見ないで。

 安倍の外見から、女子を食いちらかしている外道と勝手に判断していた俺の薄汚れた心が際立ってしまう。
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