その恋、魔ちがってませんか?~魔女DK、後輩の恋占いに巻き込まれています!

ヤマ

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10.とばっちりおじいちゃん

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 育ち盛り二人にはどう考えても足りない量を分けつつ、いろいろな話をした。

 弁当のおかずから五組の担任教師へ移り、彼の趣味へと広がった。

 笑顔を目撃したせいか、いつもより話しやすかった。
 安倍も俺に弁当という負い目があるからか会話を続けようとしているようで、言葉が途切れない。

 最初の監視する云々を除けば、安倍は基本的に礼儀正しい。
 箸の持ち方や食べ方もきれいだ。

 そして意外と人懐っこい。

 顔が整っている分、デフォルトの真顔が強面になってしまうんだなと気が付いた。

 俺が笑うと向こうも嬉しそうな顔をするので、気分がよくなってもっと笑ってしまう。

「そういや気になってたんだけどさ、ダウジングする棒、毎日持ってんの?」
「ダウジング用のスマホアプリを見つけたので部室に置いてあります」
「スマホの進化が止まらない……」

 ダウジング肯定派はそれで良いのだろうか。

 良く知らないが、原理そのものを根底から否定している気もする。
 微妙な顔をしている俺に安倍は意味深に笑った。

「一番見つけたかったものは見つかったので、もう良いんです」
「へー、温泉でも発見し……」

 茶化そうとして失敗した。

 もう安倍は笑っておらず、なぜか俺を見ている。

 怒ったような困ったような顔をして。

「あ、あー、最後の一個だ」

 動揺を隠すようにに残っていたいちごを半分に割る。

 片割れを安倍にあげてもう片方を自分の口に入れた。

 むぐむぐと赤い果実を咀嚼しながら、欅の向こうを盗み見る。

 人妻の影はない。
 今のうちに俺が消えれば――。

「いちご付いてますよ」

 振り返った俺に、安倍が笑いながら手を伸ばしてきた。

 大きく、長い指が口もとに触れる。

「っ、」

 高い体温が頬に伝わった。

 安倍の顔がすぐ近くに見える。

 左胸が跳ねた。

 口元などとっくにぬぐい終わっているはずなのに安倍は動かない。
 黒いきれいな瞳がまっすぐ俺に突き刺さる。

 頬がじわじわと熱を持っていくのが分かった。

「近いんだけど……」
「すみません」

 眉根を寄せて訴えると安倍はゆっくりと離れた。

 何故か彼は酷く嬉しそうに目を眇めている。

 美形のアップのせいで過活動になった心臓は、ずっとどくどく言っていた。

  過活動なのはおじいちゃんの膀胱だけで十分だ。
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