その恋、魔ちがってませんか?~魔女DK、後輩の恋占いに巻き込まれています!

ヤマ

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18. 狩猟民族

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「……NOですね」
「そうですか」

 安倍はまたふーっと息を吐いた。

 ろくな言葉をかけられる気もしないので俺はそそくさとタロットを片付けた。
 猫の手がもふもふしていてやりにくい。
 自分で選んだ道だが。

「この間よりカードを引くのに時間がかかった気がしますが、何か意味はあるんですか」

 自宅の蔵から大事なペンが見つかった安倍は、今では完全に怪しいニヒルな黒猫を信じたらしく、戦友ともいうべき目で見つめてくる。

 商売としてはやりやすいが、お兄ちゃんちょっと心配。

 そういえば確かに反応は遅かったな、とタロット束の一番上にあるカードを見やった。

 今安倍の前に置いてあるカードの前に、俺の手に触れようとしてきた輩だ。
 めくってみるとYESを意味する太陽のカードが現れた。
 暑苦しい感じの褐色イケメンが白い歯を輝かせている。

「……相手の心に迷いがあるということかと思います」
「YESとNOの間で揺れてるってことですか?」

 俺は察しの良い安倍に頷きながら己の手を見る。

 そうか、この手がいつかYESのカードを引くかもしれないのか。

 当たり前だがそうなるようにもっていくのが俺の仕事であり、実際他の客には何度もYESを引いている。

 何故かすっきりしない気持ちでピンクの肉球をもにもにしていると、腹をくくったような声が聞こえた。

「そろそろ勝負を仕掛けたいんです」
「勝負ですか。良いかもしれませんね」

 確かに畳みかけるなら揺れている今がチャンスだ。
 捕食者の目になった男子高生に若干しり込みしながらも同意する。

 しかしこの決然とした態度。
 もしやついに旦那さんに殴り込みに――。

「告白します」

 違った。

 俺はとりあえず昼ドラを見るのを少し控えよう。
 ワクワクして前のめりになっていた体勢を戻す。

「しかし揺れているとは言え、今のままではNOだと思いますよ」

 度胸あるなと何度目になるかわからない感想を抱く。

 客層に奥手な女性が多いというのもあり、完全にYESと出てからであっても告白に踏み切れる人はそう多くはない。

 まあYESと出ていたらたいていは男性側が何かを仕掛けてくるので丸く収まるのだが。

「それでも良いんです。はっきり伝えてじゃないと先がないんです。近づきたくて導入で付きまとう口実を作ってしまったせいもあるんですが、本当に! 全く! 気が付かれていないんです。その人の親友にはばれてるのに……」

 安倍は苦悶の表情を浮かべて机に置いた手を握りしめた。

「面倒くさ……鈍感な方なんですね」

 そんなハーレムラノベの鈍感系主人公なんぞ、現実にいたらろくなもんじゃないのでは? とのどまで出かかったがぐっとこらえる。
 最初の占いで安倍が幸せになると結果が出たではないか。
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