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七海の個展、結婚式、ハネムーン編
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「ハッピーバレンタイン♡♡♡」
今年も蓮のリクエストに答えて手作りチョコをプレゼントした♡♡♡
「ありがとう~~♡♡♡ めっちゃ嬉しい~~♡♡♡」
流石に結婚してから二度目のバレンタインだから、日持ちしないケーキでも良いだろうとママと作ったブッシュドノエルを渡した。
「……いつものお菓子は……?」
「ええっ!?やっぱり日持ちするお菓子じゃなきゃダメ?」
上目遣いでウルウルする蓮に根負けした私は、念の為用意していた材料を使ってフロランタンを作った。
「わ~~い♡♡ ありがとう南~~♡♡♡」
バレンタインチョコは少しずつゆっくり食べたい蓮は、今年もフロランタンを味わって食べていた♡♡♡
「来てくれてありがと~~♡♡♡」
夏の女子旅でも訪れた海沿いの温泉街で、七海の個展がカフェ併設のギャラリーで開催された。壁面には絵画が、棚には挿絵を担当した絵本やポストカードが飾られていて、七海らしい暖かくお洒落なギャラリーになっていた♡♡♡
個展開催中もカフェのオーナーが飲食を提供してくださり、レトロなグラスのクリームソーダをいただいた。
「やあ、個展開催おめでとうございます♪」
「彰人さんっ!?♡♡♡ 来ていただいてありがとうございます♡♡♡」
オーナーと談笑していたら、商店街の仕事でコラボした壁面アーティスト、AKITOがギャラリーを訪れた。AKITOは七海に大きな花束を渡し、展示品を興味深そうに眺めていた。
「まぁまぁAKITOさんにお越しいただけるなんて~~♡♡♡」
AKITOが来ていると聞いて奥から出てきた森川君のお母さんは、挨拶をしながら目をハートにしていた。
「先日は七海がお世話になりました」
AKITOと挨拶を交わす森川君がやけに落ち着いていて、私と蓮は思わず顔を見合わせた。
「AKITOさんには溺愛する恋人がいるからな」
AKITOさんが帰った後、森川君は私たちにそう言った。なるほど、どおりで露骨に嫉妬しない訳だ。
「AKITOさんに溺愛される恋人ってどんな人なんだろう?♡♡♡」
「エコビレッジで一緒に暮らしてるらしいんだけど、村から殆ど出ないそうなんだ~~……」
恋人とは七海や森川君も会ったことは無いそうだ。お喋りしながらギャラリーを見学して、帰りに七海からカヌレのお土産を貰った。
「山盛りやぁ~~♡♡♡」
ギャラリーを出て、商店街の中にある食堂に入り、海鮮が丼の上に山盛りになったてっぺん丼とアジフライ定食を半分こして食べた。名物のプリンや抹茶のクレープを食べ歩きした後は、縁結びで有名な神社に向かった。
「眺め良いね~~♡♡♡」
「絶景だね~~♡♡♡」
階段を登り切って振り返ると、街と海を一望出来た。
「猫ちゃん可愛いねぇ~~♡♡♡」
境内にいる猫と遊びながら参道を進み、紅白の龍がいる手水社で清めた。本殿や縁結びの神様のお社でお参りをして、御利益があるという腰掛け石に二人で座った。
車は坂道の多い道路を走り、本日宿泊のお宿に辿り着いた。
エントランスからエレベーターで8階まで登り、海が一望出来るロビーでチェックインをした。ビーチを眺めながらウェルカムドリンクをいただき、ロビーラウンジを見て回った後、客室に案内された。
客室露天風呂付きの洋室にはツインベッドとソファー、オーシャンビューのバルコニーにはアウトドアチェアと露天風呂があった。部屋着に着替えてゲストラウンジに行き、ドリンクと軽食をいただいた。
「テラスが心地良過ぎる……♡♡♡」
「足湯も気持ちいいしね~~♡♡♡」
今やある程度の高級宿ではマジックボックス完備が常識になりつつあり、まだまだ寒い季節のテラスを快適に過ごすことが出来た♡♡♡ こちらのお宿も、各階に設置したマジックボックスで温度設定をして、細かい調整はお客さん側がエアコンでするという感じで運用している。
寄り添って足湯に浸かり、暫くゆっくりしてからそれぞれ大浴場に向かった。
モダンな内風呂とインフィニティ露天風呂があり、サウナや水風呂も完備していた。お風呂上がりにもう一箇所のラウンジで休憩して、部屋でイチャイチャしていたら夕食の時間になった。
「鮑うめぇ~~♡♡♡」
「お造りがアフタヌーンティーみたい♡♡♡」
館内のレストランで季節の創作和懐石をいただき、繊細な味付けに舌鼓を打った。味だけでなく芸術的な盛り付けを楽しむことも出来て、心まで満たされるお料理だった♡♡♡
「今年はまだまだ寒いね~~……」
快適な気温のバルコニーで、スパークリングワインをいただきながら夜の海を眺めた。
「去年に比べて明らかに季節の進みが遅いよね……こっちが正常なのかも」
ママが少し前に「子供の頃の気候に戻ってきたような気がする」と言っていた。フリーエネルギー普及の影響なら喜ばしいことだと思う。某環境保護団体はフリーエネルギーの普及で地球温暖化がどうとかと難癖を付けてきたけど、実際早くも温暖化に歯止めがかかりつつある。
主要先進国で同時多発的に起こったフリーエネルギーのムーブメントも世界中に広まり、資源による外交格差は無くなりつつある。一部の技術者とエコビレッジの村長から始まった一連の出来事は、今はまだ過渡期ではあるけど、確実に世界をいい方向に導いているような気がした。
「パネルの撤去作業も進んでるし、これからはまた緑が増えるよね……」
設置から十年以上経つパネルに重税が課されたことで撤去する事業者が増え、新規の設置には厳しい規制が設けられた為メガソーラーと言われる事業は衰退した。そもそもフリーエネルギーが普及しつつある今、不安定な電力しか生み出さない物を新たに設置する業者もおらず、すっかり負の遺産扱いになっている。
先日ようやくスパイ防止法が制定され、女性総理や保守政党が法案を通しやすくなったとコメントしていた。
「うん、緑も所得も手当も増えるよ♡♡♡ だから安心して子作りしようね♡♡♡」
蓮は私の手を取り、頬を染めてそう言った。相川君に取り継いで貰ったリゾートホテルは既に予約いっぱいで、春の挙式は無理だと言われた。しかし今はどこの結婚式場でもマジックボックスを設置している為、真夏や真冬のガーデンウエディング希望が増えているという。そんな訳で私たちは、7月末に式場と部屋の予約を入れたのだ♡♡♡
「式も子作りも楽しみだな~~♡♡♡」
「今夜は子作りの練習しよ~~♡♡♡」
「今夜も、ね♡♡♡」
ベッドで盛り上がった私たちは、事後のお風呂でも再び盛り上がり、寄り添いながら眠りについた♡♡♡
「朝日キレ~~……」
起きてすぐに大浴場に行き、登る朝日をボーッと眺めた。風呂上がりにラウンジでデトックスウォーターをいただき、偶には一人で過ごすのも楽しいな、などと思いつつ部屋に帰ると、大いに拗ねていらっしゃる様子の蓮がベッドの上でフテ寝していた。
「お米うまぁ~~♡♡♡」
「干物も肉厚で美味いよ♡♡♡」
朝食に釜炊きのご飯と地元素材のおかずをいただき、食後は部屋とラウンジでゆっくりしてからチェックアウトした。
「カモメ可愛い~~♡♡♡」
「人慣れしてるんだね~~♡♡♡」
ホテルを出た私たちは、フェリーに乗って近くの離島に行った。縁結びの神社にお参りをして、アスレチックの施設に向かった。
「結構高い!!怖い怖い!!」
「あははw 大丈夫だよ♡♡♡」
自然の中にあるアスレチック施設は難易度の違う二種類のステージがあり、難易度の高いステージでは体力も運動神経もしっかり削られた……。
「景色良いねぇ~~……♡♡♡」
「天気も良いしね~~……♡♡♡」
近くには登れる灯台があり、海や対岸の景色を一望出来た。温泉街の奥には国内一の山が微かに見え、海風は冷たいけどずっと眺めていたい景色だった。
「なめろううまぁ~~♡♡♡」
「かき揚げも美味い~~♡♡♡」
港の近くにある海鮮レストランで、アジやイカの刺身、カサゴの唐揚げなどをいただき、海鮮天国を堪能した。
ブランコや空に続くドアなどのフォトスポットで撮影しつつ島内を散策し、リゾートホテル内にあるカフェでフルーツソーダをいただいた。
「あったかいね~~♡♡♡」
建物とテラス席の空調が整えられていて、散策で冷えた身体にはありがたかった。
フェリーで温泉街に戻り、近くの温浴施設に向かった。海を一望出来る広いインフィニティ露天風呂がある大浴場を堪能した後館内着に着替え、ラウンジで蓮と合流した。岩盤浴で温活した後は鳥の巣のような寝転びソファーで雑誌を見ながらゴロゴロした。
「しらすのピザ美味しい~~♡♡♡」
ピザとミートグリルを分け合って食べていたら、いつの間にか窓の外は夜景に変わっていた。食後は岩盤浴やラウンジでゆっくりして、再び大浴場で汗を流してから施設を出た。
「夜だから帰り道空いてるね~~」
家までの二時間弱、車の中で大学のことや衣装合わせのことを話した。GWに前撮り、夏にリゾート挙式を予定している私たち。春休みには七海と森川君の結婚式もあり、おめでたいイベントが続く喜びに浮き足だっていたのだった♡♡♡
ーーーーーーー
今年のバレンタインも、南の手作り菓子を貰ってハッピー×∞だ♡♡♡ 結婚式の準備も順調に進んでいて、春休みの衣装合わせが既に楽しみである♡♡♡
「はい、ホワイトデーのプレゼント♡♡♡」
「えっ!?コレって……」
お祭りの前日に百合子さんのストーンショップで見つけた可愛らしいネックレスを渡した。青白い光が浮かび上がる乳白色の石が使われていて、一目で南にピッタリだと思い、こっそり取り置きして貰っていたのだ。
「南、あの時気に入ったけど買わなかったでしょ?」
「うん……結構いいお値段してたから……」
ケースを開けて中身を確認した南は、ネックレスを見るなり目を丸くしてこちらを見つめた♡♡♡
「嬉しい……ありがとう♡♡♡」
ネックレスを身に付けた南は女神様のように美しくて、やっぱり取り置きしておいて良かったと心から思ったのだった♡♡♡
「ゔわぁぁ~~可愛い可愛い可愛いッッ!!♡♡♡ 世界一綺麗な花嫁さんだよぉぉ~~~ッッ!!♡♡♡♡」
「やっぱり南にはAラインのドレスが似合うわねぇ~~♡♡♡」
「ねぇねぇ次このドレス着てみてよ♡♡♡」
「蓮!ママ!選べる衣装は二着だけだからね!?」
どこかお疲れ気味の南がそう叫んでいたけど、着せたいドレスが次々と目について止まらない♡♡♡ それは母さんも同じのようで、ウッキウキでドレスを選んでいた♡♡♡
「あ゛あぁぁカラードレスは何色が良いかな?♡♡♡ 俺的にはピンクが良いんだけど、ブルーも似合いそうだよね♡♡♡」
コーディネーターさんが南の肌色にはブルー系が似合うと言っていたけど、俺と母さんが選んだ色んな色のドレスを合わせた♡♡♡
「あれだけ試着しても決まらんってどーゆーこと!?」
「だって渾身の一着を選びたいじゃん♡♡♡」
俺の衣装は南のドレスが決まってからサクッと選べば良いとして、南に着せたいドレスが多過ぎて決まらず、次回の打ち合わせに持ち越しとなった。それも全て、何を着せても世界一綺麗な南のせいだ♡♡♡
春休み最終週の大安吉日、旧邸宅をリノベーションした結婚式場に招待された。南は何年か前に俺と母さんが選んだピンクのカクテルドレスを着ていて、やっぱりピンクもよく似合うなぁ~~♡♡♡と思いながらニヤニヤしていた♡♡♡
「思ってたよりめっちゃ広くない!?」
「プランナー育成の施設じゃなかったっけ??」
どうやら秋頃に本格的に結婚式場としてオープンするらしく、それまではプレオープンとして新人スタッフで運営する方向らしい。神前挙式もチャペル挙式も備えており、広いテラス会場や日本庭園、モダンなブライダルサロンでは集まった招待客が談笑していた。親族婚と聞いていたけど明らかにお家のお仕事絡みの人たちもいて、大病院の跡取り様となった森川と七海ちゃんの苦労が偲ばれた。
「お久しぶりです~~♡♡♡」
「天音君♡♡ 合格おめでと~~♡♡♡」
志望校に無事合格した天音君とフリースクールへの就職が決まっている司君が到着し、しばらく経って椿と相川、亜耶とRYOがサロンに到着した。
「見て見て♡♡♡ 僕たちの結婚指輪♡♡♡」
「わぁ~~……彫が細かい♡♡♡ さすがSYOさんだね~~♡♡♡」
俺たちの結婚指輪も作ってくれたジュエリーデザイナーのSYOさん渾身の作らしい。指輪に嵌め込まれた宝石が、椿と相川の左手薬指で輝きを放っていた。俺たちも折を見て貴金属で作って貰おう♡♡♡
「七海キレイ~~♡♡♡」
「森川ガッチガチなんだけどw 」
式場に案内されて順番に腰掛け待機していると、紋付袴の森川と色打掛けの七海ちゃんが式場に入ってきた。神職による祓詞が奏上され、盃を交わし、指輪の交換をして、森川が誓いの言葉を奏上した。
式が終わり、中庭で集合写真を撮った後再びウエディングサロンに案内された。その後スタッフさんの呼びかけで、中庭に隣接した披露宴会場に案内された。マジックボックスが普及したおかげで季節問わず屋外スペースを有効活用出来るようになり、開け放たれた扉の奥、中庭のデッキには七海ちゃんが描いたアート作品が飾られていた。周りの空間には例のプロジェクターが使われているのか、空を錦鯉が泳いでいた。錦鯉のデザインも七海ちゃんが行ったらしい。招待客も会場や屋外に映し出される映像やアート作品をウットリと眺めていて、さすが七海さんねという称賛の声が聞こえてきた。
中庭からタキシードに着替えた森川とウェディングドレスに着替えた七海ちゃんが歩いてきた。七海ちゃんはレースをふんだんにあしらったプリンセスラインのドレスを着ていて、いつもはお団子で纏めている髪は綺麗に巻かれてハーフアップになっていた。
「うわぁぁ~~♡♡ 七海キレイ~~♡♡♡」
「ああいうドレスも良いな……♡♡♡」
既に感極まった様子の森川を七海ちゃんが宥め、二人が席に着いたと同時にノンアルコールシャンパンが注がれた。病院の大株主であり、こちらの式場のオーナーでもある男性の音頭で乾杯すると、順番に料理が運ばれてきた。
「意外!!美味しい!!」
「流石に料理人は新人スタッフじゃねぇだろ」
和モダンフレンチのコースをいただいている間にプロフィールムービーが流れ、小さい頃の二人の写真から旅先で撮った写真、二人や両家両親のコメントなどが流れた。
「ゔぅぅ~~……七海……」
「馴れ初めのところだいぶ端折ったなw 」
「そらストーカーに付き添って~~なんて言えんだろw 」
「……ちょっとよく聞こえないなぁ~~」
南が感動して泣いている横で、椿と亜耶が軽口を言い合っていた。思えば色々あったな……と感慨深い気持ちになりながらムービーを鑑賞した後は、新郎友人代表の相川と、新婦友人代表の南がそれぞれ祝辞を述べた。森川の友人たちが品定めするような目で南を見ていたのは腹立たしかったが、祝いの席なのでグッと堪えた。椿がピアノの前に座って亜耶とオリジナルのウエディングソングを歌い、相川とRYOも静かに殺気立っていたけど、新郎新婦のリクエストだから俺と同様グッと堪えていた。そう言えば中学の時に二人からラブソングを歌って貰ったカップルは幸せになれるとかいう噂があったな。
二人がいったん中座してお色直しに向かった後、七海ちゃんの大学の友人らしき三人と森川の友人らしき四人が此方の席に来た。
「ギャァァーーーーッッ!!椿ちゃんに触るなッッ!!」
祝いの席だからとみんなが堪えて愛想笑いしていたのに、スピーチの時は完璧貴公子だった筈の相川が真っ先に発狂した。ユー◯ューバーでもある亜耶とRYOは、ファンだという七海ちゃんの友人たちと記念撮影していて、人気商売も大変だと思いながら見ていた。
「意外だな……」
「七海、攻めたね……」
夜空を思わせる濃い紫にシルバーのストーンが散りばめられたカラードレスは、いつもの優しげな七海ちゃんのイメージとは違って、すごく大人っぽく、色っぽく見えた。おそらくお義母さんセレクトだろう。嫁の魅力は誰よりも分かってますと言いたげな義母さんを微笑ましく思いながら、二人に拍手を送った。
新郎新婦の手紙朗読が始まり、二人は両家両親への感謝を述べた。会場中が感動に包まれ、手紙も締めに入った頃……
「最後に私たちから、森川家のお義父さんお義母さんに伝えたいことがあります。実は今日、お二人に会わせたい人がいるのです。昭一お義兄さん、どうぞお入りください!」
七海ちゃんがそう言うと会場の扉が開き、そこには出奔したはずの森川のお兄さんが立っていた。
「昭一!!?」
「あなた一体今までどこに!?」
昭一さんは会場に向かって頭を下げると、ご両親に歩み寄った。
「俺、家を出てからずっとエイユウさんの村にお世話になってたんだ。でもAKITOの繋がりで七海ちゃんと昭二に再会して……話を聞いて驚いたよ。まさか二人がちゃんと子供の話を聞ける人になってたなんて……」
ご両親のエピソードは時々森川の愚痴で聞いていた。七海ちゃんの絵が切っ掛けで和解して、無事結婚の運びになった訳だけど、一時期は七海ちゃんが結婚を渋るほどだったのだ。
「俺も諦めずにもっと対話すれば良かったって、英雄さんたちと村で暮らしてて痛感したんだ。俺には経営の才能は無い。それでもやっぱり俺は、医療で人を助ける仕事がしたいよ」
昭一さんの言葉にお義母さんは泣き崩れ、お義父さんも静かに涙を流していた。会場は割れんばかりの拍手に包まれ、その後の両家の父親の挨拶はグダグダだったけど、みんなは温かい目で見守っていた。
「一番美味しい所をお兄さんに持って行かれちまったなw 」
見送りの際椿が二人にそう言うと、二人は満遍の笑みを浮かべて「これでいいのだ♡」と言った。
「自分でも早く結婚式しなきゃ~~って焦ってたのが不思議だったんだけど、AKITOさんとの打ち合わせでエイユウさんの村に行った時お義兄さんに会って、そういうことかーーって腑に落ちたんだよね♪」
七海ちゃんが結婚式を挙げたかったのはお義兄さんのためだったという。出来た嫁に感動している森川は、泣き過ぎて目が腫れていた。
「ずっと式の準備と個展の準備で忙しかったから、ハネムーンはゆっくりダラダラするんだ~~♡♡♡」
二人は今夜から一週間ほど、新婚旅行に出掛ける。南の島の水上コテージに宿泊するそうだ。
「相川が口利きしてくれて、破格で予約してくれたんだ♡♡♡」
「よっっ!!ATM!!」
「一番使って欲しい椿ちゃんはあんまり使ってくれないよね……」
「バカヤロォ!!私だってそれなりに稼いでるんだよ!!」
ワチャワチャしながら引き出物をいただき、近くの駐車場に停めていた車に乗った。他のみんなもそれぞれ車で来ているそうだ。
車で空港まで移動して、相川の一族が経営しているホテルのラウンジで見送りまでの時間を過ごした。
「北の列島は見事な火山がいっぱいあるんだぜ~~☆」
「流氷も凄くってね~~……」
亜耶とRYOの旅での話を聞きながら軽食を摘んでいたら、式を終えた七海ちゃんと森川がやって来た。
「本日の主役ご登場~~!!」
「感動の演出でしたよ♡♡♡」
みんなでお喋りしているうちに、出国の時間が迫ってきた。出国ゲートで二人を見送った後、ホテルのレストランでディナーをした。亜耶たちは暫くこっちにいるそうだけど、椿たちは蜻蛉返りするそうだ。
「まあ言っても来月から夏休みが始まるんだが」
「あ、そっか!もうそんな時期なんだ。私たちが二年になったばっかなのに二人は夏休みが終わったら三年になるんだね~~」
「半年早く入学してるからな」
夕食後、それぞれ家路に着き、引き出物を確認した。カタログギフトと共に入っていた手作りクッキーにはメッセージカードが差し込まれていて、二人の似顔絵にも見える顔が描かれていた。金太郎飴みたいな作り方をしたのだろうか。だとしたらすごい技術だ。
ソファーに腰掛け、南とカタログを眺めながら、二人の末永い幸せを願ったのだった。
ーーーーーーー
「海青ーーい!!♡♡♡」
飛行機とボートを乗り継いで、現地時間のお昼頃に辿り着いた南の島の水上コテージ。幼い頃から憧れ続けた南半球のビーチリゾートである♡♡♡
ウェルカムドリンクをいただきながらホテルの説明を受け、案内された番号のコテージに向かった。
オープンしたばかりの水上コテージは40平米ほどの部屋の中にキングサイズのベッド、ソファー、バスタブ、パウダールーム、ミニバーがあり、奥にクローゼット、トイレ、シャワールームがある。バルコニーの手前の床はガラスパネルになっていて、海の中が透けて見えた。天井はピラミッド型になっていて、背の高い昭二君も開放感があると喜んでいた。バルコニーに出ると正面に海水プールがあり、ラウンジチェアとダイニングセットも完備である。プールの横には海に降りる梯子があって、いつでも海水浴が出来る。部屋からは島の中心に聳え立つ山を眺めることが出来、あまりの景色の美しさに眩暈がしそうだった。
「早速泳ごう!!♡♡♡」
「え?まだ荷解きが……うわッッ!!?」
戸惑う昭二君の腕を引っ張り、海に飛び込んだ♡♡♡
「キャーーッッ♡♡♡ サイッコーー!!♡♡♡」
「七海ぃぃ~~……」
服を着たまま海に引き摺り込まれた昭二君は不満の声をあげていたけど、なんだかんだで楽しそうだ♡♡♡ 透明な海で泳いだ後、軽食をとるべくレストランに向かった。
砂浜を歩いて案内されたテーブルに腰掛け、ハンバーガーとピザを注文した。注文は全て昭二君がしてくれて、私は横で笑っているだけで良かった。私も一応喋れるけど、昭二君の堪能な語学力に惚れ直してしまったのだった♡♡♡
食後は敷地内にある自転車に乗って、近場を見て回った。心地良い風を感じながら、ビーチの間にある舗装された道を走った。
サイクリングの後はインストラクターさんに着いてもらい、スタンドアップパドルボードのアクティビティを楽しんだ。運動神経抜群の昭二君は簡単にボードの上に立っていたけど、私は何度か海に放り出されてしまった。
「いいなぁ昭二君は……運動神経良くて……」
「七海だって最後の方はそれなりに漕げてたじゃないか♡♡♡」
「スイスイとはいかなかったもん……あーあ!これで子供の運動神経が良かったらますます肩身が狭くなっちゃうよ」
「なななな七海ッッ!!……その……今夜は……♡♡♡」
昭二君が言わんとすることが分かってしまった私は、腕を引っ張って耳元で囁いた。
「ナマでもいいよ……♡♡♡」
「ん゛ふうぅぅぅッッ!!♡♡♡♡」
「あ、でも実際に妊娠するのは半年以上先だと思うよ?」
私がそう告げると、昭二君は目を瞠ってこちらを見てきた。
「予言ってことか?」
「まあ、そんなもんですよ♡♡♡」
女性総理の尽力のおかげで某省庁が解体され、積極財政の一環として子供一人当たり毎月10万支給されることになった。今後支給額は段階的に上がっていくそうだ。他にも福祉面の充実や減税の効果で、最早若い世代の間では「産んだ方が得」という認識が広がり始めている。宇宙由来の魂を受け入れるために、我が国のシステムが変わったのだ。
「ねぇねぇ昭二君、お洒落なバーがあるよ♡♡♡」
「七海……」
ラグーンと中央の山々が眺められるデッキでカクテルを楽しみながら夕日をぼんやり眺めていると、スタッフさんが話しかけてくれて、アクティビティやレストランなど、島の色んなことを教えてくれた。
スタッフさんによると、フリーエネルギーの普及は着実に進んでおり、高級リゾートの電力は殆どフリーエネルギーで賄っているとの事だ。希望すればマジックボックスの貸し出しもしてくれるそうである。
夕食はフレンチダイニングでいただいた。F国領であるこの島は食のレベルも高いと評判だ。地元素材を使った料理をいただきながら、やっぱり食に関しては我が国が最高だと思った。
食後はビーチでダンスショーを観て、夜は星空を眺めながら海にプカプカ浮かんだ。
「夜の海は危ないからプールにしなさい」
「は~~い♡♡」
プールでダラダラしていたら昭二君がシャンパンを注いでくれて、二人で乾杯した。南や椿程ではないけど、私たちもそれなりにお酒は好きなのだ。
シャワーで海水を流し、ベッドにダイブすると、切羽詰まった顔をした昭二君が覆い被さってきた♡♡♡
「いつまで焦らすつもりだ……?」
「え~~?昭二君が勝手に焦らされてるだけでしょ?♡♡♡」
敢えて惚けると、昭二君はニヤリと笑った。
「そうか、七海は激しくされたいんだな?♡♡♡」
「そぉだよ?♡♡ だって初めてのナマセックスだもん♡♡♡」
私がそう告げると、昭二君は苦しそうな顔をしてバスローブを脱がせてきた♡♡♡ 昭二君は私の身体中にキスの雨を降らせ、足を開いてクンニをしてきた♡♡♡
クチュ…クチュ…
「あっ…♡ んん~~っ…♡ くぅん…♡ ふぅん…♡」
きっと昭二君だって早く挿れたいだろうに、丁寧に愛撫してくれる♡♡♡ なんて素敵な旦那様だろうと思いながら、昭二君の愛撫に追い詰められていった♡♡♡
「はぁん…♡ はぁん…♡ もぉトロトロだよぉ~~……♡♡♡ 」
イッてもイッても止めてくれない昭二君に溶かされて、すっかりトロントロンになってしまった♡♡♡
「そろそろ良いか……?♡♡♡」
「早くぅ……♡♡♡」
いつもだったら即ハメしてるのに、昭二君にとっても今夜のセックスが特別なのだと伝わってくる♡♡♡ 昭二君の亀頭が何度かスジに合わせて上下した後、ゆっくり進入してきた♡♡♡
ズプ…ズプ……
「あぁぁ~~ッッ♡♡ ダメダメダメッッ!?♡♡♡ ゔわぁぁ気持ち良すぎるぅぅーー~~ッッ!!?♡♡♡♡」
「ぐあぁぁッッ!?♡♡♡ 何だこれはッッ!?♡♡♡ 気持ち良すぎるッッ!!♡♡♡ 幸せ過ぎるぅぅーー~~ッッ!!♡♡♡♡」
今まで数え切れないほどしてきたセックスでも十分過ぎるほど気持ち良かったのに、ナマセックスは別格だ♡♡♡ 子作りがここまでの快楽を伴う行為だとは知らなかった♡♡♡
ズチュズチュズチュズチュズチュズチュッ…
「あ゛あぁぁ待って!?♡♡♡ あ゛あぁぁあぁぁ気持ちいいッッ……あ゛ッッ…あ゛ッッ…あ゛あぁぁあぁぁぁッッ!!♡♡♡♡」
「ごめん七海ッッ!!♡♡♡ 止まれないッッ!!♡♡♡♡ 気持ち良過ぎて腰が止まらないッッ!!♡♡♡♡ あ゛あぁぁ最高だッッ!!最高過ぎるッッ!!♡♡♡♡」
私だって止まれない♡♡♡ でも気持ち良過ぎて怖い♡♡♡ でもやめないで欲しい♡♡♡ 沢山の矛盾の濁流に押し流されて、思考がぐちゃぐちゃになってしまった……♡♡♡
グチュングチュングチュングチュングチュンッ
「お゛ッッ♡♡ お゛ッッ♡♡ お゛ッッ♡♡ しょーじくんもぉイきそぉ~~!!♡♡♡♡ お゛おおぉぉッッ!!♡♡♡♡ いぐぅぅーー~~ッッ!!♡♡♡♡♡ んぎゅううぅぅッッ!!♡♡♡♡♡」
「あ゛あぁぁもう保たないッッ!!♡♡♡♡ イクよ七海ッッ!!♡♡♡♡ 愛してる愛してる愛してる愛してるッッ!!♡♡♡♡♡ あ゛あぁぁあぁぁ出る出る出る出るぅぅーー~~~ッッ!!♡♡♡♡♡」
ビクビクビクビクッ…ビクッ…ビクッ…ビクッ…
ドビュルルッ!ビュルビュルビュルビュルッ…
昭二君……昭二君のザーメン……精子……膣奥にいっぱい……♡♡♡ 子宮が昭二君の精子で満たされてる……♡♡♡ 始まっちゃう……カラダの作り替えが始まっちゃう……♡♡♡
昭二君の赤ちゃんが産めるカラダに作り替えられちゃう……♡♡♡♡
「お゛おぉぉおぉぉッ……ぎもぢぃ~~……♡♡♡♡」
「はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ なんだコレは……幸せ過ぎる……ッッ!!♡♡♡♡」
私たちは過ぎる快楽にいっぱいいっぱいで、ただ必死に抱き締め合っていた……♡♡♡
「んふふ♡ オナホになった気分……♡♡♡」
「言うに事欠いて……ッッ♡♡♡」
率直な感想を口にすると、少し悔しそうな顔をする昭二君。上手く説明出来ないけど、やっと昭二君のモノになった実感が湧き上がってきたのだ♡♡♡
挿れたまま見つめ合って、口付け合って、そうこうしてるうちに昭二君の昭二君がまた大きくなってきて……♡♡♡
「このまま……いいか……?♡♡♡」
「何度でもいいよ……?♡♡♡」
その夜、初めて抜かずに二回目をしたのだった♡♡♡
「うわぁ~~……すっごく出てくる……♡♡♡」
「うぅ……すまん七海……こんなに出たのは初めてだ……♡♡♡」
二回分の精液が、膣口からドロドロと垂れてくる♡♡♡ 会陰を伝う感触が気持ちいい♡♡♡
「ふふふ…♡ ママになる準備、出来ちゃった♡♡♡」
「七海ッッ♡♡♡ このぉぉ~~!!♡♡♡♡」
勢い良く覆い被さってきた昭二君に首筋やおっぱいを吸われて、再び子宮が熱くなった♡♡♡
「もう一回だ……♡♡♡」
「うん……シよ……?♡♡♡」
それからも抱き締め合ったり、私が上に乗ったりして、何度も何度も愛し合ったのだった♡♡♡
「ハネムーンベイビー狙ってたんだがなぁ~~♡♡♡」
「なんかごめんね?」
「いや、良いんだ。種付けセックスを続ける言い訳になる♡♡♡」
私に降りてきたビジョンでは、あと半年ほど身体の作り替え期間が続く。何度も何度も昭二君の精子を受け入れて、染み込ませて、自分の畑を肥やしていくのだ♡♡♡
「無責任種付けセックスいっぱいシてぇ~~♡♡♡」
「んむっ!?♡♡ コラコラ、無責任じゃないぞ~~?♡♡♡ 愛情たっぷり種付けセックスだ♡♡♡♡」
夢中でキスをしていたら、いつの間にか空が白み始めていた♡♡♡
「朝ごはん美味しい~~♡♡♡」
「南の島らしいメニューだな♡♡♡」
朝食はビュッフェ形式のレストランでいただいた。開放感のあるガラス張りの半屋外レストランには、パンやシリアル、フルーツや温かい肉、魚料理などがあった。
朝食後はホテル内にあるダイビングセンターに向かった。インストラクターさんの説明を受けてボートに乗り、ダイビングスポットに移動した。
ボートからの眺めも最高で、どこまでも続くエメラルドブルーの海に見惚れていたら、ダイビングスポットに着いていた。
ダイビングスーツや酸素ボンベを身に付けて、指示された通りに飛び込むと、視界いっぱいに海中の絶景が広がった。
ロープを伝ってゆっくりと潜水すると、鮮やかな魚たちの群に遭遇した。感動のあまり昭二君を見ると、昭二君もまた目を見開いて私を見ていた♡♡♡
慣れてくると昭二君と手を繋いで泳いだり、魚たちと戯れたり出来るようになり、その様子をインストラクターさんが撮影してくれた。少し場所を移動すると、マンタが優雅に泳ぐ姿を観察することが出来た。
海の底から見上げる太陽の光は、いつかの私が見た光景だった。そしてもうすぐ、私たちの赤ちゃんが目にする光景でもあるのだ。生命の循環を感じながら昭二君の手を取り、南国の海を泳いだ。
「めちゃくちゃ綺麗だったな♡♡♡」
「うん♡♡ 一生の思い出だね♡♡♡」
滞在中にもう一回ダイビングしたいねと話していたら、いつの間にかボートはホテルに戻った。
「ロブスター美味しい~~♡♡♡」
「独特の味付けだが美味い♡♡♡」
ホテルでゆっくりしてからボートを出していただき、対岸のレストランでランチをいただいた。ロブスターとサラダ、山盛りのポテトが乗ったお皿とマグロの刺身とライスが乗ったお皿を分け合って食べて、ゆったりと流れる時間を過ごした。
レストランの近くにあるマーケットで飲み物や軽食を購入して、ボートに乗ってホテルに帰った。
「七海は泳ぐのが大好きなんだな♡♡♡」
昭二君はホテルに戻ってからずっと海で泳いでいる私を見下ろし、可笑しそうにそう言った。
「だって海が気持ち良過ぎるんだもん♡♡♡ さっきウミガメもいたんだよ♡♡♡」
私がそう言うと、昭二君はTシャツを脱いで海に飛び込んできた♡♡♡
「俺とのセックスより気持ちいいか?♡♡♡」
「ばかぁ……♡♡ 変なとこ触らないでよッッ♡♡♡」
海の中で内股を撫でる昭二君に思わず噛み付いて、そのまま深くキスを交わした♡♡♡
ホテルの敷地内を散策してから、バーでドリンクをいただいた。山に沈んでいく夕日を見つめながら、帰ったらこの光景を絵にしようと決めたのだった。
夕食は朝食をいただいたレストランでとった。テラスでいただいていたら突然ショーが始まり、音楽に合わせてダンサーさんが妖艶なダンスを踊っていた。いつの間にかお客さんも一緒になって踊っていて、私と昭二君も見様見真似で踊ってみた。
「普段こんなに激しく腰振りすることなんて無いよね~~」
「俺に跨って振ってるじゃないか♡♡♡」
「も~~っっ……昭二君エロ親父みたいだよ?」
そう告げると、昭二君は心外という顔をしていた。
「あ、スコール……」
ここでは時々スコールが降る。通り雨というやつだ。雲が晴れると星空が現れ、南十字星がよく見えた。そう言えば去年、南たちが南十字星を見に行ったって言ってたな。
「七海……そろそろシようか……♡♡♡」
「ここでシたいって言ったら……引く……?」
「声を抑えることが出来たら良いよ♡♡♡」
私はデッキチェアの上で大股を開き、そのまま昭二君を受け入れたのだった♡♡♡
「結局大声出しちゃった♡♡♡」
焦った昭二君が唇で塞いでくれたけど、ナマちんぽでアクメしたら声を抑えられる筈がない♡♡♡
「今夜もいっぱい出してくれてありがとう♡♡♡」
「んぐっっ!!俺の奥さん可愛過ぎるぅぅ~~!!♡♡♡」
お腹の中に昭二君の温もりを感じながら、大きな昭二君の身体に寄り添って眠りについた……♡♡♡
ーーーーーーー
「おはよぉ昭二君……♡♡♡」
俺の腕に収まる寝ぼけ眼の七海に、朝から愛しさが爆発してしまう♡♡♡
ようやくここまで来た……名実共に七海は俺の妻になったんだ!!♡♡♡
冬休み、七海に着いて「エイユウさんのみんなが笑って暮らせる村」を初めて訪れた時、畑で芋掘りをしている兄貴に遭遇した。
「あっっ!!兄貴!!!?」
「昭二!!?」
逃げ出そうとする兄貴を取り押さえてくれたのは、七海が尊敬する壁画アーティストのAKITOだった。AKITOは俺と同じくらい背が高く、頭ひとつ小さい兄貴はあっという間に捕まっていた。
俺と七海から両親の話を聞きながら、それでも訝しげな兄貴。気持ちは分かる。なにしろ母さんが七海の限界オタクになる前は、俺たち子供は病院を運営するための駒だったもんな……。
「お前さん、昭一の弟かえ?よ~~似とるわ。今夜は嫁さんと一緒に泊まってけ~~?」
「ちょっとミズエ婆さん!?」
ミズエ婆さんと呼ばれたお婆さんのお言葉に甘え、七海が商店街で仕事をしている間、俺はエイユウさんの村でお世話になった。その間俺と兄貴は色々な話をした。家のこと、病院のこと、医者という仕事について……家にいた時ですらこんなに話したことは無いくらい、初めて色んなことを話した。そして七海や村の住人も交え、結婚式のサプライズを決めたのだった。
朝食後、ホテルをチェックアウトしてボートに乗り、ヘリに乗り換えて近くの島に向かった。
「ハート型だぁぁ~~!!♡♡♡」
ヘリの中から大喜びでハートの島を眺める七海♡♡♡ 環境保護の観点から人の出入りを厳しく管理しているらしく、眼下には手付かずの大自然が広がっていた。
「新婚旅行らしいこともしておきたかったからな♡♡♡」
「一生の思い出だね~~♡♡♡」
天気も良く、ラグーンの美しいブルーを堪能した俺たちは大満足で遊覧飛行を終え、本日からお世話になるホテルに向かった。
「水平線綺麗だね~~♡♡♡」
南太平洋に向かって建つホテルのロビーラウンジは一部床がガラス張りになっており、海を真下にウェルカムドリンクをいただいた。バギーに乗ってホテル内を案内され、七海は辿々しい言葉でスタッフさんと話していた。超可愛い♡♡♡
ホテルの敷地内は標高差があり、小高い丘の上から水上コテージまで、幅広く景色を楽しむことが出来た♡♡♡
「お部屋広いね~~!!♡♡♡」
昨日までのホテルは海と山が見えていたが、今日のホテルは水平線が広がっていて、いずれも絶景である。ベッドの横にはソファーがあり、後ろにバスタブとシャワールーム、パウダールームとトイレがある。広いクローゼットからも海が眺められ、ミニバーにはコーヒー紅茶、シャンパンやミネラルウォーター、冷蔵庫にも色々なドリンクが入っていた。バルコニーには2ヶ所にネットが張られており、横にデッキチェア、一段下がって海に繋がる桟橋があった。
「キャーーーッッ!!♡♡♡」
「やっぱり飛び込むのかッッ!!?」
ワンピースを脱いで水着になった七海はやはりそのまま海に飛び込み、俺も慌てて後を追った。
ビーチ沿いのプールバーで南国風カクテルと軽食をいただき、丘の上にあるスパに行った。海や水上コテージが一望出来る部屋で七海と一緒にトリートメントを受け、花びらが散りばめられたバスに浸かった。
「こんなところにチャペルがあるんだな……」
スパの近くに、海を一望出来る素朴な教会があり、厳かな雰囲気を醸し出していた。
「なあ七海……本当に神前式で良かったのか……?」
母さんの強い規模で神前式になったけど、本当はチャペルで結婚式を挙げたかったのではと思っていたのだ。
「ええ~~!?今さら何?寧ろ神前式以外あり得ないくらいに思ってたけど??」
「そうか……母さんに押し切られたのかとばかり……」
「あははw ないないw でもチャペルも良いね……いつかチャペルで結婚式しよっか♡♡♡」
その素晴らしい提案に俺は大きく頷き、今度はどんなドレスを着てもらおうかなどと考えていた♡♡♡
ゴールデンアワーの空の下、俺たちは未来の約束をして抱き締め合った♡♡♡
「中華うまぁぁ~~い♡♡♡」
施設内のレストランで、南国仕様になったお馴染みのメニューをいただいた。チャーハンの米が食べ慣れないものだったけど、コレはコレで美味しい。
ビーチに出るとちょうどファイヤーショーをしていた。ショーを観ながらカクテルを飲み、贅沢な夜を過ごした。
「面白い寛ぎ方だな……」
「え?このネットってゴロゴロするための物じゃないの?」
デッキにあるネットをハンモックのように使う七海。俺も七海に倣い、もう一つのネットに寝転がって晴れたり雲に覆われたりと忙しない夜空を眺めた。
「雨季の終わり頃だから、天気が不安定だね」
「ここに亜耶がいたらどうなるんだろうな?w 」
「前に聞いたんだけど、椿と亜耶が雨季のビーチリゾートに行ったら、滞在中引くほど快晴だったんだってw 」
「祝福なのか呪いなのか……」
異常な晴れ男と晴れ女のエピソードを聞きながら、雲の隙間から見える星を眺めた。やはり光源が少ないせいか、星空が別格に綺麗だ。そう例えばあの点滅している三つの星とか……
「ん!?点滅!?」
「三つ子のUFOだぁ~~♡♡♡」
星に見えた三つの光は、揃ってゆっくり南の空に移動し、やがて消えた。近年やたらとUFOを見るような気がする。
「そろそろ宇宙から魂が降りて来るからね~~……色々見定めてるんだろうね~~」
「ってことは俺たちには三人の子供が……?♡♡♡」
「さあ~~……どうだろうね~~♡♡♡」
「んんん頑張って仕込むぞ~~!!♡♡♡」
持ち上げてベッドに押し倒すと、七海は嬉しそうに悲鳴をあげた♡♡♡
「あ゛んッッ♡♡ あ゛んッッ♡♡ あ゛んッッ♡♡ あ゛んッッ♡♡ あ゛あぁぁんもぉイッちゃうイッちゃうイッちゃうッッ!!♡♡♡♡ イッ…ぐぅぅぅ〰︎〰︎〰︎ッッ!!♡♡♡♡♡」
「お゛おおぉぉ出る出る出る出るッッ!!♡♡♡♡ う゛お゛おぉぉ〰︎〰︎〰︎ッッ!!♡♡♡♡♡」
脈動する七海の膣内に放つ。いつもしていることなのに、ラテックスの膜一枚無いだけでこんなにも七海を近くに感じる♡♡♡ 俺たちは二人で一人なんだと強く思いながら、自分が出したモノを擦り付けるように腰を揺すったのだった♡♡♡
予約していた時間に、船で朝食を運んでいただいた。ダイニングセットに並べられたフレッシュな朝食を七海といただき、優雅なひとときを過ごした。
朝食後は、ボートに乗って近くの小島へピクニックに向かった。途中沖に出てシュノーケリングをした時、サメの群れに遭遇した。サメの群れと泳ぐ七海をマーメイドのようだと見惚れていたら、イルカがこちらに向かって泳いできた。イルカは七海の周りをぐるぐる回った後、背中を擦り付けて去って行った。
「めちゃくちゃ懐かれてたなw 」
「あはははw 何でだろうねw 」
あのような現象も、シャーマニックな感性の強い七海だからこそなのだろう。イルカは霊格が高いと聞いたことがあるし。
島の近くの海でもシュノーケリングをして、カラフルな魚や珊瑚を鑑賞した後、自然豊かな離島に上陸した。ビーチに用意されたBBQをいただき、地元の食材を味わった。
ピクニックの後はホテルに戻り、ビーチに並んでいたカヤックを借りて水上コテージの辺りを周遊した。
「和むねぇ~~……」
「最高だな……」
漂うように船を漕ぎ、空と海の青に癒された。
ビーチに戻る頃には陽が傾いており、島の西側にある港に辿り着いた頃には空が茜色に染まっていた。
「世界が生まれ変わるみたいだね……」
「そうだな……きっと良い方向に変わるさ。七海のおかげで兄貴が戻って来たようにな……」
「そんなこと……」
俺たち家族は七海のおかげで生まれ変わった。そして今度は俺が七海と新しい家族を作るんだ。感謝と新たな決意を胸に、水平線に沈む夕日を眺めたのだった……
「豚さん……美味しくいただくからね~~!!」
ビュッフェレストランにある豚の丸焼きに涙する七海。この島はF国領だから料理のレベルが高く、食で困ることは特に無い。豪快なグリルや新鮮な魚介類、フルーツなどをいただきながら、生歌やダンスのショーを楽しんだ。
「う~~み~~は~~広い~~な~~おおき~~いな~~♪」
クローゼットに置いてあったライフジャケットを着て、コテージの灯りに照らされた海を漂う七海。空を見上げると星々と弓のように細い月が輝いていて、南十字星もよく見えた。
海から上がった七海をバスタブに入れて、一緒に温まった。そのままバスルームで致してしまい、お湯に浸かりながら七海の中に放った♡♡♡
「か゛え゛り゛た゛く゛な゛い゛~~~~!!!」
「気持ちは分かるが……残りの日程は本島で過ごしたいと言ったのは七海だろう……」
朝食ビュッフェをいただいている時から七海の様子がおかしかったのだが、チェックアウトの時にとうとう乱心し始めた。嫌がる七海をボートに乗せ、ホテルスタッフさんに手を振られながら島を後にした。ボートの上でもグズグズ泣いていた七海だったが、空港から飛行機で本島の空港に到着する頃にはケロッとしていた。
ーーーーーーーー
泣きながら一番綺麗な島と謳われる島を離れ、本島の空港に辿り着いた。空港からほど近いホテルに到着する頃にはすっかりハイテンションに戻っていて、広いロビーに圧倒されながらチェックインした。
「こっちの景色もすごいよ昭二君ッッ♡♡♡」
「はははw 現金だな七海は♡♡♡」
ロビーラウンジからはプールと海が一望出来て、開放感抜群だ♡♡♡ 新設のホテルらしくどこもピカピカで、全体的にモダンな雰囲気だった。部屋はキングベッドのオーシャンビュールームで、パウダールーム、バストイレを仕切る引き戸がガラス戸だった。
道路を挟んで向かい側に大きめのショッピングモールがあった。連絡通路を通ってモールに行き、フードコートでペパロニを分け合って食べた後はテナントショップを見て回った。
近場を散策した後はホテルのプールで泳ぎ、プールバーでカクテルをいただいた。
「ん~~マイタイ美味しい~~♡♡♡」
昭二君のモヒートと半分こして飲んで、ほろ酔い気分で水上レストランに向かった。海に突き出すように建つイタリアンビストロのテラス席で、パスタやリゾットをいただいた。
「夕焼け綺麗だね~~♡♡♡」
「何時間でもいられそうな場所だな♡♡♡」
テラス席も空調が効いていて、とても過ごしやすい。夕陽が沈んでいく景色を眺めながら、ドルチェまでしっかりと堪能した♡♡♡
夜はプールサイドでゆっくりしながらD国から来たご夫婦とのお喋りを楽しんだ。お話を聞いていると、どこの国も反グローバリズムの政権の方がフリーエネルギーとの親和性が高く、女性総理大臣の主導でどんどんフリーエネルギーが導入されている私たちの国が羨ましいと言っていた。
エリックさんやカインさん、門脇さんたちのような自身の富を分け与える人たちの尽力により、本来なら十年以上かかるようなプロジェクトが一年ほどで次々と現実化している。一つのエコビレッジから始まったエネルギー革命が世界中に広まるのは、最早時間の問題なのだ。
「そちらの国も、来年には一般家庭に普及しますよ♡♡♡」
「どうして分かるの?」
「何となくです♡♡♡」
降りてきたビジョンでは、世界の混乱はあと二年ほどで落ち着きそうだ。今は今の技術に合わせたフリーエネルギーが主流だけど、これからは例えフリーエネルギーだろうが石油自体がマイナーなエネルギー源になっていく。鍵は石と音らしいけど、難しい話は私には分からない。
「良い未来が早く訪れるように、一緒に祈りましょう♡♡♡」
「貴方たちの国は、本当に祈りの国なのね……」
奥様は感心したようにそう呟いた。ご夫婦と別れて部屋に戻り、バルコニーで乾杯しつつお喋りを楽しんだ♡♡♡ そのままどちらからともなく唇を寄せて、ベッドまで運ばれた……♡♡♡
「ハァッ…♡ ハァッ…♡ ハァッ…♡ 今日も全部奥で受け止めてくれてありがとう……♡♡♡」
「昭二君も……たくさん出してくれて、ありがとう……♡♡♡」
中に出されるようになってから、肌の質感や化粧ノリが明らかに変わった♡♡♡ 自分の身体が作り替えられている喜びと気恥ずかしさを感じながら、昭二君の胸に顔を埋めたのだった♡♡♡
朝食は夕食と同じ水上レストランのビュッフェをいただいた。屋内も全面ガラス張りで、まるで海に浮かんでいるかのような空間だった。朝食後はレンタカーを借りて、島内を一周することになった。
「滝でっかぁ~~い!!♡♡♡」
「なかなか迫力の景色だな♡♡♡」
海沿いの道を走って辿り着いたのは、断崖絶壁から勢い良く水が流れる滝だった。20分ほど歩き、三つの滝を全て見学した後は、海岸沿いの道を走って植物園に向かった。
「ト◯ロがいそうな山だ……」
亜熱帯の植物を眺めながらハイキングをして、滝を眺めたり海を眺めたりと程良く運動をした。島の南の方は自然豊かで、ハイキングコースやビーチが点在していた。
「妊婦さんの石像だ♡♡♡」
インストラクターさんの説明を受けながら、石像や祭壇跡を見て回った。
遺跡から車で少し走ったところに諸島の博物館があった。海洋民族ならではの展示品の数々を見学し、近くのビーチレストランでランチをした。
「近くの島が見えるね~~♡♡♡」
「こっちの海もなかなか綺麗だな♡♡♡」
ゆったり流れる時を感じながらカジュアルフレンチをいただき、食後はビーチを散歩した。
「ピアス可愛い~~♡♡♡」
路上ミュージシャンの軽快な音楽を聴きながら繁華街を街ぶらして、ローカルな雰囲気を楽しんだ。マルシェには野菜や果物、お惣菜などの食品エリアと、工芸品やアクセサリー、生花やブラックパールなどのエリアがあった。昭二君は私にブラックパールのピアスを買ってくれて、お義母さんにはブローチを購入していた。
道路沿いにあるパレオのショップには手染めや手書きのカラフルなパレオが所狭しと並んでいた。
「綺麗~~♡♡♡」
「良く似合うよ♡♡♡」
店員さんに着方を教えていただき、気に入った柄のパレオをお土産用も合わせて数枚購入した。
街の至る所にウォールアートがあり、芸術性の高い国民性だなと思いながら見て回った。
途中食べ歩きをしながら街を歩き、荷物を置きに一旦ホテルに帰った。
港の公園は夜になると屋台が集まってきて、人々の憩いの場になる。停泊している豪華客船を眺めながら、シーフードやグリルをいただいた。
「NANAMI!?」
地ビールで乾杯してたら、急にカタコトで名前を呼ばれて吃驚した。振り返ると中学生くらいの女の子がいて、ユー◯ューブ見ました的なことを言っていた。私自身は時々SNSで個展の情報を発信するくらいなのだが、亜耶や小野寺社長のユー◯ューブに出ているせいか、たまーに声をかけられるのだけど、まさかこんな遠く離れた南の島で声をかけられるとは思ってもみなかった。
語学が堪能な昭二君に通訳して貰いながら女の子とお話しをした。女の子はパレオに絵を描く仕事をしているらしく、いつか留学して絵の勉強をしたいと言っていた。AKITOさんとコラボした壁画をべた褒めしてくれて、SNSを検索しまくって私の作品の画像をスクショしていると言って笑っていた。
女の子のアカウントをフォローして一緒に写真を撮り、お互いのSNSにアップした後、手を振って別れた。
「七海は有名人だな……誇らしいのに、焦りも感じるよ……」
「私、昭二君のそういう素直なとこ大好き♡♡♡」
世の中には劣等感を隠して相手への攻撃に走る夫もいる中で、つくづく私は旦那様に恵まれたな~~と思う。
「昭二君は未来の医療に希望を齎す人なんだから、今出来ることを精一杯頑張って♡♡♡」
「うん……七海にそう言って貰えると、頑張ろうって思えるよ♡♡♡」
昭二君に全部は言わないけど、近々医療業界も闇が暴かれる時が来る。その後の立て直しと新たな医療技術普及のキーマンに昭二君がなるそうなのだ。難しいことはよく分からないけど、昭二君もまた、大きなお役目がある人なのである。
ホテルに戻り、ロビーラウンジのバーでカクテルをいただき、プールサイドでごろ寝をした。幸せと一抹の寂しさを感じながら、南国の夜空を見上げたのだった。
ーーーーーーー
「か゛え゛り゛た゛く゛な゛い゛~~~~!!!」
「ま~~た始まった……」
気持ちは痛いほど分かるけど、そういう訳にもいかないのだ。
「ここに住むぅぅ~~~~!!」
「それは老後に考えよう……」
「じゃあ老前は??」
「働いたり子育てしたりするんだろ?」
「それならここでも出来るじゃん!!」
駄々っ子モードになってしまった七海を連れて空港に向かい、窓の外を眺めながら啜り泣く七海の横で、機内食をいただいた。
「グスッ……グスッ……」
「来年も来れるように頑張ろう……」
「来年の今頃は妊娠中だもん……」
不意打ちでそんなことを言われてしまい、思わずコーヒーを吹き出してしまうところだった。
七海には申し訳ないけど、俺の子を孕んでいるだろう一年後のことを考えると、胸と股間が騒めくのであった♡♡♡
今年も蓮のリクエストに答えて手作りチョコをプレゼントした♡♡♡
「ありがとう~~♡♡♡ めっちゃ嬉しい~~♡♡♡」
流石に結婚してから二度目のバレンタインだから、日持ちしないケーキでも良いだろうとママと作ったブッシュドノエルを渡した。
「……いつものお菓子は……?」
「ええっ!?やっぱり日持ちするお菓子じゃなきゃダメ?」
上目遣いでウルウルする蓮に根負けした私は、念の為用意していた材料を使ってフロランタンを作った。
「わ~~い♡♡ ありがとう南~~♡♡♡」
バレンタインチョコは少しずつゆっくり食べたい蓮は、今年もフロランタンを味わって食べていた♡♡♡
「来てくれてありがと~~♡♡♡」
夏の女子旅でも訪れた海沿いの温泉街で、七海の個展がカフェ併設のギャラリーで開催された。壁面には絵画が、棚には挿絵を担当した絵本やポストカードが飾られていて、七海らしい暖かくお洒落なギャラリーになっていた♡♡♡
個展開催中もカフェのオーナーが飲食を提供してくださり、レトロなグラスのクリームソーダをいただいた。
「やあ、個展開催おめでとうございます♪」
「彰人さんっ!?♡♡♡ 来ていただいてありがとうございます♡♡♡」
オーナーと談笑していたら、商店街の仕事でコラボした壁面アーティスト、AKITOがギャラリーを訪れた。AKITOは七海に大きな花束を渡し、展示品を興味深そうに眺めていた。
「まぁまぁAKITOさんにお越しいただけるなんて~~♡♡♡」
AKITOが来ていると聞いて奥から出てきた森川君のお母さんは、挨拶をしながら目をハートにしていた。
「先日は七海がお世話になりました」
AKITOと挨拶を交わす森川君がやけに落ち着いていて、私と蓮は思わず顔を見合わせた。
「AKITOさんには溺愛する恋人がいるからな」
AKITOさんが帰った後、森川君は私たちにそう言った。なるほど、どおりで露骨に嫉妬しない訳だ。
「AKITOさんに溺愛される恋人ってどんな人なんだろう?♡♡♡」
「エコビレッジで一緒に暮らしてるらしいんだけど、村から殆ど出ないそうなんだ~~……」
恋人とは七海や森川君も会ったことは無いそうだ。お喋りしながらギャラリーを見学して、帰りに七海からカヌレのお土産を貰った。
「山盛りやぁ~~♡♡♡」
ギャラリーを出て、商店街の中にある食堂に入り、海鮮が丼の上に山盛りになったてっぺん丼とアジフライ定食を半分こして食べた。名物のプリンや抹茶のクレープを食べ歩きした後は、縁結びで有名な神社に向かった。
「眺め良いね~~♡♡♡」
「絶景だね~~♡♡♡」
階段を登り切って振り返ると、街と海を一望出来た。
「猫ちゃん可愛いねぇ~~♡♡♡」
境内にいる猫と遊びながら参道を進み、紅白の龍がいる手水社で清めた。本殿や縁結びの神様のお社でお参りをして、御利益があるという腰掛け石に二人で座った。
車は坂道の多い道路を走り、本日宿泊のお宿に辿り着いた。
エントランスからエレベーターで8階まで登り、海が一望出来るロビーでチェックインをした。ビーチを眺めながらウェルカムドリンクをいただき、ロビーラウンジを見て回った後、客室に案内された。
客室露天風呂付きの洋室にはツインベッドとソファー、オーシャンビューのバルコニーにはアウトドアチェアと露天風呂があった。部屋着に着替えてゲストラウンジに行き、ドリンクと軽食をいただいた。
「テラスが心地良過ぎる……♡♡♡」
「足湯も気持ちいいしね~~♡♡♡」
今やある程度の高級宿ではマジックボックス完備が常識になりつつあり、まだまだ寒い季節のテラスを快適に過ごすことが出来た♡♡♡ こちらのお宿も、各階に設置したマジックボックスで温度設定をして、細かい調整はお客さん側がエアコンでするという感じで運用している。
寄り添って足湯に浸かり、暫くゆっくりしてからそれぞれ大浴場に向かった。
モダンな内風呂とインフィニティ露天風呂があり、サウナや水風呂も完備していた。お風呂上がりにもう一箇所のラウンジで休憩して、部屋でイチャイチャしていたら夕食の時間になった。
「鮑うめぇ~~♡♡♡」
「お造りがアフタヌーンティーみたい♡♡♡」
館内のレストランで季節の創作和懐石をいただき、繊細な味付けに舌鼓を打った。味だけでなく芸術的な盛り付けを楽しむことも出来て、心まで満たされるお料理だった♡♡♡
「今年はまだまだ寒いね~~……」
快適な気温のバルコニーで、スパークリングワインをいただきながら夜の海を眺めた。
「去年に比べて明らかに季節の進みが遅いよね……こっちが正常なのかも」
ママが少し前に「子供の頃の気候に戻ってきたような気がする」と言っていた。フリーエネルギー普及の影響なら喜ばしいことだと思う。某環境保護団体はフリーエネルギーの普及で地球温暖化がどうとかと難癖を付けてきたけど、実際早くも温暖化に歯止めがかかりつつある。
主要先進国で同時多発的に起こったフリーエネルギーのムーブメントも世界中に広まり、資源による外交格差は無くなりつつある。一部の技術者とエコビレッジの村長から始まった一連の出来事は、今はまだ過渡期ではあるけど、確実に世界をいい方向に導いているような気がした。
「パネルの撤去作業も進んでるし、これからはまた緑が増えるよね……」
設置から十年以上経つパネルに重税が課されたことで撤去する事業者が増え、新規の設置には厳しい規制が設けられた為メガソーラーと言われる事業は衰退した。そもそもフリーエネルギーが普及しつつある今、不安定な電力しか生み出さない物を新たに設置する業者もおらず、すっかり負の遺産扱いになっている。
先日ようやくスパイ防止法が制定され、女性総理や保守政党が法案を通しやすくなったとコメントしていた。
「うん、緑も所得も手当も増えるよ♡♡♡ だから安心して子作りしようね♡♡♡」
蓮は私の手を取り、頬を染めてそう言った。相川君に取り継いで貰ったリゾートホテルは既に予約いっぱいで、春の挙式は無理だと言われた。しかし今はどこの結婚式場でもマジックボックスを設置している為、真夏や真冬のガーデンウエディング希望が増えているという。そんな訳で私たちは、7月末に式場と部屋の予約を入れたのだ♡♡♡
「式も子作りも楽しみだな~~♡♡♡」
「今夜は子作りの練習しよ~~♡♡♡」
「今夜も、ね♡♡♡」
ベッドで盛り上がった私たちは、事後のお風呂でも再び盛り上がり、寄り添いながら眠りについた♡♡♡
「朝日キレ~~……」
起きてすぐに大浴場に行き、登る朝日をボーッと眺めた。風呂上がりにラウンジでデトックスウォーターをいただき、偶には一人で過ごすのも楽しいな、などと思いつつ部屋に帰ると、大いに拗ねていらっしゃる様子の蓮がベッドの上でフテ寝していた。
「お米うまぁ~~♡♡♡」
「干物も肉厚で美味いよ♡♡♡」
朝食に釜炊きのご飯と地元素材のおかずをいただき、食後は部屋とラウンジでゆっくりしてからチェックアウトした。
「カモメ可愛い~~♡♡♡」
「人慣れしてるんだね~~♡♡♡」
ホテルを出た私たちは、フェリーに乗って近くの離島に行った。縁結びの神社にお参りをして、アスレチックの施設に向かった。
「結構高い!!怖い怖い!!」
「あははw 大丈夫だよ♡♡♡」
自然の中にあるアスレチック施設は難易度の違う二種類のステージがあり、難易度の高いステージでは体力も運動神経もしっかり削られた……。
「景色良いねぇ~~……♡♡♡」
「天気も良いしね~~……♡♡♡」
近くには登れる灯台があり、海や対岸の景色を一望出来た。温泉街の奥には国内一の山が微かに見え、海風は冷たいけどずっと眺めていたい景色だった。
「なめろううまぁ~~♡♡♡」
「かき揚げも美味い~~♡♡♡」
港の近くにある海鮮レストランで、アジやイカの刺身、カサゴの唐揚げなどをいただき、海鮮天国を堪能した。
ブランコや空に続くドアなどのフォトスポットで撮影しつつ島内を散策し、リゾートホテル内にあるカフェでフルーツソーダをいただいた。
「あったかいね~~♡♡♡」
建物とテラス席の空調が整えられていて、散策で冷えた身体にはありがたかった。
フェリーで温泉街に戻り、近くの温浴施設に向かった。海を一望出来る広いインフィニティ露天風呂がある大浴場を堪能した後館内着に着替え、ラウンジで蓮と合流した。岩盤浴で温活した後は鳥の巣のような寝転びソファーで雑誌を見ながらゴロゴロした。
「しらすのピザ美味しい~~♡♡♡」
ピザとミートグリルを分け合って食べていたら、いつの間にか窓の外は夜景に変わっていた。食後は岩盤浴やラウンジでゆっくりして、再び大浴場で汗を流してから施設を出た。
「夜だから帰り道空いてるね~~」
家までの二時間弱、車の中で大学のことや衣装合わせのことを話した。GWに前撮り、夏にリゾート挙式を予定している私たち。春休みには七海と森川君の結婚式もあり、おめでたいイベントが続く喜びに浮き足だっていたのだった♡♡♡
ーーーーーーー
今年のバレンタインも、南の手作り菓子を貰ってハッピー×∞だ♡♡♡ 結婚式の準備も順調に進んでいて、春休みの衣装合わせが既に楽しみである♡♡♡
「はい、ホワイトデーのプレゼント♡♡♡」
「えっ!?コレって……」
お祭りの前日に百合子さんのストーンショップで見つけた可愛らしいネックレスを渡した。青白い光が浮かび上がる乳白色の石が使われていて、一目で南にピッタリだと思い、こっそり取り置きして貰っていたのだ。
「南、あの時気に入ったけど買わなかったでしょ?」
「うん……結構いいお値段してたから……」
ケースを開けて中身を確認した南は、ネックレスを見るなり目を丸くしてこちらを見つめた♡♡♡
「嬉しい……ありがとう♡♡♡」
ネックレスを身に付けた南は女神様のように美しくて、やっぱり取り置きしておいて良かったと心から思ったのだった♡♡♡
「ゔわぁぁ~~可愛い可愛い可愛いッッ!!♡♡♡ 世界一綺麗な花嫁さんだよぉぉ~~~ッッ!!♡♡♡♡」
「やっぱり南にはAラインのドレスが似合うわねぇ~~♡♡♡」
「ねぇねぇ次このドレス着てみてよ♡♡♡」
「蓮!ママ!選べる衣装は二着だけだからね!?」
どこかお疲れ気味の南がそう叫んでいたけど、着せたいドレスが次々と目について止まらない♡♡♡ それは母さんも同じのようで、ウッキウキでドレスを選んでいた♡♡♡
「あ゛あぁぁカラードレスは何色が良いかな?♡♡♡ 俺的にはピンクが良いんだけど、ブルーも似合いそうだよね♡♡♡」
コーディネーターさんが南の肌色にはブルー系が似合うと言っていたけど、俺と母さんが選んだ色んな色のドレスを合わせた♡♡♡
「あれだけ試着しても決まらんってどーゆーこと!?」
「だって渾身の一着を選びたいじゃん♡♡♡」
俺の衣装は南のドレスが決まってからサクッと選べば良いとして、南に着せたいドレスが多過ぎて決まらず、次回の打ち合わせに持ち越しとなった。それも全て、何を着せても世界一綺麗な南のせいだ♡♡♡
春休み最終週の大安吉日、旧邸宅をリノベーションした結婚式場に招待された。南は何年か前に俺と母さんが選んだピンクのカクテルドレスを着ていて、やっぱりピンクもよく似合うなぁ~~♡♡♡と思いながらニヤニヤしていた♡♡♡
「思ってたよりめっちゃ広くない!?」
「プランナー育成の施設じゃなかったっけ??」
どうやら秋頃に本格的に結婚式場としてオープンするらしく、それまではプレオープンとして新人スタッフで運営する方向らしい。神前挙式もチャペル挙式も備えており、広いテラス会場や日本庭園、モダンなブライダルサロンでは集まった招待客が談笑していた。親族婚と聞いていたけど明らかにお家のお仕事絡みの人たちもいて、大病院の跡取り様となった森川と七海ちゃんの苦労が偲ばれた。
「お久しぶりです~~♡♡♡」
「天音君♡♡ 合格おめでと~~♡♡♡」
志望校に無事合格した天音君とフリースクールへの就職が決まっている司君が到着し、しばらく経って椿と相川、亜耶とRYOがサロンに到着した。
「見て見て♡♡♡ 僕たちの結婚指輪♡♡♡」
「わぁ~~……彫が細かい♡♡♡ さすがSYOさんだね~~♡♡♡」
俺たちの結婚指輪も作ってくれたジュエリーデザイナーのSYOさん渾身の作らしい。指輪に嵌め込まれた宝石が、椿と相川の左手薬指で輝きを放っていた。俺たちも折を見て貴金属で作って貰おう♡♡♡
「七海キレイ~~♡♡♡」
「森川ガッチガチなんだけどw 」
式場に案内されて順番に腰掛け待機していると、紋付袴の森川と色打掛けの七海ちゃんが式場に入ってきた。神職による祓詞が奏上され、盃を交わし、指輪の交換をして、森川が誓いの言葉を奏上した。
式が終わり、中庭で集合写真を撮った後再びウエディングサロンに案内された。その後スタッフさんの呼びかけで、中庭に隣接した披露宴会場に案内された。マジックボックスが普及したおかげで季節問わず屋外スペースを有効活用出来るようになり、開け放たれた扉の奥、中庭のデッキには七海ちゃんが描いたアート作品が飾られていた。周りの空間には例のプロジェクターが使われているのか、空を錦鯉が泳いでいた。錦鯉のデザインも七海ちゃんが行ったらしい。招待客も会場や屋外に映し出される映像やアート作品をウットリと眺めていて、さすが七海さんねという称賛の声が聞こえてきた。
中庭からタキシードに着替えた森川とウェディングドレスに着替えた七海ちゃんが歩いてきた。七海ちゃんはレースをふんだんにあしらったプリンセスラインのドレスを着ていて、いつもはお団子で纏めている髪は綺麗に巻かれてハーフアップになっていた。
「うわぁぁ~~♡♡ 七海キレイ~~♡♡♡」
「ああいうドレスも良いな……♡♡♡」
既に感極まった様子の森川を七海ちゃんが宥め、二人が席に着いたと同時にノンアルコールシャンパンが注がれた。病院の大株主であり、こちらの式場のオーナーでもある男性の音頭で乾杯すると、順番に料理が運ばれてきた。
「意外!!美味しい!!」
「流石に料理人は新人スタッフじゃねぇだろ」
和モダンフレンチのコースをいただいている間にプロフィールムービーが流れ、小さい頃の二人の写真から旅先で撮った写真、二人や両家両親のコメントなどが流れた。
「ゔぅぅ~~……七海……」
「馴れ初めのところだいぶ端折ったなw 」
「そらストーカーに付き添って~~なんて言えんだろw 」
「……ちょっとよく聞こえないなぁ~~」
南が感動して泣いている横で、椿と亜耶が軽口を言い合っていた。思えば色々あったな……と感慨深い気持ちになりながらムービーを鑑賞した後は、新郎友人代表の相川と、新婦友人代表の南がそれぞれ祝辞を述べた。森川の友人たちが品定めするような目で南を見ていたのは腹立たしかったが、祝いの席なのでグッと堪えた。椿がピアノの前に座って亜耶とオリジナルのウエディングソングを歌い、相川とRYOも静かに殺気立っていたけど、新郎新婦のリクエストだから俺と同様グッと堪えていた。そう言えば中学の時に二人からラブソングを歌って貰ったカップルは幸せになれるとかいう噂があったな。
二人がいったん中座してお色直しに向かった後、七海ちゃんの大学の友人らしき三人と森川の友人らしき四人が此方の席に来た。
「ギャァァーーーーッッ!!椿ちゃんに触るなッッ!!」
祝いの席だからとみんなが堪えて愛想笑いしていたのに、スピーチの時は完璧貴公子だった筈の相川が真っ先に発狂した。ユー◯ューバーでもある亜耶とRYOは、ファンだという七海ちゃんの友人たちと記念撮影していて、人気商売も大変だと思いながら見ていた。
「意外だな……」
「七海、攻めたね……」
夜空を思わせる濃い紫にシルバーのストーンが散りばめられたカラードレスは、いつもの優しげな七海ちゃんのイメージとは違って、すごく大人っぽく、色っぽく見えた。おそらくお義母さんセレクトだろう。嫁の魅力は誰よりも分かってますと言いたげな義母さんを微笑ましく思いながら、二人に拍手を送った。
新郎新婦の手紙朗読が始まり、二人は両家両親への感謝を述べた。会場中が感動に包まれ、手紙も締めに入った頃……
「最後に私たちから、森川家のお義父さんお義母さんに伝えたいことがあります。実は今日、お二人に会わせたい人がいるのです。昭一お義兄さん、どうぞお入りください!」
七海ちゃんがそう言うと会場の扉が開き、そこには出奔したはずの森川のお兄さんが立っていた。
「昭一!!?」
「あなた一体今までどこに!?」
昭一さんは会場に向かって頭を下げると、ご両親に歩み寄った。
「俺、家を出てからずっとエイユウさんの村にお世話になってたんだ。でもAKITOの繋がりで七海ちゃんと昭二に再会して……話を聞いて驚いたよ。まさか二人がちゃんと子供の話を聞ける人になってたなんて……」
ご両親のエピソードは時々森川の愚痴で聞いていた。七海ちゃんの絵が切っ掛けで和解して、無事結婚の運びになった訳だけど、一時期は七海ちゃんが結婚を渋るほどだったのだ。
「俺も諦めずにもっと対話すれば良かったって、英雄さんたちと村で暮らしてて痛感したんだ。俺には経営の才能は無い。それでもやっぱり俺は、医療で人を助ける仕事がしたいよ」
昭一さんの言葉にお義母さんは泣き崩れ、お義父さんも静かに涙を流していた。会場は割れんばかりの拍手に包まれ、その後の両家の父親の挨拶はグダグダだったけど、みんなは温かい目で見守っていた。
「一番美味しい所をお兄さんに持って行かれちまったなw 」
見送りの際椿が二人にそう言うと、二人は満遍の笑みを浮かべて「これでいいのだ♡」と言った。
「自分でも早く結婚式しなきゃ~~って焦ってたのが不思議だったんだけど、AKITOさんとの打ち合わせでエイユウさんの村に行った時お義兄さんに会って、そういうことかーーって腑に落ちたんだよね♪」
七海ちゃんが結婚式を挙げたかったのはお義兄さんのためだったという。出来た嫁に感動している森川は、泣き過ぎて目が腫れていた。
「ずっと式の準備と個展の準備で忙しかったから、ハネムーンはゆっくりダラダラするんだ~~♡♡♡」
二人は今夜から一週間ほど、新婚旅行に出掛ける。南の島の水上コテージに宿泊するそうだ。
「相川が口利きしてくれて、破格で予約してくれたんだ♡♡♡」
「よっっ!!ATM!!」
「一番使って欲しい椿ちゃんはあんまり使ってくれないよね……」
「バカヤロォ!!私だってそれなりに稼いでるんだよ!!」
ワチャワチャしながら引き出物をいただき、近くの駐車場に停めていた車に乗った。他のみんなもそれぞれ車で来ているそうだ。
車で空港まで移動して、相川の一族が経営しているホテルのラウンジで見送りまでの時間を過ごした。
「北の列島は見事な火山がいっぱいあるんだぜ~~☆」
「流氷も凄くってね~~……」
亜耶とRYOの旅での話を聞きながら軽食を摘んでいたら、式を終えた七海ちゃんと森川がやって来た。
「本日の主役ご登場~~!!」
「感動の演出でしたよ♡♡♡」
みんなでお喋りしているうちに、出国の時間が迫ってきた。出国ゲートで二人を見送った後、ホテルのレストランでディナーをした。亜耶たちは暫くこっちにいるそうだけど、椿たちは蜻蛉返りするそうだ。
「まあ言っても来月から夏休みが始まるんだが」
「あ、そっか!もうそんな時期なんだ。私たちが二年になったばっかなのに二人は夏休みが終わったら三年になるんだね~~」
「半年早く入学してるからな」
夕食後、それぞれ家路に着き、引き出物を確認した。カタログギフトと共に入っていた手作りクッキーにはメッセージカードが差し込まれていて、二人の似顔絵にも見える顔が描かれていた。金太郎飴みたいな作り方をしたのだろうか。だとしたらすごい技術だ。
ソファーに腰掛け、南とカタログを眺めながら、二人の末永い幸せを願ったのだった。
ーーーーーーー
「海青ーーい!!♡♡♡」
飛行機とボートを乗り継いで、現地時間のお昼頃に辿り着いた南の島の水上コテージ。幼い頃から憧れ続けた南半球のビーチリゾートである♡♡♡
ウェルカムドリンクをいただきながらホテルの説明を受け、案内された番号のコテージに向かった。
オープンしたばかりの水上コテージは40平米ほどの部屋の中にキングサイズのベッド、ソファー、バスタブ、パウダールーム、ミニバーがあり、奥にクローゼット、トイレ、シャワールームがある。バルコニーの手前の床はガラスパネルになっていて、海の中が透けて見えた。天井はピラミッド型になっていて、背の高い昭二君も開放感があると喜んでいた。バルコニーに出ると正面に海水プールがあり、ラウンジチェアとダイニングセットも完備である。プールの横には海に降りる梯子があって、いつでも海水浴が出来る。部屋からは島の中心に聳え立つ山を眺めることが出来、あまりの景色の美しさに眩暈がしそうだった。
「早速泳ごう!!♡♡♡」
「え?まだ荷解きが……うわッッ!!?」
戸惑う昭二君の腕を引っ張り、海に飛び込んだ♡♡♡
「キャーーッッ♡♡♡ サイッコーー!!♡♡♡」
「七海ぃぃ~~……」
服を着たまま海に引き摺り込まれた昭二君は不満の声をあげていたけど、なんだかんだで楽しそうだ♡♡♡ 透明な海で泳いだ後、軽食をとるべくレストランに向かった。
砂浜を歩いて案内されたテーブルに腰掛け、ハンバーガーとピザを注文した。注文は全て昭二君がしてくれて、私は横で笑っているだけで良かった。私も一応喋れるけど、昭二君の堪能な語学力に惚れ直してしまったのだった♡♡♡
食後は敷地内にある自転車に乗って、近場を見て回った。心地良い風を感じながら、ビーチの間にある舗装された道を走った。
サイクリングの後はインストラクターさんに着いてもらい、スタンドアップパドルボードのアクティビティを楽しんだ。運動神経抜群の昭二君は簡単にボードの上に立っていたけど、私は何度か海に放り出されてしまった。
「いいなぁ昭二君は……運動神経良くて……」
「七海だって最後の方はそれなりに漕げてたじゃないか♡♡♡」
「スイスイとはいかなかったもん……あーあ!これで子供の運動神経が良かったらますます肩身が狭くなっちゃうよ」
「なななな七海ッッ!!……その……今夜は……♡♡♡」
昭二君が言わんとすることが分かってしまった私は、腕を引っ張って耳元で囁いた。
「ナマでもいいよ……♡♡♡」
「ん゛ふうぅぅぅッッ!!♡♡♡♡」
「あ、でも実際に妊娠するのは半年以上先だと思うよ?」
私がそう告げると、昭二君は目を瞠ってこちらを見てきた。
「予言ってことか?」
「まあ、そんなもんですよ♡♡♡」
女性総理の尽力のおかげで某省庁が解体され、積極財政の一環として子供一人当たり毎月10万支給されることになった。今後支給額は段階的に上がっていくそうだ。他にも福祉面の充実や減税の効果で、最早若い世代の間では「産んだ方が得」という認識が広がり始めている。宇宙由来の魂を受け入れるために、我が国のシステムが変わったのだ。
「ねぇねぇ昭二君、お洒落なバーがあるよ♡♡♡」
「七海……」
ラグーンと中央の山々が眺められるデッキでカクテルを楽しみながら夕日をぼんやり眺めていると、スタッフさんが話しかけてくれて、アクティビティやレストランなど、島の色んなことを教えてくれた。
スタッフさんによると、フリーエネルギーの普及は着実に進んでおり、高級リゾートの電力は殆どフリーエネルギーで賄っているとの事だ。希望すればマジックボックスの貸し出しもしてくれるそうである。
夕食はフレンチダイニングでいただいた。F国領であるこの島は食のレベルも高いと評判だ。地元素材を使った料理をいただきながら、やっぱり食に関しては我が国が最高だと思った。
食後はビーチでダンスショーを観て、夜は星空を眺めながら海にプカプカ浮かんだ。
「夜の海は危ないからプールにしなさい」
「は~~い♡♡」
プールでダラダラしていたら昭二君がシャンパンを注いでくれて、二人で乾杯した。南や椿程ではないけど、私たちもそれなりにお酒は好きなのだ。
シャワーで海水を流し、ベッドにダイブすると、切羽詰まった顔をした昭二君が覆い被さってきた♡♡♡
「いつまで焦らすつもりだ……?」
「え~~?昭二君が勝手に焦らされてるだけでしょ?♡♡♡」
敢えて惚けると、昭二君はニヤリと笑った。
「そうか、七海は激しくされたいんだな?♡♡♡」
「そぉだよ?♡♡ だって初めてのナマセックスだもん♡♡♡」
私がそう告げると、昭二君は苦しそうな顔をしてバスローブを脱がせてきた♡♡♡ 昭二君は私の身体中にキスの雨を降らせ、足を開いてクンニをしてきた♡♡♡
クチュ…クチュ…
「あっ…♡ んん~~っ…♡ くぅん…♡ ふぅん…♡」
きっと昭二君だって早く挿れたいだろうに、丁寧に愛撫してくれる♡♡♡ なんて素敵な旦那様だろうと思いながら、昭二君の愛撫に追い詰められていった♡♡♡
「はぁん…♡ はぁん…♡ もぉトロトロだよぉ~~……♡♡♡ 」
イッてもイッても止めてくれない昭二君に溶かされて、すっかりトロントロンになってしまった♡♡♡
「そろそろ良いか……?♡♡♡」
「早くぅ……♡♡♡」
いつもだったら即ハメしてるのに、昭二君にとっても今夜のセックスが特別なのだと伝わってくる♡♡♡ 昭二君の亀頭が何度かスジに合わせて上下した後、ゆっくり進入してきた♡♡♡
ズプ…ズプ……
「あぁぁ~~ッッ♡♡ ダメダメダメッッ!?♡♡♡ ゔわぁぁ気持ち良すぎるぅぅーー~~ッッ!!?♡♡♡♡」
「ぐあぁぁッッ!?♡♡♡ 何だこれはッッ!?♡♡♡ 気持ち良すぎるッッ!!♡♡♡ 幸せ過ぎるぅぅーー~~ッッ!!♡♡♡♡」
今まで数え切れないほどしてきたセックスでも十分過ぎるほど気持ち良かったのに、ナマセックスは別格だ♡♡♡ 子作りがここまでの快楽を伴う行為だとは知らなかった♡♡♡
ズチュズチュズチュズチュズチュズチュッ…
「あ゛あぁぁ待って!?♡♡♡ あ゛あぁぁあぁぁ気持ちいいッッ……あ゛ッッ…あ゛ッッ…あ゛あぁぁあぁぁぁッッ!!♡♡♡♡」
「ごめん七海ッッ!!♡♡♡ 止まれないッッ!!♡♡♡♡ 気持ち良過ぎて腰が止まらないッッ!!♡♡♡♡ あ゛あぁぁ最高だッッ!!最高過ぎるッッ!!♡♡♡♡」
私だって止まれない♡♡♡ でも気持ち良過ぎて怖い♡♡♡ でもやめないで欲しい♡♡♡ 沢山の矛盾の濁流に押し流されて、思考がぐちゃぐちゃになってしまった……♡♡♡
グチュングチュングチュングチュングチュンッ
「お゛ッッ♡♡ お゛ッッ♡♡ お゛ッッ♡♡ しょーじくんもぉイきそぉ~~!!♡♡♡♡ お゛おおぉぉッッ!!♡♡♡♡ いぐぅぅーー~~ッッ!!♡♡♡♡♡ んぎゅううぅぅッッ!!♡♡♡♡♡」
「あ゛あぁぁもう保たないッッ!!♡♡♡♡ イクよ七海ッッ!!♡♡♡♡ 愛してる愛してる愛してる愛してるッッ!!♡♡♡♡♡ あ゛あぁぁあぁぁ出る出る出る出るぅぅーー~~~ッッ!!♡♡♡♡♡」
ビクビクビクビクッ…ビクッ…ビクッ…ビクッ…
ドビュルルッ!ビュルビュルビュルビュルッ…
昭二君……昭二君のザーメン……精子……膣奥にいっぱい……♡♡♡ 子宮が昭二君の精子で満たされてる……♡♡♡ 始まっちゃう……カラダの作り替えが始まっちゃう……♡♡♡
昭二君の赤ちゃんが産めるカラダに作り替えられちゃう……♡♡♡♡
「お゛おぉぉおぉぉッ……ぎもぢぃ~~……♡♡♡♡」
「はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ はぁっ♡ なんだコレは……幸せ過ぎる……ッッ!!♡♡♡♡」
私たちは過ぎる快楽にいっぱいいっぱいで、ただ必死に抱き締め合っていた……♡♡♡
「んふふ♡ オナホになった気分……♡♡♡」
「言うに事欠いて……ッッ♡♡♡」
率直な感想を口にすると、少し悔しそうな顔をする昭二君。上手く説明出来ないけど、やっと昭二君のモノになった実感が湧き上がってきたのだ♡♡♡
挿れたまま見つめ合って、口付け合って、そうこうしてるうちに昭二君の昭二君がまた大きくなってきて……♡♡♡
「このまま……いいか……?♡♡♡」
「何度でもいいよ……?♡♡♡」
その夜、初めて抜かずに二回目をしたのだった♡♡♡
「うわぁ~~……すっごく出てくる……♡♡♡」
「うぅ……すまん七海……こんなに出たのは初めてだ……♡♡♡」
二回分の精液が、膣口からドロドロと垂れてくる♡♡♡ 会陰を伝う感触が気持ちいい♡♡♡
「ふふふ…♡ ママになる準備、出来ちゃった♡♡♡」
「七海ッッ♡♡♡ このぉぉ~~!!♡♡♡♡」
勢い良く覆い被さってきた昭二君に首筋やおっぱいを吸われて、再び子宮が熱くなった♡♡♡
「もう一回だ……♡♡♡」
「うん……シよ……?♡♡♡」
それからも抱き締め合ったり、私が上に乗ったりして、何度も何度も愛し合ったのだった♡♡♡
「ハネムーンベイビー狙ってたんだがなぁ~~♡♡♡」
「なんかごめんね?」
「いや、良いんだ。種付けセックスを続ける言い訳になる♡♡♡」
私に降りてきたビジョンでは、あと半年ほど身体の作り替え期間が続く。何度も何度も昭二君の精子を受け入れて、染み込ませて、自分の畑を肥やしていくのだ♡♡♡
「無責任種付けセックスいっぱいシてぇ~~♡♡♡」
「んむっ!?♡♡ コラコラ、無責任じゃないぞ~~?♡♡♡ 愛情たっぷり種付けセックスだ♡♡♡♡」
夢中でキスをしていたら、いつの間にか空が白み始めていた♡♡♡
「朝ごはん美味しい~~♡♡♡」
「南の島らしいメニューだな♡♡♡」
朝食はビュッフェ形式のレストランでいただいた。開放感のあるガラス張りの半屋外レストランには、パンやシリアル、フルーツや温かい肉、魚料理などがあった。
朝食後はホテル内にあるダイビングセンターに向かった。インストラクターさんの説明を受けてボートに乗り、ダイビングスポットに移動した。
ボートからの眺めも最高で、どこまでも続くエメラルドブルーの海に見惚れていたら、ダイビングスポットに着いていた。
ダイビングスーツや酸素ボンベを身に付けて、指示された通りに飛び込むと、視界いっぱいに海中の絶景が広がった。
ロープを伝ってゆっくりと潜水すると、鮮やかな魚たちの群に遭遇した。感動のあまり昭二君を見ると、昭二君もまた目を見開いて私を見ていた♡♡♡
慣れてくると昭二君と手を繋いで泳いだり、魚たちと戯れたり出来るようになり、その様子をインストラクターさんが撮影してくれた。少し場所を移動すると、マンタが優雅に泳ぐ姿を観察することが出来た。
海の底から見上げる太陽の光は、いつかの私が見た光景だった。そしてもうすぐ、私たちの赤ちゃんが目にする光景でもあるのだ。生命の循環を感じながら昭二君の手を取り、南国の海を泳いだ。
「めちゃくちゃ綺麗だったな♡♡♡」
「うん♡♡ 一生の思い出だね♡♡♡」
滞在中にもう一回ダイビングしたいねと話していたら、いつの間にかボートはホテルに戻った。
「ロブスター美味しい~~♡♡♡」
「独特の味付けだが美味い♡♡♡」
ホテルでゆっくりしてからボートを出していただき、対岸のレストランでランチをいただいた。ロブスターとサラダ、山盛りのポテトが乗ったお皿とマグロの刺身とライスが乗ったお皿を分け合って食べて、ゆったりと流れる時間を過ごした。
レストランの近くにあるマーケットで飲み物や軽食を購入して、ボートに乗ってホテルに帰った。
「七海は泳ぐのが大好きなんだな♡♡♡」
昭二君はホテルに戻ってからずっと海で泳いでいる私を見下ろし、可笑しそうにそう言った。
「だって海が気持ち良過ぎるんだもん♡♡♡ さっきウミガメもいたんだよ♡♡♡」
私がそう言うと、昭二君はTシャツを脱いで海に飛び込んできた♡♡♡
「俺とのセックスより気持ちいいか?♡♡♡」
「ばかぁ……♡♡ 変なとこ触らないでよッッ♡♡♡」
海の中で内股を撫でる昭二君に思わず噛み付いて、そのまま深くキスを交わした♡♡♡
ホテルの敷地内を散策してから、バーでドリンクをいただいた。山に沈んでいく夕日を見つめながら、帰ったらこの光景を絵にしようと決めたのだった。
夕食は朝食をいただいたレストランでとった。テラスでいただいていたら突然ショーが始まり、音楽に合わせてダンサーさんが妖艶なダンスを踊っていた。いつの間にかお客さんも一緒になって踊っていて、私と昭二君も見様見真似で踊ってみた。
「普段こんなに激しく腰振りすることなんて無いよね~~」
「俺に跨って振ってるじゃないか♡♡♡」
「も~~っっ……昭二君エロ親父みたいだよ?」
そう告げると、昭二君は心外という顔をしていた。
「あ、スコール……」
ここでは時々スコールが降る。通り雨というやつだ。雲が晴れると星空が現れ、南十字星がよく見えた。そう言えば去年、南たちが南十字星を見に行ったって言ってたな。
「七海……そろそろシようか……♡♡♡」
「ここでシたいって言ったら……引く……?」
「声を抑えることが出来たら良いよ♡♡♡」
私はデッキチェアの上で大股を開き、そのまま昭二君を受け入れたのだった♡♡♡
「結局大声出しちゃった♡♡♡」
焦った昭二君が唇で塞いでくれたけど、ナマちんぽでアクメしたら声を抑えられる筈がない♡♡♡
「今夜もいっぱい出してくれてありがとう♡♡♡」
「んぐっっ!!俺の奥さん可愛過ぎるぅぅ~~!!♡♡♡」
お腹の中に昭二君の温もりを感じながら、大きな昭二君の身体に寄り添って眠りについた……♡♡♡
ーーーーーーー
「おはよぉ昭二君……♡♡♡」
俺の腕に収まる寝ぼけ眼の七海に、朝から愛しさが爆発してしまう♡♡♡
ようやくここまで来た……名実共に七海は俺の妻になったんだ!!♡♡♡
冬休み、七海に着いて「エイユウさんのみんなが笑って暮らせる村」を初めて訪れた時、畑で芋掘りをしている兄貴に遭遇した。
「あっっ!!兄貴!!!?」
「昭二!!?」
逃げ出そうとする兄貴を取り押さえてくれたのは、七海が尊敬する壁画アーティストのAKITOだった。AKITOは俺と同じくらい背が高く、頭ひとつ小さい兄貴はあっという間に捕まっていた。
俺と七海から両親の話を聞きながら、それでも訝しげな兄貴。気持ちは分かる。なにしろ母さんが七海の限界オタクになる前は、俺たち子供は病院を運営するための駒だったもんな……。
「お前さん、昭一の弟かえ?よ~~似とるわ。今夜は嫁さんと一緒に泊まってけ~~?」
「ちょっとミズエ婆さん!?」
ミズエ婆さんと呼ばれたお婆さんのお言葉に甘え、七海が商店街で仕事をしている間、俺はエイユウさんの村でお世話になった。その間俺と兄貴は色々な話をした。家のこと、病院のこと、医者という仕事について……家にいた時ですらこんなに話したことは無いくらい、初めて色んなことを話した。そして七海や村の住人も交え、結婚式のサプライズを決めたのだった。
朝食後、ホテルをチェックアウトしてボートに乗り、ヘリに乗り換えて近くの島に向かった。
「ハート型だぁぁ~~!!♡♡♡」
ヘリの中から大喜びでハートの島を眺める七海♡♡♡ 環境保護の観点から人の出入りを厳しく管理しているらしく、眼下には手付かずの大自然が広がっていた。
「新婚旅行らしいこともしておきたかったからな♡♡♡」
「一生の思い出だね~~♡♡♡」
天気も良く、ラグーンの美しいブルーを堪能した俺たちは大満足で遊覧飛行を終え、本日からお世話になるホテルに向かった。
「水平線綺麗だね~~♡♡♡」
南太平洋に向かって建つホテルのロビーラウンジは一部床がガラス張りになっており、海を真下にウェルカムドリンクをいただいた。バギーに乗ってホテル内を案内され、七海は辿々しい言葉でスタッフさんと話していた。超可愛い♡♡♡
ホテルの敷地内は標高差があり、小高い丘の上から水上コテージまで、幅広く景色を楽しむことが出来た♡♡♡
「お部屋広いね~~!!♡♡♡」
昨日までのホテルは海と山が見えていたが、今日のホテルは水平線が広がっていて、いずれも絶景である。ベッドの横にはソファーがあり、後ろにバスタブとシャワールーム、パウダールームとトイレがある。広いクローゼットからも海が眺められ、ミニバーにはコーヒー紅茶、シャンパンやミネラルウォーター、冷蔵庫にも色々なドリンクが入っていた。バルコニーには2ヶ所にネットが張られており、横にデッキチェア、一段下がって海に繋がる桟橋があった。
「キャーーーッッ!!♡♡♡」
「やっぱり飛び込むのかッッ!!?」
ワンピースを脱いで水着になった七海はやはりそのまま海に飛び込み、俺も慌てて後を追った。
ビーチ沿いのプールバーで南国風カクテルと軽食をいただき、丘の上にあるスパに行った。海や水上コテージが一望出来る部屋で七海と一緒にトリートメントを受け、花びらが散りばめられたバスに浸かった。
「こんなところにチャペルがあるんだな……」
スパの近くに、海を一望出来る素朴な教会があり、厳かな雰囲気を醸し出していた。
「なあ七海……本当に神前式で良かったのか……?」
母さんの強い規模で神前式になったけど、本当はチャペルで結婚式を挙げたかったのではと思っていたのだ。
「ええ~~!?今さら何?寧ろ神前式以外あり得ないくらいに思ってたけど??」
「そうか……母さんに押し切られたのかとばかり……」
「あははw ないないw でもチャペルも良いね……いつかチャペルで結婚式しよっか♡♡♡」
その素晴らしい提案に俺は大きく頷き、今度はどんなドレスを着てもらおうかなどと考えていた♡♡♡
ゴールデンアワーの空の下、俺たちは未来の約束をして抱き締め合った♡♡♡
「中華うまぁぁ~~い♡♡♡」
施設内のレストランで、南国仕様になったお馴染みのメニューをいただいた。チャーハンの米が食べ慣れないものだったけど、コレはコレで美味しい。
ビーチに出るとちょうどファイヤーショーをしていた。ショーを観ながらカクテルを飲み、贅沢な夜を過ごした。
「面白い寛ぎ方だな……」
「え?このネットってゴロゴロするための物じゃないの?」
デッキにあるネットをハンモックのように使う七海。俺も七海に倣い、もう一つのネットに寝転がって晴れたり雲に覆われたりと忙しない夜空を眺めた。
「雨季の終わり頃だから、天気が不安定だね」
「ここに亜耶がいたらどうなるんだろうな?w 」
「前に聞いたんだけど、椿と亜耶が雨季のビーチリゾートに行ったら、滞在中引くほど快晴だったんだってw 」
「祝福なのか呪いなのか……」
異常な晴れ男と晴れ女のエピソードを聞きながら、雲の隙間から見える星を眺めた。やはり光源が少ないせいか、星空が別格に綺麗だ。そう例えばあの点滅している三つの星とか……
「ん!?点滅!?」
「三つ子のUFOだぁ~~♡♡♡」
星に見えた三つの光は、揃ってゆっくり南の空に移動し、やがて消えた。近年やたらとUFOを見るような気がする。
「そろそろ宇宙から魂が降りて来るからね~~……色々見定めてるんだろうね~~」
「ってことは俺たちには三人の子供が……?♡♡♡」
「さあ~~……どうだろうね~~♡♡♡」
「んんん頑張って仕込むぞ~~!!♡♡♡」
持ち上げてベッドに押し倒すと、七海は嬉しそうに悲鳴をあげた♡♡♡
「あ゛んッッ♡♡ あ゛んッッ♡♡ あ゛んッッ♡♡ あ゛んッッ♡♡ あ゛あぁぁんもぉイッちゃうイッちゃうイッちゃうッッ!!♡♡♡♡ イッ…ぐぅぅぅ〰︎〰︎〰︎ッッ!!♡♡♡♡♡」
「お゛おおぉぉ出る出る出る出るッッ!!♡♡♡♡ う゛お゛おぉぉ〰︎〰︎〰︎ッッ!!♡♡♡♡♡」
脈動する七海の膣内に放つ。いつもしていることなのに、ラテックスの膜一枚無いだけでこんなにも七海を近くに感じる♡♡♡ 俺たちは二人で一人なんだと強く思いながら、自分が出したモノを擦り付けるように腰を揺すったのだった♡♡♡
予約していた時間に、船で朝食を運んでいただいた。ダイニングセットに並べられたフレッシュな朝食を七海といただき、優雅なひとときを過ごした。
朝食後は、ボートに乗って近くの小島へピクニックに向かった。途中沖に出てシュノーケリングをした時、サメの群れに遭遇した。サメの群れと泳ぐ七海をマーメイドのようだと見惚れていたら、イルカがこちらに向かって泳いできた。イルカは七海の周りをぐるぐる回った後、背中を擦り付けて去って行った。
「めちゃくちゃ懐かれてたなw 」
「あはははw 何でだろうねw 」
あのような現象も、シャーマニックな感性の強い七海だからこそなのだろう。イルカは霊格が高いと聞いたことがあるし。
島の近くの海でもシュノーケリングをして、カラフルな魚や珊瑚を鑑賞した後、自然豊かな離島に上陸した。ビーチに用意されたBBQをいただき、地元の食材を味わった。
ピクニックの後はホテルに戻り、ビーチに並んでいたカヤックを借りて水上コテージの辺りを周遊した。
「和むねぇ~~……」
「最高だな……」
漂うように船を漕ぎ、空と海の青に癒された。
ビーチに戻る頃には陽が傾いており、島の西側にある港に辿り着いた頃には空が茜色に染まっていた。
「世界が生まれ変わるみたいだね……」
「そうだな……きっと良い方向に変わるさ。七海のおかげで兄貴が戻って来たようにな……」
「そんなこと……」
俺たち家族は七海のおかげで生まれ変わった。そして今度は俺が七海と新しい家族を作るんだ。感謝と新たな決意を胸に、水平線に沈む夕日を眺めたのだった……
「豚さん……美味しくいただくからね~~!!」
ビュッフェレストランにある豚の丸焼きに涙する七海。この島はF国領だから料理のレベルが高く、食で困ることは特に無い。豪快なグリルや新鮮な魚介類、フルーツなどをいただきながら、生歌やダンスのショーを楽しんだ。
「う~~み~~は~~広い~~な~~おおき~~いな~~♪」
クローゼットに置いてあったライフジャケットを着て、コテージの灯りに照らされた海を漂う七海。空を見上げると星々と弓のように細い月が輝いていて、南十字星もよく見えた。
海から上がった七海をバスタブに入れて、一緒に温まった。そのままバスルームで致してしまい、お湯に浸かりながら七海の中に放った♡♡♡
「か゛え゛り゛た゛く゛な゛い゛~~~~!!!」
「気持ちは分かるが……残りの日程は本島で過ごしたいと言ったのは七海だろう……」
朝食ビュッフェをいただいている時から七海の様子がおかしかったのだが、チェックアウトの時にとうとう乱心し始めた。嫌がる七海をボートに乗せ、ホテルスタッフさんに手を振られながら島を後にした。ボートの上でもグズグズ泣いていた七海だったが、空港から飛行機で本島の空港に到着する頃にはケロッとしていた。
ーーーーーーーー
泣きながら一番綺麗な島と謳われる島を離れ、本島の空港に辿り着いた。空港からほど近いホテルに到着する頃にはすっかりハイテンションに戻っていて、広いロビーに圧倒されながらチェックインした。
「こっちの景色もすごいよ昭二君ッッ♡♡♡」
「はははw 現金だな七海は♡♡♡」
ロビーラウンジからはプールと海が一望出来て、開放感抜群だ♡♡♡ 新設のホテルらしくどこもピカピカで、全体的にモダンな雰囲気だった。部屋はキングベッドのオーシャンビュールームで、パウダールーム、バストイレを仕切る引き戸がガラス戸だった。
道路を挟んで向かい側に大きめのショッピングモールがあった。連絡通路を通ってモールに行き、フードコートでペパロニを分け合って食べた後はテナントショップを見て回った。
近場を散策した後はホテルのプールで泳ぎ、プールバーでカクテルをいただいた。
「ん~~マイタイ美味しい~~♡♡♡」
昭二君のモヒートと半分こして飲んで、ほろ酔い気分で水上レストランに向かった。海に突き出すように建つイタリアンビストロのテラス席で、パスタやリゾットをいただいた。
「夕焼け綺麗だね~~♡♡♡」
「何時間でもいられそうな場所だな♡♡♡」
テラス席も空調が効いていて、とても過ごしやすい。夕陽が沈んでいく景色を眺めながら、ドルチェまでしっかりと堪能した♡♡♡
夜はプールサイドでゆっくりしながらD国から来たご夫婦とのお喋りを楽しんだ。お話を聞いていると、どこの国も反グローバリズムの政権の方がフリーエネルギーとの親和性が高く、女性総理大臣の主導でどんどんフリーエネルギーが導入されている私たちの国が羨ましいと言っていた。
エリックさんやカインさん、門脇さんたちのような自身の富を分け与える人たちの尽力により、本来なら十年以上かかるようなプロジェクトが一年ほどで次々と現実化している。一つのエコビレッジから始まったエネルギー革命が世界中に広まるのは、最早時間の問題なのだ。
「そちらの国も、来年には一般家庭に普及しますよ♡♡♡」
「どうして分かるの?」
「何となくです♡♡♡」
降りてきたビジョンでは、世界の混乱はあと二年ほどで落ち着きそうだ。今は今の技術に合わせたフリーエネルギーが主流だけど、これからは例えフリーエネルギーだろうが石油自体がマイナーなエネルギー源になっていく。鍵は石と音らしいけど、難しい話は私には分からない。
「良い未来が早く訪れるように、一緒に祈りましょう♡♡♡」
「貴方たちの国は、本当に祈りの国なのね……」
奥様は感心したようにそう呟いた。ご夫婦と別れて部屋に戻り、バルコニーで乾杯しつつお喋りを楽しんだ♡♡♡ そのままどちらからともなく唇を寄せて、ベッドまで運ばれた……♡♡♡
「ハァッ…♡ ハァッ…♡ ハァッ…♡ 今日も全部奥で受け止めてくれてありがとう……♡♡♡」
「昭二君も……たくさん出してくれて、ありがとう……♡♡♡」
中に出されるようになってから、肌の質感や化粧ノリが明らかに変わった♡♡♡ 自分の身体が作り替えられている喜びと気恥ずかしさを感じながら、昭二君の胸に顔を埋めたのだった♡♡♡
朝食は夕食と同じ水上レストランのビュッフェをいただいた。屋内も全面ガラス張りで、まるで海に浮かんでいるかのような空間だった。朝食後はレンタカーを借りて、島内を一周することになった。
「滝でっかぁ~~い!!♡♡♡」
「なかなか迫力の景色だな♡♡♡」
海沿いの道を走って辿り着いたのは、断崖絶壁から勢い良く水が流れる滝だった。20分ほど歩き、三つの滝を全て見学した後は、海岸沿いの道を走って植物園に向かった。
「ト◯ロがいそうな山だ……」
亜熱帯の植物を眺めながらハイキングをして、滝を眺めたり海を眺めたりと程良く運動をした。島の南の方は自然豊かで、ハイキングコースやビーチが点在していた。
「妊婦さんの石像だ♡♡♡」
インストラクターさんの説明を受けながら、石像や祭壇跡を見て回った。
遺跡から車で少し走ったところに諸島の博物館があった。海洋民族ならではの展示品の数々を見学し、近くのビーチレストランでランチをした。
「近くの島が見えるね~~♡♡♡」
「こっちの海もなかなか綺麗だな♡♡♡」
ゆったり流れる時を感じながらカジュアルフレンチをいただき、食後はビーチを散歩した。
「ピアス可愛い~~♡♡♡」
路上ミュージシャンの軽快な音楽を聴きながら繁華街を街ぶらして、ローカルな雰囲気を楽しんだ。マルシェには野菜や果物、お惣菜などの食品エリアと、工芸品やアクセサリー、生花やブラックパールなどのエリアがあった。昭二君は私にブラックパールのピアスを買ってくれて、お義母さんにはブローチを購入していた。
道路沿いにあるパレオのショップには手染めや手書きのカラフルなパレオが所狭しと並んでいた。
「綺麗~~♡♡♡」
「良く似合うよ♡♡♡」
店員さんに着方を教えていただき、気に入った柄のパレオをお土産用も合わせて数枚購入した。
街の至る所にウォールアートがあり、芸術性の高い国民性だなと思いながら見て回った。
途中食べ歩きをしながら街を歩き、荷物を置きに一旦ホテルに帰った。
港の公園は夜になると屋台が集まってきて、人々の憩いの場になる。停泊している豪華客船を眺めながら、シーフードやグリルをいただいた。
「NANAMI!?」
地ビールで乾杯してたら、急にカタコトで名前を呼ばれて吃驚した。振り返ると中学生くらいの女の子がいて、ユー◯ューブ見ました的なことを言っていた。私自身は時々SNSで個展の情報を発信するくらいなのだが、亜耶や小野寺社長のユー◯ューブに出ているせいか、たまーに声をかけられるのだけど、まさかこんな遠く離れた南の島で声をかけられるとは思ってもみなかった。
語学が堪能な昭二君に通訳して貰いながら女の子とお話しをした。女の子はパレオに絵を描く仕事をしているらしく、いつか留学して絵の勉強をしたいと言っていた。AKITOさんとコラボした壁画をべた褒めしてくれて、SNSを検索しまくって私の作品の画像をスクショしていると言って笑っていた。
女の子のアカウントをフォローして一緒に写真を撮り、お互いのSNSにアップした後、手を振って別れた。
「七海は有名人だな……誇らしいのに、焦りも感じるよ……」
「私、昭二君のそういう素直なとこ大好き♡♡♡」
世の中には劣等感を隠して相手への攻撃に走る夫もいる中で、つくづく私は旦那様に恵まれたな~~と思う。
「昭二君は未来の医療に希望を齎す人なんだから、今出来ることを精一杯頑張って♡♡♡」
「うん……七海にそう言って貰えると、頑張ろうって思えるよ♡♡♡」
昭二君に全部は言わないけど、近々医療業界も闇が暴かれる時が来る。その後の立て直しと新たな医療技術普及のキーマンに昭二君がなるそうなのだ。難しいことはよく分からないけど、昭二君もまた、大きなお役目がある人なのである。
ホテルに戻り、ロビーラウンジのバーでカクテルをいただき、プールサイドでごろ寝をした。幸せと一抹の寂しさを感じながら、南国の夜空を見上げたのだった。
ーーーーーーー
「か゛え゛り゛た゛く゛な゛い゛~~~~!!!」
「ま~~た始まった……」
気持ちは痛いほど分かるけど、そういう訳にもいかないのだ。
「ここに住むぅぅ~~~~!!」
「それは老後に考えよう……」
「じゃあ老前は??」
「働いたり子育てしたりするんだろ?」
「それならここでも出来るじゃん!!」
駄々っ子モードになってしまった七海を連れて空港に向かい、窓の外を眺めながら啜り泣く七海の横で、機内食をいただいた。
「グスッ……グスッ……」
「来年も来れるように頑張ろう……」
「来年の今頃は妊娠中だもん……」
不意打ちでそんなことを言われてしまい、思わずコーヒーを吹き出してしまうところだった。
七海には申し訳ないけど、俺の子を孕んでいるだろう一年後のことを考えると、胸と股間が騒めくのであった♡♡♡
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