義母の連れ子と結婚したい♡ 追いかけて追いかけて、やっと捕まえた義姉と俺のイチャラブ日記♡

東山 庭子

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周遊旅行編 その1

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「見ろ!!コレが普通自動車免許だぁぁーーー!!!」
「椿すご~~い♡♡♡」

8月に入ったばかりの頃、私と蓮、七海はようやく忙しさがひと段落した椿と食事に行った。RYOが亜耶を初めて誘ったあの時以来、何気に私たちのお気に入りになった創作ダイニングで、免許証を翳しながら得意気な椿を褒め称えた。

「これで移動がだいぶ楽になるな♪」
「いいなぁ~~♡♡♡」

ツーリングも楽しいけど、真夏や真冬でもロングドライブが出来るのはやっぱり車だもんね。美味しい料理を分け合いながら、和気藹々と食事を楽しんでいると、近くの席からRYOの怒鳴り声が聞こえてきた。


「騙したなお前ッッ!!?」

声の方に向くと、斜め前の半個室にRYOがいた。

「お取り込み中かな……」

七海がヒソヒソと話し、みんながRYOのテーブルを見た。テーブルには女の子と、大柄な男の子がいた。

「アイツ、園原じゃない……?」

蓮に耳打ちされてハッとした。パパの社員旅行の時に、森川君と一緒に相川君の御付きの者として来ていた園原君だ。

「あの女はマネージャーだった奴だな……」

椿がそう呟く。三人とも中学の時同じ部活だった子たちだ。


「俺帰るから!!」
「待てよRYO!!お前流石に感じ悪いぞ!?」
「うるせぇよ裏切りモンが!!!」

流石にその声のボリュームは周りのお客様に迷惑である。冷や汗をかきながら固まっていると、椿が青筋を立てながら席を立った。

「オイコラRYO……お前有名人の自覚あるのか?悪い意味で注目集めてるぞ」
「椿……何でここに……」
「何でって、メシ食いに来たに決まってんだろ?静かに出来ないならさっさと出てけ」
「お前相川の……!?お前には関係無いだろ!?」
「オイなんだその聞き捨てならねぇ言い回しは!?相川の?何だって!?ケンカなら買うぞコラァ!?」
「ちょっと椿!?騒ぎ大きくしてどーすんの!?RYO君も取り敢えず座りなよ!?」

慌てて椿を止め、RYOを席に座らせた。

「もぉ~~……余計に騒ぎ大きくしてどうすんのよ」
「すまん……」

珍しくしょんぼりする椿を叱責しつつ、食事の続きを楽しんでいると、相川君の御付きの者その2、園原君が私たちのテーブルに来た。

「……良かったらご一緒しませんか……?」



空いていた奥の個室に移動したものの、特に仲良くない元同級生とテーブルを囲んでも、盛り上がるわけもなく……重苦しい沈黙が個室に広がっていた。

「園原君、雰囲気変わったね~~」

そんな中、例の社員旅行で園原君と面識がある七海が沈黙を破った。

「あの時は結構無気力な感じだったもんね?」
「萌香といるからカッコつけてるんだよ。なぁ?園原?」

RYOが園原君を睨むと、隣に座っていた萌香さんがビクッと震えた。

「お前……そんな言い方……お前が睨むから萌香震えてるじゃねぇか……」
「お人好しのフリご苦労様~~。お前もさあ、萌香のこと気遣うフリしてるけど、下心隠し切れてねーーんだよw コイツなら優しくしてれば簡単にヤらせてくれそうだもんな~~w 」
「テメェ!!?」

園原君がRYOの胸ぐらを掴んで殴り掛かりそうになり、思わず身を竦ませると、咄嗟に蓮が抱き締めてくれた。

「待て待て待て!?園原も簡単に煽られんなよ」
「はっ!?え?力強……」

咄嗟に振り上げた拳を掴んだ椿は、自分を棚上げして園原君を諌めた。

「つーか私たちを巻き込んだ以上、ちゃんと私たちにも分かるように説明しろ」
「……すまん……」

RYOと園原君が席に着いた後、RYOが不貞腐れた顔でぶっきらぼうに話し始めた。

「この女が俺に会いたいって駄々捏ねたから、お節介な園原がしゃしゃり出てきたってワケ!!」
「そんな言い方ないだろ!?」
「人のこと騙して呼び出しといて、俺がキレたら被害者ヅラですかぁ?卑怯者は卑怯者同士でちちくりあってろよw 椿……コイツ、お前が祓ってくれたあの生霊だよ?」
「……やっぱりそうか……」

RYOの話を聞いた椿は目を瞑り、腕を組んで固まってしまった。泣きそうな顔で園原君の服を掴む萌香さんがギュッと拳を握り締めた。その一瞬の顔に、何故か般若の面のビジョンが重なった。

「椿なら知ってるだろ!?俺コイツのせいで死にかけたんだよ!?」
「う~~ん……そうだったなぁ~~……」

目を瞑り、うんうん唸る椿。何かを見ているのだろうか?

「ごめんなさい……あたし……そんなつもりじゃなくて……ただRYOのことが好きで……友達のフリするのも限界でぇ……」
「だからって呪いかけるのかよ!?」

ずっと気の良いマネージャーだと思っていた萌香さんから告白されて、軽い気持ちで付き合い始めたRYO。結局長続きせず、二か月ほどで別れたそうなのだが、その後、RYOは謎の体調不良に悩まされた。起き上がれない日も出てきて、命からがら椿を頼って学校に行き、頼み込んで除霊して貰ったとのことだ。その頃既に演劇部と一悶着あった後だった為、椿はずっと渋い顔をしていたらしい。

「萌香ちゃん……お母さんの実家に古い蔵があるな?」
「えっ!?何でそれを……?」
「そこで古いお守りを見つけただろ?」
「ッッ!!?何で……!?」
「そのお守り……紐が千切れてたな……」
「はあぁぁ!!?何でそんなことまで!?キモっ!!何なのアンタ!?」

次々と言い当てる椿を化け物でも見るかのような顔で罵る萌香さんに、先程までのしおらしい態度どこ行った!?と言いたくなった。

「それは持ってて良い物じゃない。うちの実家で然るべき対処をさせて貰うから寄越しなさい」

そう言って掌を差し出す椿を、ギッと睨み付ける萌香さん。

「イヤよ!!?これがあるからあたしは……とにかく絶対にイヤッッ!!!」
「あっ!?オイ!!萌香!?」

そう叫ぶと、萌香さんは個室を飛び出し、出入り口にいた人にぶつかった。

「うぉぉ!?なんだ急に!?」
「ッッ……亜耶!!?♡♡♡」

出入り口にいた亜耶にぶつかった萌香さんは、亜耶を睨み付け、そのまま走り去って行った。

「オイオイ……あの子のオーラヤバかったんだけど……大丈夫かよ……」
「亜耶ぁぁ~~!!♡♡♡ 帰って来てたのぉ~~?♡♡♡」
「おお、ついさっきな……百合子さんに聞いて来てみたんだけど、お取り込み中だった?」
「巻き込まれただけだ……」

椿は再び腕を組み、難しい顔をしてみせた。



「ハイ、これもお勧めだよ♡♡♡ あ~~ん♡♡♡」
「ハイハイ……あむっ……お、うめぇ♡」
「でしょ~~?♡♡♡」

甲斐甲斐しく亜耶に料理を食べさせるRYOをポカンとした顔で見る園原君。

「SNSでのアレって、ヤラセじゃなかったんだな……」

前々からちょいちょい拡散されていたRYOと天パ王子のロマンスのことを言っているのだろう。それを聞いた亜耶の顔が凄いことになってたけど……。

「あのRYOがデレてる……」
「うっせぇ!!お前はいつまでいるんだよ」
「酷くねぇ?俺一応仲間だったんだけど……」
「本当は俺のこと嫌いな癖に……」
「お前なぁ!!人のこと疑い過ぎ!!」
「それだけ酷い目に遭ってきたんですぅ~~!!」

二人のやり取りを聞いていた椿が口を開いた。

「それはお前の心根が表に現れてるだけだろ」
「はあ?俺が悪いって言いたいの!?」
「まぁ……そうかもな……萌香ちゃんがお前に呪いをかけたのも、元々は軽い気持ちで弄んだお前に原因があるんじゃないのか?」
「あ~~あ!!そういう正論言ってくる奴大嫌い!!それを言ったら俺の顔だけ見て発情する女どもの方が悪いじゃん!!」
「亮二言い方……」

亜耶が呆れた顔をすると、RYOは慌てた様子で取り繕っていた。

「正しいとか正しくないじゃなくて、人の心はそれほど人体に大きな影響を与えるんだから、自分の身を守るためにも賢く生きろって話だよ。ほら、これやるからしばらく身に付けとけ」

バッグの中から緑色の縞模様が入った石のピアスを取り出してRYOに渡す椿。

「……ありがと……」

ブスッとしながらも椿にお礼を言って受け取っていた。

「それよりさっきの子だよ。早めになんとかしないと危険だぞ?」
「だよなぁ~~……」

見える人同士ツーカーな椿と亜耶は、最低限の会話で情報を共有した。

「あのお守り……多分あと四つあるだろうな……」
「封じ結びが解けてたからな……急いで回収しないとヤバイだろうな……」
「なあ、何の話してるかは知らないけど、萌香は大丈夫なのか!?」
「あまり大丈夫じゃない。こういうのはお互い引き寄せるんだ。彼方さんが萌香ちゃんを利用しているように、萌香ちゃんもまた彼方さんを利用してるからな……ガッツリ手を組んでしまってる状態だからなぁ~~……」
「本家に相談案件だな~~……」
「頼むよ!!萌香を助けてくれよ!!?」

必死な園原君の形相に、RYOが言っていたことはあながち間違ってないのかも……と思った。もちろん下心だけじゃなくて、園原君にとって萌香さんは大切な女の子なのだろうという話だ。


取り敢えずその日は解散し、本家の人員を動員して残りのお守りを探すことになった。

翌日某ホテルのロビーに、紬さんと桜さんがお弟子さんを数名連れてやって来た。

「このくらいで本家を呼ぶとは……未熟モンが」
「本心は?」
「えらいこっちゃ!!」

最初はいつもの調子だった桜さんも、椿につつかれただけで本心を漏らした。私たちが思っている以上にヤバイ案件なのだろう。

園原君が間に入り、萌香さんのご両親と接触した本家の面々は、残りのお守りがご親戚の元にあるということで急遽本家の別邸に親戚一同を集めた。


「……で、何でお前までここにいるんだ?」
「誰がこの短時間で萌香の親戚一同を集めたと思ってるんだい?」

そこにいたのは、やはりと言うか何と言うか……元部長の相川氏である。椿と亜耶は座敷の隅で待機していて、私たちギャラリーは縁側に隠れて中の様子を見ていた。


「それじゃ、皆さんが持って来てくれたお守り順番に開封していきますね~~」

緊張感の欠片もない紬さんの声を合図に、お弟子さんたちが部屋に結界を張った。桜さんが祝詞を唱えている間に紬さんによって次々と開封されるお守りの中には、それぞれ一枚の紙が入っていた。

「……やっぱりそうやったか……」

桜さんは四枚の紙を眺め、ため息をついた。

「ほな最後に萌香さん、お守りをこちらに……」
「イヤぁぁ!!何なのよみんなで騙してこんなとこ連れて来て!!?卑怯じゃない!!」
「萌香……お前のためなんだ……」

お父さんに取り押さえられて、取り上げられたお守りが紬さんの手に渡った。

「イヤよ!!それが無いとRYOが手に入らないのぉぉ!!!」
「萌香!!大人しくしなさい!!」

暴れる萌香さんをお父さんと親戚の男性が羽交締めにして、部屋から引き摺って出て行った。


「最後の一枚がコレですね……」

紬さんがお守りから取り出した紙を開くと、絹を裂いたような叫び声が座敷中に響き渡った。

「出ましたね~~……鬼が……」

そこにいたのは、一瞬だけ萌香さんと重なって見えた般若だった。般若は「許さん」とか「お前らが」とか喚いていた。

桜さんが呪文を詠唱する中、紬さんが小太刀を抜いてその場で九時切りをした。途端に般若の顔が歪み、断末魔の叫びが響き渡った。

「本当はちゃんと供養してあげたかったんですが……」

紬さんは悲しそうに呟き、小太刀を仕舞った。



「五つのお守りに、それぞれ鬼の文字をバラして書いて入れてたらしい」

あの後、お守りも出てきた紙も部外者には見せてくれなかった紬さん。「気分の良いものではないから」という理由らしい。萌香さんとご家族、ご親戚の方たち、そして私たちも順番に米の研ぎ汁でお清めをして、再び座敷に集まった。

「萌香さんから遡って四代前の方々ですが……お妾さんのお子さんを手にかけましたねぇ……」
「そんな……うちの先祖がですか!?」

萌香さんのお父さんや親戚の方はショックを隠せない様子だった。

「そしてその魂をお守りに分けて封印した……お守りの封印が弱まったところに、フラれたばかりの萌香さんが引き寄せられた……といったところでしょうねぇ。いやはや、人間の欲望は罪深い……今だけ金だけ自分だけ……ご先祖さんも、そういう心根の人たちだったのでしょう」
「そんな……私たちはどう償えば……」
「祈ってください。祈りは人を助けます。先祖の過ちはあなた方子孫が祈りを捧げることで禊いてください。どうか毎日祈って、その方の魂を慰めて差し上げてください」
「分かりました……萌香を助けていただき、どうもありがとうございました……」

萌香さんのご両親と親戚の方々は、本家の面々に深く頭を下げた。


別室に敷かれた布団で寝ていた萌香さんの手を取り、愛おしそうに見つめる園原君。何となくこの二人はもう大丈夫だなと思い、静かに襖を閉めた。




「全く!!毎度毎度厄介な案件持ち込みやがって!!」
「ごめんなさい……」

仕事が終わると本家の面々はウッキウキで観光に出掛け、残された私たちは相川君が予約してくれた料亭で食事をいただいた。

「まぁまぁ♡♡♡ それより、またみんなで出掛けたいよね~~♡♡♡」

七海がそう言うと、亜耶が椿に向き合った。

「椿……最北端の地に行ってみたくないか……?」
「国立公園にも行ってみたい……!!」
「行こう!!行きたいとこ全部!!」
「亜耶……我が友よ!!」

固い握手を交わし合う椿と亜耶に、笑顔で割って入る相川氏。因みにRYOは今回のことで酷く落ち込んでいた。

「どうしたどうした?よ~~しよ~~し♪」
「んにゃあぁぁ~~~んっ♡♡♡ ちょっと!?顎撫でないでよッッ!?」

すっかり相川君を猫扱いする椿と、怒りながらもどこか嬉しそうな相川君。

「じゃあみんなで最北端の地に行こ~~♡♡♡」
「行こう行こう♡♡♡」
「何当たり前みたいな顔して着いて来ようとしてんだよ!?自重しろコラァ!?」

ノリノリの相川君に苛つく椿。そんな中、蓮がボソッと呟いた。

「俺たち受験生なんだけど……」
「ええい喧しいッッ!!勉強など私が面倒見てやるわッッ!!」
「僕も見てあげるよ♡」

おお!!中学の時の一位二位が揃って勉強見てくれるなんて心強い!!

そんなわけで、私たちは北の国周遊旅行に行くことになり、ウッキウキで旅の支度をしたのだった♡♡♡






ーーーーーーー


「……どうして君がいるんだい……?」
「暇そうにしてたから、俺が誘った」

待ち合わせの空港で、現れた人物にワナワナと震える相川と、軽いノリで返す亜耶。

「なんか相川さんが旅費出してくれるって聞いたから……」
「お前に出す金はねーーよッッ!!?」
「どうせ金有り余ってんだからケチケチすんなよw 」
「椿ちゃんヒドイッ!!!」

そこにいたのは、椿の元カレの司君だった。

何度も現地や空港でサプライズされてきた椿と亜耶の意趣返しなのだろうけど、また司君と旅行が出来るのは単純に嬉しい。そんなこんなで俺たち9人は、北の地に向かう飛行機に乗り込んだ。



「涼しい~~!!♡♡♡」
「空気もカラッとしてるね~~♡♡♡」

北の地に降り立った俺たちは、その涼しさにまず吃驚した。

「じゃあ椿の運転で移動しようぜ~~♡♡♡」
「お前……免許取りたての私に命預ける気か?」
「俺たち命預け合ってきたじゃ~~ん♡♡♡」
「僕も椿に命預けられるよ?♡♡♡」
「ちょっと君は自重しろよ!!?」

亜耶に追随する司君に噛み付く相川。中学時代、ダンスのパートナーでもあった亜耶と椿は、親戚だったり見える人同士だったりと深い絆があるように思う。相棒という言葉が似合う二人だ。




「流氷溶けて~~♪春風吹いて~~♪」
「ハマナス揺れる~~♪フフフ~~の岬~~♪」

歌いながら小学生男子のようにはしゃぐ亜耶と椿。この二人のやり取りが見れるのもあと少しだと思うと、何となくしんみりしてしまう。


結局タクシーに乗って最北端の記念碑まで来た俺たちは、記念碑の前で撮影をした後、みんなで海辺を散策した。

「あの頃は我が国の領土だったのになぁ~~」
「そんな時もあったねぇ~~」

海の向こうに微かに見える対岸を指差して、椿と亜耶が語り合っていた。俺も南も全く覚えてないけど、あの頃俺たちはみんな同じ時代を生きていたそうだ。

タクシーは貝殻で出来た道を走り、大自然の周遊を楽しんだ。

「いつかツーリングに来たい場所だね~~♡♡♡」
「絶対来ようね~~♡♡♡」

俺と南がイチャつくと、森川と七海ちゃんもイチャつく。その間運転手さんはずっと苦笑いしていた。



「管制塔やーーー!!!」
「違いますぅ~~!!」

青春映画のロケ地になった塔に登り、街並みを一望した後、ジンギスカンの店で食事をした。



「ここ自転車で二人乗りしたいな~~♡♡♡」

これまたロケ地の防波堤を見学していたら、道路を鹿が横断していて、みんな慌てて動画を撮っていた。



「日の入りに間に合ったーー!!♡♡♡」

夕陽が沈む少し前に、もう一つの岬に到着した。

「夜は星空が超綺麗らしいよ♡♡♡」
「じゃあ夜まで待つか?」
「イヤイヤ……早くチェックインしようぜ」

……チェックインか……嫌な予感がする……



「だーかーらー!!女子が一纏めになりゃ良いだろうが!!」
「はんたーーい!!椿ちゃんは僕と一緒!!」
「僕が椿と同室になっても良いけど」
「元カレは自重しろ!?」
「まだ付き合ってない相川さんも自重してください」
「ああああうるっせぇぇ!!!私が一人で泊まる!!」

キレた椿はシングルルームを一部屋追加して、さっさと部屋に行ってしまった。

「え……てことは僕は司君と同室ってことか!?」
「しょうがないですね……今夜は腹割ってボーイズトークしましょう♡」
「やーーだーー!!!」
「つーか俺と亮二を当たり前のように同室にすんなよ……ん?亮二大人しいな??」

元カノ除霊事件以来やたらと大人しいRYOは、今も隅で項垂れていた。

「お前、無理して旅行来ない方が良かったんじゃね?」
「やだよぉ~~……今は一人になりたくない……」
「あ~~……般若怖かったもんな~~……」

どさくさに紛れて抱き付いてくるRYOを慰める亜耶。その流れで部屋割りは確定した。



ホテル近くの、予約していた居酒屋で夕食を取った。みんなで大皿を分け合い、北の国の海鮮を堪能した。

「刺身が美味過ぎる~~!!♡♡♡」
「フライものもうまぁぁ~~い♡♡♡」

カップル二組は相変わらず食べさせ合っていたけれど、相川と司は笑顔でバチバチしていたし、RYOは相変わらず大人しかったため、亜耶と椿はマイペースに食事を楽しんでいた。



「はぁ~~……良いお湯でした~~♡♡♡」
「夜景綺麗だったね~~♡♡♡」

大浴場から戻り、ベッドの上でまったりした。「どうせベッド一つしか使わねーだろ?」とばかりにカップルに割り振られたダブルルームで、だんだんエッチな雰囲気になってきた俺と南は、最北の地でゆっくりと唇を重ねた♡♡♡

「おーーい蓮!!お勉強のお時間だぞ~~!?この椿様がガッツリ面倒見てやるからな~~!?」

やる気満々で南をベッドに押し倒した直後、ドアの向こうから聞こえる椿の声にガクリと項垂れた……。



「おお!?意外と出来てるな……?」
「この調子で行けば大丈夫そうだね」

もっとスパルタでしごかれるのかと思ったけど、椿は意外と丁寧に教えてくれた。相川もさすが学年トップなだけあって、めちゃくちゃ分かりやすく教えてくれた。
小一時間ほど勉強を見て貰った後、夜鳴きそばを食べに行った。

「司君と色々話したよ……」
「へぇ~~……」
「話す言葉に嘘が無い子だね。悔しいけど、一緒にいて居心地が良かったよ……」
「だろ?w なにしろ自慢の元カレだからな♡♡」
「ふふっ……何それ……」

いつも椿に必死な相川だけど、今日はとても落ち着いた様子で椿と向き合い、夜鳴きそばを啜っていた。




「あっ…♡ あっ、あぁん♡ 蓮ッッ♡♡ あぁぁ…あぁぁんっ♡ あんもぉダメッ……あ゛ああぁぁあ゛あぁぁぁんっ!!♡♡♡♡♡ あ゛…あ゛…んん~~…ッッ!!♡♡♡」
「んっ……イッた……?♡♡♡」
「イッたぁ~~……♡♡♡ 気持ち良かったよぉ~~……♡♡♡」

今夜も俺の腕の中で可愛くアクメする南♡♡♡ アクメをした南はキス魔の如くキスを求めてくるから、愛しさと興奮が止まらない♡♡♡

「俺もイッて良い?♡♡♡」
「イッてぇ~~♡♡♡」

射精前の、強めのピストンで南を揺すると、南の顔が再び蕩けた♡♡♡

「ハァッ…ハァッ…ハァッ…♡ あ゛あぁぁ~~出る出る出るッッ!!♡♡♡♡ あ゛あ゛あぁぁイクぅぅーー~~ッッ!!♡♡♡♡♡」
「私もイクぅぅん!!♡♡♡♡ あ゛あぁぁんイクぅぅーー~~ッッ!!♡♡♡♡♡」

南のナカで射精すると、途端に頭の中がお花畑になる♡♡♡ 好き♡ 大好き♡ 愛してる♡♡♡ そんな言葉ばかりが頭の中を駆け巡って、それが世界の全てになってしまう♡♡♡ この瞬間が、堪らなく好きだ♡♡♡

お互いイッた後も愛しさが収まらず、抱き締め合いながらいつまでも甘い余韻に浸っていた♡♡♡




「はぁ~~……♡♡ 幸せホルモンドバドバ出てる~~……♡♡♡」
「俺も~~♡♡♡ 両思いエッチってさいっこぉぉ~~……♡♡♡」

いつもより広めのベッドの中で、いつものように寄り添って事後の余韻に浸っていた♡♡♡

「今回の旅は相川とRYOが大人しいから調子狂うなw 」
「まぁそれぞれ理由があるもんね~~……」
「椿と司君って……まだ未練あると思う……?」
「どうだろうねぇ……もしあっても、あと少しで離れ離れになっちゃうけどね……」
「南……寂しい……?」
「そりゃ寂しいよ……」

流石に南の中にも、俺には埋められない寂しさがあることは分かる。何が何でも俺で埋めてやるなんて傲慢なことは流石に思わないけど、この先も南が寂しい時や辛い時は、こうして寄り添っていたいと強く思ったのだった……。






ーーーーーーー


※相川と司の部屋※

「相川さんって、制服着る時シャツガーターとか着けるんですか?」
「……何だその質問は?」
「いや、前に椿たちが『相川ってシャツガーターとかソックスガーターとか着けてそうだよなw』って言ってたんで気になりまして……」
「僕って、君たちの間でそんな風に弄られてるんだ……」
「まあ、しょうがないですよ。だって猫ですもんw 」
「何でそれを知ってるんだよ!!?」

司君の歯に衣着せぬ物言いに、さすがにムッとしてしまった。あと、こういう無神経なところに椿ちゃんとの共通点を見出してしまって、勝手に落ち込んでしまう……。佐久間さんも、二人はお似合いだと言っていたもんな……。

「シャツガーター……着けてるけど?それが何?」
「マジですか?w さすが上級国民様w 」
「そうやって煽るの、椿ちゃんの影響なの?」
「まあ多分に影響は受けましたけど。付き合ってた訳ですし」

付き合ってた……例え過去形でも、僕が喉から手が出るほど欲しい椿ちゃんを一時でも手に入れた男の言葉は、僕の心を深く刺した。

「……僕だったら絶対に手放さないのに……」
「僕だって手放したと思ってないんですけど」
「何だと!!?」
「だって椿はモノじゃないし。僕と椿の関係が変わっただけで、椿のことはずっと尊敬してますし、愛してますよ♡♡♡」
「キサマ……抜け抜けと……」

思わず睨んでしまったけど、本心では司君の、所有しない自由な心根が羨ましいと思う自分もいた。

父はグローバリズムの申し子のような人だ。勝て、奪え、弱みを見せるな、ずっとそんな風に育てられてきた僕は、中学の時一目で椿ちゃんを好きになった瞬間から、欲しくて欲しくて堪らなくなり、どうやって奪うかばかりを考えていた。

「何しろ亜耶君曰く、僕たちはエネルギーの循環が上手くいってたそうなんで♡♡♡」

得意げにそう語る司君を見ていると、嫉妬でおかしくなりそうだ。

「だから……無意識だから仕方ないけど……あんまり椿のエネルギー奪わないであげてくださいね?」
「……どういうことだ……?」
「え?相川さん、お父さんから聞いてないんですか?椿の曾祖母さんに頼み込んで椿からのエネルギー送って貰ってたんでしょ?森川さんが言ってましたよ?」
「……え……?」

何かを言いかけて止める……そんな椿ちゃんを何度も見てきた……もしかして、このことだったのか……?

あの時、椿ちゃんに拒絶されたあの時……腹から力が抜けるような絶望感に叩き落とされ、暫くは日常生活を送るのもやっとだった。でもある時から急に元気が出てきたのだ。当時は何となく体調不良が治った、くらいの感覚だった。何故そうなったのかなんて、考えたこともなかった……

「僕が……椿ちゃんのエネルギーを……?」
「椿の曾祖母さんが椿にバレないように小さな風穴開けて相川さんに送っていたみたいですよ。又聞きの又聞きなんで、うろ覚えで申し訳ないんですけど……」
「そうか……教えてくれてありがとう……」

ショックのあまり呆然としていたら、佐久間君と椿ちゃんが部屋に来た。佐久間君の勉強を教えている間に司君は寝てしまい、起きているメンバーで夜鳴きそばを食べに行った。


「司君と色々話したよ……」
「へぇ~~……」
「話す言葉に嘘が無い子だね。悔しいけど、一緒にいて居心地が良かったよ……」
「だろ?w なにしろ自慢の元カレだからな♡♡」
「ふふっ……何それ……」

明け透けな会話も纏う空気も、本当はこうなりたかった自分像に限りなく近い司君の存在は、腹も立つけど居心地が良い……そんな矛盾した思考がぐるぐる回る中、目の前でラーメンを啜る椿ちゃんを見た。長い髪を簡単に纏めた椿ちゃんは、とても色っぽくて可愛い。

「……まだ未練あったりする……?」
「どうかな……嫌いで別れた訳じゃないからな……」

そう言う椿ちゃんの表情が慈愛に満ちていて、果たして僕にこの顔を引き出すことが出来るのかと自問自答した。椿ちゃんを目の前にして、こんな風に冷静な思考になれるなんて、少し前までの自分には想像も出来なかった。


……僕も、手放す時が来たのかもしれない……


そう思った瞬間、着物を着た若い男性が僕に向かって手を差し伸べるビジョンが見えた。


『おやおや……母猫と逸れちまったのかい?なら俺のとこにおいで』


そう言って僕を拾い上げてくれた男の人……その人は、僕に温かいごはんをくれて、温かいお湯に浸けた手拭いでからだを拭いてくれて、一緒の布団で寝てくれた。

ありがとう……大好き……大好き……大好き……

きっとその時の猫の気持ちなのだろう……感謝の気持ちと好意で満たされて、とてもとても幸せだった……あんな幸せは他には無いってくらい、幸せだったんだ……


「あの人のそばから、離れないで……」


僕の心の奥底で、小さな声が聞こえた。小さな小さな、僕の魂の声……

きっとこの声だけは、無視しちゃいけないんだ……そう強く思った僕は、ホテルのベッドの中で、久しぶりにこっそり泣いた。






ーーーーーーー
 

※亜耶とRYOの部屋※


「一緒に寝てください……」
「おお、ヨシヨシ……一人で寝るの怖いよなぁ~~……」

俺が本気で凹んでるからか、亜耶はあっさりベッドの中に入れてくれた。こういう愛情深いところ、昔は反発してたけど今は大好きだ♡♡♡

部活の元マネージャーで元カノの萌香に般若の霊が取り憑いていた。正体は先祖だったけど、一番怖いのは人間だということを思い知らされた出来事だった。

「もう人間の情念怖過ぎるよ……」
「情念w 愛ほど歪んだ呪いは~~ってやつ?」
「もぉ~~!!笑い事じゃないよっ!!……ねぇ……亜耶は見えるんだろ?……俺の情念、気持ち悪い……?」
「ハハッ……別に気持ち悪くねーけど?お前みたいに全力で表に出してくる奴より、腹の中で思いが渦巻いてる奴の方が意外とキツイもんだw 」

亜耶は、見えない俺にはよく分からないことを言って笑った。

「ふ~~ん……気持ち悪くないなら安心してアプローチ出来るな♡♡♡」
「まあ……未練が後世に残らないように、今を生き切ってくださいよ♡♡♡」

そう言って笑う亜耶は、いつも『今を全力で生きろ』と言っている。般若事件を経て、俺もその意味をようやく理解しつつあった。

今を生きる俺が全力で幸せを感じられたら、未練はこの世に残らないような気がしたからだ。

「んむっ……コラコラw 」
「チュッ♡ チュ~~ッ♡ 亜耶……好き……♡♡♡」
「ハイハイ……」

キスをしても呆れられるばかりだけど、怒られなくなっただけでも良しとしよう♡♡♡

「ホント……ご苦労が多そうな顔で生まれて来たモンだよなぁ~~……」
「それはお互い様でしょ?ねぇ……俺の顔、好み?」
「別に~~?w 」
「ムカつく~~~~っっ!!♡♡♡ ちゅ~~っっ♡♡♡」
「あははは!ちょ、待て待て待てw 」

人間は怖いけど、亜耶の隣は居心地が良い♡♡♡ 頭で考えれば考えるほど、人間怖いという思考でぐるぐるしてしまうから、今はカラダが心地良いことだけをしたい♡♡♡

俺は眠るまで、色気の無いキスを亜耶に仕掛けていたのだった♡♡♡





ーーーーーーー


※森川と七海の部屋※


「はぁ~~…はぁ~~…はぁ~~…♡♡ 今日もすごかったよぉぉ~~…♡♡♡」
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…俺も最高に気持ち良かったよ……♡♡♡」

旅先だろうとどこだろうと、キッチリ発情する七海とのエッチは最高だ♡♡♡ 一時期はどうやって囲うかばかり考えていたけれど、そもそも囲う必要が無いということを七海自身が教えてくれた♡♡♡ 

『私は昭二君に夢中なんだから、もっと油断してても良いくらいなんだよ……?♡♡♡』

上目遣いでそう言われてしまえば、抱き潰さないワケにもいかず……あの日の俺は、獣になった♡♡♡



七海が描いた壁画を見に、内緒でセレクトショップに行ったことがある。壁に描かれた大きな木の周りには、沢山の光の玉が描かれていた。

「生命の樹……ですって。周りの光が私たちなのかと作家さんに聞いたら、私たちはこの木だと仰ってました。私たち一人一人の大元は、たった一つの木だと」

オーナーにそう説明された。この壁画を一目見たくてショップに訪れる客が後を絶たないそうだ。そんな才能溢れる七海がいつか遠くに行ってしまうような気がして、何とか外堀を埋めたくて必死になっていた俺に、七海は優しく手を差し伸べてくれた。今のままの俺が愛しいと言ってくれたのだ♡♡♡

七海が描いた絵のように、俺たちは元々一つの大きな木なのだがら、無理矢理所有しようとしなくても、もう既にあるのだと……そう教えてくれたのだ♡♡♡

以来俺の心は安定し、順調にお付き合いを重ねていった♡♡♡ 取り敢えずここからどうやって二回戦目を強請ろうか……そんなことを考えながら、七海の唇を啄んだ♡♡♡
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