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天導流
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モニタールーム。
ここには全十か所の試験会場の様子がモニターに写されている。
「あはははははは!!! 見たかよ今の!」
そこには大きく口を開け、お腹を抱えながら笑い転げているヒューマンの男の姿があった。
その男の名はルーク、年齢は二十八歳。第七師団団長であり、今年の入団試験の試験監督でもある。
「団長笑いすぎ」
その彼の傍らには綺麗な藍色の髪をなびかせたヒューマンの女性が立っていた。
彼女の名はレミリア・ユークリウス。今年で二十一歳になる第七師団の団員である。
「だって見たか? あのレイの顔。いつも仏頂面のあいつが驚きすぎて口開いたまま呆けてるぞ。この映像、後で同期のみんなに見せてやろ」
「相変わらず、趣味が悪いな。で、これはどういうことだ?」
「どういうことって?」
「さっきのゴブリンだ。ビースト相手に体術だけで勝ちやがった。あれはあんたの差し金だろ?」
「え? なんで俺がなんかしたことになってるの?」
「今までの行いを思いだせ。こういうふざけたことを平気でやるやつだろ」
「いやまぁ確かにあれやこれや画策するのは好きだけど。今回に限ってはノータッチ。って言うか正直、俺も驚いている。ゴブリンがってものそうだが、彼が口にした天導流。あれを本当に会得できているのだとしたら……」
「できいるのだとしたら?」
「この先、世界は大きく変わるかもしれないな」
「世界が変わる? 一体何なんだ? その天導流ってのは」
「天導流ってのは言っちまえば、ヒューマンがドラゴンを倒す力さ」
「は? ドラゴン?」
「そう、この世界に現存する生物の中で頂点に位置する種族、そのドラゴンに匹敵する力を手にするために編み出された技。その総称が天導流。つってもまぁ、ドラゴン倒せるかどうかは知らないがな」
「なんだそれ」
「これを編み出したのはヒューマンと言われている。ヒューマンはエルフのような高い魔力はないし、ビーストのような身体能力もない、ドワーフのような技術力もない。そんなヒューマンが他の種族とも渡り合えるようにとそう言う思いを込められて作られた」
「つまりは、あれか。生まれ持った力のない者が強くあろうとするための力ってことか?」
「まあ、そんなとこだね」
「だったら、そんなもん誰でも欲しがるだろ。ビーストやエルフが天導流を身に付けちまえばその差はさらに広がるだけだろ?」
「確かにその通りだ。だが、現実にそうはなっていない。理由は簡単。誰にでも使えるものではないからだ。いや、正確には違うな。誰もが持っている力だが、誰にもでも使えるわけではない」
「あ? 何言ってんだ?」
「魔力は種族によって偏りがあるだろ? 他にも種族によって与えられたものは違う。けど、ただ一つだけ神が全ての種族に対して平等に与えたものがあった。それが、神性だ。天導流はそれを使った流派ってこと」
「神性? そんなもん聞いたことねぇぞ。アタシの中にもあんのか?」
「もちろん、君にもあるし、俺にもある。使えるかは別としてね」
「だいたいなんだその神性ってのは魔力とは何が違うんだ?」
「簡単に言ってしまえば、神性って言うのは心の力さ」
「あ? 精神力がうんぬんって話か?」
「あながち間違っていない。心を強く持っていないと神性を使いこなすことは出来ない」
「それ、そんなに難しいのか?」
「二千年という長い歴史の中で神性を扱うことが出来たのは歴代の勇者でもたった二人だけだ」
「は? たった二人だけ? どんな厳しい修行してんだよ」
「確かに修業は厳しい。けど、神性を扱えるようになる為の修行で一番先に壊れるのは体ではなく心だ」
「さっきも言ってたな。心の力がなんとかって」
「そう、神性は人の心を如実に写し見る。修行中一度でも心が折れたり、ネガティブなことを考えた瞬間、そいつはもう神性を扱うことは出来ない」
「一度でも、だと? そんなもんほぼ不可能だろ。人の心は移ろいやすい。何年も修行をしていたら、必ず心が折れてしまう時が来るはずだ」
「そうだよ。だからこそ、難易度の高い代物なんだ。自己肯定感の高いビーストやエルフでさえ、その多くが修行を中断する。現に勇者になった猛者たちでさえ匙を投げた力だ」
「じゃあ、あんたの言うことが正しかったとして、あのゴブリンはその壁を越えてきたってことか?」
「精神力だけ見れば、歴代勇者よりもトップクラスだろうね」
「マジか、とんでもないのが入団して来たな。当然、うちの団に入れるんだろ?」
「もちろん。ただ、彼がどこであの力を知ってのかが気がかりだが。うちの騎士団でも天導流を知っているのは上層部のごく一部の人間のみ。ただのゴブリンが偶然知ったとは考えにくい」
「あれじゃねぇのか? 推薦者の奴とか? あれってだいたいそいつの師匠の名だったりするだろ」
「そうだね。彼のことを知る意味でも一度推薦状に目を通しておいた方がよさそうだ。えっと、確か……」
ルークは山のように積まれた資料の中から目的のものを探し出す。
「あったあった。名前はゼル・インヴァース。出身地は……未開域! こりゃまた遠くから。でっと、推薦者は……」
ゼルの推薦状を上から順に見ていったルークの目がそこで止まった。
「なるほど……」
と、得心の言った言葉を漏らし、そして、笑った。
「あははははは!!! そうか、そういうことか! 俄然面白くなってきたじゃないか」
「なんだよ。一人で盛り上がってないでアタシにも見せろよ」
不貞腐れるレミリアに謝りながら、ルークは推薦状を彼女に渡す。
「ん~と推薦者は……イヴァン・レイロード……? はぁ!? イヴァンってあの爺さんか!?」
「まず間違いなくそうだろう。十三年前に退役した先代勇者。確かにあの人なら天導流を誰かに教えることは出来るだろう」
「出来る出来ないはおいておいて、あの爺さんがこんなことするか? あんたと正反対で堅実な人だったろ。あ~、……悪く言えば、頭が固く変革を拒み、常に現状維持。そんな爺さんが戦い方を教えるどころか騎士団の推薦までしたってのか!? あり得ねぇだろ!」
「俺もそう思う。だけど、この現状を鑑みるに答えは一つだろう」
「なんだ、それは」
「あの爺さんの価値観を変えてしまうほどの何かを彼が持っている、ってことだろう」
そう言ったルークは嬉しそうに笑っていた。
画面に映る、小さなゴブリンを見つめながら。
ここには全十か所の試験会場の様子がモニターに写されている。
「あはははははは!!! 見たかよ今の!」
そこには大きく口を開け、お腹を抱えながら笑い転げているヒューマンの男の姿があった。
その男の名はルーク、年齢は二十八歳。第七師団団長であり、今年の入団試験の試験監督でもある。
「団長笑いすぎ」
その彼の傍らには綺麗な藍色の髪をなびかせたヒューマンの女性が立っていた。
彼女の名はレミリア・ユークリウス。今年で二十一歳になる第七師団の団員である。
「だって見たか? あのレイの顔。いつも仏頂面のあいつが驚きすぎて口開いたまま呆けてるぞ。この映像、後で同期のみんなに見せてやろ」
「相変わらず、趣味が悪いな。で、これはどういうことだ?」
「どういうことって?」
「さっきのゴブリンだ。ビースト相手に体術だけで勝ちやがった。あれはあんたの差し金だろ?」
「え? なんで俺がなんかしたことになってるの?」
「今までの行いを思いだせ。こういうふざけたことを平気でやるやつだろ」
「いやまぁ確かにあれやこれや画策するのは好きだけど。今回に限ってはノータッチ。って言うか正直、俺も驚いている。ゴブリンがってものそうだが、彼が口にした天導流。あれを本当に会得できているのだとしたら……」
「できいるのだとしたら?」
「この先、世界は大きく変わるかもしれないな」
「世界が変わる? 一体何なんだ? その天導流ってのは」
「天導流ってのは言っちまえば、ヒューマンがドラゴンを倒す力さ」
「は? ドラゴン?」
「そう、この世界に現存する生物の中で頂点に位置する種族、そのドラゴンに匹敵する力を手にするために編み出された技。その総称が天導流。つってもまぁ、ドラゴン倒せるかどうかは知らないがな」
「なんだそれ」
「これを編み出したのはヒューマンと言われている。ヒューマンはエルフのような高い魔力はないし、ビーストのような身体能力もない、ドワーフのような技術力もない。そんなヒューマンが他の種族とも渡り合えるようにとそう言う思いを込められて作られた」
「つまりは、あれか。生まれ持った力のない者が強くあろうとするための力ってことか?」
「まあ、そんなとこだね」
「だったら、そんなもん誰でも欲しがるだろ。ビーストやエルフが天導流を身に付けちまえばその差はさらに広がるだけだろ?」
「確かにその通りだ。だが、現実にそうはなっていない。理由は簡単。誰にでも使えるものではないからだ。いや、正確には違うな。誰もが持っている力だが、誰にもでも使えるわけではない」
「あ? 何言ってんだ?」
「魔力は種族によって偏りがあるだろ? 他にも種族によって与えられたものは違う。けど、ただ一つだけ神が全ての種族に対して平等に与えたものがあった。それが、神性だ。天導流はそれを使った流派ってこと」
「神性? そんなもん聞いたことねぇぞ。アタシの中にもあんのか?」
「もちろん、君にもあるし、俺にもある。使えるかは別としてね」
「だいたいなんだその神性ってのは魔力とは何が違うんだ?」
「簡単に言ってしまえば、神性って言うのは心の力さ」
「あ? 精神力がうんぬんって話か?」
「あながち間違っていない。心を強く持っていないと神性を使いこなすことは出来ない」
「それ、そんなに難しいのか?」
「二千年という長い歴史の中で神性を扱うことが出来たのは歴代の勇者でもたった二人だけだ」
「は? たった二人だけ? どんな厳しい修行してんだよ」
「確かに修業は厳しい。けど、神性を扱えるようになる為の修行で一番先に壊れるのは体ではなく心だ」
「さっきも言ってたな。心の力がなんとかって」
「そう、神性は人の心を如実に写し見る。修行中一度でも心が折れたり、ネガティブなことを考えた瞬間、そいつはもう神性を扱うことは出来ない」
「一度でも、だと? そんなもんほぼ不可能だろ。人の心は移ろいやすい。何年も修行をしていたら、必ず心が折れてしまう時が来るはずだ」
「そうだよ。だからこそ、難易度の高い代物なんだ。自己肯定感の高いビーストやエルフでさえ、その多くが修行を中断する。現に勇者になった猛者たちでさえ匙を投げた力だ」
「じゃあ、あんたの言うことが正しかったとして、あのゴブリンはその壁を越えてきたってことか?」
「精神力だけ見れば、歴代勇者よりもトップクラスだろうね」
「マジか、とんでもないのが入団して来たな。当然、うちの団に入れるんだろ?」
「もちろん。ただ、彼がどこであの力を知ってのかが気がかりだが。うちの騎士団でも天導流を知っているのは上層部のごく一部の人間のみ。ただのゴブリンが偶然知ったとは考えにくい」
「あれじゃねぇのか? 推薦者の奴とか? あれってだいたいそいつの師匠の名だったりするだろ」
「そうだね。彼のことを知る意味でも一度推薦状に目を通しておいた方がよさそうだ。えっと、確か……」
ルークは山のように積まれた資料の中から目的のものを探し出す。
「あったあった。名前はゼル・インヴァース。出身地は……未開域! こりゃまた遠くから。でっと、推薦者は……」
ゼルの推薦状を上から順に見ていったルークの目がそこで止まった。
「なるほど……」
と、得心の言った言葉を漏らし、そして、笑った。
「あははははは!!! そうか、そういうことか! 俄然面白くなってきたじゃないか」
「なんだよ。一人で盛り上がってないでアタシにも見せろよ」
不貞腐れるレミリアに謝りながら、ルークは推薦状を彼女に渡す。
「ん~と推薦者は……イヴァン・レイロード……? はぁ!? イヴァンってあの爺さんか!?」
「まず間違いなくそうだろう。十三年前に退役した先代勇者。確かにあの人なら天導流を誰かに教えることは出来るだろう」
「出来る出来ないはおいておいて、あの爺さんがこんなことするか? あんたと正反対で堅実な人だったろ。あ~、……悪く言えば、頭が固く変革を拒み、常に現状維持。そんな爺さんが戦い方を教えるどころか騎士団の推薦までしたってのか!? あり得ねぇだろ!」
「俺もそう思う。だけど、この現状を鑑みるに答えは一つだろう」
「なんだ、それは」
「あの爺さんの価値観を変えてしまうほどの何かを彼が持っている、ってことだろう」
そう言ったルークは嬉しそうに笑っていた。
画面に映る、小さなゴブリンを見つめながら。
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