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この人たちに人探しは向いていない
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「さて、私はどこを探そうかな?」
みんなと別れた後、一人でユミルの街をぶらつく。
情報収集と言っても、馬鹿正直にみんなに聞いて回るわけにはいかない。
そんなことをすれば、ジェイドもしくはその部下たち探していることが知られてしまい姿を隠すかもしれないからだ。
ここはさり気なく探りを入れていくしか……。
「なぁなぁ! そこの人! 顔に縦線入った男見なかったか?」
そんなことを思っていた矢先、大声でジェイドについて聞いて回るゴブリンの姿を見つけてしまった。
おぅ……バカ発見……。
彼の頭には隠密という言葉はないのだろうか?
「こんなんだ! 知らないか?」
ゼルは恐らく想像で描いたであろうジェイドの似顔絵らしきものを道行く人達に見せていた。
「こう、牙がギザギザで目つきが悪くて、頭に二本の角が生えてんだ」
明らかに想像の範疇を超えて、妄想が混じっている。
それで一体誰を探しているんだろうか。
見つかったとしても、それは絶対にジェイドじゃない。
「あ、ごめんなさい」
通行人たちは迷惑そうにしながら、ゼルの前を素通りしていく。
うん、あれならジェイドにバレても探されてるなんて思われないだろう。
よし、見なかったことにしよう。知らない人のふり。
私は回れ右して、隣の通りへと移動する。
「ここは人通りが少ないみたい」
さっきゼルがいた場所と比べてここは極端に人通りが少ない。裏通りといったところか。
「お前さん、探し物があるようじゃな?」
「なに!? ばあさん! 俺が人を探してることが分かんのか!?」
「ほほほ、わしゃ、占いが得意でな。お前さんのことならなんでもお見通しじゃ」
「じゃ、じゃあさ、俺が探してる奴も見つけてくれるか!?」
「おお、よいぞ。じゃが、それなりに貰うことになるんじゃが……」
「いいぞ! いくらだ!? いくらでも出すぞ」
胡散臭いおばあさんの占いを真に受けた誰かが、お金をぼったくられそうな会話が聞こえてきた。
ああ言う占いって、大体の人に当てはまることを言ってまるで占いが当たっているかのように錯覚させる手法で、本当にその人にとって正しいことを教えてくれるとは限らないのだ。
それで最終的に訳の分からない壺や数珠を高値で売り付けたりする。
流石にそれを見過ごすのも忍びない。
ここは騙されているその人に助言を……。
「それでよう、俺が探してんのは顔に縦線が入ってて、緑色の髪をした男でジェイドって名前なんだが」
おぅ……バカ二人目発見。
あのグラサン視界ゼロにしてるんじゃないの? 買い換えたら? 何も見えてないでしょ。
あれも見なかったことにしよう。知り合いだと分かったら、私の方にも訳の分からないものを売り付けてくるかもしれない。
私は再び回れ右をして、その場を後にした。
そして、一時間後。
私は待ち合わせの酒場にやってきた。
「う~ん、結局何の情報も得られなかった……」
これでゼルやヘイヴィアが有用な情報を持ってきたら……。
「それはそれでムカつくわね」
とは言え、あんな探し方で情報が得られるとは思いたくないけど。
「あれ? レミリアさん、もう来てる」
酒場に入ると、すでにレミリアさんの姿があった。
ここはもうレミリアさんに賭けるしかない。きっとレミリアさんならそれなりの情報を得られたのだと信じたい。
やっぱり先輩だしね。その辺はきっと大丈夫……。
「いや、待って。あれって……」
よく見ると、レミリアさんの目の前には空になった酒樽がいくつか転がっていた。
どう考えても今さっきここに着いたばかりとは思えない。
この人、情報収集を私たちに任せてずっとここでお酒飲んでたんだ!!!!
どうしよう、もう帰りたくなってきた。
なんで私だけ真面目にやってるの? なんかバカらしくなってきてしまった。
その後、しばらくしてゼルとヘイヴィアもやってきた。
「はぐはぐはぐはぐ!」
「がつがつがつがつ!」
そして、その二人ともすごい勢いで料理を平らげていく。
二人の目の前には顔が隠れるほど皿が積まれていた。
「あ! てめぇ! 今、俺の料理取っただろ!」
「は? てめぇが食うの遅いのが悪いんだろ」
「んだと! やんのか!?」
ヘイヴィアに料理を取られて怒ったゼルはテーブルの上に足を乗せ、身を乗り出す。
「はいはい、食べ物口に入れた状態で喋らない机の上に足乗せない喧嘩売らない」
そんなゼルの服を引っ張って私はそう早口で注意した。
「それよりも情報共有でしょ? みんな食べてばっかじゃなくて、この一時間で集めた情報を話してよ。今はその時間なんだから」
とは言っても、正直期待はしてない。
「俺の方は空振りだった。つか、その辺に歩いてる奴らに片っ端から聞いてたんだが、ほとんど相手にしてくれなかった。ちゃんと似顔絵も用意したのに」
そう言って、ゼルはあの見るに堪えないジェイドの似顔絵らしきものをテーブルの上に出した。
「うっわ、なんだこれへったくそじゃん。お前、絵心壊滅級だな。呪いの絵か?」
「ざけんな! どこが下手くそだ! めっちゃいい感じに描けてんだろ」
またしても二人が喧嘩を始めてしまったが、今回ばかりはヘイヴィアの言う通り。あの絵は褒められたものじゃない。
「それで、ヘイヴィアの方はどうだったの?」
ヘイヴィアに襲い掛かろうとしていたゼルを両手で押さえつけながら私は聞いた。
「ふふ~ん、俺の方はいい情報があったぜ」
そう得意げにするヘイヴィア。結果は見えているけど、一応聞いておこう。
「それでそのいい情報って?」
「『待ち人二時の方角にあり』って占いのばあさんに言ってもらったんだ。つまり、ジェイドの奴は二時の方向にいるってことだ!」
どや顔で決めるヘイヴィアだが、まぁ、予想通りだ。
「それでその二時の方角って何処にいる時のことで、どのくらい先にいるの?」
「んーあー……そう言われてみればそうだな」
「それに待ち人が必ずしもジェイドとは限らないんでしょ?」
「た、確かに……」
まったくもう、どうしてこう人の言うことを簡単に信じちゃうんだろう。
よく言えば純粋。悪く言えばバカ。
「ぷぷぷ! バカだ! バカがいる! 占いなんか信じる奴なんかいねぇだろ」
そんなヘイヴィアをゼルがお腹を抱えて笑っていた。
「んだと? このちんちくりん」
「誰がちんちくりんだ。やんのか、バカ血鬼」
また始まった……。
まぁ、もう二人に聞くことは聞いたし、しばらくは放っておこ。
「あの、レミリアさんの方はどうだったんですか?」
情報収集をしていたような気配はないけれど、まぁそうね、一応聞いてみるだけ聞いてみよう。
「アタシか? アタシはそうだな……あ、お姉さんちょっといい? これとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれ追加で」
レミリアさんは私の質問には答えず、近くを通りかかった店員さんにメニュー表を指さしてあれこれ注文していた。
てか、今とんでもない量頼まなかった? まだそんなに食べるの?
「あ、それとちょっと聞きたいんだけど、こう顔に縦線が入った目つきの悪そうな男見なかった?」
「ん~……いえ、見覚えがないですね」
「そっか、ありがとー」
店員さんは一礼して、厨房の方へと戻っていった。
「ってことでこちらも情報ゼロだった」
え、待って。今ので終わらせようとした? ってかやっぱりこの人今まで何の情報も集めてなかったってことじゃん!
どうして誰もまともに情報収集してないの……?
って怒りたい気持ちもあるが、私も何一つ情報を得られていないので偉そうなことは言えない。
みんなと別れた後、一人でユミルの街をぶらつく。
情報収集と言っても、馬鹿正直にみんなに聞いて回るわけにはいかない。
そんなことをすれば、ジェイドもしくはその部下たち探していることが知られてしまい姿を隠すかもしれないからだ。
ここはさり気なく探りを入れていくしか……。
「なぁなぁ! そこの人! 顔に縦線入った男見なかったか?」
そんなことを思っていた矢先、大声でジェイドについて聞いて回るゴブリンの姿を見つけてしまった。
おぅ……バカ発見……。
彼の頭には隠密という言葉はないのだろうか?
「こんなんだ! 知らないか?」
ゼルは恐らく想像で描いたであろうジェイドの似顔絵らしきものを道行く人達に見せていた。
「こう、牙がギザギザで目つきが悪くて、頭に二本の角が生えてんだ」
明らかに想像の範疇を超えて、妄想が混じっている。
それで一体誰を探しているんだろうか。
見つかったとしても、それは絶対にジェイドじゃない。
「あ、ごめんなさい」
通行人たちは迷惑そうにしながら、ゼルの前を素通りしていく。
うん、あれならジェイドにバレても探されてるなんて思われないだろう。
よし、見なかったことにしよう。知らない人のふり。
私は回れ右して、隣の通りへと移動する。
「ここは人通りが少ないみたい」
さっきゼルがいた場所と比べてここは極端に人通りが少ない。裏通りといったところか。
「お前さん、探し物があるようじゃな?」
「なに!? ばあさん! 俺が人を探してることが分かんのか!?」
「ほほほ、わしゃ、占いが得意でな。お前さんのことならなんでもお見通しじゃ」
「じゃ、じゃあさ、俺が探してる奴も見つけてくれるか!?」
「おお、よいぞ。じゃが、それなりに貰うことになるんじゃが……」
「いいぞ! いくらだ!? いくらでも出すぞ」
胡散臭いおばあさんの占いを真に受けた誰かが、お金をぼったくられそうな会話が聞こえてきた。
ああ言う占いって、大体の人に当てはまることを言ってまるで占いが当たっているかのように錯覚させる手法で、本当にその人にとって正しいことを教えてくれるとは限らないのだ。
それで最終的に訳の分からない壺や数珠を高値で売り付けたりする。
流石にそれを見過ごすのも忍びない。
ここは騙されているその人に助言を……。
「それでよう、俺が探してんのは顔に縦線が入ってて、緑色の髪をした男でジェイドって名前なんだが」
おぅ……バカ二人目発見。
あのグラサン視界ゼロにしてるんじゃないの? 買い換えたら? 何も見えてないでしょ。
あれも見なかったことにしよう。知り合いだと分かったら、私の方にも訳の分からないものを売り付けてくるかもしれない。
私は再び回れ右をして、その場を後にした。
そして、一時間後。
私は待ち合わせの酒場にやってきた。
「う~ん、結局何の情報も得られなかった……」
これでゼルやヘイヴィアが有用な情報を持ってきたら……。
「それはそれでムカつくわね」
とは言え、あんな探し方で情報が得られるとは思いたくないけど。
「あれ? レミリアさん、もう来てる」
酒場に入ると、すでにレミリアさんの姿があった。
ここはもうレミリアさんに賭けるしかない。きっとレミリアさんならそれなりの情報を得られたのだと信じたい。
やっぱり先輩だしね。その辺はきっと大丈夫……。
「いや、待って。あれって……」
よく見ると、レミリアさんの目の前には空になった酒樽がいくつか転がっていた。
どう考えても今さっきここに着いたばかりとは思えない。
この人、情報収集を私たちに任せてずっとここでお酒飲んでたんだ!!!!
どうしよう、もう帰りたくなってきた。
なんで私だけ真面目にやってるの? なんかバカらしくなってきてしまった。
その後、しばらくしてゼルとヘイヴィアもやってきた。
「はぐはぐはぐはぐ!」
「がつがつがつがつ!」
そして、その二人ともすごい勢いで料理を平らげていく。
二人の目の前には顔が隠れるほど皿が積まれていた。
「あ! てめぇ! 今、俺の料理取っただろ!」
「は? てめぇが食うの遅いのが悪いんだろ」
「んだと! やんのか!?」
ヘイヴィアに料理を取られて怒ったゼルはテーブルの上に足を乗せ、身を乗り出す。
「はいはい、食べ物口に入れた状態で喋らない机の上に足乗せない喧嘩売らない」
そんなゼルの服を引っ張って私はそう早口で注意した。
「それよりも情報共有でしょ? みんな食べてばっかじゃなくて、この一時間で集めた情報を話してよ。今はその時間なんだから」
とは言っても、正直期待はしてない。
「俺の方は空振りだった。つか、その辺に歩いてる奴らに片っ端から聞いてたんだが、ほとんど相手にしてくれなかった。ちゃんと似顔絵も用意したのに」
そう言って、ゼルはあの見るに堪えないジェイドの似顔絵らしきものをテーブルの上に出した。
「うっわ、なんだこれへったくそじゃん。お前、絵心壊滅級だな。呪いの絵か?」
「ざけんな! どこが下手くそだ! めっちゃいい感じに描けてんだろ」
またしても二人が喧嘩を始めてしまったが、今回ばかりはヘイヴィアの言う通り。あの絵は褒められたものじゃない。
「それで、ヘイヴィアの方はどうだったの?」
ヘイヴィアに襲い掛かろうとしていたゼルを両手で押さえつけながら私は聞いた。
「ふふ~ん、俺の方はいい情報があったぜ」
そう得意げにするヘイヴィア。結果は見えているけど、一応聞いておこう。
「それでそのいい情報って?」
「『待ち人二時の方角にあり』って占いのばあさんに言ってもらったんだ。つまり、ジェイドの奴は二時の方向にいるってことだ!」
どや顔で決めるヘイヴィアだが、まぁ、予想通りだ。
「それでその二時の方角って何処にいる時のことで、どのくらい先にいるの?」
「んーあー……そう言われてみればそうだな」
「それに待ち人が必ずしもジェイドとは限らないんでしょ?」
「た、確かに……」
まったくもう、どうしてこう人の言うことを簡単に信じちゃうんだろう。
よく言えば純粋。悪く言えばバカ。
「ぷぷぷ! バカだ! バカがいる! 占いなんか信じる奴なんかいねぇだろ」
そんなヘイヴィアをゼルがお腹を抱えて笑っていた。
「んだと? このちんちくりん」
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また始まった……。
まぁ、もう二人に聞くことは聞いたし、しばらくは放っておこ。
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情報収集をしていたような気配はないけれど、まぁそうね、一応聞いてみるだけ聞いてみよう。
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てか、今とんでもない量頼まなかった? まだそんなに食べるの?
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「ん~……いえ、見覚えがないですね」
「そっか、ありがとー」
店員さんは一礼して、厨房の方へと戻っていった。
「ってことでこちらも情報ゼロだった」
え、待って。今ので終わらせようとした? ってかやっぱりこの人今まで何の情報も集めてなかったってことじゃん!
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※小説家になろうにも掲載しています。
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