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若い兄妹エルフにまつわる記録 兄への「処罰」②
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日の差さぬ♢♢♢の役場の地下室に、エルフの兄妹を入れた檻は安置されていた。兄妹は、服とはとても呼べぬ薄汚れた布切れを体に巻き、痩せた肩を寄せ合って震えている。
天使の血を引くなどと囁かれるだけあって、その容貌にはこの世ならざる美しさが湛えられている。太陽の光を織り込んだような眩い金髪に、乳白と表するにも役不足な透き通る肌。どんな芸術家でも思い描けぬ絶美の目鼻立ちは、どんな名工でも彫り起こせぬ繊麗な造形をしている。
兄は約三百歳、妹は約二百歳だそうだが、数千年から数万年に渡って生きるとされるエルフの寿命を考えれば、これは相当若い個体と判断される。その証拠に、彼らの美貌は玉のように瑞々しい。その姿は人間で例えるなら、兄は二十歳前後、妹は十八歳くらいであろうか。
兄妹の面差しはよく似ているが、妹の方が幾分あどけない印象がある。今にも泣き出しそうな不安げな表情が非常に弱弱しい。兄は体つきこそ妹と同じように華奢だが、その眉や目つきに負けん気を滲ませていた。歯の根も合わぬほどがくがくと震えながらも、宙を睨みつける益荒男だ。
真っすぐにさらさらと流れる兄の髪と、ゆるく波打ちふわふわと揺れる妹の髪は、共に彼らの腰ほどの長さだった。それはぴったりと身を寄せているために互いに絡み合い、線の細い輪郭を守るように体に纏わっている。
これからどんな苦痛が自分たちを襲うのか想像もつかない彼らの耳へ、硬い足音が届き始める。それは徐々に大きさを増し、遂に地下室のすぐ傍までやって来た。
そして、とうとう重そうな扉が開かれる。
「おや、トーツォさん。到着が早いですね」
入室してきたのは三人の役人。そのうちの一人、アリヤ主幹が私に声をかけた。私は一足先にやって来てエルフという生き物を見物していたのだが、もう処罰が始まる時間になっていたとは。
「トーツォさんが担当なら、今日は手加減いりませんね。いや、新人の書記官だとうるさいんですよ。流石にそれは可哀そうなんじゃないかとか、口出ししてくる奴が居たりして」
「若い奴はわかってませんからね。処罰という仕事の大変さも、大切さも」
アリヤ主幹の言葉に、私はうんうんと頷く。一通りの挨拶を済ませた後、壁際に用意された書記官用の椅子に腰かけた。
三人の役人は皆が屈強な大男だが、中でもアリヤ主幹の体躯は飛び抜けていた。服の上からでも、その岩のような筋骨がありありと見て取れる。
彼らが纏っている揃いの深緑色の制服には皺ひとつなく、先の尖った革靴は顔が映りそうなほどぴかぴかに磨き上げられている。全員が鞭と縄、短剣を携えて腰から下げており、それを檻の中から視認したエルフの兄妹の顔色が、みるみる青ざめていく。
ガシャリという派手な音と共に、小さな檻の一面が開かれる。行き場のない空間で逃げ場を探して暴れる滑稽な抵抗などものともせず、役人たちは二体を慣れた手つきで引きずり出した。
天使の血を引くなどと囁かれるだけあって、その容貌にはこの世ならざる美しさが湛えられている。太陽の光を織り込んだような眩い金髪に、乳白と表するにも役不足な透き通る肌。どんな芸術家でも思い描けぬ絶美の目鼻立ちは、どんな名工でも彫り起こせぬ繊麗な造形をしている。
兄は約三百歳、妹は約二百歳だそうだが、数千年から数万年に渡って生きるとされるエルフの寿命を考えれば、これは相当若い個体と判断される。その証拠に、彼らの美貌は玉のように瑞々しい。その姿は人間で例えるなら、兄は二十歳前後、妹は十八歳くらいであろうか。
兄妹の面差しはよく似ているが、妹の方が幾分あどけない印象がある。今にも泣き出しそうな不安げな表情が非常に弱弱しい。兄は体つきこそ妹と同じように華奢だが、その眉や目つきに負けん気を滲ませていた。歯の根も合わぬほどがくがくと震えながらも、宙を睨みつける益荒男だ。
真っすぐにさらさらと流れる兄の髪と、ゆるく波打ちふわふわと揺れる妹の髪は、共に彼らの腰ほどの長さだった。それはぴったりと身を寄せているために互いに絡み合い、線の細い輪郭を守るように体に纏わっている。
これからどんな苦痛が自分たちを襲うのか想像もつかない彼らの耳へ、硬い足音が届き始める。それは徐々に大きさを増し、遂に地下室のすぐ傍までやって来た。
そして、とうとう重そうな扉が開かれる。
「おや、トーツォさん。到着が早いですね」
入室してきたのは三人の役人。そのうちの一人、アリヤ主幹が私に声をかけた。私は一足先にやって来てエルフという生き物を見物していたのだが、もう処罰が始まる時間になっていたとは。
「トーツォさんが担当なら、今日は手加減いりませんね。いや、新人の書記官だとうるさいんですよ。流石にそれは可哀そうなんじゃないかとか、口出ししてくる奴が居たりして」
「若い奴はわかってませんからね。処罰という仕事の大変さも、大切さも」
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三人の役人は皆が屈強な大男だが、中でもアリヤ主幹の体躯は飛び抜けていた。服の上からでも、その岩のような筋骨がありありと見て取れる。
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