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序章 私刑人誕生編

第42話 野営

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 俺達は同じ馬車の人達と固まって過ごす事にし、クルシュさん達が寝る馬車の傍らにテントを設営した。

 おこちゃま2人は初めてのテントに大はしゃぎで、俺達のパーティーが最初の見張りをする事になった。
 一番きつい夜中を自前の護衛が受け持ち、雇われ護衛は最後だ。

 俺達については子供がいるからと一番楽な最初の割当だ。
 俺の場合収納にテントの他、布団やらも入れており、フッカフカとまでは行かないまでも、かなり快適なテントだ。

 普通行商人は野営をしないが、今回のようなトラブル、特に馬車の故障では野営をせざるを得なくなる。

 無理をすれば町に着くが、街路灯もない街道を暗くなってから進むのは自殺行為だ。

 なので町で宿泊する予定で動くのが普通だが、車両トラブル以外にも宿が満室等で野営を選択しなければならない事がある。

 その為人数分に少し足らない分の野営をする道具を持ち運ぶのがこの世界の常だ。

 皆手際よくテントを設営し、俺はマリニアとスニシスに手伝わせながら教えていた。
 マリニアとスニシスを見る傭兵達の視線が気になるが、俺が美少女2人を囲っていると勘違いしているからか、敵意ある視線を一部の者から感じる。

 まあ、スニシスを仲間として受け入れると決めた時に覚悟はしていた。
 今のマリニアとスニシスだと、もしもあの傭兵達が牙を向いて組み伏せられればあっさり純潔を奪われるだろう。
 させてなるものか!彼女達の純潔は愛する者との初夜まで守ってやる!
 俺は変な事を思いつつ、この子達を守らなければと、オトンになっていた。

 野営地の中心に薪の火をし、そこで見張りをする。
 皆が寝る時間になり商隊主が見張りの開始を告げ、次の番のテントを教えられ時間になっても交代に来なければ起こす事とし見張りを開始した。

 おこちゃまはリリアーナに任せ俺はマリニアとスニシスと3人で見張りにつく。
 両手に花である。
 今は本格的な冬が訪れる少し前だ。
 日中はまだ過ごしやすいが、夜ともなれば吐く息も白い。
 薪の火が温かい。
 なにより2人のぬくもりと体の柔らかさが心地よい。
 マントを出して3人で暖を取る。

 星空が綺麗だ。
 この汚れのない少女を守ってやりたい。
 スニシスがウトウトしていた。
 俺はマリニアにひのばんを任せ、野営地の周りを一周してきた。
 取り敢えず異常はない。

 護衛の誰かがやっている声がしたが、女もいたのだとおもい出した。
 御盛なこって。

 俺は異常が無い事を確認すると、薪の火状態を見て薪を焚べる。
 薪の火そばには薪が何本か置いてある。
 目が覚めたスニシスが謝っていたが、慣れだからと無理をするなと伝えた。

 そうこうしていると、ほぼ予定の時間に次の登板がきて、2人をテントに戻し、引き継ぎを行う。

 俺もテントに戻り念の為おこちゃまとテントにクリーンを掛けた。
 2人は寒がっていたので、今日は抱き着いて来るのに任せた。

 俺も2人の温もりに癒やされながら眠りに落ちるのであった。
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