漆黒の私刑人〜S級パーティーを追放されたので今度は面倒事から逃げてのほほんとしたいのに・・・〜

KeyBow

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第1章 王都編

第99話 サンタナ

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 ダンジョンが出来たのは感覚で分かる。

 マリニアが俺の指示でダンジョンの設計を変えていく。

 そうしていると、ビュイーンと風切り音と共に何かが飛んで来た。
 振り向く暇もなく結界で防ぐ。
 ショートソードだ。
 間違いなく俺を狙った。

 ざわめきが起こる。
 そこにはサンタナとギルミーの姿があった。
 その後ろに3人が少し距離を置き固まっていた。

「てめぇ!雑魚の分際で横取りしてんじゃねえ!コアを寄越せ!それは俺のだ!」

「おやおやこれは最近仲間を失ったサンタナじゃねえか!どの面下げて来やがった!?」

「脳筋野郎には用はねぇよ。そこのボケスロットだ!テメェ何してくれるんだ?ああん?」

 俺は剣を抜き取り、ベッカードを手で制した。

「悔しそうだな。追放されたお陰で真の力に目覚めたよ。サンタナ、このまま大人しくギルトに出頭してくれないか?」

「てめぇ美人とつるんでいるからって調子こいてんじゃねぇ!荷物持ちが偉そうにしてんじゃねえぞ!ほら何やっている?横取り野郎を許すつもりか?ああん?俺がいなきゃお前ら死んでたんだぞ!早く魔法を飛ばしやがれ!」

「サンタナ。お前何をやったんだ?お前とギルミーは赤文字じゃないか」

「なっ!?どう言うこったよ?」

 タンクのダンカンが唸るが、片腕がなく、盾のみを持っている。

 シルレットは俯くのみ。
 チラッと見えたが、顔に大きな傷がある。

「貴方何をしたの?聞いていないわよ」

 ハーニャが狼狽えていた。
 その右手はなかった。
 両手が揃っていないヒーラーに出来る事は限られている。
 そう、中級魔法しか使えない。

「お前!後衛をダンカン1人に守らせたな!後衛を守るのが1番大事だと伝えたよな?」

「万年B級がS級の俺様に偉そうな口を叩くんじゃねぇ!」

「下郎が何を言うのですか?ランスタッド様はA級、この功績により間違いなくS級になられる御方。弁えなさい」

 ソシアがピシャリと言ってのけた。

「何だてめぇ!ボケカスの女か?ああ?女だろうが知ったこっちゃねえ!股を開いて謝るなら許してやるぞ」

 周りで見ていた冒険者達も異様な事態にサンタナに剣を向ける。

 程なくして兵達がやってきた。

「もう逃げられないぞ!」

 サンタナは剣を構え、俺の方を向いた。
 次の瞬間姿が消えた。

 ガキーン!

 俺の斜め後ろから剣が突き立てられたが、結界で防いだ。

「っち!何しやがったんだ?」

 目にも止まらぬスピードで俺の右斜め後ろに移動していたのに、剣は左斜め後ろから突き出されていたのだ。
 だが、四方を囲って結界を発動したから関係なかった。

「変わった攻撃だが、俺には通用しないぞ。パーティーを組んでいた者としての情けだ。もう1度言う、ギルドに出頭して罪を償ってくれ」

「ざけんなあああああ!」

 サンタナは拒否し、がむしゃらに剣を振るのだった。
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