奴隷勇者の転生物語

KeyBow

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第一章 リスタート編

第27話 閑話 ダニーの苛立ちと孤高の剣の崩壊

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 ダニーはパーティーメンバーに当たり散らしていた。
 ジークに再び会いたくなかったので、ジークを追放してから2日後に隣町に移動したのだ。だがしかし、宿が中々見付からない。部屋が空いていないと言われ、次の宿を探す為に別の宿を探しては訪れるのを繰り返し、もう4軒の宿を訪れていた。結局5軒目の安宿で漸く空きがあったのだ。

 これ迄はジークが宿を探しに行き、ダニー達がギルドに依頼を受けに行っている間に部屋を確保し、補充するポーション類も買ってきていた。ギルドの併設の酒場で酒を飲んでいると大抵一杯目か二杯目辺りで合流し、遅いだのグズタの罵りながら中級~上級宿で何の苦労もせずに寝れていたのだ。

 翌日A級のミノタウロスの討伐依頼に取り掛かっていたが、なぜこの俺様があんな安宿に泊まらなきゃならないんだ!と移動中ずっとぼやいていた。

 取り巻きの二人はジークの所為だとは言えなくて、そうですよね!とか今日こそは良い宿を見付けましょうとか、この後娼館に行きましょう!リーダー好みのエルフがいるらしいですぜ!と散々ゴマをすっていた。それもパーティーの女子がいる目の前でだ。

 そしてSランク昇格後の初依頼を失敗した。しかも高々Aランクのだ。

 散々だった。誰も補助魔法をまともに使えず、皆てんでバラバラだった。3頭のミノタウロスと戦っていたが、攻撃を避けると女の子にぶつかった。

「アイシア俺の足を引っ張るんじゃねぇ」

「あんたこそあたいの邪魔をしないでよ」

 更にもうひとりの女の子が倒れ、ミノタウロスに斬り掛かろうとして、その子に躓いた。

「マリーシス、このグズが危ないだろ!使えねえ奴らばかりだ!くそ!おい、お前魔法得意だろ!補助魔法を掛けろよ」

「あんた何を言っているのよ!私もマリーシスも自分にしか掛けられないわよ。しかもジークのより弱いのしか無理よ。そんな事も知らないの!」

 そうこうしているとみな傷ついて行き、女の子二人も顔に大きな裂傷を負った。体にも打撲や擦過傷をあちこち負ってしまい、血を流し過ぎた所為から立てなくなっていた。

 それでもダニーは二頭相手になんとか立ち回っていたが、残りの男二人も重症を負い這いつくばっていた。

 それでも難とか一頭を倒したがダニーも手負いだった。段々追い込まれ殺られるのは時間の問題だった。すると倒れている一人が気絶寸前ではあったが、かなり高価なポータル用の転移石を使った。

 するとパーティー全員、つまり5人がギルドに転移してきた。ギルドは騒然となった。Sランクパーティーの全員が重症を負い、そのうち4人は重症でさらに3人は意識がなく死に掛けていたからだ。

 そしてダニーも気絶した。

 アイシアとマリーシスは目覚めた時、己の体の状態に涙した。二人共醜い裂傷の跡が残ったのだ。髪の毛で隠せなくはないが、年頃の女の子には残酷な話だ。一人はそもそも髪が短く無理だ。二人は心の底から後悔した。ジークの事を庇うんだったと。追放を反対するんだったと。こうなるのは目に見えていたからだ。

 ただ、ダニーの元にいれば近いうちにジークは殺されると分かっていた。サイクロプスの時がそうだ。男共で結託し、ジークの方にサイクロプスをけしかけていた事に気が付いたのだ。自分達が気が付いていないと思っているのかどうかは分からないが、その事に気が付いたので何とか二人でサイクロプスを倒したが、本来で有ればジークと共にパーティーを去るべきだったと今更後悔していた。だが二人は怖くてダニーに逆らえなかった。彼と戦えば自分達二人掛かりでも歯が立たないとわかっているし、逆らえば間違いなく殺されると。その為にジークを追放するとした時に逆らえなかったのだ。

 だが今は違う。ダニーの所為で今回は死ぬ寸前だったし、このまま残れば確実に死ぬと確信したのだ。

「このままでは私達はあいつの所為で死ぬわ。ジークの元に行きましょう!」

「許してもらえると思うの?」

「そんなの分かる訳ないじゃない!でも許してくれなくても謝ろう!私同じ孤児院で育った幼馴染なのに酷い女よね」

「うん。こんな顔になっちゃったのは彼を助けなかった報いなのかな。こんな顔になっちゃったけど、ジークは口を聞いてくれると思う?」
 
「彼を探しに行かなきゃ。もうダニーの元から去ろうよ。この町には来ていないようだから反対側のソランの町に行き、いなかったら王都に向かおうよ。ジークは一度王都に行きたいと、大きな町に行きたいって言っていたから、行くとしたら王都だと思うの」

「うん」

 そうして二人はダニー宛に置き手紙を書いた。

 あなたの元にいたら確実に死ぬ事になります。だから二人でパーティーを抜けます。さようなら。二度と会いたくはありませんから探さないで!と。

 そうして王都の方面に向けて旅立ったのだった。
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