へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

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第2章

出発

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 太一は他の商隊の人達に紛れ、馬車に乗る者達を見ていた。他の商隊の者達は出発のタイミングを計るのと、馬車の中の者の顔を覚える為だ。

 沢山見に来てるんだなとため息をついていた。すると先日の弓使いを始め、見覚えのある3人が各々立派な装備を身に纏い馬車に乗り込む姿を目撃する事が出来た。馬車に人が乗り出したのを確認すると、一人また一人と次々にその場を離れて行く者が続いた。太一も同じように急いで門の外に向かう。もう少し見ていたかったが、周りに埋もれる為には歩調を合わさないとだった。門を出る時に門番に尋ねられた。

「お前も便乗者か?」

「分かるんですか?」

「今急いで門に向かっている者の殆どがそうだ。既に何台もの馬車が門の外で待っているぞ。普通の商隊は既に出発し終わっている時間帯だからな。城の奴らは追跡している筈なのに呑気なもんだ」

「あはははは。みんな同じような事をするんですね」

「まあ護衛を雇わなくていいから、その方が助かり楽だわな。精々気を付けるんだな。それにしても兄ちゃんはでかいな」

「ありがとうおっちゃん。気を付けるよ。よくオーガと間違えられて困るんですよね」

 そんな感じで街を出て行く。シャロンに言われていたのだ。なるべく普通の会話を門番の人としておく方が良いと。ノエルも頷いていた。それは太一の身長を印象付ける事になるからだ。城の者が思っている太一と、実際の太一の身長の差は10cm程ある様に思われている筈なのだ。なので今ここにいる男が城が追っている太一と思う者はまずいない。実際問題門番は会話をしながら一人一人の人相や背丈をチェックしていた。

 たた出回っている手配書にはこうある。「身長170cm、黒髪黒目の長髪で顔が髪で隠れていて目付きが鋭い」

 その為今の太一の見た目というのは手配書からは掛け離れている。

 街道に出ると馬車は10台程並んでいた。太一は自分の馬車の御者席にいるシャロンを確認し、一言声を掛けて馬車の中に入る。あの弓使いにまた絡まれると面倒なので、出発の時の御者は顔の知られていないシャロンにお願いしていた。近くに誰かが来たり、兵士達が通る時にシャロンが教えてくれるが、それまでは偵察内容の話をしていた。

「あの馬車の中に入っ手行ったよ。俺以外の奴が4名共な」

 これだけで2人には十分だ。どういう事か分かった筈だが、今この場であまり下手な事を口にする事はできないので、それが精一杯の会話であった。どこで聞き耳を立てている者がいるか分からないのだ。

 流石に馬車が進み出すと聞き耳を立てる者もいなくなるが、今だと馬車の死角に誰かがいたとしても不思議には思わない。

 そして兵士達が後ろから来始めた為に、兵士が通り過ぎた後に馬車を進めていくが、太一は違和感を覚えた。やっぱり少ないなと。そう護衛の人数が20人から30人位は減っているのだ。

 やっぱり先に行ったんだろうなと言うような事を話していた。相変わらず便乗者達はつかず離れずで兵士達の最後尾について行く。兵士達もわかっているのか、誰も咎めない。今の所が太一の思ったように進んではいる。このまま順調に行けばいいなとは思うが、まぁそんなに甘いもんじゃないだろうとは思うのだ。


 太一達は宿で弁当を作って貰っていた。勿論別料金だが、
 一応馬車の中に置き、ダミーになるような物をいくつか置いている。本来馬車の中になくてはならない物を必要最小限にではあるが置くようにはしていたのだ。兵士達が臨検を始めた場合への備えだ。街から街へと渡り歩き、野営をせずに宿を転々とするとはいえ、毛布等最小限の物が無ければおかしいのだ。必要な物が入っていなければ色々勘ぐられるからと、万が一馬車の中で寝る事を想定した物等を椅子の下等にくくりつけている。

 また、宿で今日必要な飼い葉を買う。いつもは自分の収納に飼い葉を入れているのだが、馬車には1日分の海馬を入れている。馬車と言っても客室の方ではなく、荷室の方だ。商人の移動用の馬車の為に、通常は荷物が入らないのだが、馬車を動かしてくれる為の馬の為に必要な飼い葉を入れる場所は別にあるのだ。休憩は1時間に1度位で10分位行われているのが普通らしいが、回数が半分で、30分位休憩をしていた。

 人の方は大丈夫なのだが馬を休めてやらねば一日持たないからである。
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