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第2章
温泉宿
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太一は騎士から与えられた初仕事として馬に水を与えるのと、複数の大きな樽に水を注いでいた。それとは別の樽に注いだ水には、兵士達が自らの水筒の中身を補充する為に水を汲みに来ていたのである。
最後にもう1度汲んでおけと隊長に言われ、水を満たす。
「あのー、こんなに水を入れてどうされるんですか?運べないと思うのですが、大丈夫なのでしょうか?」
太一がそれとなく聞くと
「尤もな質問だが、まあ心配するな。こちらには勇者様がいらっしゃる。勇者様の収納に入れて頂くんだ。生活魔法が使える者がいるとは言ってもな、休憩が始まってすぐに皆の所に水が行き渡る訳ではないのだ。その為に予め準備した水を勇者様の収納から出して頂くんだ。そうする事により、より早く皆のところに水が行き渡るんだ」
「あのー、雇われておいて何なのですが、それでしたら予め王都を出る前に大量の水を勇者様の収納に入れておけば私のような生活魔法を使える者を雇わなくても良かったような気がしますが?」
「それが可能ならやっているんだ。樽に入れた水は2日間位しか保たず駄目になるんだ。食料もそうだ。数は入るが、劣化や痛み具合は荷車に積むのと大して変わらないんだ。保存食以外は時間と共に痛むんだよ」
「ああ、なるほど。よく分かりました」
そんな会話をしながら兵士達の、休憩をサポートしていった。休憩の後出発したが、その後は何事もなく順調に進んでいた。宿の方は自分達で払わなければならないのだが、ノエルが交渉したが負けてしまったのだ。頑なに譲らず、これ以上払えないとなったが、妥協点としてお昼の弁当を雇用主の方で用意して貰い、弁当の費用だけは払って貰うという事で妥協したようだ。あまりにもほいほいと分かりましたと言うと変に勘ぐられる為にある程度の交渉をしていた感じだ。交渉内容としてはまずまずだった。ノエルがすまなさそうに
「ごめん!。勝ち取れなかったよ」
いじけた感じにノエルが言うが、太一はポンポンと頭を撫でて
「大丈夫、想定内だから。何でノエルに交渉させていたかと言うと、相手の懐具合を測るのと、ノエルのような美人だとやりづらいし、甘くなるだろ」
太一に慰められたノエルは美人だなんてと照れながら段々元気になっていった。
ノエルは基本的に見目麗しい女性だ。にっこり微笑む限りは本当に天使そのものなのだ。そう口を聞かなければだ。余りにも交渉の時の口調がきついので、相手は半ば降参し、辟易としてもう顔も見たくないというような感じだった。難敵認定だ。まあそれも想定内だったのだが。
宿について太一達からの要求は一つだ。この3人のみで一緒に泊まれる部屋、ただそれだけだった。それはノエルが話し、それは当然だと騎士が言っていたから太一は不思議だった。
そして大きな宿場町に辿り着いた。昨日泊まった街に比べると一回り程大きい印象を受ける。街へ入るのは本来は多少手間のある手続きをしなければならなかったが、基本的に城の関係者という事でギルドカードの提示のみで済んだ。城の兵士達とはいえ犯罪者のチェックだけは行うのでそれなりに時間がかかる。ここでは基本的に全ての兵士が宿に泊まるようで、全員が中に入っていく。
昨日野営させていたのは、先遣隊を出す為に外に出していたようであったと太一はそのように判断していたが、騎士に昨日は何故野営をしていたのか?また野営が続くのかと生活魔法の関係から聞いてみたが、新兵がいるからだった。体力のある任務の初期の間に訓練を兼ねて野営をさせたかったと。本物の軍事行動中だが、宿の部屋が満室だったりしたら、野営をする事も有るから今の内に慣れさせる為だという。どうやら本当の事で、先遣隊の事は別口のようだった。
夕方近くに宿に馬と馬車を預け、部屋に案内された。部屋は30平米位のかなり大きな部屋でベッドが3つ、それもダブルベッドが3つもあるような大きな部屋だった。2つは隣り合っていて、もう一つは離れていた。金貨2枚半が消えたが、元々道中の宿代位が賄えれば良い位だった。宿代プラスαを想定しての金額交渉であったのだからまずまずの結果だったのだ。
夕食の時間まで少し有り、3人で街中に出掛ける事にした。街をブラブラと探索し、見つけた店で必要な物を買っていこうという感じだった。主に必要としているのは食料品だ。騎士の話と違い太一の収納は時間が止まるから、幾ら有っても害じゃない。
また宿に馬車を預ける時に、馬車の中に、保存食やダミーの物をいくつか入れて置いた。本来収納に入れておけば済む物なのだが、もし宿に泊まっている間に、兵士達により馬車の中をチェックされた時に在るべき物がないとなると収納持ち=太一だという事に結論付けられる可能性がある。その為の偽装として馬車を降りる直前に、馬車の中に色々な物を出して置いたのだ。
街を出歩く3人は手を繋いでいた。勿論太一が真ん中だ。そう両手に花である。右手にシャロン、左手にノエルだ。2人の手を握り締め太一は街を歩いて行く。シャロンはノエルが手を握るのを見て暫く恥ずかしがり躊躇っていたが、意を決してそっと握ってきたのだ。中々奥手のシャロンではあるが、今日はそうでもなかった。ノエルに負けじと手を握ってきたのだ。
シャロンの手はノエルの手より少し大きく、滑らかで心地良いが、剣たこが有る。女性らしく柔らかくはあるが、ノエルに比べると少し硬い印象がある。それでも鍛えられていて肌もスベスベで太一はそんな綺麗な手が好きだった。
そうシャロンが太一の手を取るのを躊躇ったのはノエルに比べて手がゴツゴツしているからである。恥ずかしさとかそういうのでは決してなかったのだ。
ただ太一的には奥ゆかしくシャイなシャロンだというように認識してたりする。小一時間程街中を巡り、宿の近くに戻った時にだが、丁度弓使いの女が兵士と騎士を引き連れて闊歩しており、太一を見つけて
「またお前か。我々をつけ回して何をやっている?ストーカーか?」
そういうので面倒臭そうに
「あなたは確か昨日ぶつかった勇者様ですね。ええと、僕達はあなた達の同行者になりました。生活魔法が使えるので生活魔法要員として雇ってくれませんかとお願いしたら雇って頂いたんです。暫くの間皆様に同行しますので宜しくお願いします。あと、貴女はかなりの美人さんですけれども、見ての通り僕には大事な女性がいますからストーカーなんてしませんよ」
「ああ、途中から馬車が1台後ろに来たが、お前達のか」
「ええ、そうです」
「フン、精々稼ぐのだな。ついでだ、私にクリーンを掛けて行け。それと私を口説こう等とは考えぬほうが良いぞ」
太一は失礼しますと差し出された手をそっと握り、クリーンと一言いう。
「これは良いな。また頼むぞ」
一方的に言い放つとどこかに行ってしまった。太一はあの子は一体何がしたいのだろうか?と不思議に思うのであった。あの弓使いの手はパーツモデルが出来る位に綺麗な手で、不覚にも触り心地にドキリとしていた。
宿に戻ると勇者達は食事をしていなかった。もしくは既に食べ終わったかだ。兵士や騎士しかいない食堂で、太一達は兵士達に混じり食事をする。
その後ここの宿はなんと温泉があるという事で、3人共温泉に入りに行く事にした。勿論男女別である。因みに部屋には風呂は無い。トイレと洗面は有ったが、風呂がないのはここが温泉自慢の温泉宿だったからだ。
この世界にも温泉は沢山あるとの事だった。
太一が温泉に入った時に騎士だろうか、何人かの者が入っていたが、太一が体を洗っている間に出ていった。湯船に暫く浸かっていると、男の2人組が入ってきた。
「おっ、先客がいるな」
と聞こえてきたが、聞き覚えのある声だ。湯けむりではっきりと顔は見えなかったが、稲生達の声であった。失礼するよと言って入って来た。体を洗い、湯船に浸かる太一を見て稲垣が
「あっ、貴方は確か新たに雇われた生活魔法の使い手の方ですよね?宜しくお願いします」
「ご丁寧にどうも。こちらこそご厄介になります」
太一が挨拶をすると、稲生の眉がピクッとなったのであった。
最後にもう1度汲んでおけと隊長に言われ、水を満たす。
「あのー、こんなに水を入れてどうされるんですか?運べないと思うのですが、大丈夫なのでしょうか?」
太一がそれとなく聞くと
「尤もな質問だが、まあ心配するな。こちらには勇者様がいらっしゃる。勇者様の収納に入れて頂くんだ。生活魔法が使える者がいるとは言ってもな、休憩が始まってすぐに皆の所に水が行き渡る訳ではないのだ。その為に予め準備した水を勇者様の収納から出して頂くんだ。そうする事により、より早く皆のところに水が行き渡るんだ」
「あのー、雇われておいて何なのですが、それでしたら予め王都を出る前に大量の水を勇者様の収納に入れておけば私のような生活魔法を使える者を雇わなくても良かったような気がしますが?」
「それが可能ならやっているんだ。樽に入れた水は2日間位しか保たず駄目になるんだ。食料もそうだ。数は入るが、劣化や痛み具合は荷車に積むのと大して変わらないんだ。保存食以外は時間と共に痛むんだよ」
「ああ、なるほど。よく分かりました」
そんな会話をしながら兵士達の、休憩をサポートしていった。休憩の後出発したが、その後は何事もなく順調に進んでいた。宿の方は自分達で払わなければならないのだが、ノエルが交渉したが負けてしまったのだ。頑なに譲らず、これ以上払えないとなったが、妥協点としてお昼の弁当を雇用主の方で用意して貰い、弁当の費用だけは払って貰うという事で妥協したようだ。あまりにもほいほいと分かりましたと言うと変に勘ぐられる為にある程度の交渉をしていた感じだ。交渉内容としてはまずまずだった。ノエルがすまなさそうに
「ごめん!。勝ち取れなかったよ」
いじけた感じにノエルが言うが、太一はポンポンと頭を撫でて
「大丈夫、想定内だから。何でノエルに交渉させていたかと言うと、相手の懐具合を測るのと、ノエルのような美人だとやりづらいし、甘くなるだろ」
太一に慰められたノエルは美人だなんてと照れながら段々元気になっていった。
ノエルは基本的に見目麗しい女性だ。にっこり微笑む限りは本当に天使そのものなのだ。そう口を聞かなければだ。余りにも交渉の時の口調がきついので、相手は半ば降参し、辟易としてもう顔も見たくないというような感じだった。難敵認定だ。まあそれも想定内だったのだが。
宿について太一達からの要求は一つだ。この3人のみで一緒に泊まれる部屋、ただそれだけだった。それはノエルが話し、それは当然だと騎士が言っていたから太一は不思議だった。
そして大きな宿場町に辿り着いた。昨日泊まった街に比べると一回り程大きい印象を受ける。街へ入るのは本来は多少手間のある手続きをしなければならなかったが、基本的に城の関係者という事でギルドカードの提示のみで済んだ。城の兵士達とはいえ犯罪者のチェックだけは行うのでそれなりに時間がかかる。ここでは基本的に全ての兵士が宿に泊まるようで、全員が中に入っていく。
昨日野営させていたのは、先遣隊を出す為に外に出していたようであったと太一はそのように判断していたが、騎士に昨日は何故野営をしていたのか?また野営が続くのかと生活魔法の関係から聞いてみたが、新兵がいるからだった。体力のある任務の初期の間に訓練を兼ねて野営をさせたかったと。本物の軍事行動中だが、宿の部屋が満室だったりしたら、野営をする事も有るから今の内に慣れさせる為だという。どうやら本当の事で、先遣隊の事は別口のようだった。
夕方近くに宿に馬と馬車を預け、部屋に案内された。部屋は30平米位のかなり大きな部屋でベッドが3つ、それもダブルベッドが3つもあるような大きな部屋だった。2つは隣り合っていて、もう一つは離れていた。金貨2枚半が消えたが、元々道中の宿代位が賄えれば良い位だった。宿代プラスαを想定しての金額交渉であったのだからまずまずの結果だったのだ。
夕食の時間まで少し有り、3人で街中に出掛ける事にした。街をブラブラと探索し、見つけた店で必要な物を買っていこうという感じだった。主に必要としているのは食料品だ。騎士の話と違い太一の収納は時間が止まるから、幾ら有っても害じゃない。
また宿に馬車を預ける時に、馬車の中に、保存食やダミーの物をいくつか入れて置いた。本来収納に入れておけば済む物なのだが、もし宿に泊まっている間に、兵士達により馬車の中をチェックされた時に在るべき物がないとなると収納持ち=太一だという事に結論付けられる可能性がある。その為の偽装として馬車を降りる直前に、馬車の中に色々な物を出して置いたのだ。
街を出歩く3人は手を繋いでいた。勿論太一が真ん中だ。そう両手に花である。右手にシャロン、左手にノエルだ。2人の手を握り締め太一は街を歩いて行く。シャロンはノエルが手を握るのを見て暫く恥ずかしがり躊躇っていたが、意を決してそっと握ってきたのだ。中々奥手のシャロンではあるが、今日はそうでもなかった。ノエルに負けじと手を握ってきたのだ。
シャロンの手はノエルの手より少し大きく、滑らかで心地良いが、剣たこが有る。女性らしく柔らかくはあるが、ノエルに比べると少し硬い印象がある。それでも鍛えられていて肌もスベスベで太一はそんな綺麗な手が好きだった。
そうシャロンが太一の手を取るのを躊躇ったのはノエルに比べて手がゴツゴツしているからである。恥ずかしさとかそういうのでは決してなかったのだ。
ただ太一的には奥ゆかしくシャイなシャロンだというように認識してたりする。小一時間程街中を巡り、宿の近くに戻った時にだが、丁度弓使いの女が兵士と騎士を引き連れて闊歩しており、太一を見つけて
「またお前か。我々をつけ回して何をやっている?ストーカーか?」
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「あなたは確か昨日ぶつかった勇者様ですね。ええと、僕達はあなた達の同行者になりました。生活魔法が使えるので生活魔法要員として雇ってくれませんかとお願いしたら雇って頂いたんです。暫くの間皆様に同行しますので宜しくお願いします。あと、貴女はかなりの美人さんですけれども、見ての通り僕には大事な女性がいますからストーカーなんてしませんよ」
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太一は失礼しますと差し出された手をそっと握り、クリーンと一言いう。
「これは良いな。また頼むぞ」
一方的に言い放つとどこかに行ってしまった。太一はあの子は一体何がしたいのだろうか?と不思議に思うのであった。あの弓使いの手はパーツモデルが出来る位に綺麗な手で、不覚にも触り心地にドキリとしていた。
宿に戻ると勇者達は食事をしていなかった。もしくは既に食べ終わったかだ。兵士や騎士しかいない食堂で、太一達は兵士達に混じり食事をする。
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太一が温泉に入った時に騎士だろうか、何人かの者が入っていたが、太一が体を洗っている間に出ていった。湯船に暫く浸かっていると、男の2人組が入ってきた。
「おっ、先客がいるな」
と聞こえてきたが、聞き覚えのある声だ。湯けむりではっきりと顔は見えなかったが、稲生達の声であった。失礼するよと言って入って来た。体を洗い、湯船に浸かる太一を見て稲垣が
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