ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

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第1章

第49話 捕われた

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 トニーの記憶は混乱していた。
 今は薄暗く狭い部屋に押し込められている。

 バシャーン

 水をぶっ掛けられた。

「ゴラァァァ!とっとと起きろや!」

 そこには下卑た視線を向ける男達がいた。

「質問に答えろ!コアをどこにやった?」

 状況がよく分からない。手足を縛られ、椅子に座らされている。

 パシーン!

 乾いた音がした。平手打ちをされたのだ。

 ぶへ?

「ぶへ?じゃねえんだよ。痛い思いをしたくなきゃ答えろ!てめぇらの馬車に無いのは確認したんだ。早く言えや!」  

 俺はよく分からなかった。頭がふらふらだ。良くない状況なのは分かる。変だ。確かお店でお酒を飲み、意気投合したお姉さんと俺はエッチな事をする事になった。俺はお姉さんの泊まっている部屋にお持ち帰りされ、部屋に入るとキスをされた。童貞卒業の期待に心を踊らせていた。しかし、それからの記憶がなく、気が付いたら水をぶっ掛けられたのだ。

 トニーは急激に気持ち悪くなった。

 「ゲヴォー」

 一気にリバースし、目の前の奴にぶちまけた。

 バーン

 頭を殴られ、呆気なく気絶した。

「汚ねぇな。っち!姉さんの話だとそうとう飲んで酔っ払っていたようだな。駄目だな。ちいと時間を置いてからアジトに連れて行くぞ」

 ・
 ・
 ・

 ガタゴトガタゴト

 俺はそんな音の中目覚めた。
 体が動かせない。
 真っ暗だ。手も足も共に動かす事が出来ない。
 狭い所に押し込まれ、馬車で運ばれているようだ。時折振動で荷台が跳ね、その度に体が痛む。やばい。そういえば、さっき縛られていて殴られたような気がする。で、気持ち悪くなって吐いたような。頭が痛い。
 酒の所為だ。

 確かジュークさんだっけ?よく思い出せない。妙に話が合って意気投合して、彼女の部屋に行ってキスをした時に、口移しで何かを押し込まれつい飲んでから記憶がなくなり・・・

 あかん!訳分からんが捕まった。これは絶対あかんやつだ!

 確かコアがどうのこうの・・・

 逃げるか。あれ。魔法が発動しない。何でだ?

 スキルは・・・行けそうだけど、スラッシュとか無理だな。手足を縛られていては・・・

 うーん。

 このままだと確実に殺される。一か八かやるか。

 その前に無駄だけど、もじどおり神頼みと行きますか。確かイエローエイプを倒した時に声が聞こえたんだよな?

「女神はいるか?・・・ おらんのか?」

 ・
 ・
 ・

「ピンチなんですが!助けてくれても良いんですよ?」

 ・
 ・
 ・

「ゴルァ!無視してんじゃねぇ!人を異世界に送り込みやがって!しかもいきなり死にそうとかふざけとんのか!何か言えや!」

「自分でそれくらい切り抜けなさい!プーッ、プーッ、プーッ、プーッ!ガチャッ」 

「えっ?プープーって口で言っとるよな?はぁ。もう知らねぇ。この世界なんて知らんぞ!助けてくれなきゃ山に籠もってやる!」

「もう!今忙しいのよ。仕方がないわね。ヒントを上げるから、自分でなんとかなさい!ストレージから岩を出しなさい!入れているのがあるでしょ?出したら直ぐにしまう。そうしないと岩に潰されて死ぬから。じゃあね!」

 うーん。此の前試しに入れたのが有るよな。確か高さ3mか。確かに諸々を壊してくれそうだな。

 これ出したら俺は下敷きか。出したら速攻でしまわないとな。しゃあないな。やりますか!

 闇を10にしたのでストレージが容量制限無しになったので、試しに入れたのがそのままだったのだ。

 俺はストレージから岩を出した。バキバキバキバキ!凄まじい音がして俺が押し込まれている何かを岩が突き破り、突如現れた岩が周辺の物を押しのけた。少なく共この馬車は破壊され、そこにいた者はトニーを除き皆即死だ。

 重力を取り戻したら落ち始めるので、即時にストレージに入れた。

 そして地面に俺は投げ出され、転がった。

「いたたたたた」

 そこは明け方の草原だった。

 馬車は1台だったようで、辺りの様子は破壊された馬車の残骸があり、血塗れの死体が転がっていた。

 取り敢えず手足を縛っているロープをウインドカッターで切断した。

 間髪入れずヒールを掛け、気配察知を使う。

 周辺に魔物を含め生き物の気配はない。

 俺は便宜上馬と呼ぶ馬に似た生き物がいた筈の場所に行ったが、魔石が転がっていた。

 つまり魔物に馬車を牽かせていたようだ。
 死体は全部で4体だった。迷ったが死体を検分した。金目の物とかを回収したが、指輪の一つが気になり手に取る。

【半径4mの魔法を封じる。装着者の魔力を消費して発動。魔力1にて10分間使用可能】

 魔法が使えなかったのはこれの所為か!取り敢えずストレージ行きだ。何故かアイテムの詳細が分かったのか疑問を感じなかった。

 死体をストレージに入れた。

 そうしてから現状を確認し始めるのであった。
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