ざまぁから始まるモブの成り上がり!〜現実とゲームは違うのだよ!〜

KeyBow

文字の大きさ
100 / 117
第2章

第100話 時間の牢獄の囚われ人2

しおりを挟む
 俺は城の中を徘徊していた。

「ケケケケケケくはははは」

 そんな俺の周りには愛する女性が纏わりついている。俺の気が狂ったのを見て泣いていたのだ。
 もうどれ位経過しただろうか?
 1年?2年?
 絶望に打ちひしがれて、精神崩壊した時もある。
 だが、日付が変わるとリセットされ、ベッドに突っ伏していて、目の前にシスティーナがいる状況に戻る。
 また、精神崩壊したとしても突っ伏していた時の状態になり、ハッとなる。

 前回の記憶がない時は恐らく心が壊れているのだろ。
 システィーナ達と会話もネタ切れだ。生い立ちから色々なぶっちゃけ話をベッドの上で聞いてきた。
 体も隅々まで知り尽くした。
 ふと思うのだが、俺何やってんだよ!?
 気が付いたらシスティーナのお腹で泣いていた。
 システィーナにプロポーズしてから添い寝をお願いした。

 まだあった。初めてのパターンが。
 このベッドでシスティーナを抱かなかった事は無いからだ。1人になる時は自室に引き籠もっていた。添い寝をお願いした時は全て自室だった。

 ぼうっと所在なさげにボンヤリと天井を眺めていた。何故今まで気が付かなかったのか?天井に気になる染み?いや、歪み?が揺らいでいる。
 そう、これまではうつ伏せになり、システィーナ相手に腰を振っていて、果てるとそのまま抱き着いて、つまりシスティーナに覆い被さる形で寝ていたから天井を見る事が無かったのだ。

「なあシスティーナ、あれ何かおかしくないか?」

「何の事なの?」

「ほら、天井に染み見たいのが揺れていないか?目の錯覚かな?」

「あっ!?何あれ?あんなの昨日は無かったわね」

 俺は起き上がると天井に手を伸ばした。しかし手が届かない。

 脚立を取ってくると早速染みを触るが、どうやら裂け目があり、手を突っ込むと異空間?の感覚がする。
 心が踊った。これは今迄になかった事象だったからだ。

 裂け目を調べたいが、脚立一脚だけだと心許ない。いや、天板に立っていたらバランスを崩し倒れて顎の骨を砕いてしまった。

 注)脚立の天板に立つのは大変危険な行為です。多くの会社で禁止されている不安全行動になりますので、サイズの大きい物を選ぶ必要が有ります。

 ヒールを掛けた後、反省から6尺位の脚立を2脚と板を持ってきてウマ足場を作る。脚立を2脚立てて、天板の次の高さの足に板を差し込みそこに乗った。もう一脚欲しかったが見付かったのは2脚のみだった。

 そして裂け目に手を差し込み強引に押し開いた。するとそこに何者かが居た。

 人1人が余裕で通れるまで広げると裂け目が震えだし、嫌な予感がした。すると収縮を開始したのだ。慌てて裂け目に半身を突っ込むと、その者の体を掴んで強引に引っ張った。

 間一髪だった。その者の足が裂け目から出た途端に裂け目が消えた。丁度日付が変わった時の事だ。

 慌てて引き抜いたものだから、勢い余ってしまい、脚立ごと倒れてしまい体をしこたま打ち付けた。また、引っ張って裂け目から引き抜いている途中に、何かが唇に触れた。その者の唇が触れたのだと知るのは後の事だ。

 引き抜いた者ともつれ合い、その様子を見ていたシスティーナがキャッと短く悲鳴を上げた。

 トニーは覆い被さられている者を退けようと押したが、柔らかな感触が手に伝わる。ついついモミモミする。これはどう考えても胸だ。つまりこれは女性だ。柔らかいが張りのある至高の感触。若い女性だろう。甘く心地よい匂いもする。そしてその髪が鼻孔をくすぐる。

「ソロソロ揉むのを止めてもらえないだろうか?君は確かおっぱい星人だったか?」

 慌ててその場を飛び退く。
 その甘美な声には聞き覚えがあった。
 トニーは涙を流した。

 目の前の女性はトニーより5Cm程低いが大柄な女性だが、スラッとしていてスタイル抜群だ。栗色の肩までの髪と、優しそうな柔らかな顔立ち。丸顔で可愛らしい系の美女だ。虫も殺せぬ優しい雰囲気がするが、その性質は真逆で苛烈だ。しかし、その見た目を最大限に利用して潜入していた。猫をかぶっていると人畜無害に思われる感じだった。

 着ているのはボディーラインがはっきり分かる戦闘用のスーツだ。かなりエロいのだ。システィーナはその格好に顔を赤らめた。

 彼女はトニーを立たせると、ニッコリと微笑んだ。トニーもその天使の微笑みに相好を崩すが、いきなりトニーを睨み付けるたと思うと平手打ちをした。

「遅いぞ!全く!777回も掛かりおって!パチンコじゃないのだぞ!よくも私の元で何度も何度も乳繰り合ってくれたな!見せ付けおってからに!」

「あのう?貴女様は?」

「私は女神スラナシスカだ」

「女神様なのですね!初めまして。システィーナと申します」

「分かっておる。この阿呆のお陰で性感帯やらホクロの位置までな」

「どういう事なのですか?」

「おいおい話してやろう。トニー、残りの3人を集めるのだ。集まってから話をして修羅場を作ってやろう!そんな顔をするな。冗談だ。私は君達に助けて貰わねばならぬのだ」

 取り敢えずシスティーナとトニーはスラナシスカに気圧され、レイラ、アイハ、キャサリンを叩き起こしに向かったのだった。


・・・・・・・・・・・・・ 
100話に突入しました!引き続き宜しくお願いします!

作者からのお願いです。
もし面白いと感じて頂ければブクマにて応援して頂けると励みになります!

宜しくお願いします!
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。 この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。 ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。 少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。 更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。 そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。 少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。 どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。 少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。 冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。 すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く… 果たして、その可能性とは⁉ HOTランキングは、最高は2位でした。 皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°. でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

処理中です...