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序章(探索者スタート編)

第20話 アレクとムミムナ

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 愛姉からは怒っている気配がするが、僕は何故か愛姉を怒らせてしまったようだ。

 取り敢えずアレクとムミムナのカードを渡した。

「昨夜カード合成の実験をしていて、この2人とゼッチィーニが進化したんだ。カード合成ってググっても出て来なかったから自分で検証するしかなくて」

「ちょっと待って!合成って、どういう事なの?」

「レイラとの契約時に1番下にワーウルフのカードを1枚、ゴブリンのカードを10枚、合計11枚を重ねて置いていたんだ。で、偶々1番上にあったレイラのカードへ血を垂らすべく指先をカッターで切ろうとしたら手元が狂い、刃が指に深目に刺さっちゃって、ドバーっと出た血が11枚のカードに掛かったんだ。で、止血をし終わったらワーウルフのカードと見た目が変化したレイラのカードと計2枚のカードが残ったんだ。つまりゴブリン10枚のカードが合成され、レイラが合成元として残り、残りの3人は昨夜検証を兼ねて合成したんだ」

「合成なんて聞いた事ないわ。複数のカードに血を掛けるのなんて既に実験されているけど、全て個別に契約されただけだったとのレポートが有るわよ。私もゴブリンで試したけど同じだったわよ」

「4人は全部普通のゴブリンだったんだ。ゼッチィーニはスタートキットに入っていた普通のウォーリアーだったんだ」

「君は二世だったわよね。多分君の能力よ。レイラちゃんの強さって君の力のお陰なのね。お父さんのカードがって言っていたけど、ゼッチィーニちゃんも合成ってのをしたんでしょ?合成元になる条件はあるの?」

「今の所判明したと思うのは、1つは同じ種類のカードしか無理なようなんだ。ウォーリアーとナイトは合成出来なかった。2つ目として死んだカードを合成すると、条件を満たせば生き返るようで、死んだカードは合成素材にはならなかったんだ。3つ目としてレベルが高いカードがあればそのカードが残るようなんだ。ゼッチィーニがそうで、さっき渡したカードはきのう死んだゴブリンなんだ。これから召喚して結果を見たいんだ。4つ目は男女のカードは問わないようなのと、それと11枚以上重ねられるのかは不明なんだ。レイラが偶々なのかも分からないんだけど、アレクとムミムナの時はカードの性別を分けて行ったんだよね」

 僕はバトルスーツの上から着ている服を脱いだ。
 また、リュックの中に家から持ってきた服が入っているのでそれも出した。

「体が大きくなり、ムミムナは見ての通り既に服が破れているから、レイラとゼッチィーニで服を着させてくれるかな?アレクは男だから僕が着させるから」

「ちょっと待って。思考が追い付かないわ。後でメールか何かでレポートとして送って欲しいのと、まだ私以外に言わない方が良いわ。今の話で思う所があるの。そうねぇ、後で1つ実験してみる?」

 僕は今の段階だと試したいのは1度合成したカードを再合成出来るのか?だ。
 ただ、検証して確証を得ないとゼッチィーニ等を失い兼ねないから、カードをもっと得たい。 

 11枚以上合成出来るのか?
 2度目の合成が出来るのか?
 可能な場合、例えば同格のカードを3枚合成したのを2枚、6枚分が合成できるのか?
 その場合残る方になるカードの条件は?
 また、レベルの高い3枚重ねと、レベルが上がっていない3枚重ねのカードだと、レベルが高い方が残ると思うのでその検証。

 2回目の合成が出来るとしてその結果がどうなるのか気になって仕方がない。
 それと愛姉の提案はなんだろうか?

「えっと、実験って?」

「そんなに難しい話じゃないわ。私の部屋にゴブリンのカードがそれなりにあるの。面倒くさくて売らずに取ってあるのだけど、そのカードを使うの」

「持ち主は関係ないはずだよ。父さんのカードでも僕のカードになったから」

「それは聞いているし、未契約のカードは売買もされているから別の事よ。小瓶に私の血を取り、私の血を小瓶に入れておくから、斗枡君が私の血を重ねたカードに掛けるのよ」

「愛姉天才!僕は思い付かなかったよ!それなら僕も1つその時にお願いしたい事ができたよ」

「何かしら?」

「ゴブリンのカードを2、3枚愛姉の血で合成出来た場合、僕の血で4枚以上重ねたカードと合成させてみたいんだ。合成可能かどうかね。もっとも2度目の合成が出来るとしてで、しかも他人と契約されたカードが合成素材となるのかなんだ。逆もしたいなぁ」

「へー!凄い事を考えるのね。私そういうの好きよ」

「あー、取り込み中悪いんだけど、2人を出すんじゃなかったのかい?」

「そうだった。じゃあ着替えを頼むよ。僕は目を瞑っているから。出でよムミムナ!」

 僕は愛姉から受け取ったムミムナのカードを召喚し目を瞑った。
 間違いなく半裸又は全裸になった美少女が現れるから、目を背けないと愛姉に嫌われる。

 ゼッチィーニやレイラの言質からは僕に裸を見られるのは問題ないらしいけど、人として問題があり過ぎる。

「ようこそムミムナ。先ずは御主人様より頂いた服を着るのです。それと御主人様はいきなり子作り等を求められませんから、性的なアプローチは御主人様からされるまでは待つのですよ!・・・」

 レイラとゼッチィーニが軽く自己紹介しながら服を着せたようだ。
 レイラの話もズレていなくはないが、ゴブリンの生態系と人のそれは違うんだなと改めて感じた。

 また、僕が話した他の人間やそのカーヴァントに対し、こちらから先に攻撃や挑発をしない。攻撃されたら反撃を許す旨を伝えてくれた。

「レイラ、説明ありがとう。ゼッチィーニもムミムナの着替えありがとう。ムミムナ、もう1人召喚するから自己紹介は少し待ってくれ。それと皆あっちを見ていた方が良いよ。コホン。出でよアレク」

 パチン!
 僕とほぼ同じ背丈の少年が現れたけど、服が破れた。

 小学1年生位の大きさが160cm位にまでデカくなったらそうなるよね。

「うわっ!服が弾けたやん!」

「何も言わず取り敢えずこれを着てくれ」

 アレクは慌てて服を着たが、僕と違い嫌味な位イケメンだ。
 アイドル並だな。
 僕のモブっ子具合が・・・ぐう!負けた!

「よし、皆話を聞いてくれ。アレク、ムミムナ、ようこそ。僕が主人の斗升です。こちらは僕の仲間の愛莉姉様だ。それと君達は先輩である隊長のレイラと副長のゼッチィーニのいう事をちゃんと聞くように。一応パーティー内での恋愛は自由だけど、性行為は相手の同意が必要だし、人前でその手の行為をしてはならないからな。特にアレク!」 

 アレクはビシッと敬礼をする。

 そこから2人にレイラが訓示をした。

 その後自己紹介をしあい、武器を渡していく。これで僕の荷物はほぼなくなった。

 予定通りアレクに僕の剣を渡し、僕は父のコンバットナイフ。
 ムミムナにはコンバットナイフを渡したが彼女は守りの方面のタンク兼ヒーラーのようだ。

 ゼッチィーニはタンクでもあるが、攻撃を主体としている。

 アレクは見ないと分からないけど、純粋なアタッカーだ。
 戦闘に関してはレイラが指揮を取り、ゼッチィーニがアレクを補佐してアレクがダメージディーラーとなる。
 また、レイラとムミムナは僕の護衛。
 ナイトのモーモンには後衛として背後を警戒して貰い、背後を気にしない戦いの時は前衛として戦うよう指示をした。

 愛姉も僕が秘密というか、二世の能力を話した事に満足したようだ。

 準備が出来たので、モンスター部屋を出て再びラビリンスの奥へと進み出した。




後書き失礼します。
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