モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜

KeyBow

文字の大きさ
22 / 197
序章(探索者スタート編)

第22話 対ゴブリンライダー戦

しおりを挟む

「キャイーン!」

 時折ワーウルフの鳴き声とザシュッ!と剣が振られた音、アレクの中2チックな叫びが聞こえる。

「ワンコロの分際で同朋を使役するとは片腹痛いぜ!くらえぇ!竜巻旋風脚!」

 カプコンの格闘ゲームの技名が聞こえてきた。
 アレクの中にも中2がおり、発病しているとしか思えないけど言質はともかくとして、その直後にドゴン!と聞こえてきたから蹴り飛ばしたようだ。

 ここはワーウルフのテリトリーだ。
 本領発揮するシチュエーションに対し、こちらは木が邪魔で思うように戦えない。

 そんな中、僕の方にゴブリンが2匹来た。
 近くにレイラがいるようなので、これはレイラが僕の方に送り出したようだ。

「ムミムナ、右の方を頼むよ。倒さず時間だけ稼いで。レイラから僕への宿題だと思うから」

 弱体化していない魔物でもゴブリンなら何とかなりそうだ。

 ゴブゴブと叫びながら突っ込んできた。
 テレフォンパンチを躱しつつ剣を振るうと首を半ば切断したものの、父の業物とはいえ(数打ち品)首チョンパとは行かず、そいつは声が出ないようで必死に首を押さえている。

 もう1体の攻撃をムミムナは手に持った槍で捌いていた。

「お前の相手は僕だ!」

 そう言って石を投げると・・・勢いは良かったけど外れてしまった。

 主人公キャラだと見事に当たり、腕の1本でも砕いているのだろうけど、残念ながら僕は泥臭いモブだ。

 モブはモブらしく堅実な戦いをしたい。

 思う所があり、ゴブリンの攻撃を手をクロスさせて受け止めてみた。
 バトルスーツは耐衝撃吸収性に優れており、妹の冬奈が振るった竹刀だと軽い衝撃を感じる位だ。

 さてこのゴブリンは・・・
 受け止めると少し後ろに下がってしまい、腕が痺れた。

「中々力があるんだな。次はこっちの番だ。うおおおお!」

 小物臭のする叫びと共に僕は殴り掛かった。

 体がかなり小さいのでやり難い。
 バトルスーツがあるからと泥試合の様相を呈してきた。
 しかし、蹴りが入りうつ伏せに倒れたのでマウントし腕を取ると即時にへし折った。

 もうこれまでと思い、ナイフを抜くと喉を掻き切った。

 戦いが終わると見守っていたアレクとゼッチィーニは離れて行き、レイラが戻ってきた。

「今ので最後です」

「ちょっと斗升君、何やってるのよ!」

「武器を失ったら無手の戦闘になるから、ゴブリンとだとどんな感じになるのか試しておきたかったんだ」

 愛姉はジト目だ。
 はいジト目頂きました!ありがとうございます!

 皆が直ぐに戻ってきたが、手にはドロップを持っており、どうやら拾いに行っていたようだ。

「御主人様よう、あんた死にたいのか?倒したから良いが、人間が素手で殴ったって大して痛くないんだぜ!」

 アレクがもっともな事を言う。

「アレクの言っている通りだ。今回は実際に肉弾戦を経験しておきたかったんだ。まあ、蹴れば倒れたし、関節を決めれば骨は折れるようだね」

 それはともかく、レイラがすぐに襲われる位置に魔物の気配がないと告げたので、ドロップ品を集めて貰うとリュックへ入れる。

 レイラに少しだけ僕の方にも魔物を回すように言ってあった。
 諸説あるが、カーヴァントの使役者たる探索者自らが魔物を倒すと、上限があるようだが強くなれるそうだ。

 探索者適性がある者はその適正により人外の力を得る。
 適性がなくとも直接倒せば後天的に適性が身に付く。
 ただ、後天的な適性は、適性を生まれ持った者の劣化版と言われ、カーヴァントに戦わせるのが精一杯だ。

 ラビリンスから多少の魔素が漏れており、それにより適性者が生まれていき、今では2割の者がそうだと言われ、いわゆる二世は例外なく適性者だ。

 だから適性者はラビリンスに入るのが半ば義務化されており、愛姉は高校生の時に適性検査で適性有りとなったので探索者となったようだ。

 あくまで法律ではなく、社会的に半ば義務化されており、適性者が探索者にならなかった場合社会的に白い目で見られ、色々と不利益を被る。
 だから探索者をやらざるを得ない。

 父達先人は勿論後天的に適性が付いた。
 勿論中には化け物じみた天才がいなくもないが少数だ。

 愛姉を見ると、愛姉の方にも魔物が回っていたが怪我もなく倒していた。

 ムミムナは心配そうに僕の腕に回復魔法を掛けている。
 心配ないと言うも、カーヴァントの杞憂がなくなるならとやりたいようにさせている。

 ゼッチィーニとアレクはどちらが多く倒せたか競っていたようで、ゼッチィーニが僅差で勝ったようだ。

「なあ、頑張るのは良いんだけど、焦るなよ。ところで何か賭けていたようだけど何を賭けていたんだい」

「俺っちが勝ったらやらせろって言ったんだ!」

 ゴチン!

 レイラが拳骨をアレクにして引っ張っていった。
 何をやろうとしたんだろう?

「例え貴方が勝っても許されません。私もゼッチィーニの身も心も御主人様のもの。貴方に許されるのはミムナムを口説き番になる事よ。分かって!?」

 レイラが威圧を使ったのもあり「はい、分かりました」とアレクは返事をするしかなかった!

 僕が治療されている間にそんなやり取りがあった事を知らなかったけど、この風曲の森はゴブリンライダーが厄介で、森の入口近くで戦う探索者が多いのだとか。

 森を抜けた階段付近だとワーウルフの機動力を活かす木々がないから、比較的安全に狩れるからと階段付近に留まる者が多い。

 ここは3階層構成だというので下に行く事にした。
 森の中央に階段があり、2階層は直径1キロ程らしい。
 相変わらず僕は勉強不足で、呆れた愛姉が教えてくれた。

 森は5エリアに別れており、簡単に言うと入り口、中央、右、左、奥にいる魔物は違う種類だ。

 本来だとランク2や3のラビリンスにて半年程慣れた方が良いのだそうだが、僕のカーヴァントの力がもっと上のランク相当と愛姉が見ており、急遽2階層までの探索とするのを3階層のボス攻略に切り替えた。

 今は入り口エリアのゴブリンライダーを倒しきったから、リスポーン待ちになり、今のうちに中央へ向かう事にした。
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。

Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。 現世で惨めなサラリーマンをしていた…… そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。 その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。 それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。 目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて…… 現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に…… 特殊な能力が当然のように存在するその世界で…… 自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。 俺は俺の出来ること…… 彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。 だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。 ※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※ ※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。

名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...