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第1章 入学編

第17話  買い物

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 フォルクスとべソンは早速二次試験の案内を読んで貰った。案内の書類を2人がちゃんと読めなかったからだ。

 試験の案内の中に、試験の内容が記載されていた。実際に魔法の練習場にて魔法を放つ。ターゲットを倒すのだそうだ。強化系の魔法しか使えない場合は剣での攻撃も認めるとの事。また、まだ魔法が放てない場合、無理に我流で短期で覚えてくるなとある。魔力弾の威力が強ければ良いし、下手に覚えていると矯正が大変とある。

 シーラによると、装備は自由であのチェーンメイルでも良いが、出番はないのだという。試験の順番だがフォルクスが最後になると。魔力総量の順に試験をする。ただし、最初は1番目か2番目に魔力のある者が選ばれるらしい。
 試験の順番は呼ばれるまで分からないというが、多分トップバッターと最後はフォルクスか宮廷魔術師の息子のどちらかになり、最後から2番目がシーラになると予測している。あくまで例年通りならばだ。二次試験の順番は毎年入学時のランキングになっているとの事。シーラ達は10日位前に街に来て情報収集をしていた。
 シーラが最終日に一次試験を受けたのはフォルクス達と同じ理由だった。

 不正を防ぐ為に武器や杖は学校にあるのを使うという。

 試験の話が終わったが、夕ご飯まで時間が合ったので買い物に行く事にした。

 実は収納に入れたテントに有った服や下着類を入れた袋を部屋で出し、3人に渡したのだが、最初に会った時に持っていた荷物と合わせても、着替えが一式しかないのが何となく分かったのだ。

「思う事が有るから荷物を全て見せて」

 フォルクスが突然言い出した

「ちょっと何よ。いくらリーダーだからって女の子の荷物をチェックするなんて酷いわよ。ってカーラ、素直に出さないの!」

 フォルクスはカーラの荷物を見てうなずいた。

「有難う。もうしまっても大丈夫だよ。思った通りだ。君達は着替えもまともにもって無いんだろう。服も今着ているのを含め2式しかなく、洗って干している服と今着ている服を交互に着ているのだろう?何より下着も傷んでいるじゃないか!」

「わ、悪かったわね」

「シーラ、責めているんじゃないんだ。君達のような美少女はもっと良い服や状態の良い下着を身に着けていて欲しいんだ。その方が美少女っぷりが上がると思うんだよな」

「だって仕方がないでしょ。初夜権を買い戻す為にお金は使えないんだもん」

「うん。そうだろうなと思って確認したんだ。俺達はまあ、俺の収納に色々入れているから良いけど、残念ながら盗賊から奪った荷物の中には君達に合うサイズがないんだ。だから今から買い物に行こうぜ」

「ちょっとアンタね、人の話を聞いてる?お金は殆ど使えないって言ったでしょ!」

「うん。聞いたよ。だから一緒に行くんだよ。勿論俺達からのプレゼントだよ。これから色々教えて貰うからさ、そのお礼というか対価かな。今も試験の案内を読んでもらったじゃないか。取り急ぎ明日学校に着て行くのとかを買おうぜ。未来の奥様」

「な、何が奥様よ?なんであんたの奥さんにならなきゃならないのよ」

「シーラは分かりやすくて可愛いな。そうだなあ、もし気が引けるなら、出世払いで少し多目に返してくれたら良いよ。稼ぐ事が出来なかったら、まあ、俺の人を見る目がなかったって事さ。だから気にするな。チームのリーダーとしてはさ、チーム員の女性の身だしなみには気を使いたいじゃない。俺のエゴっつうか見栄っ張を押し付ける形で一方的に買うんだから拒否権はありまシェーン!」

 おどけて言い切っていた

「わっ分かったわよ。どうしても買った服を着てくれって頼むんだったら仕方がないわね。じゃ、じゃあ行くわよ」

 カーラがフォルクスに

「フォルクス様、シーラの事を嫌いにならないであげて下さいね。シーラは今はまだフォルクス様へきつく当たっていたり、素直じゃないですが、根は素直で良い子なのです。それにフォルクス様に感謝をしていましてよ。それとあまりいじらないでね。うぶだから。」

「うん。分かっているよ。カーラはシーラの事ばかりを気にしているようだけれども、カーラも自分の事をちゃんと大事にしてね。多分下着とかさ、カーラのが一番傷んでいるのじゃないの?何かとシーラとリズを優先しているだろ?それと君も中々いじり甲斐が有ると思うよ」

「あら、よく見ていますわね。私も甘えても宜しいのですか?それとどんなふうにいじられるのかしら?楽しみですわ」

「うん。カーラから一番教わると思うんだよな。遠慮しないで」

「じゃあ、甘えさせて頂きますね」

「うん。素直で宜しい!カーラは妙に丁寧な喋り方をするんだね。それとさ、様付けをやめないかい?なんか距離感があるんだよな。呼び捨てか、無理ならせめてさん付けで呼べないかな?」

「駄目でしょうか?私はこのような喋り方しか知らないのですよ。でも呼び名はお言葉に甘えてさん付けで失礼しますね。フォルクスさん!これで宜しくて?」

「まあ、分かったよさん付けで今は妥協するよ。ほんとにお金の事は気にしないでね。手持ちのお金は買い戻しの為に使わないで置いてね」

「どうして今日会ったばかりの私達にそんなにも良くしてくれるのですか?」

「うーんなんでだろう。まあ、男の見栄っ張りとしておいてよ。美少女の気を惹こうとして格好をつけている馬鹿な奴って事にしてよ。それじゃあ駄目かな?」

「ふふふ。フォルクスさんは清い心の持ち主なんですね」

「本音を言うとね、君達が不憫に思えたからさ。シーラには黙っておいた方が良いかな。建前を押し通すからさ。いずれ大陸から初夜権をなくしてやるってね」

「その時に生きていましたら私もお手伝いさせてくださいね」


 そうこうしていると、目的の店に着いた。入り口で3人にそれぞれ金貨10枚をが入った小袋を強引に渡し

「これだけしかなくて悪いけど、入学までに必要な物を揃えてね。もし不足していたら、一旦手は持ちのお金で払ってね。後で渡すからさ。俺の方はあっちの店で紙とかを買っているから、ゆっくり選んでね。早く買い物が終わったら店から見える所で待っていて。」

「その、いいの?こんなに貰って」

「俺の方が歳上だろ。年長者の意地だよ。それに、美少女が綺麗な服を着てくれたら、俺の目の保養になるからさ。俺の目の保養の為に素敵な服を買ってね」

「ふん。分かったわよ。アンタの目を楽しませれば良いのね。後で返せって言われても無理だからね」

 フォルクスはべソンと紙を買いに文具店へ向かい、シーラに背を向け、手を振るのであった。

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