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第1章 入学編

第44話 シルフ(仮名)との邂逅

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 フォルクスは目を覚ましたのだが、異様だった。真っ白い空間にいたのだ。そして見知らぬ綺麗な女性に膝枕をされ、頭を撫でられていた。

「気が付かれたのですね。愛しい方よ」

「あのう、貴女は誰で、ここはどこなのでしょうか」

「貴方には私が誰か分かる筈です。その目でよくご覧なさい」

 そこにいる若い女性は控えめに言って美女だ。腰にまで届くストレートヘアに清楚な顔立ち。スタイルはモデル並みに素晴らしいのだ。というよりもフォルクスの好みだ。声も爽やかで心安らぐ声をしている。

 風に揺られてふわふわしている感じだ。心の真っ直ぐな優しそうな女性である。

「ああ、貴女は僕に力を貸してくれている風の精霊さん?ですね」

「はい。よく分出来ましたね。ですがまだ名は分からないのですね。しかし、それももう暫くすれば分かるでしょう。とりあえず今はシルフとお呼びください。愛称として私はシルフと呼ばれております」

「そうか。よろしくねシルフ。ところで今の状況が分からないのだけれども」

「はい。ゆうま様、貴方は熱を出されていて、今は気絶して臥せっております。もう少しの間は熱が出るでしょうが心配はいりません。大事には至りませんわ。この機会を利用しようやく貴方の頭の中に私が現れる事ができました。本来であればもう私の姿が見える筈だったのですが、おそらく魔王かそれ相応の力により貴方に対して干渉する何らかの力が働き、貴方の運命、貴方の周りの者の運命が捻じ曲げられております。幸い今の所女神様のお力のおかげで手遅れにならない範囲で修正をされております。あまり時間があまりありませんので手短に言います。目覚めた後はシルフと言い私を呼び出して頂ければ、私は貴方の前に現れます。今はまだ本来の力の1/3ぐらいですが、貴方の盾となり剣となり、貴方の助けになりましょう。それと本当に時間がありません。意識を取り戻したら頭の中でメールと唱えてください。女神様からのメールがやはり魔王の力により干渉される見えなくなっております。本来であればこちらの世界に来た時から女神様のサポートをメールの形で受けられたのですが、それが出来ぬまま過ごされておりました。ようやくそれを伝える機会が訪れました。なんとかこうやって無理やり貴方の熱に乗じて現れる事ができました。良いですね?必ずメールと唱えるんですよ。そうすれば貴方の疑問の一部が解決するでしょう。それでは必要な時に私をお呼び下さい。愛しい人よ」

 そういってフォルクスは夢の世界から現実の世界に引き戻されていく。

 フォルクスが目覚めるとソニアにキスをされていた。いやキスではない。口付けをされていたのでもない。口移しをされていたのだ。

 何か得体の知れぬやたら苦い何かを口に含まされ、無理やり飲まされているのが分かる。急激に噎せて咳き込み、ソニアを突き飛ばす形になってしまった。

「ぐはあ。これなんだ。これは苦い」

 フォルクスが唸り出し、意識を回復した事が分かり皆パッと明るくなっていた。ただ、フォルクスはうげー苦い!と呻めいていたのだ。これを飲んでとユリアに水の入ったグラスを渡され、一気に飲み干した。

 ただ、まだ熱はあるのだが、朝目覚めた時よりはかなりマシになっていた。

「よかった。目覚めたあんたが直ぐに気絶しちゃったからみんな心配してたのよ。今はどんな感じ?」

「そうだな。ちょっとまだ体がだるくて熱っぽいけれども、さっきと違いみんなの言っている事がはっきり分かるよ。さっきは何か頭がぽわわんとしていてよく分からなかったけど、さっきよりはましになっていると思う。今は何時位なの?」

「今はお昼よ」

「そうか。何か消化に良いものが食べたいな」

「うん。分かったわ」

「俺の所には誰か一人だけいてくれたらいいから、みんな交代交代で飯に行ってこいよ。俺はもう大丈夫だから」

 そう言うとユリアが

「私が見ているからみんなお昼に行ってきて。」

 ソニアも手を上げ

「私も残るわ。何かあったらみんなのところに私が連絡しに行くから」

「分かったわ」

 そうやって食事に行くのであった。
 ほどなくして細かくちぎったパンを入れたスープが届けられた。ユリアがふうふうと冷まして食べさせている。自分で食べられるよと言うが駄目と言われて、口移しではなく、このようにされまだだめよとスプーンで飲まされているだけマシだった。

 これが口移しでスープを口に入れようとしてきたら恥ずかしくて穴が有れば入りたいぐらいの恥ずかしさだった。


 ユリアとソニアから二人にあーんされて食べていたのだ。そしてある程度平らげると水を飲み少し横にさせてもらうよと伝え、フォルクスは横になる。魔法学校に行かなければならない時間までまだ3時間ほどあるので、その間まで横になり体力の回復を図る形になる。


 そして横になりながらフォルクスは頭の中でメールと呟いた。するといつもの頭の中に見える画面の中に、スマホなどであるメールのアイコンが点滅しだしたのだ。

 そう今までになかったものが今加わったのだ。これはメールが見えるのかな?そう心の中で言いながらメールを見て見る。するとメールの一覧が現れた。当然ながら全て未開封のメールだ。未読メールが325件ありますと表示がされていた。相当あるなと溜め息とこれが早々に見えていたら、今はどうなっていた筈なのかを確認するのが怖かった。だが、目を背ける訳にはいかず、確認を始めるのであった。
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