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第1章
第25話 押し付けられた
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国境を超えたのもあり、高度を上げて町を探す事にした。なんとなく国境の近くの町だけは避け、1時間半程飛んだ時に見えた町に寄る事に決めた。その町の近くに来ると街道から少し外れ、やがて草原に着地した。
「レオン、ごめんなさい。そのう・・・」
「おしっこしたいなぁ。悪いけど、トイレを作るから警戒を頼むよ」
女に恥をかかせたくないので、別に尿意がなかったが、アイリーンのお願いを途中で遮り、おしっこがしたいとしてトイレを作る。
危ないのでレオンはアイリーンの背中越しに岩場を出していく。これはアイリーンが見えないところにいるのにも関わらず、誤って岩を出してしまって下敷きになってしまう事を避ける為だ。
ではどうやるのか?彼女の背中に寄り添う形で岩を出せば間違いは起こらない。ただ、これだと背後の警戒を行えない。背後の警戒があるので、抱き寄せる形でアイリーンに背後を見てもらう。
トイレスペースの為に岩場を展開する時に、安全確保をどうするのかについて昨夜話し合っていた。それで手をかざして岩を出す直前の形を練習していた。アイリーンが恥ずかしがっていたので、恥ずかしさが取れるまで30分近く抱き合う状態になったりもした。
その甲斐あってか、スムーズにトイレスペースが作れた。
アイリーンに先に用を足させ、それからレオンの順番だ。勿論レオンが緊急事態宣言をすれば順番を代わる事になる。
「ふう。スッキリした。ここからは歩いて行こうか?多分20分も歩けば町に着くかな」
「はい!」
アイリーンは不安なのか、レオンの腕を取って歩く。いや腕を組んでいる感じだ。手を離せば何処かに行ってしまうのではないかと焦っていたのだ。
歩き始めてすぐに後方より何かが近付いてくる気配というか、ドカドカと大きな足音や、早く逃げろ!と怒鳴っている声がした。
「うわあああ!逃げろー」
悲鳴を上げながら5人の冒険者がレオン達の横を駆けて行く。1人は腕が不自然な方向に曲がっており、1人は頭から血を流していた。
アイリーンはその冒険者が血まみれな事に驚き「ひぃー」と短く唸り、レオンも「へっ!?」っと唸った。
そしてその者達が走ってきた方向から、ドスン!ドスン!と何かが走ってくる音がしたので、2人がそちらの方へ振り向くと、身長2.5mほどある人面牛のような顔、2本の角がある赤茶けた皮膚の巨人がいた。
その巨躯に似合う剣、湾曲した蛮刀を持っている。ベルセルクに出てくるゾッドの剣を彷彿とさせたのもあり、つい唸った。
「おいおいおい!まじかよ!ゾッドの剣かよ!」
アイリーンはミノタウロスだと告げた。鑑定のスキルのお蔭でひと目見ただけで魔物の種類が分かる。また、掘り下げて行くと弱点や得意な攻撃手段、使用する魔法についての情報が得られる。使いこなす事が出来ればかなりのチート能力だ。ただ、レオンはそれを期待した訳ではなかった。アイテムを鑑定する力だと思っていたのだ。
ミノタウロスと告げられ、よく分かったなとレオンは感心していた。
フシューと息を吐き、ブモーと吠えた。2人の目の前に来ており、アイリーンは萎縮してレオンにしがみつく。
レオンは咄嗟にアイリーンを抱きしめて宙に舞う。すると今までレオンの体があった所を袈裟掛けで振られた刀が空を切る。
すかさず直径6mほどの岩を落下させる。ドーン!と地響きと共に、避けられるはずがないミノタウロスは岩の下敷きになる。ミノタウロスは上級に近い中級の魔物だ。
出した岩は100-200トン程あると思われるので、ひとたまりもないだろう。
「またぺったんこさんですね。怖かったよー。やっぱり私のレオンは違うわ!」
「危なかったね。というか魔物を押し付けられたな。さて、お宝お宝!警戒を宜しくね!」
「軍曹殿、任されました!」
敬礼するアイリーンを見て、何のネタだろう?と思いつつ岩を収納したが、驚いた事にまだ生きていた。
「アイリーン、脚を切って!」
レオンは咄嗟に収納から剣を出した。それは城にあった両手剣だ。
偶々うつ伏せに倒れ、土が柔らかかったからめり込んだだけだった。それに岩を早く収納したので、窒息死をしなかったのだ。今迄のぺったんこでも、魔物が地面にめり込んだりしていたのだが、岩を収納するまでそれなりに時間があり、窒息死したのが多かったりするのだ。
ミノタウロスはフラフラであり、辛うじて立ち上がったが、剣を杖代わりにしていた。
アイリーンがウインドカッターで右脚を切り裂くと、ミノタウロスが倒れた。レオンはジャンプ代わりに3m程の高さへ上がり、剣に体重を掛けて落下し、ぐさりと首に刺して息の根を止めた。するとポスッ!と弾けたというか、霧散して魔石とドロップアイテムを残してミノタウロスは消えた。
アイリーンを見ると、凄い凄いと手を叩いて喜んでおり、持っていた剣はその場に残されていた。
魔石の他にアイテムがあり、ミノタウロスの角が落ちていた。
魔石と角を拾い収納に入れてからアイリーンの元に行くと、先程の者達が戻ってきたのであった。
「レオン、ごめんなさい。そのう・・・」
「おしっこしたいなぁ。悪いけど、トイレを作るから警戒を頼むよ」
女に恥をかかせたくないので、別に尿意がなかったが、アイリーンのお願いを途中で遮り、おしっこがしたいとしてトイレを作る。
危ないのでレオンはアイリーンの背中越しに岩場を出していく。これはアイリーンが見えないところにいるのにも関わらず、誤って岩を出してしまって下敷きになってしまう事を避ける為だ。
ではどうやるのか?彼女の背中に寄り添う形で岩を出せば間違いは起こらない。ただ、これだと背後の警戒を行えない。背後の警戒があるので、抱き寄せる形でアイリーンに背後を見てもらう。
トイレスペースの為に岩場を展開する時に、安全確保をどうするのかについて昨夜話し合っていた。それで手をかざして岩を出す直前の形を練習していた。アイリーンが恥ずかしがっていたので、恥ずかしさが取れるまで30分近く抱き合う状態になったりもした。
その甲斐あってか、スムーズにトイレスペースが作れた。
アイリーンに先に用を足させ、それからレオンの順番だ。勿論レオンが緊急事態宣言をすれば順番を代わる事になる。
「ふう。スッキリした。ここからは歩いて行こうか?多分20分も歩けば町に着くかな」
「はい!」
アイリーンは不安なのか、レオンの腕を取って歩く。いや腕を組んでいる感じだ。手を離せば何処かに行ってしまうのではないかと焦っていたのだ。
歩き始めてすぐに後方より何かが近付いてくる気配というか、ドカドカと大きな足音や、早く逃げろ!と怒鳴っている声がした。
「うわあああ!逃げろー」
悲鳴を上げながら5人の冒険者がレオン達の横を駆けて行く。1人は腕が不自然な方向に曲がっており、1人は頭から血を流していた。
アイリーンはその冒険者が血まみれな事に驚き「ひぃー」と短く唸り、レオンも「へっ!?」っと唸った。
そしてその者達が走ってきた方向から、ドスン!ドスン!と何かが走ってくる音がしたので、2人がそちらの方へ振り向くと、身長2.5mほどある人面牛のような顔、2本の角がある赤茶けた皮膚の巨人がいた。
その巨躯に似合う剣、湾曲した蛮刀を持っている。ベルセルクに出てくるゾッドの剣を彷彿とさせたのもあり、つい唸った。
「おいおいおい!まじかよ!ゾッドの剣かよ!」
アイリーンはミノタウロスだと告げた。鑑定のスキルのお蔭でひと目見ただけで魔物の種類が分かる。また、掘り下げて行くと弱点や得意な攻撃手段、使用する魔法についての情報が得られる。使いこなす事が出来ればかなりのチート能力だ。ただ、レオンはそれを期待した訳ではなかった。アイテムを鑑定する力だと思っていたのだ。
ミノタウロスと告げられ、よく分かったなとレオンは感心していた。
フシューと息を吐き、ブモーと吠えた。2人の目の前に来ており、アイリーンは萎縮してレオンにしがみつく。
レオンは咄嗟にアイリーンを抱きしめて宙に舞う。すると今までレオンの体があった所を袈裟掛けで振られた刀が空を切る。
すかさず直径6mほどの岩を落下させる。ドーン!と地響きと共に、避けられるはずがないミノタウロスは岩の下敷きになる。ミノタウロスは上級に近い中級の魔物だ。
出した岩は100-200トン程あると思われるので、ひとたまりもないだろう。
「またぺったんこさんですね。怖かったよー。やっぱり私のレオンは違うわ!」
「危なかったね。というか魔物を押し付けられたな。さて、お宝お宝!警戒を宜しくね!」
「軍曹殿、任されました!」
敬礼するアイリーンを見て、何のネタだろう?と思いつつ岩を収納したが、驚いた事にまだ生きていた。
「アイリーン、脚を切って!」
レオンは咄嗟に収納から剣を出した。それは城にあった両手剣だ。
偶々うつ伏せに倒れ、土が柔らかかったからめり込んだだけだった。それに岩を早く収納したので、窒息死をしなかったのだ。今迄のぺったんこでも、魔物が地面にめり込んだりしていたのだが、岩を収納するまでそれなりに時間があり、窒息死したのが多かったりするのだ。
ミノタウロスはフラフラであり、辛うじて立ち上がったが、剣を杖代わりにしていた。
アイリーンがウインドカッターで右脚を切り裂くと、ミノタウロスが倒れた。レオンはジャンプ代わりに3m程の高さへ上がり、剣に体重を掛けて落下し、ぐさりと首に刺して息の根を止めた。するとポスッ!と弾けたというか、霧散して魔石とドロップアイテムを残してミノタウロスは消えた。
アイリーンを見ると、凄い凄いと手を叩いて喜んでおり、持っていた剣はその場に残されていた。
魔石の他にアイテムがあり、ミノタウロスの角が落ちていた。
魔石と角を拾い収納に入れてからアイリーンの元に行くと、先程の者達が戻ってきたのであった。
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