12 / 111
第二章 逃亡編
第11話 脱出
しおりを挟む
剛のスキルが連続してどれ位発動出来るのかが分からないので、都度解除して先を進んでは発見される毎に壁抜けを使い、気配を消すのを繰り返した。
時折兵を倒していたが、二人のスキルのお陰で何とか城からは出られた。街のあちこちが燃えており、真夜中だがそこそこ明るく、放射熱で熱かった。城は落ちるなと二人して感じた。状況がよく分からないが、戦いの音が城を中心に聞こえるし、燃えているからだ。
城を出てからは逃げ惑う一般市民に紛れ、城から離れる方向に向かった。市民は敵兵に追われ、斬られていた。また女性は悲惨で、多くの女性が犯され殺された。犯されているのを見ても助ける余裕はなかった。
また見目麗しかったり若い女性は囚われ、一箇所にまとめられていたが、残念ながら三郎達には助ける力もなく、知った顔がいるわけでもなく、危険を冒してまで助けに行く事が出来なかった。行けば確実に死ぬと確信したからだ。
ごめんねと一言言い、涙を流しながら先に進んだ。見捨てる事になるが、今は自分達の身を護るのが精一杯だ。そう、今は力が無い。
それと聖哉が殺された時、勇者を探して殺そうとしていたと判断できる敵兵のやり取りが有った。どうしてなのか分からないが召喚された勇者を探して殺す事の優先順位が高かったようだ。
だから逃げねば、捕まったら最後だと剛も分かっていて、必死に逃げていた。
皆街の地理等は分からなかった。少女達も別の街から来たとかで地理が分からず、道案内は絶望的だ。
そうこうしていると町の正門が見えてきたが、当然ながら敵兵で一杯だった。
町の作りは少女達に確認したが、例外なく高い壁に囲まれていると。外は危険な魔物等が多くいて、それらから守る壁だそうだ。
もう一時間程で夜が明ける頃だが、街に留まるよりは危険な魔物がいる外に出て、他の町や国を目指す方が安全だと5人とも分かっており、正門と他の門の間位に移動し、壁抜けで外に出た。
そこは鬱蒼とした森の近くで、躊躇いつつも森に逃げ込んだ。
少しでも町から離れねばと、寝不足と披露が有り足取りは重かったが、それでも死にたくない一心から必死に歩いた。
しかし、慣れない履物の為、皆足が辛かった。
最初に音を上げたのはソフィアだった。遅れ始めたからだ。
三郎は小休止を伝えた。皆靴擦れ等で血が出ていた。剛だけはまともな靴を履いていて何ともなかったが、三郎は少女達の足を取り各々にヒールを掛けた。お礼を言おうとしたので、例には及ばないと気にしないでと伝えていた。
また、お腹が減っていたが、部屋にあった茶菓子等を収納にいれており、皆で分け合い食べていた。
水もポットごと持っており、少量ながら少女達にも分け与え、何とか渇きを潤していた。
限界が近かった。三郎もだが、少女達の方が特にそうだが、かなり辛そうだった。弱音を吐かなかったが、限界が近い事を剛が見抜いており、休める場所を探しながら進んでいた。
夜明けから一時間位だろうか、漸く岩場に穴があり、休める所が有った。
長さは10mくらいの洞窟で、体力の限界からここで休む事にした。
洞窟の入り口に折った枝などを置き、カモフラージュした。動かすと音が出ると判断し、皆仮眠を取る事にした。
剛とミライが見張りをし、2時間で交代する為、三郎、アルテミス、ソフィアが先に休む事にした。部屋から毛布等もくすねており、着替などを使い横になる場所を作った。だが毛布は3枚しかなかったのでソフィアとアルテミスに挟まれて休む事にした。
女の子二人に挟まれ本来だとウハウハなのだが、震えているが弱音を吐かない二人の前でみっともない真似ができず、大丈夫だからとギュッと抱きしめ、必ず守るからと言い聞かせてから休んでいた。女の子の体って柔らかいな、いい匂いがするなとドキドキしていたが、疲れから程なくして三人共眠りに落ちていった。
アルテミスとソフィアも疲れからこの人に犯されるのか否かについて考える事も出来ず、先程から敵兵を屠ったその腕前に命を託さねばならないと、この人を頼らないと自分は生きていけない、善良そうな人で良かったと安堵し、信頼が芽生え始めていた。
その為、今はこの人を支えなければと思いはした。まさか奴隷の自分が誰かを支えると思う事は無いと思っていたから、その気持ちは不思議だった。自分達が唯一今ある毛布を使う訳にはと思ったが、疲労には勝てず泥のように眠る事になった。1枚を床に、もう一枚を掛けて寝るのに使い、もう一枚は見張りの時に身を包み暖を取る為に渡していた。明け方は少し冷えており寒かったからだ。ソフィアとアルテミスは男の人の腕に抱かれている事の恥ずかしさや怖さよりも、温かいなと感じたのか、優しく抱きしめられていたからか、安心感からか、意外と心地良かったのも眠気に拍車をかけていた。
時折兵を倒していたが、二人のスキルのお陰で何とか城からは出られた。街のあちこちが燃えており、真夜中だがそこそこ明るく、放射熱で熱かった。城は落ちるなと二人して感じた。状況がよく分からないが、戦いの音が城を中心に聞こえるし、燃えているからだ。
城を出てからは逃げ惑う一般市民に紛れ、城から離れる方向に向かった。市民は敵兵に追われ、斬られていた。また女性は悲惨で、多くの女性が犯され殺された。犯されているのを見ても助ける余裕はなかった。
また見目麗しかったり若い女性は囚われ、一箇所にまとめられていたが、残念ながら三郎達には助ける力もなく、知った顔がいるわけでもなく、危険を冒してまで助けに行く事が出来なかった。行けば確実に死ぬと確信したからだ。
ごめんねと一言言い、涙を流しながら先に進んだ。見捨てる事になるが、今は自分達の身を護るのが精一杯だ。そう、今は力が無い。
それと聖哉が殺された時、勇者を探して殺そうとしていたと判断できる敵兵のやり取りが有った。どうしてなのか分からないが召喚された勇者を探して殺す事の優先順位が高かったようだ。
だから逃げねば、捕まったら最後だと剛も分かっていて、必死に逃げていた。
皆街の地理等は分からなかった。少女達も別の街から来たとかで地理が分からず、道案内は絶望的だ。
そうこうしていると町の正門が見えてきたが、当然ながら敵兵で一杯だった。
町の作りは少女達に確認したが、例外なく高い壁に囲まれていると。外は危険な魔物等が多くいて、それらから守る壁だそうだ。
もう一時間程で夜が明ける頃だが、街に留まるよりは危険な魔物がいる外に出て、他の町や国を目指す方が安全だと5人とも分かっており、正門と他の門の間位に移動し、壁抜けで外に出た。
そこは鬱蒼とした森の近くで、躊躇いつつも森に逃げ込んだ。
少しでも町から離れねばと、寝不足と披露が有り足取りは重かったが、それでも死にたくない一心から必死に歩いた。
しかし、慣れない履物の為、皆足が辛かった。
最初に音を上げたのはソフィアだった。遅れ始めたからだ。
三郎は小休止を伝えた。皆靴擦れ等で血が出ていた。剛だけはまともな靴を履いていて何ともなかったが、三郎は少女達の足を取り各々にヒールを掛けた。お礼を言おうとしたので、例には及ばないと気にしないでと伝えていた。
また、お腹が減っていたが、部屋にあった茶菓子等を収納にいれており、皆で分け合い食べていた。
水もポットごと持っており、少量ながら少女達にも分け与え、何とか渇きを潤していた。
限界が近かった。三郎もだが、少女達の方が特にそうだが、かなり辛そうだった。弱音を吐かなかったが、限界が近い事を剛が見抜いており、休める場所を探しながら進んでいた。
夜明けから一時間位だろうか、漸く岩場に穴があり、休める所が有った。
長さは10mくらいの洞窟で、体力の限界からここで休む事にした。
洞窟の入り口に折った枝などを置き、カモフラージュした。動かすと音が出ると判断し、皆仮眠を取る事にした。
剛とミライが見張りをし、2時間で交代する為、三郎、アルテミス、ソフィアが先に休む事にした。部屋から毛布等もくすねており、着替などを使い横になる場所を作った。だが毛布は3枚しかなかったのでソフィアとアルテミスに挟まれて休む事にした。
女の子二人に挟まれ本来だとウハウハなのだが、震えているが弱音を吐かない二人の前でみっともない真似ができず、大丈夫だからとギュッと抱きしめ、必ず守るからと言い聞かせてから休んでいた。女の子の体って柔らかいな、いい匂いがするなとドキドキしていたが、疲れから程なくして三人共眠りに落ちていった。
アルテミスとソフィアも疲れからこの人に犯されるのか否かについて考える事も出来ず、先程から敵兵を屠ったその腕前に命を託さねばならないと、この人を頼らないと自分は生きていけない、善良そうな人で良かったと安堵し、信頼が芽生え始めていた。
その為、今はこの人を支えなければと思いはした。まさか奴隷の自分が誰かを支えると思う事は無いと思っていたから、その気持ちは不思議だった。自分達が唯一今ある毛布を使う訳にはと思ったが、疲労には勝てず泥のように眠る事になった。1枚を床に、もう一枚を掛けて寝るのに使い、もう一枚は見張りの時に身を包み暖を取る為に渡していた。明け方は少し冷えており寒かったからだ。ソフィアとアルテミスは男の人の腕に抱かれている事の恥ずかしさや怖さよりも、温かいなと感じたのか、優しく抱きしめられていたからか、安心感からか、意外と心地良かったのも眠気に拍車をかけていた。
1
あなたにおすすめの小説
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる