神獣使いは魔法の使えない魔法使い!〜異世界召喚された魔法使いはヌンチャクの使い手だった!奴隷少女と格闘派魔法使いの異世界成り上がり物語!〜

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第二章 逃亡編

第11話 脱出

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 剛のスキルが連続してどれ位発動出来るのかが分からないので、都度解除して先を進んでは発見される毎に壁抜けを使い、気配を消すのを繰り返した。
 時折兵を倒していたが、二人のスキルのお陰で何とか城からは出られた。街のあちこちが燃えており、真夜中だがそこそこ明るく、放射熱で熱かった。城は落ちるなと二人して感じた。状況がよく分からないが、戦いの音が城を中心に聞こえるし、燃えているからだ。

 城を出てからは逃げ惑う一般市民に紛れ、城から離れる方向に向かった。市民は敵兵に追われ、斬られていた。また女性は悲惨で、多くの女性が犯され殺された。犯されているのを見ても助ける余裕はなかった。

 また見目麗しかったり若い女性は囚われ、一箇所にまとめられていたが、残念ながら三郎達には助ける力もなく、知った顔がいるわけでもなく、危険を冒してまで助けに行く事が出来なかった。行けば確実に死ぬと確信したからだ。

 ごめんねと一言言い、涙を流しながら先に進んだ。見捨てる事になるが、今は自分達の身を護るのが精一杯だ。そう、今は力が無い。

 それと聖哉が殺された時、勇者を探して殺そうとしていたと判断できる敵兵のやり取りが有った。どうしてなのか分からないが召喚された勇者を探して殺す事の優先順位が高かったようだ。

 だから逃げねば、捕まったら最後だと剛も分かっていて、必死に逃げていた。

 皆街の地理等は分からなかった。少女達も別の街から来たとかで地理が分からず、道案内は絶望的だ。

 そうこうしていると町の正門が見えてきたが、当然ながら敵兵で一杯だった。

 町の作りは少女達に確認したが、例外なく高い壁に囲まれていると。外は危険な魔物等が多くいて、それらから守る壁だそうだ。

 もう一時間程で夜が明ける頃だが、街に留まるよりは危険な魔物がいる外に出て、他の町や国を目指す方が安全だと5人とも分かっており、正門と他の門の間位に移動し、壁抜けで外に出た。

 そこは鬱蒼とした森の近くで、躊躇いつつも森に逃げ込んだ。

 少しでも町から離れねばと、寝不足と披露が有り足取りは重かったが、それでも死にたくない一心から必死に歩いた。

 しかし、慣れない履物の為、皆足が辛かった。
 最初に音を上げたのはソフィアだった。遅れ始めたからだ。

 三郎は小休止を伝えた。皆靴擦れ等で血が出ていた。剛だけはまともな靴を履いていて何ともなかったが、三郎は少女達の足を取り各々にヒールを掛けた。お礼を言おうとしたので、例には及ばないと気にしないでと伝えていた。

 また、お腹が減っていたが、部屋にあった茶菓子等を収納にいれており、皆で分け合い食べていた。

 水もポットごと持っており、少量ながら少女達にも分け与え、何とか渇きを潤していた。

 限界が近かった。三郎もだが、少女達の方が特にそうだが、かなり辛そうだった。弱音を吐かなかったが、限界が近い事を剛が見抜いており、休める場所を探しながら進んでいた。

 夜明けから一時間位だろうか、漸く岩場に穴があり、休める所が有った。
 長さは10mくらいの洞窟で、体力の限界からここで休む事にした。

 洞窟の入り口に折った枝などを置き、カモフラージュした。動かすと音が出ると判断し、皆仮眠を取る事にした。

 剛とミライが見張りをし、2時間で交代する為、三郎、アルテミス、ソフィアが先に休む事にした。部屋から毛布等もくすねており、着替などを使い横になる場所を作った。だが毛布は3枚しかなかったのでソフィアとアルテミスに挟まれて休む事にした。

 女の子二人に挟まれ本来だとウハウハなのだが、震えているが弱音を吐かない二人の前でみっともない真似ができず、大丈夫だからとギュッと抱きしめ、必ず守るからと言い聞かせてから休んでいた。女の子の体って柔らかいな、いい匂いがするなとドキドキしていたが、疲れから程なくして三人共眠りに落ちていった。

 アルテミスとソフィアも疲れからこの人に犯されるのか否かについて考える事も出来ず、先程から敵兵を屠ったその腕前に命を託さねばならないと、この人を頼らないと自分は生きていけない、善良そうな人で良かったと安堵し、信頼が芽生え始めていた。

 その為、今はこの人を支えなければと思いはした。まさか奴隷の自分が誰かを支えると思う事は無いと思っていたから、その気持ちは不思議だった。自分達が唯一今ある毛布を使う訳にはと思ったが、疲労には勝てず泥のように眠る事になった。1枚を床に、もう一枚を掛けて寝るのに使い、もう一枚は見張りの時に身を包み暖を取る為に渡していた。明け方は少し冷えており寒かったからだ。ソフィアとアルテミスは男の人の腕に抱かれている事の恥ずかしさや怖さよりも、温かいなと感じたのか、優しく抱きしめられていたからか、安心感からか、意外と心地良かったのも眠気に拍車をかけていた。
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