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第二章 逃亡編
第39話 敵の正体?
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アルテミスとソフィアの変化にミライは驚いていた。
ミライは焚き付けておきながら驚いていたのだ。それはまだまだ時間が掛かり、手が焼けると思っていたのだが、目覚めると肩を寄せ合い、3人で手を握っていたからだ。
「おはよう。ルース様?もう大丈夫なのですか?」
「はい。心配掛けてしいましたがもう大丈夫です」
「愛の力かしら?」
「愛の力?」
「ええ。ルース様は漸く二人の事を女として見てあげる事が出来たのですわね?」
「僕は自分のエゴを押し付けていたんだと思います。彼女達の立場からしたら当たり前なのに、僕は一方的に否定していましたから。でもお互い歩み寄り、ここからスタートしようと思うんです。僕は二人の事が好きです。尚更奴隷から開放したいと思います」
「ふふふ。ルース様、二人が奴隷として振る舞わないのなら、急いで開放しなくても大丈夫なのですわ」
「どうしてですか?」
「貞操帯として使えるのよ。例えば王族の娘なんかはね、国王の奴隷になるの。結婚式をして、初夜の床に連れて行ってから奴隷解放する国があるの。それがハレム。まあ行けば分かりますわよ。私はトニーとルースが奴隷を奴隷として扱わず、紳士だったと心の底から感じましたから。お喋りが過ぎましたわね。ソロソロ朝食を食べて出発しませんこと?」
ルースはミライの言質の違いに違和感を覚えたが、アルテミスとソフィアに手伝って貰いながら朝食の準備をしたりしていた。
出発前にトニーが心配そうに切り出した。
「奴らはこのまま引き下がると思うかい?」
「どうでしょう?あの隊長のあの吠え面からすると追ってきそうですが、僕らは馬では厳しい所を進んできたので撒いた可能性があります。バルドウィン方面に向かったと思ってくれたら良いんですが、何か気になったのですか?」
「うん。ミライがね、あいつらの装備が気になると言うんだ。最後の二人から回収したのを出してくれるかい?」
焚き木代わりに使った魔道具を出した。財布と身分を明かすペンダント、装飾の施されたナイフ等だ。
「この魔道具は火力が大きかっただろう?煮炊きするのには強過ぎるんだそうだ。値段が家庭にあるのに比べ10倍はするのと、このペンダントは貴族の物じゃないかというんだ。それと全員騎馬だったろ?馬は高価なんだって」
「確かにあいつ左遷されたような事を言っていましたよね。貴族の子弟や騎士などがいたって事か。うーん。何かの罰でつまらない任務に就かされていた貴族の子弟を殺したって事か。それに手柄を立てて上に上がりたいような事を言っていたよね?」
ルースは色々な表情を浮かべながら、トニーから聞かされた事を反芻していた。
「先を急いだ方が良さそうですね。話を総合すると貴族の子弟が含まれる部隊、もしくは騎士かもだけど、装備が充実していて全員騎馬の奴らを怒らせたって事だよね。確か父がどうのと呟いていたから高位の貴族の子弟かな?殺した二人は下級貴族の子弟か?装備と強さが釣り合わなかったんだよね?あの三人は確かに強かったけど」
「流石魔法使いですわね。古来より魔法使いに選ばれし者は聡明だったとありますわ。あのペンダントの持ち主はルース様の言われる通り恐らく下級貴族の子息よ。手に剣タコ以外の労働者の痕跡はありませんでしたから。次は油断していないでしょうし、仲間の仇となっているので、今頃必死に我々の行方を探している事でしょう」
そうしてルース達は先を急ぐ事にし、話し合いの後、取り憑かれたかのように必死に進んだ。
河川敷の道を進むのは馬にはきついが、脚の作りの違いから聖獣たるリーナにはどうという事は無かった。
道中漁師を見掛けたのでアルテミスとソフィアが街道や町の方角や距離を聞いてくれた。情報を聞く為にお金を握らせたが、少し上乗せをしてくれたら魚を売ると言われ、買って来てもらった。
このまま進むと目指すハレム国と違う方向に進むと分かり、街道を進む事にした。
丁度川の向きが変わる所であり、街道が近かった。勿論人がいるという事は人里が近い事を意味していた。
ミライは焚き付けておきながら驚いていたのだ。それはまだまだ時間が掛かり、手が焼けると思っていたのだが、目覚めると肩を寄せ合い、3人で手を握っていたからだ。
「おはよう。ルース様?もう大丈夫なのですか?」
「はい。心配掛けてしいましたがもう大丈夫です」
「愛の力かしら?」
「愛の力?」
「ええ。ルース様は漸く二人の事を女として見てあげる事が出来たのですわね?」
「僕は自分のエゴを押し付けていたんだと思います。彼女達の立場からしたら当たり前なのに、僕は一方的に否定していましたから。でもお互い歩み寄り、ここからスタートしようと思うんです。僕は二人の事が好きです。尚更奴隷から開放したいと思います」
「ふふふ。ルース様、二人が奴隷として振る舞わないのなら、急いで開放しなくても大丈夫なのですわ」
「どうしてですか?」
「貞操帯として使えるのよ。例えば王族の娘なんかはね、国王の奴隷になるの。結婚式をして、初夜の床に連れて行ってから奴隷解放する国があるの。それがハレム。まあ行けば分かりますわよ。私はトニーとルースが奴隷を奴隷として扱わず、紳士だったと心の底から感じましたから。お喋りが過ぎましたわね。ソロソロ朝食を食べて出発しませんこと?」
ルースはミライの言質の違いに違和感を覚えたが、アルテミスとソフィアに手伝って貰いながら朝食の準備をしたりしていた。
出発前にトニーが心配そうに切り出した。
「奴らはこのまま引き下がると思うかい?」
「どうでしょう?あの隊長のあの吠え面からすると追ってきそうですが、僕らは馬では厳しい所を進んできたので撒いた可能性があります。バルドウィン方面に向かったと思ってくれたら良いんですが、何か気になったのですか?」
「うん。ミライがね、あいつらの装備が気になると言うんだ。最後の二人から回収したのを出してくれるかい?」
焚き木代わりに使った魔道具を出した。財布と身分を明かすペンダント、装飾の施されたナイフ等だ。
「この魔道具は火力が大きかっただろう?煮炊きするのには強過ぎるんだそうだ。値段が家庭にあるのに比べ10倍はするのと、このペンダントは貴族の物じゃないかというんだ。それと全員騎馬だったろ?馬は高価なんだって」
「確かにあいつ左遷されたような事を言っていましたよね。貴族の子弟や騎士などがいたって事か。うーん。何かの罰でつまらない任務に就かされていた貴族の子弟を殺したって事か。それに手柄を立てて上に上がりたいような事を言っていたよね?」
ルースは色々な表情を浮かべながら、トニーから聞かされた事を反芻していた。
「先を急いだ方が良さそうですね。話を総合すると貴族の子弟が含まれる部隊、もしくは騎士かもだけど、装備が充実していて全員騎馬の奴らを怒らせたって事だよね。確か父がどうのと呟いていたから高位の貴族の子弟かな?殺した二人は下級貴族の子弟か?装備と強さが釣り合わなかったんだよね?あの三人は確かに強かったけど」
「流石魔法使いですわね。古来より魔法使いに選ばれし者は聡明だったとありますわ。あのペンダントの持ち主はルース様の言われる通り恐らく下級貴族の子息よ。手に剣タコ以外の労働者の痕跡はありませんでしたから。次は油断していないでしょうし、仲間の仇となっているので、今頃必死に我々の行方を探している事でしょう」
そうしてルース達は先を急ぐ事にし、話し合いの後、取り憑かれたかのように必死に進んだ。
河川敷の道を進むのは馬にはきついが、脚の作りの違いから聖獣たるリーナにはどうという事は無かった。
道中漁師を見掛けたのでアルテミスとソフィアが街道や町の方角や距離を聞いてくれた。情報を聞く為にお金を握らせたが、少し上乗せをしてくれたら魚を売ると言われ、買って来てもらった。
このまま進むと目指すハレム国と違う方向に進むと分かり、街道を進む事にした。
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