52 / 111
第三章 新天地編
第51話 現状確認
しおりを挟む
紗代子は恥ずかしそうに答えた。
「三郎君、ずるいよ。私の方こそずっと言えなくてごめんなさい」
「あのう、紗代子さんって呼べばよいですか?その、そろそろ現状を確認した方が良いと思うの。それと、私は紗代子さんを受け入れます」
「私もよ。それにこの子達も気に入ったようよ」
リーナが紗代子の匂いを嗅いでいた。
「そうでしたね。私の事は紗代子で良いわよ」
「はい。私達はお互いにアルテミス、ソフィアと呼び捨てだから、さ、紗代子も私達を呼び捨てにしてね」
「分かったわ」
「えっと、先ずはこっちの事を話すよ」
三郎は召喚されてから今までの事をざっくりと話した。
また、紗代子の方は、三郎程ではないものの背中に火傷を負っていて、召喚された時に治された。剣の勇者として召喚されたが、本来持っている筈の勇者武器を持っていなかった。
回復魔法と補助魔法のみが使え、回復魔法に限れば欠損修復も可能で、剣の訓練をしつつ回復魔法を使い傷付いている者を治し続けていた。そしていつの間にか聖女と言われるようになっていたと。それと、もし勇者武器があれば二人を奴隷から開放できるのではないかと言う。
「大体分かったよ。ひょっとしてこれが使えるかな?殺されてしまったけど、俺と一緒に召喚された剣の勇者が持っていた剣だよ」
そう言って収納にしまいっぱなしだった聖哉が持っていた剣を出し、紗代子の手に握らせた。すると紗代子と剣が眩い光を放ち、キュイ~ンとかなりの音がして、最後にバーンという音と共に光が消えた。
すると隣室から慌てた者達がというか、慌てた国王が真っ先に入って来た。
「大丈夫か?何事があった?骨折が折れたりしていないよな?」
かなり慌てていたようで、国王の言っている事がおかしかったが、そこは敢えてスルーした。それくらいの空気は読めた。
「あははは。どうやら俺が亡くなった剣の勇者、つまり紗代子の前に召喚された勇者の剣を持っていて、それを渡したんだ。多分紗代子が所有者として認識されたんじゃないかな?まあそれがあの音の正体です」
「無事なら良いのだ。そろそろ話は終わったかな?」
「はい。積もる話は山程ありますが、取り敢えず大丈夫です」
「では悪いがこちらに来て話に加わって欲しい。君達の事は、トニー殿達の話で概ね理解できているが、君達の事を決めねばならぬのだ」
取り敢えずルースの女性問題は一応解決?したようで、この後身の振り方についての話し合いが行われるのだろうと。
「さて諸君、ここにいる聖女様が三郎君と呼んでいる方は、間違いなく魔法使いの勇者様だ。その三郎殿が回収していた殺された勇者様の剣を聖女様に渡した事により、剣の所有者が剣の勇者たる聖女様となった。私は彼らを私の庇護下に置き、客人として最大級の敬意を持って応じる次第である。反対の者はおるまいな?それと三郎殿、聖女様との関係がいまいちわからぬので話して頂けるかな?」
「はい。彼女とは向こうの世界で同じ学び舎にて学んでいたんです。学び舎の修学旅行という、遠方にて見聞を広げる学びがあり、その時の宿が火災に合い、俺は彼女を燃えさかる宿から救出した所で召喚され、彼女の話からすると、俺と一緒に召喚された剣の勇者が殺された直後にここで召喚されたようです。それと彼女と私は婚約します」
ざわめきが起こった。
「お待ち下さい!いきなり現れてきたこの者に、はいそうですかと聖女様をくれてやるのですか?」
「お前は何を聞いていたのだ?彼は勇者の一人だ。それにあの強さを見ただろう?あ奴は品位や行動に難は有るが、1vs1の時の腕っぷしだけを見れば、おそらく我が国一番なのだぞ」
「そ、それはそうですが!」
「それに攻め落とされたと思われる城から足枷にしかならぬ奴隷の少女を連れ出し、しかも無事に抜け出したのみならず、国境を超えてきておるのだぞ。しかも魔法を覚える前にだ。もし我らが悪意を持って捕らえようとするならば、今度は聖女様を連れて我が国を脱出し、攻め滅ぼす側に回るのが落ちだ。その辺りを考えぬか!」
「はっ!申し訳ありません」
国王と部下のやり取りを見ていたが、三郎は身の振り方について質問をする事にした。
「三郎君、ずるいよ。私の方こそずっと言えなくてごめんなさい」
「あのう、紗代子さんって呼べばよいですか?その、そろそろ現状を確認した方が良いと思うの。それと、私は紗代子さんを受け入れます」
「私もよ。それにこの子達も気に入ったようよ」
リーナが紗代子の匂いを嗅いでいた。
「そうでしたね。私の事は紗代子で良いわよ」
「はい。私達はお互いにアルテミス、ソフィアと呼び捨てだから、さ、紗代子も私達を呼び捨てにしてね」
「分かったわ」
「えっと、先ずはこっちの事を話すよ」
三郎は召喚されてから今までの事をざっくりと話した。
また、紗代子の方は、三郎程ではないものの背中に火傷を負っていて、召喚された時に治された。剣の勇者として召喚されたが、本来持っている筈の勇者武器を持っていなかった。
回復魔法と補助魔法のみが使え、回復魔法に限れば欠損修復も可能で、剣の訓練をしつつ回復魔法を使い傷付いている者を治し続けていた。そしていつの間にか聖女と言われるようになっていたと。それと、もし勇者武器があれば二人を奴隷から開放できるのではないかと言う。
「大体分かったよ。ひょっとしてこれが使えるかな?殺されてしまったけど、俺と一緒に召喚された剣の勇者が持っていた剣だよ」
そう言って収納にしまいっぱなしだった聖哉が持っていた剣を出し、紗代子の手に握らせた。すると紗代子と剣が眩い光を放ち、キュイ~ンとかなりの音がして、最後にバーンという音と共に光が消えた。
すると隣室から慌てた者達がというか、慌てた国王が真っ先に入って来た。
「大丈夫か?何事があった?骨折が折れたりしていないよな?」
かなり慌てていたようで、国王の言っている事がおかしかったが、そこは敢えてスルーした。それくらいの空気は読めた。
「あははは。どうやら俺が亡くなった剣の勇者、つまり紗代子の前に召喚された勇者の剣を持っていて、それを渡したんだ。多分紗代子が所有者として認識されたんじゃないかな?まあそれがあの音の正体です」
「無事なら良いのだ。そろそろ話は終わったかな?」
「はい。積もる話は山程ありますが、取り敢えず大丈夫です」
「では悪いがこちらに来て話に加わって欲しい。君達の事は、トニー殿達の話で概ね理解できているが、君達の事を決めねばならぬのだ」
取り敢えずルースの女性問題は一応解決?したようで、この後身の振り方についての話し合いが行われるのだろうと。
「さて諸君、ここにいる聖女様が三郎君と呼んでいる方は、間違いなく魔法使いの勇者様だ。その三郎殿が回収していた殺された勇者様の剣を聖女様に渡した事により、剣の所有者が剣の勇者たる聖女様となった。私は彼らを私の庇護下に置き、客人として最大級の敬意を持って応じる次第である。反対の者はおるまいな?それと三郎殿、聖女様との関係がいまいちわからぬので話して頂けるかな?」
「はい。彼女とは向こうの世界で同じ学び舎にて学んでいたんです。学び舎の修学旅行という、遠方にて見聞を広げる学びがあり、その時の宿が火災に合い、俺は彼女を燃えさかる宿から救出した所で召喚され、彼女の話からすると、俺と一緒に召喚された剣の勇者が殺された直後にここで召喚されたようです。それと彼女と私は婚約します」
ざわめきが起こった。
「お待ち下さい!いきなり現れてきたこの者に、はいそうですかと聖女様をくれてやるのですか?」
「お前は何を聞いていたのだ?彼は勇者の一人だ。それにあの強さを見ただろう?あ奴は品位や行動に難は有るが、1vs1の時の腕っぷしだけを見れば、おそらく我が国一番なのだぞ」
「そ、それはそうですが!」
「それに攻め落とされたと思われる城から足枷にしかならぬ奴隷の少女を連れ出し、しかも無事に抜け出したのみならず、国境を超えてきておるのだぞ。しかも魔法を覚える前にだ。もし我らが悪意を持って捕らえようとするならば、今度は聖女様を連れて我が国を脱出し、攻め滅ぼす側に回るのが落ちだ。その辺りを考えぬか!」
「はっ!申し訳ありません」
国王と部下のやり取りを見ていたが、三郎は身の振り方について質問をする事にした。
1
あなたにおすすめの小説
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる