神獣使いは魔法の使えない魔法使い!〜異世界召喚された魔法使いはヌンチャクの使い手だった!奴隷少女と格闘派魔法使いの異世界成り上がり物語!〜

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第三章 新天地編

第53話 王の土下座

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「取り敢えず暫く王城に滞在して今後の事を決めてくれ。それより次の話をせねばならぬ。ルーテシアよ、先ずはそなたを奴隷解放せねばなるまい。よくぞ勇者殿を連れてきた。大儀であった」

 ミライは片膝を付きトニーを見た。

「もし宜しければ勇者トニー様の伴侶になる事をお許しください」

「本気なのか?」

「はい。本気ですわ」

「ミ、ミライ、どういう事なの?」

「ルーテシア、伝えておらぬのか?余から話そうか?」

「いえ。自分の口から話たいのです」

「私はこの国の第7王女になります。トニー、今迄隠していてごめんなさい。この任務が終わり次第王位継承権を放棄し、一人の女、ミライとして生きていくつもりでした。この騒ぎがなければ今夜全てを話すつもりでした。愛しています。これは王族としての最後の話になります」  

 そうして話し始めた。

 各国の奴隷商とハレム国は繋がっており、ハイガスラン国以外の国の奴隷商に、王族の姫達を高級奴隷として送り込んでおり、勇者召喚が成功した場合、通常勇者には奴隷を与えられるのだが、その奴隷として送り込まれていたのだ。ミライもその姫達のうちの一人だった。勿論下衆な者だった場合、即時犯されてしまう!そういう覚悟をし、同意して送り込まれていた。そしてその勇者をハレムに連れてくるように、そのように籠絡するようにと。

 ハレムに勇者を連れ帰り、勇者をハレム国の管理下に置き、他国から隠し守る為にだった。ハレムはアメリカのような立場の国だったのだ。もしも勇者を全面に押し出して侵略行為をする国が現れた場合、各国と連合を組んでその国を押さえる調整者だった。

 ミライは呆然としているトニーに抱きつき泣いていた。
 最初は役目を果たす為に、大陸の平和の為に身を捧げ、その勇者に心を許すつもりはなかった。しかし不覚にも本気で好きになってしまったと。最後には捨てないでとまで言い、なんでもするからと泣きじゃくっていた。普段の自信溢れるミライの姿からは想像ができないほど狼狽していたのだ。

 ミライがマルガタール国ゆ送り込まれたのは、ハイガスラン国との戦争で劣勢にあり、防衛の為に間違いなく勇者召喚を行うからだ。それが有り、今回送り込む姫達の中で一番能力の有る者を必要とし、ルーテシアに決まったのだと、泣いて話せなくなったルーテシアの代わりに国王が話をしていた。

 そして次の行動に皆唖然とした。トニーの前に国王が土下座をしたからだ。

「トニー殿。怒りは尤もな事だ。ルーテシア、いやミライを頼む。虫のいい話だというのは分かっている。どうか我が娘の想い受け取ってやってくれぬか?側女でも良いのだ。どうか頼む!」

 突然、トニーが再起動した。話についていけなかったのでフリーズしていたのだ。気が付いたら目の前に土下座をしている者がいるのだ。しかもミライが抱き付いて泣いているからだ。ただ、なんとなく思い出した。国王の命令で自分達の奴隷になるように手配されていたと。ただ、ミライが自分の所に来たのは運命だと、急激に何故こうなったのか理解した。

 どうやら展開についていけなく固まっていた自分を見て、怒りから押し黙ったと勘違いしたのだと。

 慌てたトニーはもちろん正妻として娶らせてくださいとこの状況の火消しに必死になっていたのであった。
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