勇者だけど幼女使いと言われていますが何か?

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第1章  入試篇

第28話  シーラのファーストキス

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 今はシーラの御者で馬車は進んでいるが、今日は想定よりもかなり早く進んでいた。

 その為、当初予定していた街を通り越して本来明日の昼前に通る分岐路の先の街に向かう事にした。

 新たに目標にした町は、今通っている主要街道から外れるのだが、この先の分岐路を少し過ぎた所にある小さな町で宿も有るそうだ。

 当初の予定だと明日の昼頃に通る予定だったが、今日は無理をしてなんとかそこまで進んだ。それは馬車の荷物が少ないのもあり、馬に少し無理をさせ、馬も頑張ってくれた為だ。

 何とか暗くなり掛けた頃に町に着いたが、そこは寂れた宿場町であった。宿があるにはあるのだが、大した宿ではなかった。一応一番良い部屋を取りたいと思い、空いている中では一番良い部屋をお願いしたが、そんな部屋はなく、普通の部屋に泊まる事になった。

 馬の世話は宿の方にお金を払ってお願いし、先ずは部屋に行った。荷物等を置いて茶を啜って一旦落ち着く事にした。

 そうやて少し休んでから風呂に行く事になった。その間に食事を作って貰うのだ。流石に宿に来てすぐ食事という訳にもいかず、調理の都合、時間が掛かるから無理なのだ。

 受付時に人数分のお金を払い食事を作って貰う時に、一時間半位時間を頂ければ作れると言われ、先に湯浴みをされてはと言われた為だ。

 そう、風呂に入りに行くといっても湯船が無いのだ。洗い場ではお湯は何とか出るので、体を洗ってお湯で体を奇麗にする湯浴み位しかできない宿だった。

 だが、それでもクリーンではなく、お湯を掛けて体を洗い流すというのは良いものである。湯船に浸かる事ができない為に早々に切り上げ、部屋に戻り打ち合わせや反省会を開いていた。

 食事が出来上がった頃、食堂に行き戻ってから問題が持ち上がった。今回は部屋を三つ取っていたのだ。それは小さな部屋が三つしか空きが無かったからだ。部屋割りをどうしようかとなったが、べソンとリズは同じ部屋で寝ると言って早々に部屋に入ってしまったから困ったのだ。本来だとべソンとフォルクスが同室にすべきだが、べソンとリズは周りの事を冷静に判断できない程のぼせ上がっていた。最後までできないが、ラブラブに過ごす筈だと誰もが予測するのは容易な事だった。

 そして誰がフォルクスと一緒に寝るのか?になった。結局はこの手の時にローテーションをする事になり、初日は誰にするのかをフォルクスが作ったくじ引きで行う事になった。じゃんけんで勝った者から引いていったが、皮肉にも初日はじゃんけんで負けたシーラになった。

 部屋にはトイレも風呂も無いただの小さな部屋だった。一応小さな机と椅子、水の入ったポットやグラスが置いてあり、小さなシングルベッドが二つ離れて置いてあった。

 とにかくフォルクスは疲れていた。気が張っていたのも有るのだろうが、かなり疲れていた。シーラと少し話をしていたが、フォルクスはちょっと疲れたから先に横にならせて貰うよと言い、早々に横になってしまった。

 疲れているのだが、何故か中々寝付けなかった。とはいえ横になっているだけでも大分と楽だったのではある。暫くじっとしながら考えに耽っていると、シーラがもぞもぞ動いているような気配がした。気配がしたかと思うと、フォルクスの布団に入ってきて背中にピタッと寄り添ってきたのだ。フォルクスはえっ?と思ったがシーラは既にフォルクスが寝ていると思ったようだ。

「先に寝ちゃったんだね、おばかさん。私って素直になれないのよね。貴方には感謝しているのよ。貴方に向かって素直に好きだと言えればいいのに」

 シーラの呟きが聞こえ、フォルクスの心臓はバクバクした。フォルクス自身は口から心臓が飛び出るんじゃないかと思う位にドキドキしたのだ。シーラが自分の事を好きだと言ってくれたのだ。面と向かって言って来ない所は シーラらしい所ではあるが、てっきり嫌われているものだと思っていたのだ。所が好きだというのだ。そしてフォルクスの心臓の鼓動が早くなっている事にシーラが気付き、あれっ?っとなった。

「ど、どどどど、どうしよう?聞かれちゃったの?ねえ、ねえ、あんた起きてるの?」

 フォルクスは寝てるよと言ってしまった為、シーラは真っ赤になり

「い、今のを聞いてたの?」

 フォルクスはついボヤキが口から出ていたのだと分かり、開き直ってシーラに向き合った。だがシーラが慌てた。

「駄目、こっちを見ちゃ駄目」

 シーラはなぜか裸だった。

「ど、どどど、どうして裸なの?」

「私って家では裸で寝てたの。あんたが先に寝た筈だと思ったからつい普段のようにしちゃったの。あっ!その、恥ずかしいから胸を見ないで」

 フォルクスは初めて生で見る女性の裸に真っ赤になった。勿論胸も初めて見たのだが、慌てて背中を向けた

「ばか、早く服を着ろよ」

「分かったからこっちを見ないでよ」

 そうして元々寝ていたベッドに戻り服を着ていた。

 シーラはクネクネしながら

「やっぱり見たよね?」

「うん。小振りだけど綺麗な胸だ」

 フォルクスは一応言葉に気を付けた。胸が小さいとはっきり言うと傷付くから、小振りだという言葉に切り替えたのだ。そして綺麗だとも言っておく。確かに綺麗な形をしていたのだ。このまま大きくなれば凄いだろうなとは思う位に。

 そして「馬鹿!」といい、手を振りかざした。フォルクスは思わず歯を食いしばり目を瞑った。

 そしてシーラの手がフォルクスの頬に優しく当たる。そして両手でフォルクスの頬を掴み、ぐいっと引っ張った。そして自らの唇にフォルクスの唇を押し当てた。

 フォルクスは目を見開き呆然となった。 

 フォルクスの頭に「ピラリラリン」と有名なゲームの効果音と思われる音が鳴り響いて、えっ?と思ったが、それ以上に今自身に起こった事にドキドキしっぱなしだった。シーラから彼女のファーストキスを突然されたのだ。しかも好きな美少女の側からだ。これでファーストキスをしてきたのは2人目だ。

 するとシーラがいう。

「今のが私のファーストキスなんだからね。どうせさっきのも聞いていたんでしょ?そうよ、わ、私、あんたの事が好きなんだから。だ、だから貴方がしたいなら、む、胸位触らせてあげるわよ」

 そう言ってくるのでフォルクスは何も言わず、ただただぎゅっと彼女を抱きしめるだけであった。

 フォルクスはシーラをぎゅっと抱きしめながら横になり、シーラの頭をさすりながらやがて眠りに落ちていった。シーラはしっかりとフォルクスの手を自らに添えていた。

 翌朝シーラに抱きかかえられてフォルクスは目覚めた。
 何故か手が胸に触れていたので魔が差してしまい、欲望に負けついついモミモミしてしまっていた。暫く堪能した後我に戻り、慌てて手を引っ込めた。幸いまだシーラは寝ていたようで少し呻くだけだった。初めて直接触った胸の感触はとても良く、シーラの側から胸に手を持って来ていたとはいえ、ついつい揉んでしまった事に対して罪悪感を覚えたが、又もや謎の効果音がしていた。

 シーラの事が更に気になって仕方がないようになった。
 異性の体に意識をせざるを得なくなったからだ。見事にシーラの作戦通りの行動を取っていたのと、更にシーラに惹かれていった。しかもシーラは狸寝入りしていて、胸を揉まれたのは恥ずかしかったが、作戦成功と心の中で呟いてガッツポーズをしていた。

 フォルクスは罪悪感が有ったが、何食わぬ顔で堂々とするようにし、シーラが目を冷ましたのを確認すると目覚めの挨拶をし、先に着替えてからトイレに行くようにした。その間にシーラが着替えるようにとの配慮だ。だがよくよく考えると、シーラがカーラ達の部屋で着替えれば済む話であった。
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