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CASE3:戸村千景
12:宣戦布告
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とある日曜日の朝。抜けるような青空の下、行われた大引越し作業。
愛花や隆臣くんまで召喚して、何とか梱包を終えた私は引越し業者に荷物を全て託して長年住んだ部屋の鍵を施錠した。
「あとは鍵を大家さんのとこ持って行ってー……、新居の方にはあずちゃんがいるんだっけ?」
「うん。流石に妊婦さんにこっちの作業は頼めないしね」
「そりゃそうだ」
「本当は今日の手伝いも要らないって言ったんだけどねー」
「ちーちゃんと私だけじゃ片付け終わるはずないって言われたんでしょ?」
「うん」
「でも、私もそう思うわ。特にちーちゃんは荷解き中に荷物から出てきた漫画読み始めそうだし」
「うるさいな。まあ、私もそんな予感しかしないけど!」
「あはは。ダメじゃん」
愛花は口を大きく開けて豪快に笑った。
出産前から短くした髪も、薄いメイクも質素な服装も、何度も見ているはずなのにまだ慣れない。
愛花は子ども産んでから急激に大人の女性になった。
「よし、じゃあ私たちも行こっか」
「ほんとありがとね、愛花。せっかくの休みなのに」
「このくらいお安い御用よ。お昼奢ってもらえるらしいし」
「もちろん。何でも好きなもの食べて」
「やったー!」
「隆臣くんもごめんね?」
「おう、気にすんな。先生の役に立てるならこんな光栄なことはないから」
「……だから先生はやめてってば。君はほんと変わらないな」
相変わらず服装はチャラチャラしてるし、車はオープンカーだし。
私はあの騒動からあまり変わった気配のしない隆臣くんを見上げて苦笑した。愛花はよく、この人とやっていけてるなと思う。
「ん?何?そんなに見つめて。惚れた?」
「はぁ?」
「おいおい、冗談だろ。そんな怖い顔するなよ」
「その冗談はつまんない」
「ごめんごめん。じゃあ、俺は翠を連れて帰るから、愛花のことよろしく。昼間から酒飲んでもいいけど、飲ませすぎないでね。酔うと面倒なの、うちの妻」
「飲まないよ。……って、ん?隆臣くんは来ないの?」
「ああ。だって、これから女子会だろ?俺は邪魔になるだけじゃん」
「でも、じゃあこれからどこ行くの?」
「俺はこれから、翠を連れて水族館でも行こうかなと思ってんだ。ほら去年新しく出来たとこ。シャチが見れるらしいし」
隆臣くんはヒョイっと翠ちゃんを抱き上げると、愛花からマザーズバッグを受け取った。そして翠ちゃんと顔を合わせ、楽しみだなーと笑い合った。
翠ちゃんはパパ大好き、と彼の首に抱きついて頬擦りする。
その光景に私はただだだ困惑した。こんなのまるでちゃんとした父親みたいだ。
「……おおう。マジか」
「何だよ、その顔は」
「いや、意外にちゃんとパパやってるなと思って。前はあんなだったのに」
「ちょ、3年も前のこと掘り返すのやめてくれよ!俺も成長したの!」
「成長……」
「ふふっ。ちーちゃん、安心して大丈夫だよ。隆臣くんはもう立派なお父さんだから」
愛花がドヤ顔で私の顔を覗き込んだ。
そうか、上手くいっているのか。
「愛花、良かったね」
「うん!」
愛花はそれはそれは、嬉しそうに笑った。
パパに抱っこされた翠ちゃんもとても幸せそうに笑っている。
これがきっと、一般的な30代女性の姿なのだろう。
幸せで理想的な家族が、そこにはあった。
*
「ねえ、愛花」
「んー?」
「子どもを産めるのに産まない女ってどう思う?」
新居に向かう道中、私は愛花に尋ねた。何となく聞いてみたくなったのだ。
すると、先を歩く愛花は立ち止まり、怪訝な顔をして振り返った。
「え、別にどうも思わないけど。何でそんなこと聞くの?」
不思議そうに首を傾げる愛花。あずさと同じような反応だ。彼女もまた、普通じゃない生き方を普通みたいに言う人らしい。
泉くんとは違う。私の友達は子どもを産まない選択に理解を示す。
「ほら、なんて言うのかな。少子化が問題になってる世の中でその選択をするのはどうなのかなぁって」
「えー?ちーちゃんって、スケールの大きいこと考えるんだねぇ。私はそんなの気にする必要ないじゃんと思うけどなー。産むも産まないもその人の自由じゃん」
「まあ、確かにそうなんだけど……」
「気になるならちゃんと納税しとけばいいんじゃない?そしたら間接的に子育て支援してることになるじゃん」
「え、そういうもん?」
「そういうもんでしょ」
少子化は国がどうにかすべき問題で、子どもを産まないことへの罪悪感を個人が持つ必要などどこにもない。愛花はケロッとした顔でそう言った。
「まあ、結婚も出産もしない選択をすると、周りはうるさいかもだけどねー。私もさ、親とかには二人目どうすんのって言われ始めてるんだ。早い方がいいとか何とか会うたびに言われるの、ちょっとしんどい」
「二人目か。考えてるの?」
「ぜーんぜん?もう翠ひとりで手一杯だよ」
「そうなの?翠ちゃん、今日めっちゃ大人しくしてたけど」
「あー、あれは外面がいいだけだよ。家の中だと暴君よ、暴君。まだまだイヤイヤ期も終わらないし。あの子、一度ぐずり出すと手に負えないんだから困ったもんよ」
子どもは可愛いだけじゃない。しんどいし疲れるしイライラすることも多い。そう語る愛花はもうすっかり母の顔だった。
「ストレスで夜中のおやつが止まらないわ」
「ああ、通りで。実は最近、なんか肉付き良くなったなと思ってた」
「うそ!?わかる!?」
「うん」
「うそー!隆臣くんは私のこと見ても、可愛い可愛いしか言わないから油断してたよー!」
「惚気かよ」
「そんなんじゃないよぉ」
ショーウィンドウに映った自分の姿を見て、愛花はくるりと一周回った。
白のペプラムトップスの裾が、花開いた朝顔のようにふわりと揺れる。
そういえば、昔はワンピースばかり着ていた彼女だが、最近はずっとパンツスタイルだ。
「ん?何?ジッと見つめて。私なんか変?」
「いや、昔はスカートしか履かなかったのに、最近はパンツスタイルだなと」
「ああ、子育てしてるとどうしてもね。こっちのが動きやすいの。ほら、靴もスニーカー一択」
「なるほど」
「本当はワンピース着たいんだけどね。つい機能性を重視しちゃって。このトップスはせめてもの私の抵抗」
「そういうの、嫌じゃないの?自分の好きな服着れないとか」
「うーん。今は仕方ないかなって諦めてる。ずっと着れないわけじゃないし」
「そっか」
「でも、ちーちゃんは嫌そうだね。子ども産んで自分の生活が変わるとか」
「うん。すごくいや」
「だよねー」
「うん。だからね……、私は多分これからも結婚しないし、子どもも産まない!」
私は普通じゃない人生を送ると宣言し、空に向かって中指を立てた。
愛花はそんな私の行動にまたしても怪訝に眉を顰めた。
「何してんの?」
「神様に喧嘩売ってみた」
「はい?」
「私はあなたに与えられた役目を放棄しますという宣言、みたいな?」
「あははっ!何それ、意味わかんない!」
「わかんなくていいよ」
「ちょ、写真撮っていい?」
「何でよ」
「あずちゃんに送るの。ちーちゃんは神に宣戦布告したって」
「えー?もう、しょうがないなぁ」
多くの人が行き来する休日の商店街で、私は人目も憚らず神に中指を立てた。愛花はケラケラと笑いながらその様子を撮影し、あずさに送った。
何をやっているんだよ、三十路女が。恥ずかしい。
急に周りの視線が気になり出した私は、愛花を置いてアーケードを駆け抜けた。
「待ってよ、ちーちゃん!」
「あ、見て愛花!虹!」
アーケードを抜けた先、遠い空の下。山の麓にできた虹を指差し、私は笑った。
「ちゃんと顔を上げてた歩いていたら、虹を見落とさずに済むね」
「詩的な表現は私にはわかんないよ」
「情緒ねーな、おい」
「でも綺麗ね。これもあずちゃんに送っとこ」
「私も写真撮ろ」
「あ、あずちゃんから返事きた」
「なんて?」
私は愛花のスマホを覗き込んだ。するとそこには怒りを露わにするシマエナガの姿があった。
あずさが怒りのシマエナガスタンプ使ってるの、初めて見たかも。
「アホなことしてないで早よ来い、だって」
「そりゃそうだ」
誰の家だと思ってんだって話だ。
私は小走りで新居へと向かった。
愛花や隆臣くんまで召喚して、何とか梱包を終えた私は引越し業者に荷物を全て託して長年住んだ部屋の鍵を施錠した。
「あとは鍵を大家さんのとこ持って行ってー……、新居の方にはあずちゃんがいるんだっけ?」
「うん。流石に妊婦さんにこっちの作業は頼めないしね」
「そりゃそうだ」
「本当は今日の手伝いも要らないって言ったんだけどねー」
「ちーちゃんと私だけじゃ片付け終わるはずないって言われたんでしょ?」
「うん」
「でも、私もそう思うわ。特にちーちゃんは荷解き中に荷物から出てきた漫画読み始めそうだし」
「うるさいな。まあ、私もそんな予感しかしないけど!」
「あはは。ダメじゃん」
愛花は口を大きく開けて豪快に笑った。
出産前から短くした髪も、薄いメイクも質素な服装も、何度も見ているはずなのにまだ慣れない。
愛花は子ども産んでから急激に大人の女性になった。
「よし、じゃあ私たちも行こっか」
「ほんとありがとね、愛花。せっかくの休みなのに」
「このくらいお安い御用よ。お昼奢ってもらえるらしいし」
「もちろん。何でも好きなもの食べて」
「やったー!」
「隆臣くんもごめんね?」
「おう、気にすんな。先生の役に立てるならこんな光栄なことはないから」
「……だから先生はやめてってば。君はほんと変わらないな」
相変わらず服装はチャラチャラしてるし、車はオープンカーだし。
私はあの騒動からあまり変わった気配のしない隆臣くんを見上げて苦笑した。愛花はよく、この人とやっていけてるなと思う。
「ん?何?そんなに見つめて。惚れた?」
「はぁ?」
「おいおい、冗談だろ。そんな怖い顔するなよ」
「その冗談はつまんない」
「ごめんごめん。じゃあ、俺は翠を連れて帰るから、愛花のことよろしく。昼間から酒飲んでもいいけど、飲ませすぎないでね。酔うと面倒なの、うちの妻」
「飲まないよ。……って、ん?隆臣くんは来ないの?」
「ああ。だって、これから女子会だろ?俺は邪魔になるだけじゃん」
「でも、じゃあこれからどこ行くの?」
「俺はこれから、翠を連れて水族館でも行こうかなと思ってんだ。ほら去年新しく出来たとこ。シャチが見れるらしいし」
隆臣くんはヒョイっと翠ちゃんを抱き上げると、愛花からマザーズバッグを受け取った。そして翠ちゃんと顔を合わせ、楽しみだなーと笑い合った。
翠ちゃんはパパ大好き、と彼の首に抱きついて頬擦りする。
その光景に私はただだだ困惑した。こんなのまるでちゃんとした父親みたいだ。
「……おおう。マジか」
「何だよ、その顔は」
「いや、意外にちゃんとパパやってるなと思って。前はあんなだったのに」
「ちょ、3年も前のこと掘り返すのやめてくれよ!俺も成長したの!」
「成長……」
「ふふっ。ちーちゃん、安心して大丈夫だよ。隆臣くんはもう立派なお父さんだから」
愛花がドヤ顔で私の顔を覗き込んだ。
そうか、上手くいっているのか。
「愛花、良かったね」
「うん!」
愛花はそれはそれは、嬉しそうに笑った。
パパに抱っこされた翠ちゃんもとても幸せそうに笑っている。
これがきっと、一般的な30代女性の姿なのだろう。
幸せで理想的な家族が、そこにはあった。
*
「ねえ、愛花」
「んー?」
「子どもを産めるのに産まない女ってどう思う?」
新居に向かう道中、私は愛花に尋ねた。何となく聞いてみたくなったのだ。
すると、先を歩く愛花は立ち止まり、怪訝な顔をして振り返った。
「え、別にどうも思わないけど。何でそんなこと聞くの?」
不思議そうに首を傾げる愛花。あずさと同じような反応だ。彼女もまた、普通じゃない生き方を普通みたいに言う人らしい。
泉くんとは違う。私の友達は子どもを産まない選択に理解を示す。
「ほら、なんて言うのかな。少子化が問題になってる世の中でその選択をするのはどうなのかなぁって」
「えー?ちーちゃんって、スケールの大きいこと考えるんだねぇ。私はそんなの気にする必要ないじゃんと思うけどなー。産むも産まないもその人の自由じゃん」
「まあ、確かにそうなんだけど……」
「気になるならちゃんと納税しとけばいいんじゃない?そしたら間接的に子育て支援してることになるじゃん」
「え、そういうもん?」
「そういうもんでしょ」
少子化は国がどうにかすべき問題で、子どもを産まないことへの罪悪感を個人が持つ必要などどこにもない。愛花はケロッとした顔でそう言った。
「まあ、結婚も出産もしない選択をすると、周りはうるさいかもだけどねー。私もさ、親とかには二人目どうすんのって言われ始めてるんだ。早い方がいいとか何とか会うたびに言われるの、ちょっとしんどい」
「二人目か。考えてるの?」
「ぜーんぜん?もう翠ひとりで手一杯だよ」
「そうなの?翠ちゃん、今日めっちゃ大人しくしてたけど」
「あー、あれは外面がいいだけだよ。家の中だと暴君よ、暴君。まだまだイヤイヤ期も終わらないし。あの子、一度ぐずり出すと手に負えないんだから困ったもんよ」
子どもは可愛いだけじゃない。しんどいし疲れるしイライラすることも多い。そう語る愛花はもうすっかり母の顔だった。
「ストレスで夜中のおやつが止まらないわ」
「ああ、通りで。実は最近、なんか肉付き良くなったなと思ってた」
「うそ!?わかる!?」
「うん」
「うそー!隆臣くんは私のこと見ても、可愛い可愛いしか言わないから油断してたよー!」
「惚気かよ」
「そんなんじゃないよぉ」
ショーウィンドウに映った自分の姿を見て、愛花はくるりと一周回った。
白のペプラムトップスの裾が、花開いた朝顔のようにふわりと揺れる。
そういえば、昔はワンピースばかり着ていた彼女だが、最近はずっとパンツスタイルだ。
「ん?何?ジッと見つめて。私なんか変?」
「いや、昔はスカートしか履かなかったのに、最近はパンツスタイルだなと」
「ああ、子育てしてるとどうしてもね。こっちのが動きやすいの。ほら、靴もスニーカー一択」
「なるほど」
「本当はワンピース着たいんだけどね。つい機能性を重視しちゃって。このトップスはせめてもの私の抵抗」
「そういうの、嫌じゃないの?自分の好きな服着れないとか」
「うーん。今は仕方ないかなって諦めてる。ずっと着れないわけじゃないし」
「そっか」
「でも、ちーちゃんは嫌そうだね。子ども産んで自分の生活が変わるとか」
「うん。すごくいや」
「だよねー」
「うん。だからね……、私は多分これからも結婚しないし、子どもも産まない!」
私は普通じゃない人生を送ると宣言し、空に向かって中指を立てた。
愛花はそんな私の行動にまたしても怪訝に眉を顰めた。
「何してんの?」
「神様に喧嘩売ってみた」
「はい?」
「私はあなたに与えられた役目を放棄しますという宣言、みたいな?」
「あははっ!何それ、意味わかんない!」
「わかんなくていいよ」
「ちょ、写真撮っていい?」
「何でよ」
「あずちゃんに送るの。ちーちゃんは神に宣戦布告したって」
「えー?もう、しょうがないなぁ」
多くの人が行き来する休日の商店街で、私は人目も憚らず神に中指を立てた。愛花はケラケラと笑いながらその様子を撮影し、あずさに送った。
何をやっているんだよ、三十路女が。恥ずかしい。
急に周りの視線が気になり出した私は、愛花を置いてアーケードを駆け抜けた。
「待ってよ、ちーちゃん!」
「あ、見て愛花!虹!」
アーケードを抜けた先、遠い空の下。山の麓にできた虹を指差し、私は笑った。
「ちゃんと顔を上げてた歩いていたら、虹を見落とさずに済むね」
「詩的な表現は私にはわかんないよ」
「情緒ねーな、おい」
「でも綺麗ね。これもあずちゃんに送っとこ」
「私も写真撮ろ」
「あ、あずちゃんから返事きた」
「なんて?」
私は愛花のスマホを覗き込んだ。するとそこには怒りを露わにするシマエナガの姿があった。
あずさが怒りのシマエナガスタンプ使ってるの、初めて見たかも。
「アホなことしてないで早よ来い、だって」
「そりゃそうだ」
誰の家だと思ってんだって話だ。
私は小走りで新居へと向かった。
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