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1:ツンデレ系妹
しおりを挟む俺は妹なんて好きじゃない。
妹なんてモノが可愛いのは2次元だけだ。
現実世界での妹など、可愛さのかけらもない。
例えば、ひと昔からの王道中の王道。ツンデレ系妹。
『お兄ちゃんなんて好きじゃないんだからねっ!』とか言いながら、何か困った事があると、『やっぱりお兄ちゃんが1番頼りになる。お兄ちゃん大好き』とか言ってくる。
こんなのは兄を都合の良い道具としか思っていない証拠だ。
あれは、可愛らしいキャラクターデザインをしてくれるイラストレーター様と、可愛らしい声を当ててくれる声優様がいるからこそ許されるのだ。
現実の妹など、基本的にはサボテンかよってくらいにツンツンしてるのがデフォルトだ。
見てみろ、俺の妹を。
朝から玄関で俺の顔を見るなり、途端に、
「ジロジロ見てこないでよ、気持ち悪い」
とか言ってくる。
その目には侮蔑の感情しかない。久しぶりの実家に帰ってきた兄に対する態度がこれとはいかがなものだろうか。尊敬などまるで皆無だ。
そして、さらに少し近づこうものなら
「ちょっと待って、お兄ちゃんなんか臭う」
とか言う。
そんなに勢いよく遠ざかるな!鼻をつまむな!
流石は現実の妹だ。容赦がない。
「ちょっと近づかないで。臭う」
「臭うとか言うな。傷つくだろうが」
「だって臭うんだもん。昨日お風呂入った?」
「入ったし」
「加齢臭?」
「加齢臭って歳じゃねーわ、そろそろ泣くぞ?」
「泣いたら動画撮ってSNSに上げよー」
「やめろし」
最近の女子高生はすぐ動画撮るし、すぐSNSに上げるから本当に怖い。
別に気にしてはいないが、兄が臭いと書き込まれてはたまらないので、取り敢えずフ●ブリーズしておくとしよう。
話は逸れたが、こんな態度の妹でも一応妹を極めてはいるので、王道『ツンデレ』のデレの部分もちゃんと持ち合わせている。
今朝も俺の作った朝食を見て、
「ねえ、卵焼き甘いやつ?」
「甘いやつ」
「やった!さっすがお兄ちゃん。愛してる!」
とか、それは花が綻ぶような笑顔で言ってきやがる。
卵焼きくらいでそんな笑顔見せんなよ。そもそも、お前が好きだとかいうから甘い卵焼きにしただけで、俺はしょっぱい派だ。
こんなに単純では変な奴に捕まるんじゃないかと、一々心配しなくてはならないじゃないか。
別に可愛いから心配しているわけじゃない。断じて。妹を心配するのは兄としての義務だ。
俺はそう簡単に絆されない。俺は卵焼きのように甘くはない。
あと、愛してるとか簡単にいうなよ、女子高生。最近の女子高生は愛が軽すぎるぞ。
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