8 / 24
8章
トミー・ザ・マッチョ
しおりを挟む
「だから、そこは違うじゃろーが……」
「博士、合ってますって……」
あのさ…
もういいかな……
「お前は、本当に城の中を見て来たのか?確かここは……」
「いやいや、違うんですって…」
もう、うんざりしてた。
さっきから、ずっとこの調子…
まったく先に進みやしねぇ。
最初、トミーに描かせていたら、紙の大きさを考えず、途中で紙を何回も継ぎ足しまくり…
まだ半分も描いてないのに、見取り図は見事な巨大オブジェに……
こりゃダメだわ…って事で、博士が変わったんだけど、あまり城の中を知らないもんだから、結局トミーの指示で描く事に……
漫才みたいで、最初は楽しんでたんだけど、基本こいつら両方ボケな訳で…
ただ呆れるばかり。
「あの~…」
「だから、そこは違うんですって…」
「お前はさっきから、違う違うって…わしをバカにしとるのか…?」
「だから……あの~…」
「僕が描いてたら、博士が強引にペンを取ったんじゃないですか…全然知らないくせに…」
「し、知らないじゃとぉ~?お前に任せてたら部屋中紙だらけになるから、しょうがなしに代わったんじゃろ~が…」
「しょうがなしに…?!博士!いくら博士でも言い方ってもんが…」
「ちょ、俺の話しを聞けって…」
「もういいです!ペンを返して下さい!」
「何で無理やり取るんじゃ!このペンはわしのもの…」
「わしのもの?!そもそもこのペンは僕が持って来たんじゃないですか!」
「……………」
「この部屋にあるもんは、わしのもんじゃろーが!」
「わ、わしって…2人のもんでしょーが!」
バンッ!!!
「お前らいい加減にしろ!小学生のケンカかっ!!!」
呆れるのを通り越して、さすがに腹が立ってきた。
突然の大声にビックリする2人。
「さっきから黙って見てりゃ、グズグズしやがって…」
「な、何で怒ってるんじゃ…?」
「ぼ、僕がいけないんですかね…?」
「いけないって言うか…」
はぁ~…
俺、何熱くなってんだろ……
考えてみりゃ、俺と大野の為に一生懸命やってくれてんだよな……
「悪い悪い…大きな声出してごめんな…」
俺の方がガキみたいだったよ。
う~……
気まずい雰囲気……
何とか空気を変えないと……
「あ、そうそう…トミー、お前そろそろ、その暑そうな黒い服を脱いでもいいんじゃねーか?」
さっきから気になってたんだよな。
なんか、ブラックスーツがずっと横にいるような気がして……
「そうじゃのう。トミー、ちょっと着替えてこんか?」
「それもそうですね。じゃあちょっと待ってて下さいね。あ、博士!勝手に描いちゃダメですよ!」
「大丈夫…ちゃんと待っててやるから。」
「絶対、絶対ですよ!」
そう言うと、トミーは奥の部屋に着替えに行った。
「あいつ、ホントに優等生なのかよ?」
「まあ、ちょっと抜けてる所はあるが、真面目さにかけては天下一品じゃ。」
抜けてるって…
爺さんも、似たようなもんだけどな。
「ちょっと聞きたいんだけど、トミーの奴、なんであんなに力が強いんだ?」
「強いって?」
「初めて会った時、トミーに羽交い締めにされたんだけど、あんな馬鹿力は初めてだよ。」
「ふっふっふ…じゃあ、トミーの体を見たらもっと驚くぞ。」
「からだ…?」
「あいつは顔は童顔じゃが、体はムキムキのボディービルダーじゃからな。」
「ムキムキ…???」
「あいつには哀しい過去があってな……」
何だよ…?
哀しい過去って……
「昔、好きな人がおってな、告白しようかずっと悩んでたんじゃ…ほら、あいつ気が弱いじゃろ?ずっと1人でモジモジやってたみたいなんじゃ。」
確かに気が弱いって言うか、自分じゃ何も決められないタイプだよな。
「で、勇気を振り絞って告白したみたいなんじゃが、見事に振られてしまったんじゃ。」
まあ、よくある青春のほろ苦い思い出だな。
「振られた原因が最悪でな…」
うんうん…
「『私、ヒョロヒョロした人は嫌い!』って言われたそうなんじゃ。」
ヒョロヒョロ…?
「当時のトミーは、勉強ばっかりしてたせいで、虚弱体質のガリ勉君タイプじゃったらしいんじゃ。」
あのトミーが…?
今のがっちりした体つきからは、想像できないな。
「失恋のショックでしばらく立ち直れなかったらしいんじゃが、ある日突然、あいつは気付いたんじゃ。」
何をだよ?
「僕は完全に振られた訳じゃない!僕の体が悪いんだ!…ってね。」
うわぁ~!よくある女々しい男の言い訳じゃん。
兄貴たちもそうなんだけど、何で男って女の優しさを真に受けちゃうんだろうな。
最後の『嫌い』って言うのだけが本音で、あとは優しさで付けた言葉なのに……
「それからトミーは、体を猛烈に鍛え始めたんじゃ。彼女が振り向いてくれると信じて…」
真面目なトミーらしいな。
純朴って言うか、単純って言うか……
「じゃがな、あいつ真面目なもんじゃから、どこまで鍛えたらいいのかわからなくなってしまってな…」
……!
「そんな時に、偶然、振られた彼女に再会したんじゃよ。」
なんか嫌な予感………
「あいつ、チャンスと思ったんじゃろうな…突然、彼女の前で服を脱いで、『僕、こんなに強くなったんですよ!』って…」
最悪………
「彼女は泣き出すわ、警察に通報されるやらで、大変な事になってな……」
あぁ、トミー……
お前って奴は……
「それ以来、あいつは陰で『筋肉バカ』と呼ばれるようになって…」
初めて見た。
これが、ホントの『筋肉バカ』だ。
「あ!この話しは絶対トミーの前でしちゃダメだぞ。特に『筋肉バカ』なんてあいつに言った時には、昔の事を思い出して、暴れて何をし出すかわからんし…」
悲劇って言うか、喜劇って言うか…
トミーらしいけどな……
「でもな、わしがこうして捕まらないでおれたのも、あいつのお陰なんじゃよ… その力のお陰で何回ピンチを救われた事か…」
確かに、俺も助けられたしな。
「気は優しくて力持ち…あいつは、そんな奴なんじゃよ……」
「ふぅ~……やっぱり白衣の方が良いですねぇ~…」
着替え終わったトミーが出てきた。
話しを聞いたせいか、ちょっとトミーが可愛く見えてきたぜ。
「博士、合ってますって……」
あのさ…
もういいかな……
「お前は、本当に城の中を見て来たのか?確かここは……」
「いやいや、違うんですって…」
もう、うんざりしてた。
さっきから、ずっとこの調子…
まったく先に進みやしねぇ。
最初、トミーに描かせていたら、紙の大きさを考えず、途中で紙を何回も継ぎ足しまくり…
まだ半分も描いてないのに、見取り図は見事な巨大オブジェに……
こりゃダメだわ…って事で、博士が変わったんだけど、あまり城の中を知らないもんだから、結局トミーの指示で描く事に……
漫才みたいで、最初は楽しんでたんだけど、基本こいつら両方ボケな訳で…
ただ呆れるばかり。
「あの~…」
「だから、そこは違うんですって…」
「お前はさっきから、違う違うって…わしをバカにしとるのか…?」
「だから……あの~…」
「僕が描いてたら、博士が強引にペンを取ったんじゃないですか…全然知らないくせに…」
「し、知らないじゃとぉ~?お前に任せてたら部屋中紙だらけになるから、しょうがなしに代わったんじゃろ~が…」
「しょうがなしに…?!博士!いくら博士でも言い方ってもんが…」
「ちょ、俺の話しを聞けって…」
「もういいです!ペンを返して下さい!」
「何で無理やり取るんじゃ!このペンはわしのもの…」
「わしのもの?!そもそもこのペンは僕が持って来たんじゃないですか!」
「……………」
「この部屋にあるもんは、わしのもんじゃろーが!」
「わ、わしって…2人のもんでしょーが!」
バンッ!!!
「お前らいい加減にしろ!小学生のケンカかっ!!!」
呆れるのを通り越して、さすがに腹が立ってきた。
突然の大声にビックリする2人。
「さっきから黙って見てりゃ、グズグズしやがって…」
「な、何で怒ってるんじゃ…?」
「ぼ、僕がいけないんですかね…?」
「いけないって言うか…」
はぁ~…
俺、何熱くなってんだろ……
考えてみりゃ、俺と大野の為に一生懸命やってくれてんだよな……
「悪い悪い…大きな声出してごめんな…」
俺の方がガキみたいだったよ。
う~……
気まずい雰囲気……
何とか空気を変えないと……
「あ、そうそう…トミー、お前そろそろ、その暑そうな黒い服を脱いでもいいんじゃねーか?」
さっきから気になってたんだよな。
なんか、ブラックスーツがずっと横にいるような気がして……
「そうじゃのう。トミー、ちょっと着替えてこんか?」
「それもそうですね。じゃあちょっと待ってて下さいね。あ、博士!勝手に描いちゃダメですよ!」
「大丈夫…ちゃんと待っててやるから。」
「絶対、絶対ですよ!」
そう言うと、トミーは奥の部屋に着替えに行った。
「あいつ、ホントに優等生なのかよ?」
「まあ、ちょっと抜けてる所はあるが、真面目さにかけては天下一品じゃ。」
抜けてるって…
爺さんも、似たようなもんだけどな。
「ちょっと聞きたいんだけど、トミーの奴、なんであんなに力が強いんだ?」
「強いって?」
「初めて会った時、トミーに羽交い締めにされたんだけど、あんな馬鹿力は初めてだよ。」
「ふっふっふ…じゃあ、トミーの体を見たらもっと驚くぞ。」
「からだ…?」
「あいつは顔は童顔じゃが、体はムキムキのボディービルダーじゃからな。」
「ムキムキ…???」
「あいつには哀しい過去があってな……」
何だよ…?
哀しい過去って……
「昔、好きな人がおってな、告白しようかずっと悩んでたんじゃ…ほら、あいつ気が弱いじゃろ?ずっと1人でモジモジやってたみたいなんじゃ。」
確かに気が弱いって言うか、自分じゃ何も決められないタイプだよな。
「で、勇気を振り絞って告白したみたいなんじゃが、見事に振られてしまったんじゃ。」
まあ、よくある青春のほろ苦い思い出だな。
「振られた原因が最悪でな…」
うんうん…
「『私、ヒョロヒョロした人は嫌い!』って言われたそうなんじゃ。」
ヒョロヒョロ…?
「当時のトミーは、勉強ばっかりしてたせいで、虚弱体質のガリ勉君タイプじゃったらしいんじゃ。」
あのトミーが…?
今のがっちりした体つきからは、想像できないな。
「失恋のショックでしばらく立ち直れなかったらしいんじゃが、ある日突然、あいつは気付いたんじゃ。」
何をだよ?
「僕は完全に振られた訳じゃない!僕の体が悪いんだ!…ってね。」
うわぁ~!よくある女々しい男の言い訳じゃん。
兄貴たちもそうなんだけど、何で男って女の優しさを真に受けちゃうんだろうな。
最後の『嫌い』って言うのだけが本音で、あとは優しさで付けた言葉なのに……
「それからトミーは、体を猛烈に鍛え始めたんじゃ。彼女が振り向いてくれると信じて…」
真面目なトミーらしいな。
純朴って言うか、単純って言うか……
「じゃがな、あいつ真面目なもんじゃから、どこまで鍛えたらいいのかわからなくなってしまってな…」
……!
「そんな時に、偶然、振られた彼女に再会したんじゃよ。」
なんか嫌な予感………
「あいつ、チャンスと思ったんじゃろうな…突然、彼女の前で服を脱いで、『僕、こんなに強くなったんですよ!』って…」
最悪………
「彼女は泣き出すわ、警察に通報されるやらで、大変な事になってな……」
あぁ、トミー……
お前って奴は……
「それ以来、あいつは陰で『筋肉バカ』と呼ばれるようになって…」
初めて見た。
これが、ホントの『筋肉バカ』だ。
「あ!この話しは絶対トミーの前でしちゃダメだぞ。特に『筋肉バカ』なんてあいつに言った時には、昔の事を思い出して、暴れて何をし出すかわからんし…」
悲劇って言うか、喜劇って言うか…
トミーらしいけどな……
「でもな、わしがこうして捕まらないでおれたのも、あいつのお陰なんじゃよ… その力のお陰で何回ピンチを救われた事か…」
確かに、俺も助けられたしな。
「気は優しくて力持ち…あいつは、そんな奴なんじゃよ……」
「ふぅ~……やっぱり白衣の方が良いですねぇ~…」
着替え終わったトミーが出てきた。
話しを聞いたせいか、ちょっとトミーが可愛く見えてきたぜ。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる