31 / 88
ホテルにて②
しおりを挟む
「それでSDは返すんですよね?」
「ええ、もちろん。コピーは取ったしね。データが少し壊れてたから見れるか不安だったんだけどなんとか復元出来て良かったわ」
「それでもしオリジナルのSDが壊れたらどうするつもりだったんですか?」
「まぁそん時は仕方ないじゃない。警察にまとめて渡したら向こうが頑張って復元してくれるかなって思ってさ」
あっけらかんと答える志穂を見て叶は深くため息をついた。
「それで、あとは何かありますか?」
「そうね、あとは貴女達が出てこれたのは中庭の祠を修復したから?それとも宇津崎紗奈と思われる遺体を発見したから?もしくは私達が外にあった慰霊碑を直して祈りを捧げたから?どれだと思う?」
志穂の問い掛けに叶は少し唸って思慮を巡らせた。
「う~んそうですね……私達を閉じ込めていたのが宇津崎紗奈だとしたら彼女の遺体を発見したからだろうし、廃病院に巣食っていた霊達の仕業なら祠か慰霊碑を直した事でしょうけど、今となったらどれがきっかけかは難しいですね」
「やっぱりそうよね。まぁ結果オーライってやつかな」
そう言って笑う志穂を見て叶も笑っていたが、すぐに真顔になり問い掛ける。
「そういえば志穂さん、私のマンションで幸太君と出会ったって言ってましたけどなんで幸太君がわかったんですか?」
「ああそうだ、なんで俺の名前知ってたんですか?」
叶の疑問を聞き、思い出したかのように幸太も前のめりになって問い掛けると、志穂は楽しそうに笑った。
「ははは、そんなの簡単よ。あなた達が関わった海の家の事件はニュースになってたのよ。この国じゃ加害者よりも被害者の方が顔写真付きで大々的に報道される事も多いのよ。鬼龍叶と一緒に被害者になった倉井幸太君、気になるじゃない。ちょっと調べればすぐにわかるわよ」
志穂の明るい声が響く中、叶と幸太は互いの顔を見合わせると苦笑いを浮かべた。
やがて約束の時間になり三人は部屋を出ると義人達の部屋へと向かった。
部屋に着くと三人以外の人達は揃っており、入室するなり全員の視線が一気に注がれた。
「よし全員揃ったな。じゃあ今回の事整理していこうか」
秋義が立ち上がり進行役を務めていく。叶は先程部屋で志穂と議論していた考察を全員の前で説明して行くと、全員無言のまま頷き納得しているようだった。
「じゃあ結局俺達が閉じ込められていた原因はわからずじまいか」
義人が声を上げると叶達も静かに頷いた。
「ええまぁそういう事です。ただ下手すれば我々の誰か、ひょっとしたら全員が井戸の底にいたあの白骨化した遺体のようになっていたかもしれませんが」
叶の冷たく冷静な声が静まり返った部屋に響き渡ると、秋義が静かに手を挙げた。
「ああそういえばさっき警察から白骨化した遺体を回収したって連絡が来た。発見当時の状況を聞きたいから暫くここで待機してくれってさ」
「それって警察に事情聴取されるって事ですか?」
叶が問い掛けると秋義は苦笑いを浮かべて静かに頷いた。
「まぁそういう事だ。そのうちこっちに警察も来るってさ。俺達も建物の所有者として詳しく聞かせろって言われてるんだ、面倒臭いのはあんただけじゃないぜ」
「はぁ……わかってますよ」
深いため息をつきながら叶はそう言って頭を抱えた。
そんな中、静かにしていた奏音が声を上げる。
「ねぇ、どこまで話していいのよ?全部話したって信じてもらえるの?」
「素直に聞かれた事を話すしかないでしょうね。ただ警察はオカルト話には興味ないでしょうから相手にはされないでしょうけど。皆さんも当事者じゃなければこんな話、信じ難いでしょう?」
笑みを浮かべて問い掛ける叶に対して、誰も言葉を返せなかった。
そんな時、志穂が静かに立ち上がる。
「まぁ迂闊にいわく付きの所には足を踏み入れてはいけないって事ですよ。禁足地にはそれなりの理由があります。では私は廃病院に入った訳でも皆さんとご一緒してた訳でもないんで拘束されるいわれはないでしょう、この辺で失礼します」
志穂は深く頭を下げると足早にその場を去ろうと歩いて行く。叶は呆気に取られて志穂を見つめていたが、秋義がすぐに声を掛けた。
「いや、ちょっと待ってくれ。あんたにもそこの鬼龍さんにも斗弥陀としてまだ用があるんだ」
秋義の言葉を聞き、志穂は足を止めると不敵な笑みを浮かべ、叶はうんざりしたように天井を見つめた。
「ええ、もちろん。コピーは取ったしね。データが少し壊れてたから見れるか不安だったんだけどなんとか復元出来て良かったわ」
「それでもしオリジナルのSDが壊れたらどうするつもりだったんですか?」
「まぁそん時は仕方ないじゃない。警察にまとめて渡したら向こうが頑張って復元してくれるかなって思ってさ」
あっけらかんと答える志穂を見て叶は深くため息をついた。
「それで、あとは何かありますか?」
「そうね、あとは貴女達が出てこれたのは中庭の祠を修復したから?それとも宇津崎紗奈と思われる遺体を発見したから?もしくは私達が外にあった慰霊碑を直して祈りを捧げたから?どれだと思う?」
志穂の問い掛けに叶は少し唸って思慮を巡らせた。
「う~んそうですね……私達を閉じ込めていたのが宇津崎紗奈だとしたら彼女の遺体を発見したからだろうし、廃病院に巣食っていた霊達の仕業なら祠か慰霊碑を直した事でしょうけど、今となったらどれがきっかけかは難しいですね」
「やっぱりそうよね。まぁ結果オーライってやつかな」
そう言って笑う志穂を見て叶も笑っていたが、すぐに真顔になり問い掛ける。
「そういえば志穂さん、私のマンションで幸太君と出会ったって言ってましたけどなんで幸太君がわかったんですか?」
「ああそうだ、なんで俺の名前知ってたんですか?」
叶の疑問を聞き、思い出したかのように幸太も前のめりになって問い掛けると、志穂は楽しそうに笑った。
「ははは、そんなの簡単よ。あなた達が関わった海の家の事件はニュースになってたのよ。この国じゃ加害者よりも被害者の方が顔写真付きで大々的に報道される事も多いのよ。鬼龍叶と一緒に被害者になった倉井幸太君、気になるじゃない。ちょっと調べればすぐにわかるわよ」
志穂の明るい声が響く中、叶と幸太は互いの顔を見合わせると苦笑いを浮かべた。
やがて約束の時間になり三人は部屋を出ると義人達の部屋へと向かった。
部屋に着くと三人以外の人達は揃っており、入室するなり全員の視線が一気に注がれた。
「よし全員揃ったな。じゃあ今回の事整理していこうか」
秋義が立ち上がり進行役を務めていく。叶は先程部屋で志穂と議論していた考察を全員の前で説明して行くと、全員無言のまま頷き納得しているようだった。
「じゃあ結局俺達が閉じ込められていた原因はわからずじまいか」
義人が声を上げると叶達も静かに頷いた。
「ええまぁそういう事です。ただ下手すれば我々の誰か、ひょっとしたら全員が井戸の底にいたあの白骨化した遺体のようになっていたかもしれませんが」
叶の冷たく冷静な声が静まり返った部屋に響き渡ると、秋義が静かに手を挙げた。
「ああそういえばさっき警察から白骨化した遺体を回収したって連絡が来た。発見当時の状況を聞きたいから暫くここで待機してくれってさ」
「それって警察に事情聴取されるって事ですか?」
叶が問い掛けると秋義は苦笑いを浮かべて静かに頷いた。
「まぁそういう事だ。そのうちこっちに警察も来るってさ。俺達も建物の所有者として詳しく聞かせろって言われてるんだ、面倒臭いのはあんただけじゃないぜ」
「はぁ……わかってますよ」
深いため息をつきながら叶はそう言って頭を抱えた。
そんな中、静かにしていた奏音が声を上げる。
「ねぇ、どこまで話していいのよ?全部話したって信じてもらえるの?」
「素直に聞かれた事を話すしかないでしょうね。ただ警察はオカルト話には興味ないでしょうから相手にはされないでしょうけど。皆さんも当事者じゃなければこんな話、信じ難いでしょう?」
笑みを浮かべて問い掛ける叶に対して、誰も言葉を返せなかった。
そんな時、志穂が静かに立ち上がる。
「まぁ迂闊にいわく付きの所には足を踏み入れてはいけないって事ですよ。禁足地にはそれなりの理由があります。では私は廃病院に入った訳でも皆さんとご一緒してた訳でもないんで拘束されるいわれはないでしょう、この辺で失礼します」
志穂は深く頭を下げると足早にその場を去ろうと歩いて行く。叶は呆気に取られて志穂を見つめていたが、秋義がすぐに声を掛けた。
「いや、ちょっと待ってくれ。あんたにもそこの鬼龍さんにも斗弥陀としてまだ用があるんだ」
秋義の言葉を聞き、志穂は足を止めると不敵な笑みを浮かべ、叶はうんざりしたように天井を見つめた。
3
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
終焉列島:ゾンビに沈む国
ねむたん
ホラー
2025年。ネット上で「死体が動いた」という噂が広まり始めた。
最初はフェイクニュースだと思われていたが、世界各地で「死亡したはずの人間が動き出し、人を襲う」事例が報告され、SNSには異常な映像が拡散されていく。
会社帰り、三浦拓真は同僚の藤木とラーメン屋でその話題になる。冗談めかしていた二人だったが、テレビのニュースで「都内の病院で死亡した患者が看護師を襲った」と報じられ、店内の空気が一変する。
霊和怪異譚 野花と野薔薇[改稿前]
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
本作は改稿前/改稿後の複数バージョンが存在します
掲載媒体ごとに内容が異なる場合があります。
改稿後小説作品はカイタとネオページで見られます
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/2/21:『おとどけもの』の章を追加。2026/2/28の朝頃より公開開始予定。
2026/2/20:『くりかえし』の章を追加。2026/2/27の朝頃より公開開始予定。
2026/2/19:『おとしもの』の章を追加。2026/2/26の朝頃より公開開始予定。
2026/2/18:『ひざ』の章を追加。2026/2/25の朝頃より公開開始予定。
2026/2/17:『うしろまえ』の章を追加。2026/2/24の朝頃より公開開始予定。
2026/2/16:『おちば』の章を追加。2026/2/23の朝頃より公開開始予定。
2026/2/15:『ねこ』の章を追加。2026/2/22の朝頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
しずめ
山程ある
ホラー
六つの森に守られていた村が、森を失ったとき――怪異が始まった。
フォトグラファー・那須隼人は、中学時代を過ごしたN県の六森谷町を、タウン誌の撮影依頼で再訪する。
だがそこは、かつての面影を失った“別の町”だった。
森は削られ、住宅街へと変わり、同時に不可解な失踪事件が続いている。
「谷には六つのモリサマがある。
モリサマに入ってはならない。枝の一本も切ってはならない」
古くからの戒め。
シズメの森の神に捧げられる供物〝しずめめ〟の因習。
そして写真に写り込んだ――存在しないはずの森。
三年前、この町で隼人の恋人・藤原美月は姿を消した。
森の禁忌が解かれたとき、過去と現在が交錯し、隼人は“連れ去られた理由”と向き合うことになる。
因習と人の闇が絡み合う、民俗ホラーミステリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる