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真相④
しおりを挟む「まぁなんとなく見えてきたわね。誰かが書いたくだらないシナリオもね」
「そうですか、ならそろそろ行きますか?幕を下ろしに」
「ええそうね。しかし色々考えるわね。三条さんを諦めて次はウチの先生をか。ほんと滑稽だわ。節操がないというか、行き当たりばったりというか」
冷ややかな笑みを浮かべて志穂が部屋を出て行くと叶達もその後に続いた。
階段を降りた所で丁度食堂から出てきた池江と目が合うと、志穂がにこやかに話し掛ける。
「池江さん丁度良かった。皆さんに声を掛けて食堂に集まってもらえますか?」
「陸奥方様かしこまりました。何かありましたか?」
少し不思議そうに問い掛ける池江に対して志穂は満面の笑みで応える。
「ええ、三条さんの事とかも含めて色々とね」
「三条様の?わかりました、すぐに皆様にお声掛けして参ります」
少し驚いた表情を見せた後、池江は慌てて踵を返すと足早に食堂を後にした。
やがて一人また一人と食堂にやって来ては一言二言、小言を言って席に着いて行く。
そうして十分程すると食堂に一同が会した。
志穂が集まった人達を見渡し一礼すると、すかさず義人が口を開いた。
「陸奥方さんだったよな?いきなり集めてなんだい?」
眉根を寄せて明らかに不機嫌そうに尋ねる義人を見つめ、志穂は一歩踏み出しもう一度深々と頭を下げる。
「ゆっくりされていた所申し訳ございません。どうしても皆様にお話しておかなければならない事がございまして少しだけお時間を頂きます」
志穂が丁寧にお辞儀をし頭を上げると、全員の視線が自身に集まっている事を確認して笑みを浮かべた。
「まず最初に神谷崎さん。貴方、占いをメインにしている霊能者だってお話でしたけど、本当は夜の繁華街で女性をもてなしているただのホストですよね?」
「はっ?いや、何言ってるんだ?俺は占いで――」
突然尋ねられて、神谷崎が狼狽えながら反論しようとするが、笑みを浮かべながら志穂が更に続ける。
「あぁ、もし否定されるのであればせめて店のホームページの写真なんかも削除しておくべきだったと思いますよ、レオンさん。それに貴方が複数の女性と楽しそうにお酒を飲んでいる写真もSNSにアップされていますよ?」
そう言って志穂がホストとしてスーツ姿で酒を飲んでいる神谷崎の写真を提示すると、神谷崎はその写真を見つめ唇を噛む。
「……た、確かにホストはしている。だがそれは占いだけではやって行けないから仕方なくやっているだけで、本来は占いを生業としているんだ」
「なるほど、そういう事でしたか。いやいや、大変ですものね、霊能力だけで食べて行くのって。我々も大変ですものわかりますよ。それに加えてしのぎの仕事である筈のホストでも一千万円近くの負債を抱えてしまったんでは尚の事大変だったでしょう?」
「な、何の話だ?」
狼狽える神谷崎だったが、志穂はにこやかな笑みを向ける。
「何の話?貴方を指名して売り掛けで飲んでいた女性が立て続けに二人も飛んだってお話ですよ」
得意げな笑みを浮かべて志穂が言うと神谷崎は口をへの字に曲げて険しい表情を見せる。
「あちこち駆けずり回って回収を試みたようですが残念ながら女性は見つからなかった様ですね。貴方が店のナンバーワンやナンバーツーならなんとか工面出来たかもしれませんが、如何せん十位ぐらいでは厳しいですよね。焦った貴方は次に斗弥陀とパイプがあり自分を指名してくれている朱里さんに目を付けた。相談を受けた朱里さんは自分が推しているホストの為なんとかしようとしたんでしょう?」
志穂が朱里の方を向き問い掛けると、朱里が答える前に義人が立ち上がり声を荒らげる。
「おい、朱里!お前、知り合いのホストが困ってるって言ってコイツ紹介したよな?お前が指名してるホストとか聞いてないぞ!」
「な、何よ、別にちょっとホストに行くぐらいいいでしょ!それにあんただって――」
朱里も立ち上がり負けじと言葉を返そうとした所で笑みを浮かべて志穂が二人に近付いて行く。
「まぁまぁ、お二人の痴話喧嘩は後にしてくれませんか?後がつかえてますので」
嫌味のような志穂の物言いに二人は口を噤み鋭い視線を向けていた。
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