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二人の行方
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翌日。
自室のベッドで目を覚ました幸太が徐にスマホを手に取り時間を確認すると、時刻は十一時過ぎだった。
「ああ、もうあっちは忙しくなってるだろうな。昼過ぎぐらいに顔出すか」
そう言いながらのっそりとベッドから起き上がると寝ぼけた眼を擦りながら身支度を始める。
一方、その日も海水浴場は大挙として大勢の人が訪れており、楓の海の家も午前中から大盛況となっていた。昼を回っても客足は衰える事はなく、絶え間なく入る注文に海の家で働く全員が休む間もなく走り回っていた。
「弘人、焼きそばまだかって言われてるんだけど」
「ちょっと待ってくれって。調理俺一人じゃ限界があるって」
「弘人君、イカと海老まだかって」
「ちょっと待ってもらって下さい」
弘人が慌ただしく食材を焼いていくが、次々と入る注文に限界を迎えつつあった。
そんな中、幸太が突然弘人の横に立つ。
「やばそうだな、手伝うぞ」
「おお、幸太!大丈夫なのか?助かる」
「顔出しに来たらこんな状態だし、いくらなんでも少しぐらい手伝うよ」
こうして幸太が突然応援に入った事によって、なんとかピークを乗り切り海の家は午後三時を前にしてようやく一息つける時がやって来る。
「やばかった。死ぬかと思ったぜ」
調理場で汗だくになりながら弘人が笑って座り込むと幸太も横に腰を下ろす。二人隠れる様に座って話し込んでいると、叶がにこやかな笑みを浮かべて覗き込んできた。
「お疲れ様。幸太君いつの間にか臨時で入ってくれたんだね。もうちょっと片したら今日は上がっていいみたいなんだけど、この後予定ないなら一緒にご飯食べない?」
「えっ、もちろん喜んで。じゃあ一服しながら待ってます」
幸太はすぐに立ち上がり、笑顔で喫煙所の方へと駆け出して行った。そんな幸太を叶は笑みを浮かべて見送り、弘人はそんな二人のやり取りを微笑ましく見ていた。
『まさか叶さんの方からご飯に誘ってくるなんて、やっぱり脈ありかな?期待してもいいよな?』
幸太が喫煙所に着きひとまず紫煙をくゆらせると、先程の叶とのやり取りを思い出し思わず笑みがこぼれてしまう。
幸太が一人浸りほくそ笑んでいると、先に喫煙所にいた女性二人が歩み寄って来るのが分かった。
思わず近寄って来る女性達に目を向ける。恐らく二人共自分と歳は変わらないだろう。細身の体躯に少し派手めな化粧をほどこし、まさに今どきの女性といった感じに思えた。
そんな女性二人が幸太に歩み寄ると、にこやかに話し掛けてくる。
「あの、さっきそこで働いていた人ですよね?もう仕事終わったんですか?」
愛らしい笑顔で水着姿の女性が声を掛けてくる。あまつさえ一般的に見ても可愛らしい女性二人組みとなれば思わず幸太もにやけてしまう。
「いや、まぁ終わったって言うか、臨時で手伝ってただけなんで」
「あ、そうなんですか?じゃあこの後暇だったりしますか?」
これは何かの罠か、それとも試練か――?
そんな事が頭をよぎった幸太だったが、すぐに思い直す。
「いや、この後は約束があるんで今少し時間潰ししてる所なんで」
そう言って頭を振ると、女性二人は眉尻を下げて少し落胆した様に小さくため息をついた。
「そうですか。私達二人で遊びに来てて、良かったら地元の人に遊びに連れて行ってもらおうかと思ってたんです。お兄さん悪い人じゃなさそうだったから良かったんだけど残念です。でも暫くはこっちにいるんで気が向いたら遊んで下さいね」
そう言い残し女性二人組みは笑顔で手を振りながらその場を去って行った。
幸太も笑顔で手を振っていたが、すぐに周りを確認する。
『別にやましい気持ちなんかないけど誰かに見られてたら誤解されかねない。特に叶さんなんかに見られた日には――』
そう思い少し落ち着きなく周りを見渡したが特に人影もなく、気配も感じなかった為、ひとまず幸太は胸を撫で下ろした。
自室のベッドで目を覚ました幸太が徐にスマホを手に取り時間を確認すると、時刻は十一時過ぎだった。
「ああ、もうあっちは忙しくなってるだろうな。昼過ぎぐらいに顔出すか」
そう言いながらのっそりとベッドから起き上がると寝ぼけた眼を擦りながら身支度を始める。
一方、その日も海水浴場は大挙として大勢の人が訪れており、楓の海の家も午前中から大盛況となっていた。昼を回っても客足は衰える事はなく、絶え間なく入る注文に海の家で働く全員が休む間もなく走り回っていた。
「弘人、焼きそばまだかって言われてるんだけど」
「ちょっと待ってくれって。調理俺一人じゃ限界があるって」
「弘人君、イカと海老まだかって」
「ちょっと待ってもらって下さい」
弘人が慌ただしく食材を焼いていくが、次々と入る注文に限界を迎えつつあった。
そんな中、幸太が突然弘人の横に立つ。
「やばそうだな、手伝うぞ」
「おお、幸太!大丈夫なのか?助かる」
「顔出しに来たらこんな状態だし、いくらなんでも少しぐらい手伝うよ」
こうして幸太が突然応援に入った事によって、なんとかピークを乗り切り海の家は午後三時を前にしてようやく一息つける時がやって来る。
「やばかった。死ぬかと思ったぜ」
調理場で汗だくになりながら弘人が笑って座り込むと幸太も横に腰を下ろす。二人隠れる様に座って話し込んでいると、叶がにこやかな笑みを浮かべて覗き込んできた。
「お疲れ様。幸太君いつの間にか臨時で入ってくれたんだね。もうちょっと片したら今日は上がっていいみたいなんだけど、この後予定ないなら一緒にご飯食べない?」
「えっ、もちろん喜んで。じゃあ一服しながら待ってます」
幸太はすぐに立ち上がり、笑顔で喫煙所の方へと駆け出して行った。そんな幸太を叶は笑みを浮かべて見送り、弘人はそんな二人のやり取りを微笑ましく見ていた。
『まさか叶さんの方からご飯に誘ってくるなんて、やっぱり脈ありかな?期待してもいいよな?』
幸太が喫煙所に着きひとまず紫煙をくゆらせると、先程の叶とのやり取りを思い出し思わず笑みがこぼれてしまう。
幸太が一人浸りほくそ笑んでいると、先に喫煙所にいた女性二人が歩み寄って来るのが分かった。
思わず近寄って来る女性達に目を向ける。恐らく二人共自分と歳は変わらないだろう。細身の体躯に少し派手めな化粧をほどこし、まさに今どきの女性といった感じに思えた。
そんな女性二人が幸太に歩み寄ると、にこやかに話し掛けてくる。
「あの、さっきそこで働いていた人ですよね?もう仕事終わったんですか?」
愛らしい笑顔で水着姿の女性が声を掛けてくる。あまつさえ一般的に見ても可愛らしい女性二人組みとなれば思わず幸太もにやけてしまう。
「いや、まぁ終わったって言うか、臨時で手伝ってただけなんで」
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