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デート当日④

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-健太-
  美優ちゃんといい感じに写真を撮っていると不意に呼ばれ振り向くと突然キスされた。
 
突然でびっくりしたが勿論受け入れ幸せな一時を過ごす。
その後どうしても肩の手形が気になり聞くが逆に少し怒らしてしまったような気がした。
 
そして自分の不甲斐なさに項垂うなだれていると今度は美優ちゃんが優しく抱きしめてくれた。
 
美優ちゃんの胸にうずまれて正に幸せな時間を過ごすがこのままでは色々まずいと思い、今度は自ら美優ちゃんを抱きしめて告白する。
 
無事成功し晴れてカップルとなりもう一度キスすると今度は唇を噛まれた。
それは事故なのか、そういう性癖なのか、軽い悪戯なのかはわからなかったが美優ちゃんは申し訳なさそうに謝っていた。

とりあえず下唇が痛い。

「本当にごめん。わざとじゃないんだよ。私そんな性癖ないからね」
必死に謝ってくる。
 
どうやら性癖という事はなさそうだ。
これからキスする度に噛み付かれたらさすがに嫌なのでとりあえずは良かった。
 
美優ちゃんは申し訳なく思ったのかハンカチを貸してくれる。
 
「さて、そろそろ行こうか。どうする?何か食べに行く?」
 
「うん。行こう。健太君は何食べたい?」
 
「う~ん悩むなぁ。美優ちゃん何か食べれないのある?」
 
「特に大丈夫かな。とりあえず今日は健太君にお任せ」

やはり俺が決める系になったか。
普段なら店を決めるだけで15分はかかる優柔不断ぶりを発揮する所だがこんな事もあろうかと前もっていくつかピックアップしといて助かった。

「じゃあ肉か、海鮮か、イタリアン。どれがいい?」
 
「う~ん。イタリアン」

「よし。じゃあそうしよう」

そう言って情報サイトで評価の高いイタリアンのお店へ向けて出発する。
 
-美優-
  展望台を後にし、イタリアンのお店で健太君と楽しく食事する。

「ここパスタの種類も多いしピザも美味しいね」

「うん。美味しい。美優ちゃんイタリアン結構好き?」

「うん。好きだよ」
そう言って海老のトマトクリームのパスタを頬張る。

実は健太君が挙げてくれた3つ共、どれも興味があったしお肉も食べたかった。
けどゆっくりお話し出来そうなのはここかな、と思いここを選んだ。
 
正直、健太君と2人で行くなら何処でも良かった。
何処でも楽しいと思うし、別に駄菓子屋でも大丈夫なぐらいだ。

・・・うん。やっぱり駄菓子屋は無しで。
 
「ねぇ。口大丈夫?痛くない?」
 私は自分でやっておきながらやはり心配だ。
 
「大丈夫、大丈夫。さっきタバスコの部分が触れた時は悶えたけど、大丈夫だよ」
健太君は少しいじわるそうな笑顔を見せる。
 
「ご、ごめんなさい」
私は少し笑いながら謝った。
 
2人で楽しく食事しながら談笑しているが実は女の霊はずっといる。
アレ以来特に何かしてくる訳でもないしコイツ(霊)にかまうとろくな事がないので無視する事にした。
 
暫くすると
「申し訳ございません。当店ラストオーダーの時間ですがよろしいでしょうか?」
そう言って若い店員さんがやって来た。
 
「あっ大丈夫です」
健太君が丁寧に対応する。
 
「もうそんな時間か。仕方ない行こうか」
健太君がそう言って促してくるので私も席を立つ。
 
「ありがとうございました」
キッチリ教育を受けているのだろう。
店員の人達はしっかりとした動作で最後まで丁寧にお見送りをしてくれた。
 
「ねぇ本当にいいの?少しぐらい出すよ」
ここのお会計は健太君が奢ってくれたのだ。
メニューを見てればお安くないのはわかっていたので申し訳なかった。
 
「いいよ。最初の時ぐらいは奢らせて。また今度は割り勘でどっか行こう」
そう言って健太君は優しく笑っている。
 
そして名残惜しかったが家に送ってもらう事になった。
 
「楽しかったね。ありがとう」
何故か健太君からお礼を言われる。
 
「いやいや、私がありがとうだから。本当に今日は楽しかったよ」
そう言って本当は抱きついて軽くチュッぐらいしたいけどさすがに家の前なんでやめとく。
 
「今度はいつ会える?」
 
「ふふ、いつでもいいよ。健太君が会いたいと思った時で」
 
「じゃあまた考えようか」
 
「うん。とりあえず帰ったらまた連絡してね」
 
「了解。じゃあ帰ったら連絡するわ」
そう言って健太君は颯爽と帰って行った。
 
『本当はもっと一緒にいたかったな』
そんな事を考えながら家に入って行く。
 
「ふう、楽しかったけど、ちょっと疲れたかな」
そう言いながらベットに腰掛けると
 
「美優ー、お風呂先に入ったらー」
下からお母さんが呼びかけてくる。
 
本当は健太君の連絡待ちたかったけど今入る方が効率いいかも、と思い先にお風呂に入る事にする。
 
お風呂に入り本当は少しゆっくり湯船に浸かりたかったが健太君からの連絡が気になりお風呂の時間はそこそこにして出る事にした。
 
「お母さん上がったよー」
お母さんにそう呼びかけたら
 
「あんたどうしたのその肩!?」
 
しまった。油断して部屋着のタンクトップ着てたからモロに見つかった。
 
「あんたまさか、変な男に・・・」
 
「そんな訳ないでしょ!なんかいつの間にか何処かでぶつけたみたい。手形みたいで気持ち悪いでしょ」
健太君の知らない所であらぬ疑いがかかる所だった。

 「まぁ、美優がそんな変な人に引っ掛かるとは思わないけどね。」
そう言ってお母さんはニヤニヤ笑ってた。
 
「もう。感じ悪いよその笑い方」
心配してくれてるみたいだから有り難いけどね。
 
部屋に戻りスマホを確認すると健太君からはまだ連絡はなかったが朱美からLINEが来ていた。
 
『もう帰ってるかな?
今日はどうだった?
また教えてね(笑)』
 
とりあえず朱美に電話しようかな。
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