怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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廃村 心霊スポット巡り③

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「と、とりあえずもう一度戻ってみようぜ」

 祐司君が声を掛けると、私も透も静かに頷き私達は再び車に乗り込み来た道を戻って行く。

 だが道中に遊園地の跡地なんかは見つからず、私達は再びはじめのコンビニまで戻って来てしまった。

 少し気まずい空気が漂う中、祐司君が口を開く。

「俺ちょっとコンビニで遊園地の事知らないか聞いてくる」

 自分が言い出してバツが悪かったのか、祐司君はそう言うとすぐに車を降りコンビニへと歩き出した。
 そんな祐司君の後を追って私達もすぐに車を降りる。

「俺達も一緒に行くよ」

 透が笑って声を掛けると祐司君は嬉しそうに微笑んでいた。
 私達がコンビニに入るとアルバイトらしき男性店員が暇そうにレジの所に立っていた。
 山の麓にあるコンビニだからだろうか、私達の他に客はおらず店内は静まり返っていた。

 そんな中、祐司君が店員に近付き声を掛ける。

「あのすいません。この辺に潰れた遊園地があるって聞いたんですけど場所わかりませんか?」

 突然声を掛けられ、突拍子もない事を聞かれた店員は少し驚いたような表情を見せたが、その表情はすぐに微かな笑みへと変わった。

「ああ、ありますよ。ひょっとして噂を聞いて何処かから来られたんですか?少しわかりにくいんですけどね、そこの山道を登って行って暫くするとS字カーブが続くんですよ。それを抜けて直線になった辺りで左側を注意して見てて下さい。わかりにくいんですが三叉路になってて左に入って行ける細い道があります。そこを入って行くんです」

「あっ、そうなんですか?わかりました、ありがとうございます」

 噂の遊園地跡地は確かにある事がわかり一礼してコンビニを後にしようとすると、店員はすぐに私達を呼び止めた。

「あっ、でもその細い道に入るとすぐにバリケードで行き止まりになりますよ。だから車はそこに停めてあとは歩いて行かなきゃいけなくなりますからね」

「わかりました、ありがとう」

 私達は店員に礼を伝えると車に乗り込み再び山道へと入って行った。
 そして暫くすると言われた通りS字カーブへと差し掛かり、それを抜けると直線道路へとなった。
 私達は教えられた通り左側を注視していると脇道に入るような細い三叉路が確かにあった。

 透は慎重にハンドルを左に切り、私達は脇道へと入って行く。
 その道は今までの綺麗に舗装されていた道とは違い、アスファルトはひび割れ、所々に穴があり、脇から生えた雑草達が伸び、狭い道幅を更に狭く感じさせた。
 そして店員が教えてくれた通り、脇道に入ってすぐに鉄製のバリケードが私達の行く手を阻んだ。

「ここからは歩きか……」

 車を停め透がエンジンを切り呟くと、私達三人はほぼ同時に車から降りた。
 静まり返った山中の暗闇に私達は飲み込まれるような気がして思わず息を飲んだ。
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