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廃村 心霊スポット巡り⑫
しおりを挟む私はどうするべきか悩み透の方を見つめると、透もこちらの方を伺うように見つめていた。
こちらを見つめる透の表情を見ても、透も何かただならぬ雰囲気を感じ取っているようだ。
だが私と透が無言のまま見つめ合っている間に祐司君が建物に近付き、引き戸に手を掛けた。
「中はどうなってるんだ?」
私と透が声を掛ける間もなく、祐司君は手を掛けた横引の引き戸を何の躊躇もなく開け、そのまま建物内へと入ってしまった。
「なんだ、かなり暗いな……うわぁぁぁ」
外で尻込みしていた私と透だったが、中から祐司君の叫び声が響き、慌てて建物の入口に駆け寄った。
「祐司君?」
「おい、祐司大丈夫か?」
入口まで駆け寄り声を掛けると、入口付近で祐司君は尻もちを着き、苦笑いを浮かべていた。
「あ、いや、すまない、鏡みたいだな。誰かいるのかと思って驚いたんだ」
そう言って申し訳なさそうに笑う祐司君を見て私も透も胸を撫で下ろした。
祐司君が笑いながら指をさす方を懐中電灯で照らしてみる。入口から入ってまっすぐ真正面の突き当たった壁に姿見鏡が掛けられていた。
どうやらそこに映った自分の姿を見て、祐司君は腰を抜かしたようだ。
腰を抜かしたようにしゃがみ込んでいた祐司君がゆっくりと立ち上がり建物内を懐中電灯で照らす。
窓が見当たらないこの小さな建物は懐中電灯で照らさなけばならない程真っ暗だった。
そんな中、先程あった姿見鏡の前を何かが横切ったように見えた。
「えっ?な、何?……」
思わず私が叫ぶと二人は驚き、慌てて私の顔を覗き込んできた。
「真咲どうした?」
「あっ、いや、今何かが横切ったような……」
私が怯えながら姿見鏡の方を指さすと、二人も顔を引き攣らせながら姿見鏡の方を懐中電灯で照らす。
そこには先程までは無かった手毬のような物が転がっていた。
微かに揺れる手毬を見て、私達は息を呑んだ。
「な、何?ボール?毬ってやつ?」
私が問い掛けるが、二人から明確な答えが返ってくる事はなかった。
言葉を失った私達を暗闇と静寂が包み込む。
「……か、風とかで転がってきたのかな?」
「そ、そうだな、今扉を開けたから空気の対流とかで転がったのかも」
私の問い掛けに透が苦笑いを浮かべながら頷いていた。
こんな窓も何もない小さな建物内で風が吹く訳がなかった。もし今扉を開けた事で風が吹き込んだなら入口付近にいる私達にもわかる筈だが、私達は誰も風なんかは感じなかった。
私が言った事は、有り得ないような苦しい事である事はわかっていた。恐らく透もそうだろう。
だけどそうでも考えなければ私達は平静を保つ事が出来そうになかったのだ。
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