怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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ドッペルゲンガー 変化②

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「あれ?雄一?」

 思わず淳士が呟くと、それを聞いた響香も顔を上げ淳士の視線の先を追う。

「何処?見当たらないよ」

「いや、一瞬それらしき人が見えたような」

 一瞬確かに雄一らしき人を見かけたが、街行く人々に紛れすぐに見失ってしまった。

「何?私が相手じゃ不満かもしれないけどそんなに雄一君が恋しい?」

 少し不満気に響香が尋ねると慌てて淳士はかぶりを振る。

「いやいや、そんな事ないって響香と二人で美味しいケーキが食べれて俺は幸せです」

 少しわざとらしく言って笑って見せたが響香は微かに笑みを浮かべつつ不満そうに口を尖らせる。
 その後他愛もない会話を重ね、二人は喫茶店を後にした。

「あっ、ちょっと寒いかも」

 店を出ると少し冷たい秋風が吹き、二人の距離を僅かに詰めさせる。だが互いに触れる事もない微妙な距離に淳士はもどかしさを覚えた。

「本物のカップルだったら手ぐらい繋ぐんだろうけどね」

 淳士の心を見透かすように響香が笑って言うと淳士が遠慮がちに手を伸ばす。

「カップル限定メニューも食べた事だし繋ぐか?」

「誰かに見られたらどうすんの?噂立つじゃん」

 笑顔でそう言われ恥ずかしくなった淳士はすぐに手を引っ込めた。
 だがすぐに響香はその手を握りしめる。
 突然の事に驚き響香の顔を見つめるとはにかんだ笑顔を見せていた。

「でもいつも淳士君とは仲良く喋ってるからよく聞かれるし、今更噂されても私は気にしないけどね」

 そう言って頬を赤らめる響香を見て、それは寒さのせいなのか、それとも照れているからなのかが淳士には分からなかった。
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