怖いお話。短編集

赤羽こうじ

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ドッペルゲンガー 変化③

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 やがて夜が近付き響香を送って行く事になった淳士は内心焦っていた。

 今日しかない絶対に。でもふられたら……。いや響香も今日楽しそうにしてたんだし大丈夫な筈。寧ろ今日を逃したら――。

 暗くなった住宅街を二人歩きながら淳士が考え込んでいると響香が不意に顔を覗き込んだ。

「ねぇ、さっきから全然喋らないね。楽しくなかった?無理して送ってくれてるんなら別にいいよ」

 眉尻を下げて、少し困った様な笑みを浮かべる響香を見て淳士は自らの立ち振る舞いを悔いた。そしてようやく覚悟を決める。

「いや、違う、ごめん。あの、あと少しだけ響香と話したいんだけど」

 響香も笑顔で頷き二人は近くの公園のベンチに腰掛けた。

「あ、あの実は……前からずっと響香の事が好きだった。付き合って下さい」

 そう言って勢いのまま手を出して頭を下げる淳士に響香は暫く呆気に取られていたが明るい声で笑いだした。

「ははは、告白の仕方古くない?私下向いてる人に返事したくないってば」

 そう言われ顔を上げた淳士を響香がじっと見つめる。

「せっかくだから淳士君の目を見て言おうかなと思ってさ。今日誘ってくれて凄く嬉しかったよ、私もずっと好きでした。よろしくね」

 そう言って瞳を潤ませる響香の頭を軽く撫でると、寄り添う様に響香がもたれかかった。二人の静かで幸せな時間が過ぎて行く。

 翌日――。
 学校に行くと珍しく雄一が先に来ていた。淳士が昨日の事を報告しようと歩み寄るが雄一は少し虚ろな目をして呆けていた。

「お、なんだ?珍しく早く来たと思ったら寝ぼけてんのか?」

 少しからかう様に言うと淳士に気付いた雄一が笑みを浮かべた。

「いや、なんかぼーっとして調子が出ないんだよな」

「そうか、いやとりあえずお前に言っとこうと思ってよ。昨日響香と付き合う事になったよ」

 淳士の報告を聞き、雄一は初めこそぼーっとしていたがすぐに笑顔を浮かべた。

「そうか、良かったじゃねぇか」

 雄一は喜んでくれたが少し素っ気なく感じ、淳士は僅かな違和感を感じた。
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