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早朝から起き出してテントをたたみ野営場所の片付けをして出発した。半日程進んだところに野党に襲われた商隊らしき馬車の残骸があった。アンデッドは生きている者に引き寄せられる性質があるからここから俺たちの居た野営場所まで来たのだろう。
それにしてもこの辺りは本当に何も無い。山、森、林、平原、たまに水場の連続だ。でもこんな所だから俺の魔法を試すことも出来る。次の野営場所にも少し留まり魔法の訓練をすることになった。野営場所を少し離れると広めの平原があったのでそこで一通り攻撃魔法を撃ってみる。
俺のすぐ横にはダグラス様。後ろにクライド様とグレゴール様。更に後ろに兵士達数名。何があっても万全である。浄化魔法を使った時の事を思い出して手のひらから魔力を放出するのを意識して呪文を唱える。
「ファイアボール!」 拳くらいの火の玉が飛んでいった。すぐ消えた。
「ストーンバレット!」 石つぶて3,4個が飛んでいった。痛そう。
「エアショット!」 小さな竜巻が起きた。洗濯物を飛ばすくらいは出来そうだ。
「ライトアロー!」 光の矢が1本飛んでいった。一応地面に刺さった。
「ウォーターボール!」 ゴゴゴゴゴッと渦巻く巨大な水球が発生して平原を飛んでいき奥の林の木々を巻き込みなぎ倒してから消えた。明らかに水魔法だけおかしい。後ろを見ると皆呆然としている。
「凄いな……」
「私もこれほどとは思わなかった……」
「これは俺の出る幕が無くなりそうだな……」
ダグラス様とクライド様とグレゴール様がそれぞれ呟いた。俺のはじめての攻撃魔法は兵士達も凄いと言っているけど、でもこれは…このままでは駄目なんじゃないだろうか。
「ダグラス様、魔力を制御するにはどうすればいいですか? このままでは加減がわからなくて怖くて使えません」
「攻撃魔法で放出する魔力の制御は子供の頃からの訓練で身に着けるものだからな…。今まで使ってこなかったカイは感覚がわからないということか」
「うん、そうだね。でも私達には前世の知識があるだろう? 映画やゲームで魔法を見た経験がある。水魔法以外はイメージ出来ていなかったんじゃないかな」
「イメージ……。わかりました。もう一度やってみます」
確かに前世で川で溺れかけたことがあったから水の怖さは知っていた。水以外は呪文を唱えたら撃てるかな、くらいの感覚だったかもしれない。俺は今度は記憶の中の映像を思い出しながら魔法を撃った。
―――結果は、水以外は少しマシになった程度だった。そういえばあんまりゲームはしていなかったんだよな~。
水魔法は同じ属性が得意なグレゴール様から教わったりして大分感覚が掴めたと思う。自在に操れるのが楽しくなってしまって色々試したら平原が水浸しになってしまった。
ダグラス様とグレゴール様にも水以外のお手本を見せてもらったけれど、水魔法程は上手く操れなくて俺の得意な属性は浄化と水だと判明した。今後はその2属性を伸ばしていくことになった。
俺は水属性の攻撃魔法も手に入れてまた少し役に立てるものが増えた。
せっかく覚えた攻撃魔法を実戦で使ってみるため俺はダグラス様と数名の兵士と一緒に野営場所近くの森に来ていた。自然豊かな森は野生動物も多く生息していて今までも移動中の食料の一部を山や森で狩って調達していたのでそれに参加して試すことになった。
森に入って少し進んだところでダグラス様が上に向かって魔法を撃った。すぐに鳥が3羽落ちてきた。あっという間の事だった。ぴくぴく動いててまだ生きている鳥を兵士が捕獲して足を縛って袋に入れている。
「凄い。今のは雷魔法ですか? 鳥がいる事さえ気づきませんでした」
「私は慣れているからな。鳥は少し難しいから鹿や猪がいたらカイの魔法を試してみよう」
それからしばらく森の中を進むと先を歩いている兵士が口に指をあてて静止の合図をしてきた。兵士の一人が何かを見つけたようで息をひそめてその場に行くと、そこは木の無い開けた場所で4頭の鹿が草を食べていた。
ダグラス様に目配せされ、俺が魔法を撃とうとしたその時、鹿が一斉に同じ方向を見てすぐ逃げ出した。素早くダグラス様が1頭を魔法で仕留めると俺たちとは反対側から狼の魔獣の群れが現れて倒れた鹿に群がって食べ始めた。
「今のうちに陣形を組め。討伐する」
ダグラス様の声に兵士達が素早く動き俺を守るような陣形になった。俺の前に立ったダグラス様の合図で狼魔獣に弓矢と攻撃魔法が飛んでいく。狼魔獣も攻撃されてこちらに気付き襲い掛かってきた。
(守られていたら何も始まらない! 何のために練習したんだ!)
俺も手をかざし水魔法を撃った。ダグラス様が少し驚いた顔で振り返る。俺の放った水魔法がまとめて数匹を倒すのを見て頷いて前に向き直った。
兵士達の連携も素晴らしく、さして時間もかからず狼魔獣を全て倒してしまった。
死骸はアンデッド化しないよう掘った穴に集めて燃やす。炎をぼんやり見ていたらダグラス様に肩を抱き寄せられ見上げると黙って見返す青紫の瞳と目が合う。
「…はじめて魔獣を倒しました。ダグラス様の指揮のもと兵士の皆さんの連携も凄くて、私がもっと勇者らしくなれば討伐も楽になりますね」
「疲れただろう? 今日はもう戻ろう」
そっと抱きしめられてから背を押されてその場を離れた。ダグラス様の言った通りそのまま野営場所に戻ることになった。
それにしてもこの辺りは本当に何も無い。山、森、林、平原、たまに水場の連続だ。でもこんな所だから俺の魔法を試すことも出来る。次の野営場所にも少し留まり魔法の訓練をすることになった。野営場所を少し離れると広めの平原があったのでそこで一通り攻撃魔法を撃ってみる。
俺のすぐ横にはダグラス様。後ろにクライド様とグレゴール様。更に後ろに兵士達数名。何があっても万全である。浄化魔法を使った時の事を思い出して手のひらから魔力を放出するのを意識して呪文を唱える。
「ファイアボール!」 拳くらいの火の玉が飛んでいった。すぐ消えた。
「ストーンバレット!」 石つぶて3,4個が飛んでいった。痛そう。
「エアショット!」 小さな竜巻が起きた。洗濯物を飛ばすくらいは出来そうだ。
「ライトアロー!」 光の矢が1本飛んでいった。一応地面に刺さった。
「ウォーターボール!」 ゴゴゴゴゴッと渦巻く巨大な水球が発生して平原を飛んでいき奥の林の木々を巻き込みなぎ倒してから消えた。明らかに水魔法だけおかしい。後ろを見ると皆呆然としている。
「凄いな……」
「私もこれほどとは思わなかった……」
「これは俺の出る幕が無くなりそうだな……」
ダグラス様とクライド様とグレゴール様がそれぞれ呟いた。俺のはじめての攻撃魔法は兵士達も凄いと言っているけど、でもこれは…このままでは駄目なんじゃないだろうか。
「ダグラス様、魔力を制御するにはどうすればいいですか? このままでは加減がわからなくて怖くて使えません」
「攻撃魔法で放出する魔力の制御は子供の頃からの訓練で身に着けるものだからな…。今まで使ってこなかったカイは感覚がわからないということか」
「うん、そうだね。でも私達には前世の知識があるだろう? 映画やゲームで魔法を見た経験がある。水魔法以外はイメージ出来ていなかったんじゃないかな」
「イメージ……。わかりました。もう一度やってみます」
確かに前世で川で溺れかけたことがあったから水の怖さは知っていた。水以外は呪文を唱えたら撃てるかな、くらいの感覚だったかもしれない。俺は今度は記憶の中の映像を思い出しながら魔法を撃った。
―――結果は、水以外は少しマシになった程度だった。そういえばあんまりゲームはしていなかったんだよな~。
水魔法は同じ属性が得意なグレゴール様から教わったりして大分感覚が掴めたと思う。自在に操れるのが楽しくなってしまって色々試したら平原が水浸しになってしまった。
ダグラス様とグレゴール様にも水以外のお手本を見せてもらったけれど、水魔法程は上手く操れなくて俺の得意な属性は浄化と水だと判明した。今後はその2属性を伸ばしていくことになった。
俺は水属性の攻撃魔法も手に入れてまた少し役に立てるものが増えた。
せっかく覚えた攻撃魔法を実戦で使ってみるため俺はダグラス様と数名の兵士と一緒に野営場所近くの森に来ていた。自然豊かな森は野生動物も多く生息していて今までも移動中の食料の一部を山や森で狩って調達していたのでそれに参加して試すことになった。
森に入って少し進んだところでダグラス様が上に向かって魔法を撃った。すぐに鳥が3羽落ちてきた。あっという間の事だった。ぴくぴく動いててまだ生きている鳥を兵士が捕獲して足を縛って袋に入れている。
「凄い。今のは雷魔法ですか? 鳥がいる事さえ気づきませんでした」
「私は慣れているからな。鳥は少し難しいから鹿や猪がいたらカイの魔法を試してみよう」
それからしばらく森の中を進むと先を歩いている兵士が口に指をあてて静止の合図をしてきた。兵士の一人が何かを見つけたようで息をひそめてその場に行くと、そこは木の無い開けた場所で4頭の鹿が草を食べていた。
ダグラス様に目配せされ、俺が魔法を撃とうとしたその時、鹿が一斉に同じ方向を見てすぐ逃げ出した。素早くダグラス様が1頭を魔法で仕留めると俺たちとは反対側から狼の魔獣の群れが現れて倒れた鹿に群がって食べ始めた。
「今のうちに陣形を組め。討伐する」
ダグラス様の声に兵士達が素早く動き俺を守るような陣形になった。俺の前に立ったダグラス様の合図で狼魔獣に弓矢と攻撃魔法が飛んでいく。狼魔獣も攻撃されてこちらに気付き襲い掛かってきた。
(守られていたら何も始まらない! 何のために練習したんだ!)
俺も手をかざし水魔法を撃った。ダグラス様が少し驚いた顔で振り返る。俺の放った水魔法がまとめて数匹を倒すのを見て頷いて前に向き直った。
兵士達の連携も素晴らしく、さして時間もかからず狼魔獣を全て倒してしまった。
死骸はアンデッド化しないよう掘った穴に集めて燃やす。炎をぼんやり見ていたらダグラス様に肩を抱き寄せられ見上げると黙って見返す青紫の瞳と目が合う。
「…はじめて魔獣を倒しました。ダグラス様の指揮のもと兵士の皆さんの連携も凄くて、私がもっと勇者らしくなれば討伐も楽になりますね」
「疲れただろう? 今日はもう戻ろう」
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