息子の妊活と稽古台

ニッチ

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第二幕 Lesson

 震える美紗子ちゃんからは様々な感情が読み取れた。目的があるとはいえ、ワシへの不安、わずかながらの希望、旦那以外に身を許した自身のはしたなさと後ろめたさ。
「(どれもこれも、一つずつ忘れさせていってやろう)じゃあ、座りなさい」
 ボーダーのシャツにストールとジーンズと言った格好で、ためらいながら安いソファへ腰を降ろす。
 何をされるのかと不安そうじゃが、いざとなれば『やめて』の一言があるためか、まだ平静を装っている。
「(そんなカード、ワシが切らせるものか)――そういえば、新しい入力の仕事は順調か?」
 彼女の背後にゆっくり立ちつつ、突拍子も無い話題を振る。
「え?」
「ほれ。パートタイマーでやっているデータ入力のことじゃよ」
 背後にて直立しつつ、口を動かす。
「あ、あぁ。寿退社された松井さんの引き継ぎのことですか?」
「そうそう。マニュアルが無いし、社員も助けてくれぬとぼやいておったじゃないか」
「そう、なんです。今日も飛び入りのお仕事が入って――」
 ……。
「ひぇぇ、一つの案件でそんなに確認せにゃならんのかぁ」
「そうなんですよ~。間違えてチェックまで戻ると、余計に時間もかかりますし」
 陽がいくらか傾いた時、ワシはそっと両手を伸ばして、彼女の柔らかなやや小さい肩に置く。
「――!」
 びくりっ、と思い出したかのように緊張してこちらを見る。
「美紗子ちゃん。今日はこの前に話した『積極性』の一つ手前の、馴れることから始めよう」
「な、馴れですか?」
 にこり、と笑うワシの顔と比べて、警戒心は隠せぬが、初期より幾分かマシになった感じじゃ。
「さっき雑談していた時、お前さんはリラックスできていた。じゃが今は緊張しておる。そんな状態ではセックスに限らず、仕事でも良い結果は出んじゃろう」
 言うまでも無い一般論じゃが、先の雑談の意味を理解した、と言った感じか、ワシの言葉に耳を貸してくれる。
「落ち着こう。そしてリラックス」
 そう言うと、すべやかな肩を撫でる。それもできるだけ優しく、気遣うように。
「……」
 予想していた展開と大きく異なってか、はたまたワシの言葉に何割か納得したのか、強張っている肩は徐々にだが脱力していく。まるで空気の詰まったボールがしぼむように。
「(もっと気を抜かせようか)義娘むすめの肩を揉める日が来るとはのぉ」
 揉む、といいつつ、先ほどと同じ撫でたまま。すると、視線を徐々に正面まえへと向ける。
 ワシは顎を少し引き、視界に入った至近距離のうなじに、思わず鼻の穴が広がりそうになるも、閉める。
「(我慢、ガマン)そう、そう。いつも本当にがんばっておるよ。お前さんは」
 そう言って、肩から腕にかけて撫で下ろし、二の腕の柔らかさを指先で確認する。
 やがて緊張だけではなく、警戒心もほぐれて来たか、何も言わず前を見つ続ける。
「次は目をつむって、できるだけ深呼吸しよう」
 視界を遮断することに、一瞬ためらったようじゃったが、ゆっくりと瞼を閉じる。ここでも五分ほどそのままのタッチ程度のお触り、を繰り返す。
 そしていよいよと、背後から手を伸ばす。しわがれた手は、肩を越え、柔らかい髪のカーテンをくぐり抜け、彼女の――モニュ、っと音がしそうなとした乳房に、服の上から手を当てる。当てるだけ。
「――っ」
 ピクンと小さく揺れる。背伸びをして、頭上から覗き込むに、マツ毛が動いていないことから、まだ目を瞑っている様子じゃ。
 覚悟の上であった、あるいはまだ我慢できなくもない、と言った感じだ。
「(ここまでくれば、もらったも同然)ふむ」
 ワシはここまでペラペラしゃべっていた口をつぐみ、手のひらを乳房に押しつけて、ゆるやかに動かす。動かすと言っても指は微動だにせず、本当に手のひらでブラジャーを軽く押し動かしている程度に過ぎない。
「……」
 パンツの中でギンギンになっているワシの相棒を放置プレイして、ようやく指を動かし始める。軽く握って指が弾力を感じると、すぐに伸ばす。これをしばらく繰り返す。
「――フゥ」
 少しずつだが、彼女の呼吸音が大きくなってくる。これは肩を撫でていた時の呼吸とそっくりであった。
「(つまり、乳を揉まれているのに、肩を撫でられているのと同じくらいにリラックスしている)む」
 ワシは時の流れが遅くなったかのように手を、じっくりと使い、彼女の服の上から乳房を微かに揺れ動かし続けた。彼女が背を丸めかけたその時。
「んっ」
 ほんの、ほんの僅かに中指で、ブラの先端、つまり乳首があるであろうあたりへ押し込み、指の腹にて軽く擦る。
「――ッ」
 明らかに呼吸が乱れるが、彼女は目をつむったまま、肩へも力を込めない。出番が来たとばかりに、他の指も服へ小さく吸い付き、わずかに力を込めて押す。
「……ふ、ぅ」
 目が見えていない状態は、それ以外の五感が鋭くなる。そして現状、感覚に違いが発生するのは、乳のみ。彼女は思っているよりも神経を使い、乳房がされている感触を感じているのだ。
「(っと、ワシの方の呼吸が乱れそうじゃ)ふー」
 さらに十分ほど、弱く優しく、だが確かに乳房を揉む。彼女の吐息が、わずかながら熱を帯びてきたように感じた。足の指がムズムズし始めたころ、細く老いた腕を抜き戻し、そっと後退る。
「――今日はこれくらいにしておくかの。そろそろ、夕飯の支度もあるし」
 その言葉で催眠が解けたように、目を開ける。
「そ、そう、ですね」
 混乱しているのか、放心しているのか、ボーッっと生返事を返してくる。とりあえず初回は上手くいったようじゃ。
 そして何より初回が肝心。ワシはすぐにでも寝室で自慰せんずりしたいところを、グッ、と抑えて口を動かす。
「ワシのプランでは、練習の次の日はおやすみじゃ。ただし――」
 ほんのわずかに荒い息の美紗子ちゃんはこちらへ向き直る。
「時間がある時に、練習した内容ことを、きちんと思い出すのじゃ、思い出すだけでよい。ちと、ワシは部屋へ戻る」
 そう言い、出来るだけ早足にならないよう、寝室を目指した時、背中へ。
「お、お義父さん」
「ん?」
 美紗子ちゃんはマツ毛を下げたまま
「あ、ありがとう、ございました――」
 ドックン。ワシの中のドス黒く汚れたナニかが、に猛り狂うよにざわめいた。


「きょ、今日はうつ伏せですか?」
 初回から三日目にあたる、つまりは二回目の今日であった。同じ時間、同じ場所にて二人きりとなる。
「そう。今日はマッサージを通して、二つ目の『感度』の稽古をするぞ。絨毯の上に寝転がりなさい」
 感度という敏感な単語は、稽古という硬い言葉とセットで使う。一昨日は最後にお礼こそ言われたものの、美紗子ちゃんの警戒度は初日とさほど変わっていないように思われた。
「(家族とは言え、義父に身体を触られるのだから、当然っちゃ当然かのぉ)この前と同じ、リラックスは基本じゃぞ」
 緩慢な動きであるものの、テレビ前の絨毯にて、ゴロン、っと三十ちょっとの女が寝転がる。今日は薄手のセーターにスカートといった出で立ちで、胸は見えずとも、ムッチリとした尻の形が浮かび上がるのに加える。
 さらにそれに留まらず、なんと下着ショーツのラインがくっきりとスカートの上から見えて、ワシのテンションは今日も鰻登り。
「(っと、落ちつけ。まだ稽古の二回目じゃ)では――」
 背中を跨いだりは。横に座り、そっと両手で背中に触る。布越しでも伝わる体温と、柔らかい肉の感触で、とりあえず渇きを癒す。
「(腰から始めて頭まで行き、折り返して下がるか)背中も腰もかなり凝っておるな。パソコン相手の仕事は、筋肉がカチンコチンになりがちじゃからのぉ」
 感度の稽古と言ったが、まだまだ馴れの範疇に近い。とにかく、ワシに触られることによる抵抗をすり減らしていく。
「そう、なんです。特に忙しいと――」
 雑談を交えつつ、背筋の筋にそって指圧を始める。強すぎず弱すぎず、痛気持いたきもちいいを目指す。グィ、グ~ン。
 肩甲骨のあたりまでを何往復かしつつ、たまに叩打こうだして、振動によって筋肉をほぐす。もちろん、その間も彼女の肉の感触を指先で味わう。
「お義父、さん。お上手、ですね?」
 だいぶ抜けた声になっとるな。
「(こんなこともあろうかと、図書館で調べもっていたからの)大昔、整骨院でバイトをしてたことがあっての。昔とった杵柄きねづかというヤツじゃなぁ」
 頸椎けいついのあたりは優しく触れ、こめかみも軽く指圧する。その際、美紗子ちゃんの頭にさりげなく顔を寄せ、彼女の匂いを鼻でほおばる。美紗子ちゃんは顔を横向けにして、目を閉じ始める。
「(寝そうなくらいリラックスしておるな。ひひっ)では、今度は下がっていくぞ」
 首、肩、背中、腰と施術箇所を降ろしていく。当然、さらに下となると――。
「(ようやくこのデカケツに触れる)ふぅ」
 疲れたような声をわざと出し、掌底部分で軽く臀部しりの肉を押す。
 グニ。柔らかに変形し、わずかに手を押し返す。
「――ん」
  ピクンと僅かに足が動く。これは当然、感じたわけではなく、これら行為のそもそもの目的を思い出し、緊張したためじゃ。
「(A5ならずH5の優良肉と言ったところか)リラックスじゃぞ~」
 どうでもいいことのように言いつつ、グッ、グッと最も盛り上がっている大臀筋のあたりを押し込む。
 マシュマロクッションのような手応えで、ワシの手を優しく包み込む。伝わる美紗子ちゃんの温もりも含め、滾る滾る。
 次は小臀筋したから中臀筋うえまでをこする。優しくじゃが、ねっとりと、味わうように。
「――っ」
 たまに、ピク、っと動くが、相手がワシだけに、まだ気持ちが良いレベルではないじゃろう。
「(しかし、拒絶や中止を示されないのは御の字じゃな)次は太もも」
 そのまま滑り下がり、太ももを撫でつつ指圧する。ふくらはぎあたりまでくると、スカートが途切れ、生の感触を味わう。
「(三十過ぎにしてはピチピチじゃな……古いか)力を抜いて~」
 その後は足首と足裏を指圧し、適当なところで、再び上がる。
「(これだけ従順なら)――今日は感度の訓練と言ったが、経験を重ねるのが近道の一つじゃな」
 そう釘を刺して、スカートの裾を持ち、太もものあたりまで折り返す。
「えっ、あ」
 部屋の涼しい空気が、熱の籠もっていたスカートの中へ入りこむ。露出された太ももは瑞々しく、くすぐったくないように注意しつつ、丹念に揉み、押し、擦る。
「――ぅ」
 ワシのしわがれた指と真逆の、生命溢れる肌は、吸い付くようであった。
 太ももはそれくらいにして、スカートを整える。さすがにスカートの中に手を突っ込めん。
 今度は十本の指を蜘蛛のように脚開き、柔らかなにくの上へと着地させる。
「ぁ」
 驚き、あわよくば喘ぎとも呼べる小さな声を聞く。ワシはガマン汁で気持ち悪くなってきたブリーフ内部を無視して。
「さっき触られた時より感覚がハッキリしとるじゃろう。これも一種の感度じゃ」
 まるで学者が説明するかのごとく振る舞いつつ、老獪ろうかいな十本の強姦魔を使い、指で舐めるように押し撫でる。たまに掴むように肉を離すと、スカートも引っかかってわずかに浮かび、たなびいてまた尻へ吸い付く。集中力の維持を優先する。
「尻は肉づきが良く、乳首とかに比べて触るだけでは感じにくいから、いい稽古になる」
 同じ動作を二十分ほどか続けた頃、彼女の眉間に刻まれる皺の数が増えたため、お開きとした。小さく息を漏らしていた美紗子ちゃんは、だがとうとう、最後まで断ることをしなかった。
 ワシは心の中でほくそ笑みながら、元いた位置にて正座する。美紗子ちゃんはゆっくり、――というか、だらりと力なく身体を起こす。
「今日の稽古はここまでじゃが、時に美紗子ちゃん」
「は、はい」
 まだ放心状態か、息をつきながら、上目遣いでこちらを見やる。
「第一回目に話していた、次の日に思い出しての復習はしておるかな?」
「! あ、い、いえ。そ、それは」
「せっかくがんばっているのに、ワシの言う通りにせねば、効果が薄れるぞ?」
「す、すみません――」
 ワシの愛撫を思い出せと説教され、挙げ句に謝られるとは、ゾクゾクするのぉ。
「すべてはお前さんと和也、そして未来に授かるであろう、希望のためじゃ」
 ちょっと臭かったかの?
「そう、ですね。が、がんばります」
 二回目にして、だいぶ正常な思考を削ってこられてるのぉ。この調子なら――。
「では、美紗子ちゃん。お疲れじゃったな」
「こち、こちらこそ。あ、ありがとう、ございました……」


 ザアアァァ。窓ガラスに水のつぶてが当たっては散り、散っては飛ぶ。
 所定の時間となり、ソファに座っているワシの傍に美紗子ちゃんがやってくる。声をかけようか迷っておるようじゃが、とりあえずと隣に座ってきた。
「今日は三つ目の技巧テクニックについて稽古しよう。――とはいえ、いきなりハイレベルなものは難しいから、これも入門編じゃ」
 テクニック、という言葉に対し、あまり想像が働かないのか、軽く返事を返すだけ。だが三回目ともなると、徐々にハードルは上げていくぞぉ、ヒヒッ。
「美紗子ちゃん。和也に口淫フェラチオはしてやったことがあるか?」
 そのワードで、再び警戒心が頭をもたげてきたようじゃ。小さな唇に細い指を当て、どう返答するか、あるいは返答しないかを考えておったが。
「い、一度だけ。和也さんがして欲しいっていうから、しました。けど――」
 答えるくらいならばまだいいか、と、目線を泳がせながら教えてくれる。これも段階を踏んだ成果の一つと言えよう。
「……ったく。和也もAVの見過ぎじゃのぉ」
 ハァ、とわざと大きな溜息をつく。どう返事したら良いか迷っている美紗子ちゃんに対して。
「あんなものは、馴れているか練習している女性でないと無理じゃのぉ。その反面、古来より房中術でも有名じゃ。昔は尺八とも言ったがな」
 お得意のけむに巻く戦術を駆使しつつ、本筋へ切り込む。
「今日はワシのを使って、部位の説明と勃起の性質を教える」
「お、お義父さんのを、つ、使って?」
 顔色が少し変わるのを見て、こっちも嫌な汗が背中をつたう。
「(時期尚早じゃったか? いや、ここの成否は今後の指針に大きく関わってくる)実地に勝るものはない。何より――」
 少し溜めて、不安をあおりつつ。
「最近の和也の苛立ちを見るに、不満や不安が、いつ爆発するかわからんからな。駆け足な感は否めんのじゃ」
「か、和也さんの――爆発?」
 まぁ、ワシの見立てではそこまでではないが、説得材料にさせてもらうぞ。
「左様。妊活を止めると言い出すくらいならまだマシな方で……その、ほれ。――たまに芸能人とかであるじゃろう」
「それって、まさか――」
 不妊による不倫や浮気。
「まぁ、な」
 しかし話しながら考えるに、これは悪手だったかもしれん。
「(逆に美紗子ちゃんが、それはそれでと吹っ切れてしまうと)……」
 そもそも、こんないいがあんな和也むすこのどこに惚れたんじゃ? そもそも、今は離婚の敷居そのものが低い。
 美紗子ちゃんがうなだれるように、毛羽立った絨毯を見やる。
「(声をかけるべきか? いや、しかし)み、美紗子ちゃん?」
「――お義父さん」
「(過信し過ぎたか、今からでも弁明を)な、なんじゃ?」
 目線も合わせようとせず
「け、稽古をお願いして、も?」
 ドクン。
 今の鼓動は、九死に一生を得たから、あるいはワシの肉棒チンポを美紗子ちゃんに見せられるから
 彼女は羞恥心と惨めさと後悔で、小さく震えている。
 ――こんな優しく、健気な彼女が、性的嫌悪を乗り越えてまで尽くそうとする、あの息子かずやに、雄としての確たる嫉妬を覚えたからに他ならなかった。
「(ありがとうよ和也、そして残念じゃったなぁ和也)――あぁ、いいじゃろう」
 そのいかがわしい怒りが、ただでさえよこしまなワシの性癖を、さらに気色の悪いものへと変貌させていった。
 ……カチャ、シュ。
 ワシはベルトをゆっくり外し、ズボンを脱ぐ。
「美紗子ちゃん、今日は雨で暗い。電気を点けてくれんか?」
「は、はい」
 消え入りそうな声で応じる。本来は点ける予定ではなかったが、先の件でハラワタが煮えくり返りかけていた。
「じゃあ、ソファ前の絨毯に座ってくれるかの」
 小さく怯えつつ正座する。ワシはソファに座り、美紗子ちゃんを見下ろす姿勢にて。
「(今日で大勢を決するぞ)では――」
 ボロン。
 何が幸運かと言えば、先の緊張と怒りのおかげで、肉棒チンポことに他ならなかった。
「――っ」
 それでも美紗子ちゃんには割とショックなようで、老いぼれた男根チンポと目線の下に生えるワシの白いすね毛を交互に見やる。
「まずは基本からじゃ。美紗子ちゃん、ここの名前は?」
 出来るだけ頭の中では別のことを考えながら、左手で陰茎みきをもち、彼女へ向ける。質問に答えるため、否が応でも、見なければならない。
「あ、えっ、と。わ、わかりま、せん」
 耳まで真っ赤にし、微かに悶えつつ、申し訳なさそうに答える。
「(無、無、無)ここは亀頭じゃ。そして」
 上へと向ける。
「ここは尿道口。この穴から精子や小便が出る」
 追い詰められたとはいえ自分の意志で頼んだからか、もはや正常な思考ができなくなってきたようじゃ。徐々に視線を送る回数が増えてくる。
「ここが雁首かり、この包皮かわと亀頭の間を舌でなぞると、大概の男は感じる。ちょっと指で指してみ」
 震える瞳と指が、亀よりものろく動き、地味なマニキュアを塗った爪の先がやっと示す。
「(血よ止まれっ)そこは陰茎小帯スジ。ここの隙間じゃ」
 片方の手でその細い指をつかみ、数ミリメートル横へズラしてやる。
「ここじゃ、今度、和也にやってやるといい」
「――ぁ」
 自分で焚きつけた嫉妬の火で、逆に自らの勃起を燃やし止める。続行じゃ!
「手コキの練習を軽くやってみよう。美紗子ちゃん。ちょっとワシの陰茎を持ってみなさい」
「――いっ! う、ぁ」
 手を離して、再びだらんと垂れるペニス。
 美紗子ちゃんは、じゃが全く勃起しないペニスに、毛ほどの安心でも覚えたか、恐る恐る利き手を伸ばす。グニ。
 ――ついに、ついに彼女にワシの男根ペニスを、介護でもないのに触らせることができた――などとは微塵も考えないようにした。まだ、義娘むすめの妊活を気遣う義父の皮を被っていなければならないから。
「い、痛くないですか?」
 ピク。その気遣いでの気遣いの一言で、肉棒ペニスが収縮するも、幸い気づかれなかった。
「(し、心臓に悪い)いや全く。むしろもう少し強い方がよい」
 グニ、グニ。僅かに力が入るが、やはりまだ弱い。
「美紗子ちゃん。技巧テクニックを磨く以上、不要な気遣いはいらぬ。もう少し握力を込めて、前後に動かしてみなさい」
 ためらいながらも力を少し添え、ゆったりと擦り出す。皺の多いボソボソとした陰茎が、綺麗で瑞々しい指を汚しているようにすら見えた。
「(耐えろ、耐えろ)ワシ一人を勃起させれぬようでは、和也など困難じゃぞ」
 正確には若い方が容易そうじゃが、この虚言は功を奏した。
「は、はい」
 両膝で立ち、顔を少し近づけ、摩擦に励む。
「(! もう、さすがに、限界じゃ)よ、よし。今からワシがが、驚かずに続けるのじゃぞ?」
 言うや否や、老いてなお盛んとは口幅ったいが、グググッ、と露と力を込めずに勃ち上がる。
「!」
 ほぼ水平状態のナニを見て、美紗子ちゃんが目を丸くする。義父の勃起したペニスに恐怖してか、和也と比較のためか、はたまた別の感情か――。
「本来であれば、口淫フェラを混ぜたりする合わせ技も有効じゃ」
 だがヤレとは言わない。あくまで美紗子ちゃんの貞操観念じょうしきを削るのが本懐。
「――次のチャンスはいつかわからぬから、今日のイメージだけでも、忘れぬようにな」
 中断する場合ならばと、やや叱咤気味に諭す。すると、擦る手が止まる。
「……」
 刹那の後、彼女は黙ったまま、空いている手で、髪を耳後ろへまとめると、徐々に顔を近づけてくる。
「(ま、さか)!」
 チュッ。
 柔らかい極上の感触が、乾いた亀頭に触れる。その瞬間、ピクン、と肉棒ペニスが暴れよる。
「(この日をどれだけ……いや、落ち着けっ)――じ、実地に勝るものはない。ワシのさっきのアドバイスを参考に続けるといい」
 何とか威厳を保つよう力みつつ、相手の出方を伺う。
「――は、ぃ」
 逡巡しゅんじゅんしつつも美紗子ちゃんは、まるで研ぎ澄まされたナイフを舐めるように、怯えつつも慎重に、震える舌を出して雁首にあてがう。
 レ……レロ。
 ピク、ピクっと竿が上振うわぶれする。
「(辛抱のできんやつじゃなっ)い、位置は合っておるが、もう少――し!」
 目をつむっておけばと後悔した。舐めることに集中し過ぎている彼女の鼻先を、亀頭の先端が不意に少し押し始める。その絵面は、肉棒にさらにと血液を送るには充分じゃった。
 そして次のアドバイスを求めてか、稀に送られる無垢な上目遣いは、身震いするほど快楽物質を脳へ着弾させる。
「(こ、これではどっちが主導権を持っているか)そ、そう。隙間に刺し込む、ようにするとなお良い」
 舌先の力が徐々に強まる。馴れか、罪悪感が薄れてきたのか、あるいは本当に勤勉とでも思っておるのか。
 そして、ピッ、ツゥー。
「(あっ)っ」
 亀頭から我慢汁カウパーえきが染み出てきて、美紗子ちゃんの鼻上に付着する。涙のように垂れるソレに、気づいていないのか、それとももはや気にしていないのか、摩擦と舌先の運動を続ける。
 やがてもう限界と言わんばかりに、ビク、ビクと竿の血管が張る。睾丸きんたまにおいては狂喜乱舞と言わんばかりに収縮しはじめる。
「(肉体的というより、もう精神的な興奮のせいで)いかん、もうそろそろ――!」
「えっ?」
 驚き、舌先を離して距離をとった瞬間であった。身震いするほどの快楽が、股間からあふれ出す。
 ドピュ、ドプ!
 古びた精巣にて生産された新鮮な白い欲望の塊は、錆びた尿道を経由し、彼女の瑞々しい口先めがけて勢いよく噴出される。
「!」
 ピチャ、ツー。柔らかな上唇から口、下唇に付着した精液は、美紗子ちゃんの小さな顎へとゆるやかに流れていく。
「(さすがに飲んでほしいとは言えん。だが、謝るのも)――い、今、ティッシュを」
 ワシは余韻に浸る暇もなく、慌てて手を伸ばして周囲にあるティッシュへ手を伸ばす。
「……」
 その間も美紗子ちゃんは、精液が絨毯をよごさないよう、両手で受け皿を作り、ジッとしていた。
「さ、美紗子ちゃん」
 ティッシュを箱ごと渡すと、汚れが少ない方の手で、何枚か抜き取り、手と口周辺を拭く。僅かに口に入った部分は――
「ちょ、っと。失礼します」
 そう言うと、立ち上がり、洗面所へと消えていった。
 後に残ったワシは、パンツも履かないまま、奇妙な感情に支配され、彼女が消えていった廊下を、呆然と、見送った。
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