ワーキャット♀の愛し方

ニッチ

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四話 心と肌で

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「ワーキャット、ねぇ」

 ギンが自宅に居着くようになってくれてから、十日ほどが経った昼過ぎであった。収穫祭の準備で忙しくしている皆に、村の広場へと集まってもらった。ギンが昼寝している今しか無いこのタイミングにて、彼女の存在の説明と是認を求めてのことであった。

「フィルム先生がお願いするくらいだから、快諾したいところではあるけど――」

 父さんの頃より、僕らと村の人達は、様々な形で信頼を築いてきたと自負している。さらに山間部に住まう穏やかな気性の持ち主である彼・彼女達――だけれども、さすがに簡単には首を縦には振ってはくれなかった。

「(分類は魔獣だから、無理もないけど)――お、お願いします。何かあったら僕が責任を取ります」

 網縄で縄跳びをしている子供達が不思議そうにこちらを眺めていた。再び頭を下げる僕に、みんなは当惑した表情を作り、お互いを見合っていた。

「ワシからもお願いしたい」

 いつの間にか傍に立っていた、緑の緩い衣をまとった村長も、小さく頭を下げてくれる。ロームのお母さんが、う~ん、と唸る。

「村長さんにまでお願いされると。――でも、小さな子供達だけが心配で」

 それは、確かに。村長が姿勢を戻す。

「お主らの心配はもっともじゃ。――しかしこれまで散々に我らを助け続けてくれたフィルム君の、初めてのワガママではないか」

 ザワザワと雑談があちこちで行われる中、ジョッドさんの奥さんが、パン生地を伸ばすのし棒で肩を叩きながら笑う。

「魔獣とは言え、先生の命の恩人なら、村の恩人でもあるじゃないか。違うかい、みんな?」

 その一言が決まりとなった。僕は村長やみんなに、三拝九拝する。他の人達はまだ完全には受け入れてくれてはいないけど、こんな風に口にしてくれた。

「先生が良いと思ったタイミングでいいから、みんなの前に連れてきなよ」

「ありがとう――ございます」

 心底、胸を撫で下ろしていると、上空でも天気鳥ミュウクが、機嫌良く鳴いていた。

 * * *

「(みんな優しくて助かった)ただい――あっ」

 食器が散乱し、本棚の中身が一部崩れ落ちて、窓際に吊るしてあったニンニクが床に落ちていた。物によってはかじられて、さらに吐き出された形跡すらあった。

「ニャ~」

 造作棚に乗って足をプラプラさせているギンと目が合う。当然ながら犯人は彼女で、けど全く悪びれていなかった。

「あはは。何も言わずに出ていてごめ――っ!」

 思わず目を逸らせた先には、雑にこさえた木綿コットン製の薄茶色の胸巻きと恥部隠しが投げ捨てられていた。
 ……最初はご飯だけがお目当てと思っていたギンだけど、畑に出たり手近な森へ行く時も付いてくるようになっていった。そんな中、色々と覚えて欲しいことはあるけど、とにかく――む、胸と局部――については、隠してもらわないと困る。
 食事で釣ったり、お願いしたりして、徐々に着る風にはなっていったけど、やはり着衣という行為が野生ではありえないためか、目を離すとすぐに脱いでしまった。
 けど、このままではっ。

「(僕の心臓と身体の一部に過剰に血がいってしまうんだって)えっとね、ギン――って!」

 着地音も無く棚から降りていたかと思うと、僕のすぐ傍に立っていた。無表情のギンは、僕の右手を掴むと、そのまま彼女の両耳の間――つまりは頭の上に置く。
 手のひらに艶々つやつやとした髪の感触が広がり、僕は反射的にそのまま何度も撫でてしまう。ギンは気持ちよさそうに目をつむり、黙ったままだった。

「(ひょっとして、寂しかった?)――だとしたら、やっぱりごめんね」

 こんな風に甘えられるのがとても嬉しく、僕からしたらご褒美以外の何物でもなかった。

「ンニャ」

 かと思えば――ぷいっ――と顔を背けて、そのまま畑の方へと出て行った。構っては欲しいけど、ペースは崩されたくない? でも家から離れないでいてくれるだけで嬉しいと、僕も網籠あみかごを持って後を追う。
 ガチャ。
 ――徐々に季節の深まりを見せるリブリア山地は、あと少ししたら雪によって白化粧を施されることだろう。この地方の積雪は深く、雪牙熊スノーマーダー冬精アイシクルなど、冬季の魔獣や精霊以外の動物などはほとんど見受けられない。

「……父さんが、最後に家を離れたのも」

 あと少ししたら訪れる、冬の季節だったっけ。
 でも、なぜか父さんが行方不明になったあの日のことを、あまり思い出せない。ショックだったからだろうか?

「フャギッ!」

 三つ目のうねにて栽培されているグリーンシトラスの小さな花を嗅いだギンが、悲鳴と共に飛び逃げる。

「あはは。僕でも香りが強いと思う時があるくらいだから、鼻の利くギンには、ちょっと刺激が強すぎたね」

 笑う僕に腹を立てたのか、息まいて畑との林縁部きょうかいから森へと入っていった。僕は調合用にベイリーフを少し集めて、夕食のための鈴芋スズイモを掘り起こした。
 やがて斜陽しゃようが山々を包むころ、少し心配になって森を眺めていると、はたまた長くて綺麗な髪を揺らした、ギンが戻ってきた。

「おかえ――ん?」

 右手には茶色の野兎、左手にはまるまる太った山鼠を捕えていた。

「晩御飯は決まりだね」

「ニャ」

 ――家に戻り、早速夕食の準備を進める。毛皮は剥いで洗って干し、兎は簡単に血抜きをして部位ごとに切り分ける。鼠は食べ応えを重視して、丸焼きにすることとした。
 ローズマリーやクミンを擦り込んで臭い消しや保存処理を行いつつ、ギンが食べる分にはあまり匂いの強い香草ハーブは使わないようにする。
 暖炉にかけていた鉄鍋で焼き始める。鼻を引く付かせるギンを手で制しつつ、一通り焼けたら鼠は取り出す。兎から出てきた脂に塩と水を加えて、芋や玉葱などの野菜を刻んで足していく。
 コトコト、っと煮えて来た頃、ギンは口の端から涎を垂らしに垂らしていた。

「――さぁ、召し上がれ」

 鼠の丸焼きと兎スープ、さらに黒パンを食卓へ並べる。飛びつこうとするギンを、一旦イスに座らせる。すぐに立ち上がるだけど、まぁいいや。
 勢いよく鼠にかぶりつく中、僕は紐を口にくわえて、ギンの背後よりその長い髪をくくる。束ねた髪はさしづめ輝く絹布みたいだった。
 やがてギンは半分ほど肉を食べて、今度はスープの皿をおそるおそる持ち、なぜか僕の口元へ持ってくる。

「えっ? 食べたくなかった?」

 ギンは何も言わず、ただただ立ち上る湯気と僕の顔を交互に見続ける。

「! あぁ、そっか。そうだったね」

 息を少し吸って、ふっ~、っと冷ます。ギンは熱いのが苦手だけど、冷たいのもあまり好まず、ぬるいくらいの食べ物を喜んだ。
 冷ますためにと息を吐くたび、ギンは目をシパシパとした。少し離れればいいのに、なんでかな。

「これくらいじゃないかな」

 そう告げるも、ジッと見たまま動かない。――もしかしてと思って、木のスプーンで一匙ひとさじ分をすくい上げて、スープと芋をその愛らしい口へと運ぶ。
 ギンは僅かに首を伸ばして――パクッ――と頬張る。

「ふふっ。今日は甘えんぼな気分かい?」

 小さく笑って、椅子へと座ると、ギンもちょっと嫌々ながらも椅子に座り直す。その後、息を吹く音と、暖炉の燃える音だけが室内に満ちた。
 ギンは食べ終わると今度は何を思ったのか、大切のパンを掴み持ち、僕の口へ押し込もうとする。

「んぐっ。――ぎ、ギン。もっとこう、細かくしてもらえる、かな?」

 僕の指でちぎって見せる。するとギンは――。

「ニ、ニギッ」

 ! か、噛みちぎった? わ、ワイルドだなぁ(いや、それで合ってるんかもだけど)。確かにワーキャットの鋭利な爪は細かい作業には向いていないかも知れない。

「ムグムグ」

 え? 食べてる?

「ニャニャ! ニ、ニグ」

「あははっ。口に入ったからうっかり食べちゃったのか」

 今度はそうならなように、掴みつつかじり取る。そんな彼女の新しい動作の一つ一つが、僕の胸を温かくした。

「ウニャ」

 よ、涎にまみれたパンの欠片を差し出してくる。いや、その、僕は全然いいんだけど。――そ、それでは、と。命の恩人で恋慕れんぼしている半獣の女の子の、唾液がついたパンを、しかも食べさせてもらう。
 パクリ。……もちろん、美味しかった。

「ニャハ」

 頷く彼女は、今度はスープを手に取って――。
 ……やがて僕も食事を終えて、皿洗いも完了し、就寝の時間を迎える。ギンは一早く寝台に飛び乗って、尻尾を右へ左へ振る。相変わらず照れる僕は、でも、胸巻きや恥部隠しを身に着けている彼女の傍に腰を下ろす。
 ギンは僕の左足のひざの上に両手を置いたかと思うと、グッ、グッと交互に押してくる。

「? どうしたの?」

 もし動物学に僕が詳しければ、それは子供が親に対して行う甘えの行為だと、すぐに気づけた。
 髪をくくったギンの印象はいつもと少し違って見えた。僕の膝を揉みつつ、肩に細い顎を乗せてくる。

「ニャウ~」

 家族が恋しくてか、寂しそうな声に聞こえて――胸の奥がキュッと微かな痛みを覚える。
 僕は反射的に、そっとギンの肩へと手を回して優しく抱き寄せる。彼女の髪や体毛が、温かく優しく僕を包み込む。これじゃ逆に、彼女が僕を慰めているみたいで、けど絹の衣に包まれた。
 しばらく黙ったまま、互いの熱を交換し合った。窓から入る双つの月光が、ギンに当たって、部屋を鈍い銀色で照らした。

「ギン……」

 ポツリ、っと自然にその名前がこぼれる。彼女はさらに身体をすり寄せてきて、顔をこちらへ向ける。
 ドクン。
 綺麗で、無防備で、野性味があって、僕に持っていないたくさんの物を持っている彼女を見るたび、触れるたび――胸の奥が締め付けられてきた。
 無言のまま唇を近づけると、やがて柔らかく、微かに濡れた赤い部分に触れる。すると、グリグリ、っと額を擦りつけてきて、そのつど二人の鼻先がぶつかっては擦り合わさった。
 ドックン。
 ギンと出会うまでは、ほぼ自己主張のなかった、僕の中のが心身共に熱くたぎってくる。生々しい原初の感覚にまごつきつつ、唇を離してギンをもう一度見る。

「ゥニ」

 流れるみたいな眉の下、丸くて可愛い目が、柔和さを帯びていた。
 僕は……僕は。

「ギン。好きだよ」

 初めて出会ったあの日から、ずっと、ずっと――。
 ギンは何も言わずに、僕の腰に手を回してくる。僕は震える指を、その胸巻き引っ掛けて、下へとズラす。
 プルン――狭かったと言わんばかりに、大きく整った乳房がおどり出る。僕は心臓に近い方へ右手を伸ばし、そっと握力ちからを込める。
 くにゅり。
 出来立てのパン以上の、温かくモッチリとした極上の肉感に、僕の指が幸せそうに沈んでいく。ギンは揉まれる乳房むねにさほど興味を示さず、ずっと僕に身体を擦りつけ続けていた。まるで匂いをつけるみたく。
 ドクン、ドクン。
 体中の血の巡りが良くなり過ぎる中、僕はギンの唇を音を立てて舐め、さらに両手でギンの美乳を揉みほぐし続けた。

「――チュル」

 ! ザラついた小さな舌が僕の唇に触れてくる。ギンは人間ぼくの求愛に気付き、受け入れようとしてくれているみたいだった。

「ンチュ、ジュルル」

 二人の唾液が混じり合う、はしたない水音が狭い屋内に響く。ギンの肌の色がほんのりとチェリー色をまとったかと思ったら、乳首が硬くなっているのを、指先の手応えで気付いた。

「ぎ、ギン!」

 身体の一部の隆起に従い、寝台へと優しく押し倒す。
 髪留めが外れて、硬い寝台の上、銀のいとが放射状に拡がる。貴族ですら容易に触れられないであろう、銀のシーツの上にて、鈍く輝く半獣の女性を組み敷く。

「ンャ。ミニャァ」

 初めて眉間に皺を寄せて、少し当惑するみたいな声をこぼす。僕は燃えている服を脱ぎ捨てるみたく、大慌てで服を投げる。
 全裸で、体重をかけ過ぎないように、けど全身でもって抱きしめる。
 ギュウゥ――フワホワ。
 くぅぅ。み、身震いするみたいな快感にて、頭の先から足先まで桃色に貫かれる。もちろん、美しさや抱き心地の素晴らしさもだけど、駆け引きや打算を知らない彼女ギンだからこそだった。
 スゥ、ハァ。
 頭を横へズラして、ギンの脇の付近のフワフワな体毛に鼻を突っ込み、目一杯呼吸を繰り返す。ほのかな獣臭と、男の核たる部分を刺激するみたいな癖のある臭いに、体の一部に次々と血が充填されていく。

「ウニヤァウ」

 微かな甘みを帯びるみたく鳴くギンは、動揺しつつも僕の後頭部をそっと撫でてくれる。野生に生きてきたギンが、人間ぼくを受け入れてくれたことも、ただひたすらに嬉しかった。

「ギン」

 ゆったりと頭を離し、下半身を合わせ寄せていくと、図らずとも正常位こうびの姿勢となってゆく。

「ニャ、ニ?」

 ――身体をくねらせつつも、僕を見上げるだけのギンは、ひょっとしたら処女はじめてなのかもしれなかった。

「い、いくよ」

 僕が動揺すると、ギンも引っ張られてしまう。外面だけでも落ち着いた風にして、股間へ股間を近寄せ重ねる。
 ギンの膣へ目を落とすと、薄い毛の色がほのかに変わっていた。なぜだろうと目を凝らすと、透明で微かに糸を引くそれらは彼女の愛液であり、濡れて変色していたためであった。
 ドックン!

「ミゥ、ウ」

 普段の僕との変わりように驚き、小さなおびえを見せ始めるギンは、けど拒絶とまではいかずに小首を傾げ続けた。
 性知識の無い少女へ姦通を行っているみたいで心が痛むけど、もうこっちも我慢の限界なんだ! ギチギチの一物を、濡れほどけたギンの女性器の入口へ、あてがう。
 クチ、クチュゥ。
 先端のピンクなる肉色同士がいやらしく触れ合い、体温と同じ温かさの粘液を混ぜ合っていく。さすがのギンも僕がナニかをしようとしているのを気にして、受け入れつつも不安気に直視してくる。
 キチ、クチチィ。
 少しずつ、亀頭がなかへと挿入はいっていくと、とろけるみたいな感覚と熱さにほだされる。けど僕とは対照的に、ギンの顔には苦悶くもんの表情が浮かんでいく。

「ッ。ガ、ギィ」

 歯ぎしりをしつつ、僕とギン以外のものをにらんだり、近くの物を握ったりする。股間からつたう小さな赤い雫が、破瓜はかの痛みに耐えていることを物語っていた。

「ギ、ン」

 ――けど腰の動きは止まらず、むしろ急くみたく前のめりとなってゆく。そして、僕の性衝動による苦痛に耐えるギンの姿と鳴き声との板挟みで、頭の中がガンガンしてくる。
 ズニュ、ルルル。

「ふぅ。くっは」

 情けない声が漏れる。一物が半分ほど飲み込まれた時点で、耐えがたい快感が、股間より全身へ発せられる。温かく、ぬめっており、飲み込まれるみたいな締め付けは、僕の童貞の是非に関係なく、しびれるみたいな快感だった。

「ヒグ、ググゥ」

 ギンは目を強くつむってはあえぎ、断続的な息を吐いては身体を微動させて、それでもただただ僕を見つめた。
 ズキン。
 僕は挿入の位置をそこで止めて、ゆっくりと身体を前へと倒して、上半身を重ね合う。

「痛い、よね? ごめん。僕ばっかり」

 ――気持ち良くなって。
 熱湯と氷水の狭間にいるみたいな僕は、それでも絞り出すみたくささやきつつ、出来るだけ優しくギンを抱きしめる。柔らかな体毛の付け根は、強張る僕の肉体からだを穏やかに包み込んでくれた。
 ギュウ。

「ッ。ニニニィ!」

 え? ギンに抱きしめ返された。そして、信じられないことに、膣を一物の方へと押し込もうとしてくれていた。激痛に耐えるギンは、異種族であるぼくの目的を理解し、さらに果たそうとしてくれていたのだ。
 それとも、ギンも僕を求めて――?

「(どっちでもっ)ギ、ン!」

 抱きしめたまま、少しずつし込んでいく。温かくも濡れた、生きた膣穴どうくつを一物が壁を擦り鳴らし進む。そのつど、満たされるほどに渇き、渇くほどに満たされた。

「愛、してる!」

 決して温かくはない夜の気候の下、隙間風すら入り込む屋内で、気が付けば僕達は汗だくで絡み合っていた。
 そしてついに、女性器ギン男性器ぼくを飲み込み終える。その瞬間の激しい一体感は、まるで身体の体積が増えたみたいにすら錯覚した。

「ニィィウ。フィ――アアッ」

 ギンは生温かい息を僕の顔や頭に吹きかけて、前半身で擦るみたいに、ホワホワの体毛にて抱き締め包み込んでくれる。こちらも愛情を伝えるために出来るだけ抱擁し返す。――けどまるで疼痛とうつう(※痒く痛む)で悲鳴をあげるみたいな一物を、動かしたくて気が狂いそうだった。
 ニキュ、キュグ。
 ま、まずい。やっぱり童貞の僕にギンのは、ありえないくらいに気持ちよすぎた。気を抜いたら、すぐにでも膣内射精でそうな勢いだった。
 ――いや、まぁ。それでもいいんだけどっ。

「(もっと抱き合っていたい)ハァ、ハァ――痛っ!」

 肩や背中から鋭い痛みがあったかと思うと、ギンの歯が肩口に、爪先がか背中に食い込んでいた。けど腰は前後して卑猥な音と粘液音を響かせつつ、勝手にドンドン快楽にふやけていった。

「ウア、イニィ」

 ギンも徐々に股間を、しかも僕が腰を押し込むタイミングに合わせて押し付けてくれる。ギンの姿が、鳴き声が、匂いが、感触が――そしてその極上の体毛が、僕の全身を性感帯に仕立て上げていく。
 ズッチョ、ヌッチョ、グッチョ!
 まるで情炎の魔術に心身を灼き尽くされるみたいだった。さらにチカチカと眩む光が、本能の達成以外を不可視にしていく!

「ギ、ン。僕もぅ!」

 ギンの首に噛みつき、柔らかな毛が口の中に入り込む。僕の耳の中にザラついた小さな舌がいやらしく入り込んでくる。

「ギン!」

 ビクビクと一物が痙攣けいれんし始める!

「ニィィィ!」

 ……ドピュ、ドポ。ピュルル、ビュービュー。
 吐精と同時に互いの身体が、引っ付くみたく絡み合う。まるで交尾中に死んだ虫同士みたく動かなく、けど性器だけは働き続けた。
 キュ、ビュー。ニュ、ピュル。

「「ハァ、ハァ、ハァ」」

 ……いや、射精長ですぎでしょ? 精力剤も何も飲んでいないのに、まだ出してるし。でも、ギンも、搾り取るみたく、キュウキュウと締まって、る?

「ウ、ニ」

 あの飄々ひょうひょうとしていたギンですら、息も絶え絶えと言った感じで、少し心配になりそうなくらいだった。

「だ、大丈夫?」

 薄い湯気を互いに発散させる中、顔を近づける。ギンは汗でぺったりと付いた髪の毛に、少しだけ鬱陶うっとうしそうに眉をひそめた後に。
 ンチュ。
 ! 僕の頭を掴んだかと思うと引き寄せて、思い切りキスをしてくれた。
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