トラウマ性別とケガレタ学校

ニッチ

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二限目 雌便所

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「あ、れ?」

 未だに過呼吸気味なまま、気持ち悪さを股間に秘めたぼくは、3―2の狂室なる部屋を出た後、何度も壁や床へ目をやる。

「ろ、廊下が。さっきと、違くない?」

 汚れ方やくたびれの度合いが、異なる風に思えた。おかしい、同じ廊下に戻っているはずなのに。

「って。それより、早く【腕】から逃げないと!」

 ノーブラとなってしまった、まだ微かにジンジンする胸を抱きしめながら、追って来てるのかと振り返る。

「えっ?」

 ど、どういうこと? なぜか壁一面が廊下になっていて、部屋なんてどこにも見当たらなかった。

「意味、わかん、ない」

 立ち尽くすぼくは、震える身体を抱きしめつつ、おびえた。
 ……唯一わかることは、この世界は狂気と異常で満ちていて、法則や規則なんかがサッパリなことだけだった。
 クチ、ヌチ。

「うっ」

 廊下の壁へ手をやりつつも、股を動かすつどパンティとの間にて、生濡れみたいな嫌な感覚が付きまとった。中の確認をしたいけど、視界の通る廊下でパンティを脱ぐのは、さっきを思うと自殺行為だ。仕方なくトイレを探して再び探索する格好となってしまった。
 やがて壁に、扉の無い縦長の入口が一つ見えてくる。――けど、貼り付けてあるプレートの絵を見て、眉も目もゆがんでしまう。

「なに、これ?」

 下半身丸出しで、股を開く女子が、いくつもの【足】で抑えつけられつつオシッコをしていると言う、狂った内容だった。さらに、その横には青い字で表記があった。

「雌、便所?」

 女子便所ではなく? それとも動物用とでも? 中をのぞくけど、かなり暗く、しかもきっついアンモニア臭が充満していた。

「ウエッ――と、とにかく、下着の変な湿り気だけ確認してすぐに出よう」

 一歩だけ足を踏み入れて、廊下からの視線を切る。床は湿式の古いタイルで、変な黄ばみを帯びていて、あちこちがはがれていたり欠けていた。
 ぼくは口呼吸して臭いを誤魔化しつつ、廊下へ背を向けて、パンティを下へズラしクロッチ部分に目をらす。中央が何故か小さく濡れて? いた。指先で触れると、不思議な粘性があることから、オシッコでは無さそうに思えた。

「(【腕】に襲われた時に失禁したと思ったけど)違う、の?」

 ――ドン。

「え?」

 いきなし背後から押される――まるで【足】で蹴り押されたみたいな、軽くも早い衝撃だった。しかも不意打ちもいいところで、数歩ほどよろけて、トイレの奥へと入り込んでしまう。
 ガチャ!

「ひへっ?」

 まるで待ち受けていたみたく、個室のトイレブースの扉がき放たれる。扉の内側に肩口が軽く当たると、まるで食べるみたく今度は勢い良く閉まり出す!
 バタンッ。

「なにっ、何? 今度は何なの!」

 真っ暗な上、大便と小便が入り混じり、さらに得体の知れない生臭さを含んだ臭いに、文字通り鼻が曲がりそうだった。カーッ、と頭に血が上り、振り返って扉を押し返そうとした時、何かがくるぶし付近に当たり、後ろ側へ体勢を崩してしまう。

「ぅわぁ!」

 ガポッ。
 ――つ、冷たく硬い何かにお尻を受け止められて、転倒だけは避けられた。股間の付近には何も当たらないドーナツ型であることと、位置から洋便器に座ったみたいだった。

「ハァ、フゥ。また、なにか、いる?」

 気配はあるけどほぼほぼ真っ暗な中、手探りで正体を確かめるなんて怖すぎる。しかも扉は開かないし、どうすれば脱出できる――?
 ググッ、と今度は生脚の二カ所に何かが当たってくる。まるで足裏の厚くかさついた皮膚みたいな。

「ひっ。もうやだぁ」

 それらは両脚の内太もも辺りから、左右へ押し開けようとしていた。いくらかの温かさと硬さ、触れる形状から、やっぱり【足】の裏みたく感じた。
 抵抗しようにも、ぼくの身体の股関節は柔らかい上、脚力も弱かった。力で跳ね返せないまま、ものの数秒で観音開かんのんびらきみたいな姿勢を、暗闇の中で強要されてしまった。

「ちょ、やめ? ――ひぃ!」

 グニュゥ。
 な、な、何かが、股間を、パンティの上から、力強く押し擦ってくる。
 いうっ――か、感覚的に、【足】の親指みたいな硬さと大きさで、味わうみたく押したり引いたり、を繰り返して、くる。
 もう気持ち悪すぎて、反射的に両腕を伸ばしてて止めようするも――。
 ガッ、ゴッ。

「いつ!」

 【足】に蹴られるみたく、軽く弾き飛ばされて、二の腕に鈍い痛みが走る。
 最初はさっきの【腕】がやって来たのかと思ったけど、触ってくるのが大雑把なのと、力がさらに強いことから、やっぱり【足】だけの怪異? と直感した。
 グニュ、グニニ。

「ひぐ」

 ピリ、リリ。
 なん、か、感覚的に股間を触られるのは、オッパイを、いじられるよりも、ヤバそう予感がする。けど、どうしたら、いいの?

「痛っ。――や、めてよお」

 元男なら情けな過ぎるかもしれないけど、抵抗は早々に諦めて、涙ぐんだ声でお願いする。けれど、逆効果と言わんばかりに、パンティの上から股間を――【足】の親指がグリグリと何度も何度も擦ってくる。
 しかも暗闇のせいか触感しょっかく鋭敏えいびんになってしまって、まるで気色悪さの塊を、股間よりゴリグリと注入されているみたいだった。パンティの――ま、マン筋を強弱をつけてなぞるみたく、何十往復もされて、頭と心が割れそうだった。
 ……やがて時間の感覚も忘れて、【足】に好き放題、女性器の入口をもてあそばれ汚されていく。開脚したまま、脱力した時だった。

「ハァ、ンンッ」

 ま、また変な声が、口の端から漏れ出す。まるで、身体の中で産まれた快感を、外へ逃がそうとするために、発したみたいだった。
 【腕】に触られた余韻よいんが身体の奥でくすぶり返したのだろうか。しかも、怪異の姿が一向に見えないから、さっきみたく恐怖心で押し殺せないんだ。
 グロテスクなくらいに不快だった股間の感触が、だんだん熱い無色の流動性のモノに変わっていった。
 グニンリ。

「ひんぐ!」

 ち、力強く、【足】の指先が、パンティの薄い生地ごと、穴? にねじり入ってくるぅ。あ、AVアダルトビデオはあんまり見た覚えがないけど、だぶん女の子の膣口エッチなところ? へと押し込んでいる、んだ。

「おねが――イッ。やめ――テェ!」

 ダメ、声の抑揚よくようがおかしくなって、もう悲鳴ですら無くなってきてる。無理矢理されているのに、なぜか股間とパンティがピチャビチャと濡れてくる。
 【腕】の時みたく、また機械刺激を受けただけって自分に言い訳する? じゃあこの痒気持かゆきもちいい電気みたいなのが、膣口? から放電されまくってるのはなぜ?
 ヤバいよ、さっきの今で、このままじゃ心や感覚まで、女子にされちゃうの?

「(むしろ、女子なら気持ちよくなんかならない? 男を知るぼくだから)――う、えっ?」

 スリ、スリリ。
 開かれた脚の太腿や、脇の辺りも似たような生き物? に擦られたり、押されたり、撫でられたりし始める。
 くすぐったいのと驚きに気ががれてしまい、その隙に股間をさらに好き放題されちゃう。ダメ、だ。ほんとに、力、入んない。

「(もう、何が、何やら)ひぅん!」

 恐怖や嫌悪みたいな負の刺激にれてしまったからか、快楽に屈したからか、もう自分の吐息と股間からの下品な水音しか耳に入ってこなくなった。

「はふっ。んはぁん」

 下腹部おなかのしたがビリビリと熱くなり、筋肉という筋肉に力が入らず、されるがままだった。ブラが無いせいな、乳首がブラウスの裏で擦れるすら、痛気持イイ。
 グッチョ、ヌッチョ。
 膣口を乱暴に引っ掻く足指はもう濡れているみたいで、力と速さがさらに高まっていく。いつの間にか頭を反り返すぼくは便器から落ちないように近くの|【足】を精一杯に掴んでいた。

「(ナニ、か、お腹の中で、膨らむ?)――ンヒ、アッアッ。待っ、コレやばぃ!」

 その言葉を待っていたと言わんばかりに、指圧が強まると、桃色の衝撃が股間で炸裂し出す。下腹部の内側で熱と電気が溶接されていくみたいな不可思議な感覚に、頭の中がドロクチャにされちゃう!

「ひっ、アッ、変なの。やだ、く、くるぅ!」

 グニニッ――ズンヌチュ!

「んがあぁ!」

 ――あ、膣口あなに、パンティごと【足】の親指が、入って、止まっ、タ。痛いのと、それを遥かに上回る、快感に、胸と股間の奥が、熱くなりつつ、なぜか切なく、なっちゃう。

「はっ、ヒッ、ひんっ」

 ……チョロ、チョロロ。
 ピン、っと背筋を伸ばしたまま失禁して、パンティがびしょびしょに濡れ漏れる。もう臭気も忘れて、鼻の穴と口を広げて、痙攣けいれんとしゃっくりを何回も繰り返した。
 今のが、女子の絶頂イク? だ、だとしたら、ヤバ、い。男だった時の、比じゃない気持ち良さ、だっタ。ってあれ、そもそも男のイクって、どんなの、だっけ?

「――ハァ、はぁ。はぁ?」

 時間の感覚が回復するということは、けがれた自我を取り戻すことだった。汚い便座の上で、パンティを尿と愛液でズブ濡れにし、さらにヨダレを垂らす、ほおけている自分に。

「……ぁ、う。ううっ」

 汗で濡れた頬が、涙で重ね濡れる。圧倒的な情けなさと喪失感、ズタズタの自尊心と膨れる自己嫌悪が、心身を押し潰すみたく、急激にのしかかって来た。

「ヒック。ひぅ、あ、ぁ」

 女の身体に馴れてすらいないのに、不気味な怪異に、しかもエッチな乱暴をたくさんされて、その上、感じてしまった、から、だよね?
 ――確かに、ここまでヤラレっぱなしなのは、元男として情けな過ぎるかもしれない。

「いっ、うぅ。――けど、けど仕方ないじゃないか! 目覚めたらいて、こんな気持ち悪い場所で、武器も知恵も対抗する手段も、何も持っていないんだからっ」

 されたい放題なのも、不気味な性的感覚を受け入れてしまったのも、ぼくのせいじゃ、断じてない!
 けれどいくら言い訳しても、取りつくろっても、体内の熱や皮膚の体液、快感の残渣ざんさが、自己責任だと、ぼく加虐的かぎゃくてきなまでに問い詰め続けた。
 ギィー。
 ……目の前の扉が、もう用済みとばかりに開く音がした。真っ赤な目を真っ暗闇へ向ける。【足】? の気配は、すでに無くなっていた。

「――グスン。ほんと不潔で、臭い」

 それはまるで自分に言ったようにも聞こえてしまい、さらに涙を拭いてしまう。スカートがパンティで濡れないようにたくし上げつつ、手探りで個室から出た。
 廊下からの弱々しい灯りに照らされる中、パンモロというという極めて情けなくて恥な格好のまま、め……女子便所を、後に、した――。
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