トラウマ性別とケガレタ学校

ニッチ

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三限目 体イク館

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 トイレから出ると、廊下の構造がまた変わっていた。目の前には赤く錆びた鉄扉があり、向かって右は行き止まりで、左奥には廊下が延々と続いていた。
 ――そんな異様な光景にも、今までほど心が動かなくなっていた。

「うっ、ぃ。なん、で。こんな、目に、ぼく、がっ」

 言い訳なんかじゃない。男子だろうが女子だろうが、こんな異常な暴力に打ち負かされたら、みじに震えるに決まってるよ。
 股間にへばりつく濡れたパンティの原因が小便おしっこと、汗と、体液だなんて、恥の上塗りもいいところだ。その上さぁ、スカートまで握り持ち上げているんだから、もう本当に最低最悪!
 ――何よりも、下腹部の奥がまだ変にジンジンしている事実が、ぼくの自尊心へ唾を吐きつつ、遊ぶみたくむしばんでいた。

「ハァ、うぅ」

 それでも、立ち止まるのが一番危険だと、歯を食いしばり心に鞭打って探索を進める。
 とりあえず正面の大きな鉄扉を調べるべきだろうか? 節々が腐食しており、よくわからない赤茶色のゼリー状の何かが、あちこちに付着していた。
 ダメ元で、嫌がる右手で冷たいドアノブを握りしめ、力を込める。
 ガチャ――ンギギギ。
 重っ。けどかろうじて開閉でき、さらに体当りするみたく肩口を当てて踏み込む。女子の非力さは何度も味わわされたけど、それでも全体重を掛ける。
 何とか隙間を作れて、さらに広げすべり込む!
 ガッチャン。

「ハァ、ハァ――そ、と?」

 渡り廊下へと繋がっていたらしく、外に出られたみたいだった。けど空は気味の悪い紫色で、太陽も月も星も見えない異様な景色だった。また、手摺てすりも落下防止の柵もなく、左右には。背後の扉は岩のように硬く見えて、二度と動かせそうな気配は無かった。
 濡れた股を小幅で動かしつつも、背面の校舎へ振り返る。見える範囲でだけど、壁は赤や黒、灰色がかったマーブル上の色の仕上げ材モルタルで埋められていて、窓は真っ暗だった。
 ヒュウゥ~。
 生温なまぬるい、わずかに異臭を含んだ風に、身体を触られつつ、渡り廊下を歩き終える。目の前にはボロボロのコンクリの階段と、建物が間近に迫る。

「これって――」

 体育館、だよね? ひさしの外の位置より見上げると、蒲鉾かまぼこ型の屋根が見え、大きさ的にもそう思えた。
 階段を上がった先には、再び鈍重どんじゅうそうな薄緑で鉄製の両開きの引戸があった。その上には、体イク館? と斜めに傾いた、黄ばんだプレートが貼り付けられていた。

「(ここにいても仕方ないし)うんっ、しょ」

 スカートのすそから手を離して取っ手を握る。濡れたパンティにスカートが張り付いて、とても気持ち悪かった。
 ガガ、ガガガガッ。
 まるで嫌がらせみたく戸車が何度も引っ掛かるけど、何とか片側の扉を開ける。警戒しつつも薄暗い中へ足を踏み入れると、明滅する二本の電灯の下でキョロキョロと顔を動かす。

「ロッカーばっかり。更衣室を経由して体育館へつながってる?」

 縦長のよく見かけるグレーのロッカーが三十台ほど壁みたく敷き詰められていた。背後で扉が勝手に閉まるのにはもう動じず、右腕で揺れる胸を固定し、左手でスカートを再びたくし上げて周囲を調べる。
 大半のロッカーの扉が歪んだり凹んだりしており、カビや錆、よくわからない白っぽい汚れみたいなのが付着していた。唯一、事情が違いそうな部屋の中央にあったロッカーの真ん前に立つ――けれども。

「また、これぇ?」

 疲れたぼくの顔が曇るのは当たり前だった。何かと言うと、白のマジックペンか何かで――。

『お前のスケベな身体にぴったり(笑)』
『早く生着替えしろよ牛乳女子うしちちおんなちゃん!』
『変態ドMエロ女子用のロッカー』

 その他にも、卑猥な絵や記号、罵詈雑言がひっきりなしに書いてあった。

「――馬鹿の一つ覚えみたい」

 ようやく悪態あくたいがつけたかと思うと、手は悔しさで握りこぶしをギュッと作っていた。
 でも察するに、中には新しい衣服でも入っているのだろうか? 確かにこの制服が、もう着られない状態でもあることも、事実だった。

「……っ」

 出来るだけ距離を取りつつ、腕を伸ばして、恐る恐る開ける。
 ――カチャ。
 目の高さには扉内側に取り付けられた小さな鏡だけだった。やや拍子抜けとばかりに視線を下げると。

「こ、れって?」

 綺麗にたたまれている薄い上下の服へ手を伸ばす。最初こそ意味がわからなかったが、何かを理解した瞬間、思わず身をよじってしまう。こ、これを着るの? へ、でも――えっ?
 ひたすら葛藤かっとうする中、一つだけ言えることは、濡れたパンティが股間へ与える感触が、ただただ気持ち悪かった。

 * * *

 ――シュル。
 そしてとうとう、着替えを終えてしまった。

「ほんと、意味わかんない」

 ロッカー内側の小さな鏡に、全身が映り、細い眉を下げる。
 ――白の半袖のトップスは袖口のみ赤く、何より機能性を重視してか密着し、上半身のボディラインが強調されてしまった。しかもノーブラのため胸の中央の二か所が、ツンとつのみたく立っているのが、変態すぎる。

「けど、それすらマシなくらいに――」

 これ以上に問題なのは下半身しただった。
 ソレは赤色のツルツルした化学繊維で出来ていて、ほぼにフィットし、ハッキリ言って下着みたいな見た目だった。毛一本すら生えていない生足は、羞恥しゅうちという鞭にたれ、柔らかに震わせた。
 男だった時の記憶なんだろうけど、見聞きしたことがあった。確かブルマ? とか言われる、実際に昔の日本で、女子児童や学生の体育着として使われていたものだ。実際に穿いて思うけど、日本人の教育関係者は頭がおかしかったのだろうか?
 いや、それよりもさらに食い込み気味で、お尻の肉の三分の一くらいが露出する、より卑猥ひわいな仕様に思えた。まださっきの汚れた制服の方がマシだったかもとすら、後悔してしまうほどに。

「も、もういい。い、行こう」

 相変わらず揺れる胸を左手で固定しつつ、右手で股間付近を(一応)隠し、逃げるみたく奥の扉を開けて出る。
 ガッ、チャン。
 ――天井にある小さな鐘楼しょうろうみたいな照明が、たった一つの光源だった。どうも自分は体育館の後方付近に立っているらしく、暗い館内を全体的に見渡す。
 バスケットゴールは壊れ落ちていて、床のセンターラインもぐちゃぐちゃだった。綿が飛び出ている薄汚れたマットが、ワックスの輝きを失った床の上に乱雑に置かれており、異臭がした。
 出入り口の扉は他に二つあるけど、両方ともどんな力が加わったのかわからない様な、ひしゃげ方で素人目にも開きそうになかった。マットを踏み進みつつ、正面奥のステージの方を調べるため、目線を移すと――。

「ひっ!」

 し、心臓が口から出そうになる。もちろん比喩ひゆではあるけど。だ、だって、暗い照明の下、め、め、のだから。

「どう、なって」

 人間の【目】と思しきソレを、恐る恐る眺めていると、信じられないことに瞬きもすれば、視線をこっちへ向けてくる。さっきの【腕】や【足】と同じ怪異なのだろうか?

「! ひえっ」

 い、いつの間にか股下にも【目】が、まるで生え出たみたく出現し、しかも何やらニヤケるみたいに細めている。踏みつけようとも思ったけど、怖く気味悪くて、ステージの上へ登り逃げた。

「ほんと、おかしい! 狂ってるっ」

 やがて身体中に、皮膚どころか体操着ふくすら貫通して、文字通り視線が突き刺さるみたいな、妙な感覚が増してくる。確かに女の人は、肌で視線を感じやすいとか言うけど、これは明らかに違うと――。

「ひ、あっ」

 音もなく壁や床、そして空中に無数の【目】が出現し始め、こちらを凝視してくる。直接は何もしては来ないけど、このは、一体?
 バン。

「! まぶしぃ」

 一瞬、視界が白く塗り潰されて目をつむる。いきなりステージ上に強烈なスポットライトが当たったみたいだった。こんな恥ずかしい格好ブルマを、これでもかと浮き上がらせるみたいな演出は、まるで【目】の見せ物みたいで、恥ずかしくてドキドキしてしまう。
 何十個という【目】が食い入るみたくぼくを見つめてくる。まるで何かを、期待するかの様に。

「い、いい加減にし――て?」

 え? 何十という目から視線を浴び続けてしまったからか、頭と身体の奥が不可思議ふかしぎに熱くなってくる。
 だらん、っと胸を持っていた左腕が垂れ下がる。すると、乳首が浮く二カ所へ視線が突き刺さり――ンンッ――え?

「な、に?」

 ドキ、ドク、ドキッ。
 どう、してか、心臓が早鐘はやがねを鳴らし始める。今までの恐怖や緊張によるストレス由来ではなく、明らかに高揚感に近い興奮だった。まるで、そう、【目】に注目されることで、失われた自信を取り戻しているみたいだった。もっと言えば、誰もが求める承認欲求が満たされていく、みたいな。
 今までの怪異とは毛色が違う、そう思考が固まりかけた時だった。
 モニュ。

「んあっ! ――え? ぼくは、ナニ、を?」

 内股になりつつ、注目を浴びる乳房を、両手で揉みしだいてしまっていた。
 ! す、すると明らかに【目】からの視線が強まり、胸辺りが――ひゃん――あつ、熱くなっちゃう。
 ドクン、ドクン。

「(なに、これ。まるでみんなに注目されて、嬉しいみたいなこの感覚)だ、だまされちゃ、ダメ、ぇ――ぅあん!」

 も、元男として、あり得ないと自分に言い聞かせる。けど、そんな記憶は曖昧あいまいで、身体が女である以上、くぅっ。
 そんなに触れてもいない乳首が、ツンと硬くなってきて、しかも言う事を聞かない人差し指が、爪先で軽く引っ掻いてしまう。
 ピリリッ。

「んあっ!」

 嬌声きょうせいが、臭くて荒廃した、不浄な体育館に響き渡る。そんな中、光で浮き彫りにされつつ、思考がセメントみたく固まっていき、やがてペタンとステージへお尻を着けてしまう。
 M字に開いた脚の頂点こと、ブルマに視線が注がれて、脚の力が、抜けちゃう?

「み、見ないでぇ」

 そういうぼくの声は、甘ったるかった。【目】で視姦しかんされるつど、心臓が高鳴り、もっと見て欲しくて、さらにエッチな吐息をたくさん吐いちゃう。
 一方、【目】の下僕しもべと成り下がった指はオッパイを離れて、注目高まるブルマの中央部分に触れてしまう。ソコは一番の熱源で、きっと【目】が最もいじって欲しい場所の一つのはず。

「(だめぇ、もうほんとヤバい)――あぁん!」

 中指の爪先で濡れ始めた中央をなぞると、ビリリっと電気が放たれて頭と下腹部、乳首を桃色に染め上げられてしまう。しかもノーパンだから、刺激がダイレクトで、けどブルマの人工的な質感が、ちょっと癖になりそう。
 そしてステージ上において、【目】と共に自慰オナニーする一体感は、まるで自分が主役になっているアイドルショーみたいな錯覚すら引き起こした。――で、でも、これ以上はほんとに、オカシクなっちゃう。
 か、欠片かけらの理性でもって、股間から指を引き離して、乳首で我慢してもらおうと思った時だった。

「「……」」

 物言わぬ【目】達のいくつかが、視線を外しだす。

「え? あっ、え?」

 すると、例えようもない不思議な喪失感そうしつかんが、胸の内側にてじわーっと広がっていく。まるで火が消えたみたく寂しく、お祭りの終わりの様な、世界から色が消えたみたいな、耐え難い感覚だった。

「ま、待って!」

 慌てて、股間の――ま、マン筋を指で触るも、焦って力加減を誤ってしまう。
 グヌニッ。

「ひんあっ!」

 り返り、上半身が体操着ウェアにピッタリと引っ付く。乳房の大きさも形も、硬化した乳首も、丸わかりになってしまう。

「「!」」

 ――でも、でも何とか視線を取り戻せたぼくは、何故かとても高揚し、そして同じぐらいに安心してしまう。
 もう【目】からの注目を外されないよう、半開きの口からトロンとした口調で。

「ぬ、濡れてきちゃってるよぉ」

 アピールするみたくなぞる股間ブルマの中央が、愛液で色が変わっていた。いくつかの【目】が接近して来るたび、文字通り目力が入るつど、心のどこかがいやらしく満たされて、熱くほうけた。
 SNSや動画配信者の女の子が、過激な格好やパフォーマンスをしちゃうのも、こんな感覚なんだろうか?
 グニャ、グニュ。
 指先にて、柔らかで温かく、また湿った小陰唇ビラビラをブルマの上からいじめ続ける。し、痺れるみたいな感覚が股間から発せられて、それを凝視ぎょうしされていると思うと、下腹部に火がくべられたみたく燃えてきちゃた。
 ……【腕】や【足】にされた時は、目を背けていたけど、もう身体と心に刻まれてしまったんだ。女の子の身体って、こんなにキモチイイ、ってことを。
 ブルマのみが広がり、指先まで濡れてきちゃった。【目】は今までの怪異と違って乱暴さわったりしてこないから、そういう意味でも無警戒になっているのかな。

「ふぁ、んふぅ」

 もう完全に頭も股間もとろけて、公開自慰オナニーを魅せ続ける。たくさんの視線が、快感にゆがほくの顔と、ピンちの乳首、何よりジンジンのクチュクチュな股間ブルマに、突き刺さりまくる。
 そのつど、まるで自分が喝采かっさいを受けているみたく満悦してしまう。虚栄心きょえいしんが満たされるつど、卑猥ひわいに臭う液体と気体と声が、ぼくから発せられ続けた。
 こんな世界で、幸せを感じられる、なんてぇ。

「「……」」

 あ、れ? ど、どうして? またいくつかの【目】が別の場所へ向き出す。

「(変化が乏しいから?)待、って」

 すがるみたいな情けない声をこぼす中、ニヤニヤと嘲笑あざわらう【目】へ。

「――こ、これなら、どぉ?」

 四つん這いになり――プリン――っと丸いお尻ブルマを下品に振り向ける。熱いくらいのライトに照らされる中、舌なめずりをしつつ、濃く濡れたお尻でもって、雄を誘う雌みたくゆったりと左右へ揺らす。

「「!」」

 んあっ。――た、たくさんの【目】が目蓋まぶたを持ち上げて、熱視線を注いでくれる。安心を取り戻せて、ある胸を撫で下ろす。
 グニャリ。
 乳房と顔を汚れた舞台へ押し付ける。すると偶然、体操着のお腹の隙間から生乳が見えるポジションを作れた。さらに右手でマン筋をなぞり、左手の指を口に出し入れして、びるみたいな視線を、お尻付近の【目】へと逆送りする。

「(もっとぼくを見て、視線を注いでっ)

 【目】の中には、まるで娼婦しょうふを見下すみたいな、あるいはもっと汚い存在もの卑下ひげするみたいなのもあった。けど、瞬きもせずに食い入るみたいな視線を送り続けるということは、見たいからに他ならないと、より実感できた。
 ゾワゾワ、っとした快感が、皮膚の下で火花みたく散り、下腹部おなかが火事みたくなってきちゃう。
 【目】みんなからもっと視姦されたいと、気が付けば指先の第一関節の半分くらいを、ブルマごとに膣口へ押し込んでいた。いまさら痛みに気付くけど、それを覆い尽くす快感に、四つん這いすら出来なくなりそうだった。

「お、お腹が、アツイよぉ」

 涎でも床を汚しつつ、指はかゆい部分を引っかくみたく、びちゃびちゃなブルマの中央に爪を立て続けた。雌便所の最後みたく、股間の内側でナニかが膨張してイクみたいな感覚に、意識が引っ張り溶かされる。
 一つの【目】が、まさにぼくの目の前に来た時だった。ソレはただただこう訴えていた。
 ――体操着へんたいな姿で、こんなゴミ溜まりより酷い場所にて、怪異に見下されて、自慰にふけって、快楽の海に沈むお前こそ、飯沼祐希そのもの――なんだって。
 そう読み取った瞬間だった。

「! いはん。ひぃん!」

 羞恥しゅうちが全て快楽に裏返ったみたいな卑猥な衝撃に、ビリビリと全身が打ち震える。に、意識を失いそうになった。

「――はっ、ハッ、ハァ?」

 最初はナニが起こったか、サッパリだった。言えるのは、乳首が過去一くらいに勃起ぼっきしてて、身体中が桃色に煮え、ブルマの前半分はお漏らしたみたくグショ濡れだった。
 絶頂の余韻よいんひたる中――【目】がいつの間にか消えていた。ぼくは四つん這いの情けなく淫らな姿勢のまま、ただ動けないままでいた。

「……ァ」

 頭へ霜が急に降りたみたく、罪悪感という冷気が神経という神経を凍らせていく。
 ――今回は、もう言い訳できない。怪異を前に、自分から進んで自慰オナニーを見せビラかせてイッタのだから。
 そして、何より、気持ち良かった。信じられないくらいに。相手が触ってこなくても、女の子の身体はここまで快感漬けになれることを、心が壊れるくらいに思い知らされた。
 ……いや、むしろ、男から女になった自分だからこそ、男の感覚と女の肉体で、二重の快感を得られた? けれどもその言い方もがある気が。

ぼくは、ボク、は――?」

 いつの間にかライトが消えていたステージの上は、少し冷えるくらいだった。愛液に塗れたブルマは、生臭い臭いをプンプンと立ち昇らせ、やがて体温を奪うみたく吸熱していった。
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