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最終話 ペット
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秋空が朱に暮れる中、白い薄手のセーターに紺のフレアスカートという出で立ちで、近所のスーパーマーケットへ入る。低いヒールを鳴らしつつ、他には目も暮れずに、清掃用品の陳列棚目指して一直線する。
ふやけた左手にてお腹を小さくさすり、やはりふやけた右手は――ある洗剤へと伸びていた。【風呂泡ジェット】と【オーガニックカビコロ】。平日の夕方近く、二十四歳の女が、真剣に浴槽洗剤の成分内容を見比べるのは、ちょっと珍しいだろうか?
「(ネット情報だと、コスパは風呂泡ジェットに軍配が上がる。けどオーガニックカビコロは植物性由来成分100%とのキャッチフレーズを見るに、揮発した成分が浴槽内に溶けても安心なのかな)――そもそも、浴槽内は清掃不要だけど、身体を洗うスペースや壁に天井については、あまりに気にしていなかったなぁ」
浴槽の外はぬめり気や黒カビが発生するため、滅多にしない外出でもって、買い物に来た次第であった。
うーん、と唸っていると、小さな子供連れの母親が、背後を通過する。
「ねぇママ。あのオッパイの大きいお姉ちゃん。めっちゃ可愛いね!」
「! こ、コラ。アンタ何て失礼なことを――す、すみませんすみませんっ」
えっ? と振り返ると、男の子を叩く母親らしい女性が、何度も頭を下げてきた。私は無表情のまま小さく手を振り、その手でもって、両方の商品を手に取る。買い物カゴには、生理用品のみが入っていた。
他になにかあったっけ? と思いながらぷらぷらするも、ほぼ浴槽で生活が完結している私にとっては――あとお酒とトイレットペーパーくらい?
「(あっ)てか、店長が取りに来るって今日だっけ? やっば、急がなきゃ」
薄茶色の髪と大きな胸を揺らせつつ、レジへと急ぐ。後ろで並んでいるおじいちゃんが、胸を覗き見してくるけど、もう馴れたと無視する。別に減るもんでもないしね。
……元係長と霜毛さんに襲われ、撃退したあの日、ソッコーで会社に辞表を叩きつけた。まぁ、叩きつけたと言っても、実際は涙ぐんで震えながら、退職代行会社にお願いしただけだけど。
それからしばらくは、傷心を癒やすため、また女体化を受け入れるために、浴槽内でイソギンチャク達と戯れるニート状態な日々を送った。
あの子達は、女の子になった私になつき、想像も付かないキモチヨサを教えてくれた。当然、私の方もどんどん愛おしくなっていったのは、言うまでもなかった。
そして、夏を過ぎた頃だった。食費などの生活費は限りなく抑えられていった一方、家賃等による一定の支出は不可避であることに、焦りを覚え始める。まだ貯金はあったけど、早めに就職先を見つけないと、あの子達との生活を手放す遠因になりかねなかった。
とは言え困ったことに、性別が変わってしまったのだ。提出書類である履歴書の性別の部分で不整合が発生し、エントリーシートを出すことすら、容易ならない窮地に陥った。
そ、こ、で――。
「はぁ、ふぅ。急いで帰らなきゃ」
ぶるん、ぶるん、と大きく揺れる胸はちょっと邪魔だけど、あの子達が求めるみたく愛撫してくるから、無下にもできなかった。
コッコッコッ、っと馴染みのアパートの階段を駆け上ると見えてくる。自室の前にて一人立つ、不機嫌そうな店長が。
「あ、店長~。すみません~」
呼吸を整える傍ら、膝に手をつき、細腕でもって谷間を作り、上目遣いのスマイル謝罪をする。大抵の男性は、これで全てを許してくれるのだが、
「水羽さん。時間厳守でお願いしますよ。貴女は【深海堂】の商品管理担当なのですから」
ギョロっとした目でもって、見下すみたく睨まれる。
――そう、女体化した事について、一応の問い合わせを【深海堂】にしたのが、転職の発端となった。まるで、こうなる事を見通していたみたいな店長は、謝罪こそなかったものの、色々と相談に載ってくれた。
挙げ句、自宅で出来る商品管理担当という正社員を与えてもらえたのだった。
「(最初は在宅ワーク的なものを想像してたけど)す、すみません、すみません」
頭を下げつつ、小走りで向かって解錠し、アパートの中へと案内する。
ガチャリ。
暗い玄関の電気を点けると、飼って知ったる我が家と言わんばかりに、店長は風呂場へと直行する。荷物整理を少しだけした私も、慌てて後を追いかける。
脱衣所から中を覗くに、店長は帳面を取り出しつつ携帯で撮影をしていた。浴槽内には、最初期に比べて、倍以上のイソギンチャクが増えており、側面にも張り付いているほどであった。緑や紫の新しい色の新規個体はどれも小さく、赤子の様にユラユラと揺れていた。
実はこの子達は――当初に買ったイソギンチャク達と種族間を越えて結ばれた――その愛の結晶であった。
「ふむ。どれも色艶が良く、健康そうですね。この辺りの腕はお見事と言わざるを得ません。特別賞与に上乗せしておきましょう」
「あ、ありがとうございます?」
にしても、お風呂に入って、気持ちいい日々を送るだけなのに、お金までもらっていいものだろうか?
「えと、ところで店長。この子達をどこへ運ぶんですか?」
「貴女が知る必要はありません。もちろん、悪い様にはしませんよ。……貴女ならお分かりでしょう?」
珍しく口角を上げる店長を見て、また我が身に起こった事を思い出しつつ考えた。
――なるほど! 今、思い返せばちょっと驚くことはあったけど、私自身、今は幸せにまみれた非日常の連続なんだ。
新しい飼い主さんのためを思うと、ヤリがいも感じられるというもの。
「では、引き取りますね」
感情の無い語調へ戻る店長に対して、言いにくそうに切り出す。
「あ、あの、店長。そ、その。やっぱり今日、持って行かないとダメですか? その子達――」
イソギンチャクには、分裂などの無性生殖を行う種類もいるが、ウチの子は有性生殖であった。私の子宮の中に卵を産みつけ、そこに精子を振りかけて、やがて孵って、大きくなっていく。
現に私の子宮の中には、今も何個かの卵があった。
「新しい飼い主へ紹介したいですからねぇ。それに、以前にお伝えした通り、これらのイソギンチャクは特殊な個体で、人間の女性――しかも性転換した女の膣内にしか卵を産みません。吐精も同様です」
浴槽内の新しい生命は、全て私が産み育てた子達であり、嬢が移って当然だった。
てか、私が代理出産して、ご飯もあげてるんだから、実質的には私の子供と言っても過言ではない。ぴえん。
「愛着があるのは喜ばしいです。しかし、貴女は商品管理担当者という業務従事者であり、また見合うだけの高給も払って――聞いてます?」
「へっ? え、えぇ。聞いてますよ。ほんと可愛いしお利口で、人類の友ですよねぇ」
「……ハァ。わかりました。まぁこれだけ数を増やしてくれた、貴女の功績は確かに大きい。移送は明日にしましょう。朝にまた来ます」
「ほんとですか? やったー! 店長大好きっ。これから一緒にお風呂入ります?」
たまに精子も摂食した方が成長に良いかと思い立つことがあった。そんな日は、夜の繁華街へ繰り出して、ゆきずりの男性と外でセックスして、膣出しされた状態で急いで帰り、入浴することもあった。
けど、イソギンチャク達とのセックスに馴れ親しんでしまった私は、人間の男性相手だとなかなか満足出来ず、本当にごく稀にしかしなかった。
「忙しいので結構です。明日こそは時間通りにお願いしますね」
そう言って、目も合わさずに風呂場から出て行く。後にも先にも、私からのエッチの誘いを断るのは、この店長だけであった。
玄関で見送った後、待ち切れないとばかりに、大急ぎで脱衣所へ向かう。
「今日も朝まで浸かるぞぉ」
まずはセーター、そして灰色のブラウスへ手を掛けていく。ネットで購入した桃色のブラに包まれた、存在感のある乳房が、ぷるん、と揺れる。
そして、フレアスカートを脱ぎ置くと、ムダ毛処理をしていないにも関わらず、ほぼ無毛で綺麗な脚と、くびれた腰が室内灯に照らされる。
「今日で(一部の)キミ達とはお別れ。だから、たぁっぷりと可愛がってあげるからね。――もしくは可愛がってね」
プチンとブラを外し、パンティも脱ぎ捨て、やはり掛り湯なしで浴槽で飛び入る。
ザッポーン。
お湯は僅かなトロみを帯びており、心なしか、海水みたくいくらか青みがかっていた。
四方八方から――おかえり、お腹へった、さっさとヤラせろ――っと色々な感情を先端に灯した、触手が伸びてくる。
「みんな、いつもみたいに(私を)好きにしていいけど、今日は引っ越しの子達を優先させてあげてね~」
そう言って、側面から生え出る、いくつもの小さな灰色のイソギンチャクを、微笑と共に撫でた。
「んんっ!」
三秒と経たずに、甲高いエッチな声が漏れ出る。まずはお尻の一番肉付きが良いところを、赤い触手がふれてくる。弾力を味わうみたく撫でたかと思うと、その何本かがキスマークを作るみたく吸着してくる。
そのねちっこい感覚は、まるで痴漢されているみたいで、興奮した。
「んもう、ほんとエッチなんだから――ひゃん!」
今度は主に陰毛と脇毛が生えている箇所だった。
女体化してから、体毛がかなり薄い体質になったが、それでも産毛っぽいのは生えてくる。
特に処理せずに入浴を繰り返していると、特定のイソギンチャクが、ご飯とばかりに摂食してくるのだ。
すね毛とか腕毛はともかく、アソコや脇に触手を這わされると――あんっ――毛穴に何かの成分が塗布されているみたいで、ジンジンと熱くなって、ひくん。
そのせいで脇はツルツル、股間にいたってはほぼパイパンみたいに性器が露出してしまい、外で男の人とエッチすると、やたらと興奮される。
「(まぁ人間相手はどうでもいいけど)髪やまつ毛は無事だからいいけどさ……じゃあ、そろそろぉ」
身体のあちこちを舐め触られて、下腹部が熱くなる中、側面の小さな手乗りサイズのイソギンチャクを、左右の手で一匹ずつ、壁からそっと剥がす。
まだ短くて細い触手しか持たないこの子達は、半透明であり、赤ちゃんの様な愛らしさがあった。
その全てが、私の子宮で孵化した、言わば子供みたいなモノなのだから、なおさらだ。胸の奥の温かさは、さしずめ母性と言ったところだろうか。つまるところ、初期のイソギンチャクが彼氏や旦那と言うのなら、この子達は父親違いの私の子供と言えた。
「さぁ、みんな。オッパイの時間だよ~」
まずは、ゾワゾワと蠢く小さなお口を、濡れた桃色の乳首へ近付けていく。
私は、こみ上げる笑みを掻き消す事ができなかった。だって、だって――、
カプッ。
「っづあアッ!」
痛いっ! けど同時に、弾けるみたいな気持ち良さに、思わずのけぞって失禁してしまう。
ガニ。
「(両方っ)あ、ア、アアッ!」
まだ柔らかい、けど何十本という小さな葉歯が、乳首の表面に剣山みたく突き刺さる。けど、出血しないギリギリの鋭さで、ヒルみたく、吸い付いて――。
チュル、チュパ。
「痛ぃん!」
顎を思い切り押し出して、馬みたくいななく。まるで母乳をせがむみたく、必死に食らいつく赤ちゃんイソギンチャクは、その小さな口に、大きな乳首を吸い収める。必死に吸われるつど、激痛と心地よさが、乳首より放たれる。
人間の赤ちゃんだって、歯が生えてきた頃に母乳を吸われると、痛いって聞くし、これくらい――。
ピュ……ドピュ。
「う、エッ――?」
散々味わい尽くした、乳首由来の快楽のはずが、未体験の快感に身震いしてしまう。
なん、と、噛みつくイソギンチャク達の口の端から、白い液体があふれこぼれていた。最初はこの子達の体液かと思ったけど、他の触手がワサワサと伸びてくる事から、私が出したものだと気付く。
――けど、オッパイから出る体液って、もう、アレしか無くない?
ガニッ、ジュプ。
「んんんあああっ!」
鋭い痛みと鈍い快感。そして大きな乳房の中で対流する、熱き母性。私は思わず、歯を食いしばりつつ、乳首に噛みつくイソギンチャクを――オッパイの方へ押し込む!
ギュル、グミィ。
「ひぐぅぅぅ!」
たまらず絶叫。さすがに痛みの方が強いけど、不思議と母乳があふれ出て、湯船を白く汚していく。
ひょっとして私って、痛くされると射乳しちゃう、天性のマゾ牛女?
「はぁぁん。でもいい、よぉ。ママの、たくさん、飲んでぇ」
ヒリつく痛みと灼けつく恍惚に耐えつつ、赤ちゃんイソギンチャクの体幹を撫でる。他の子供達が物欲しそうに揺れる中、まるで血を吸う見たく、吸引を続けていたが。
ゴク――カパッ。
もうお腹いっぱいと、乳首に噛みついていた赤ちゃんイソギンチャクは湯船の中へと落ちていき、今度はお腹や太腿に吸い付いて、遊び出す。
可愛い、と思う前に、無数の触手が乳房に這い寄ってくる。
「ちょ、待って、みんな。ちゃんと、平等に、あげか――らぁぁぁ!」
プスリ。
いた、ひっ? 茶色の触手の先端が、針みたいに尖ったかと思うと、アタシの、乳頭に刺し入って――、
ニュ、グニュニュ。
「いいいぎぎぎぃっ!」
乳首に刺した針の先端が、僅かに拡がっていき、激痛で目がチカチカした。
プシュ。
と同時に、拡張された乳腺を流れ出るみたく、母乳が放物線を描いて浴槽内へ注がれる。
「ひ、あ、あぁ」
白目を剥いたまま、快感と痛みで失神しそうになる。
けど、なんだろうか。やっぱり痛みを感じれば感じるほど、股間が熱くなっていく。
もう痛くて気持ちいいのが好きなんじゃなくて、痛いのが好きになりつつあった。
きっと色んなイソギンチャクの体液を何ヶ月も飲んでいるから、痛みに耐えられたり、快楽に変換できたりの、被虐体質になって来ちゃったのかもぉ――。
ズチャ、シュル。
色とりどりの触手が、おこぼれに預かろうと伸びてきたため、硬くなった乳首の辺りが賑やかになってくる。
「はぁん。いいよぉ、みんなぁ。私のエッチな母乳をいっぱい飲んでぇ」
透明な赤ちゃんの触手が弱々しく伸びてくるも、昔からいる青い触手にはね除けられて、母乳を横取りされる。可哀想とは思いつつ、赤い触手に乳首を噛まれることで、悶えるみたいな嬌声を出す事しかできなかった。
ズルル――ピシッ。
乳頭に刺さっていた触手が引き抜かれると、次は別の触手が水面下から現れる。その触手はさっきとは逆に先端を筒状に拡がらせる。
ひょ、ひょっとして――その空いた空間に、私の乳首をジャストフィットさせると――まさ、か!
ギュギュキュ。
「んおおおおっ!」
まるで、バキューム、みたいに吸い込んで、母乳を搾りっ、とられるぅ!
「痛いけど、ナニコレ。しあっ、わせぇ!」
シュルル、ピチャ、パチャ。
今度は首に巻き付いていた黄の触手が、首から顎、口元へと這い上ると――ガボュ――口内へ何本も侵入してくる。小さな舌へ強引なキスを行うと、内頬や歯はもちろん、歯茎まで舐め尽くすみたく匍匐してくる。
まるで強姦魔にキスを強要されているみたいだけど、恐怖も不安もないため、ただただ幸せの蹂躙を噛みしめた。
「ンゴォ!」
膣の下の、ま、まさか――肛門? 何体かの赤ちゃんイソギンチャクが、迷い込むみたいに触手を突っ込んでいた。
普段ウンコをするところを、柔らかな触手で撫で触られる。未知の体験に、味わったことのない痛みをジンジンと感じてしまう。
肛門の入口あたりを舐められる様に動き続けられたため、やがて括約筋が緩んでしまうと。
ボコッ、ボコポコ。
盛大に放屁してしまい、脚が馬鹿みたいに拡がっていく。
「ガボッ。ゲホッ、ハホッ。んっ、ハァ、ハァ――。! あっ。ま、待って、あなた」
しまった。思わず誘ってしまった。
まだ間に合うかもと、息も絶え絶えに、最愛の旦那様を、流し目で見る。
――だが、もう限界と、あるいは嫉妬に燃え盛ったと言わんばかりに、子供の腕くらいありそうな、疑似男性器を、水面より、誇示するみたく持ち上げる。
「お、お願いあなた。今日あたり、お腹の子が孵りそうなの。だ、だから、その後ならいくらでも好きなだけ姦通させてあげ……ひひぃん!」
飼い主の分際でうるさいと、乳首を吸う触手が代わりに吸引を強める。小さな痕を付けられたころ、私が息も絶え絶えになったため、母乳を垂らしつつ乳首から離れていった。
まるで腫れたみたく膨張する乳首は――カッチカチ――で、乳頭からは水漏れしているみたく、母乳が垂れ流れていた。
ズリョリョッ。
「あああんんんっ!」
おぅっきくて、硬い、私の旦那様が、味わい尽くした膣内へ、何百回目かの入場を果たす。
――ううん。味わい尽くしたなんてもんじゃない。私の膣は、彼の疑似男性器にフィットするみたく、肉体改造をされたと言っても過言ではなかった。
ゴリュッリュ、ゴニュ。
「んほっ。ほっほ!」
膣口を擦り、陰核を刺激して、膣壁を引っ掻き、子宮口を殴打してくる。亀頭の雁に相当する部分が肉壁へ当たるつど、疣が膣内全体をグリグリと刺激するたび、顔も頭の中も、激しく雌化させられてしまぅのぉ。
――けど、今日は。
「おっ、おっ、おねがい。あ、なた。子宮の、あか、赤ちゃんンンンッ!」
激しい交尾中にも関わらず、彼らによって植え付けられた母性が、私の狂った頭を正常に、あるいはより狂気に仕立て上げていく。
唇から涎を垂らし、乳首からは母乳がトロリとつたい、全開の股から愛液が、湯船を汚すみたく流れ出ていった。私は、白目を剥きながら、少しずつイキんでいく。
口内を犯されるのも、乳首を絞られるのも、女性器をガン突きされるのも、そのどれも気持ちイイけど、一番幸せなのは、孵化れるこの瞬間に他ならないっ。
「(母性と快楽で、頭オカシクなりそ)――あな、った。はやく、イッ、て。産まれ、るぅ!」
ドピュ、ドポ、ドロ、ボピュ。
願いが通じたのか、許しを得たのか、はたまた彼の子供であったためか、早漏してもらえた。
膣内で収縮する疑似一物は、一通り吐精し終えた後。
ズリョリョ!
「ふんおおおおっ!」
強引に引き抜かれる。疣が膣口の一番薄いところを引っ掻くたび、爪先がピクピクと痙攣した。
子宮の中で動きが、起こる。小さな小さな――あっ――命が這い出てきて、肉壁をつたいつつ――イィ――浴槽内へっ!
ポコッ、ポコポコ。
「あ、――あ」
……小さな水泡と共に、四つばかしの透明で小さなイソギンチャクがお股から現れ出てくる。
「よか、った。元気そう、で」
まだ小さく軟いため、波風を立てないよう、身体を極力動かさないようにした(というかもう動く元気もないけど)。
誤って他のイソギンチャクの口の中に入ったりしないか、息も絶え絶えに見守る。
「ハァ、ハァ、んっ――はあぁ」
電子パネルが、夜になった事を告げていた。
「今日は、久々にお外に行って疲れもしたし、ちょっと、寝させて――」
身体中を、色とりどりの大小様々な触手にまさぐられながら、徐々に目をつむっていく。
酸素の注入器代わりに二十本ほどの触手を咥える。
きっと私は、彼らに犯される素敵な夢を見るだろう。
だが彼らはどんな夢を見るのだろうか?
いつか、私みたいな女へと、人間の男達を性転換させて、子孫を増やしていく夢でも見ているのだろうか?
――ま、そう日数はかからないかもだけど。
ふやけた左手にてお腹を小さくさすり、やはりふやけた右手は――ある洗剤へと伸びていた。【風呂泡ジェット】と【オーガニックカビコロ】。平日の夕方近く、二十四歳の女が、真剣に浴槽洗剤の成分内容を見比べるのは、ちょっと珍しいだろうか?
「(ネット情報だと、コスパは風呂泡ジェットに軍配が上がる。けどオーガニックカビコロは植物性由来成分100%とのキャッチフレーズを見るに、揮発した成分が浴槽内に溶けても安心なのかな)――そもそも、浴槽内は清掃不要だけど、身体を洗うスペースや壁に天井については、あまりに気にしていなかったなぁ」
浴槽の外はぬめり気や黒カビが発生するため、滅多にしない外出でもって、買い物に来た次第であった。
うーん、と唸っていると、小さな子供連れの母親が、背後を通過する。
「ねぇママ。あのオッパイの大きいお姉ちゃん。めっちゃ可愛いね!」
「! こ、コラ。アンタ何て失礼なことを――す、すみませんすみませんっ」
えっ? と振り返ると、男の子を叩く母親らしい女性が、何度も頭を下げてきた。私は無表情のまま小さく手を振り、その手でもって、両方の商品を手に取る。買い物カゴには、生理用品のみが入っていた。
他になにかあったっけ? と思いながらぷらぷらするも、ほぼ浴槽で生活が完結している私にとっては――あとお酒とトイレットペーパーくらい?
「(あっ)てか、店長が取りに来るって今日だっけ? やっば、急がなきゃ」
薄茶色の髪と大きな胸を揺らせつつ、レジへと急ぐ。後ろで並んでいるおじいちゃんが、胸を覗き見してくるけど、もう馴れたと無視する。別に減るもんでもないしね。
……元係長と霜毛さんに襲われ、撃退したあの日、ソッコーで会社に辞表を叩きつけた。まぁ、叩きつけたと言っても、実際は涙ぐんで震えながら、退職代行会社にお願いしただけだけど。
それからしばらくは、傷心を癒やすため、また女体化を受け入れるために、浴槽内でイソギンチャク達と戯れるニート状態な日々を送った。
あの子達は、女の子になった私になつき、想像も付かないキモチヨサを教えてくれた。当然、私の方もどんどん愛おしくなっていったのは、言うまでもなかった。
そして、夏を過ぎた頃だった。食費などの生活費は限りなく抑えられていった一方、家賃等による一定の支出は不可避であることに、焦りを覚え始める。まだ貯金はあったけど、早めに就職先を見つけないと、あの子達との生活を手放す遠因になりかねなかった。
とは言え困ったことに、性別が変わってしまったのだ。提出書類である履歴書の性別の部分で不整合が発生し、エントリーシートを出すことすら、容易ならない窮地に陥った。
そ、こ、で――。
「はぁ、ふぅ。急いで帰らなきゃ」
ぶるん、ぶるん、と大きく揺れる胸はちょっと邪魔だけど、あの子達が求めるみたく愛撫してくるから、無下にもできなかった。
コッコッコッ、っと馴染みのアパートの階段を駆け上ると見えてくる。自室の前にて一人立つ、不機嫌そうな店長が。
「あ、店長~。すみません~」
呼吸を整える傍ら、膝に手をつき、細腕でもって谷間を作り、上目遣いのスマイル謝罪をする。大抵の男性は、これで全てを許してくれるのだが、
「水羽さん。時間厳守でお願いしますよ。貴女は【深海堂】の商品管理担当なのですから」
ギョロっとした目でもって、見下すみたく睨まれる。
――そう、女体化した事について、一応の問い合わせを【深海堂】にしたのが、転職の発端となった。まるで、こうなる事を見通していたみたいな店長は、謝罪こそなかったものの、色々と相談に載ってくれた。
挙げ句、自宅で出来る商品管理担当という正社員を与えてもらえたのだった。
「(最初は在宅ワーク的なものを想像してたけど)す、すみません、すみません」
頭を下げつつ、小走りで向かって解錠し、アパートの中へと案内する。
ガチャリ。
暗い玄関の電気を点けると、飼って知ったる我が家と言わんばかりに、店長は風呂場へと直行する。荷物整理を少しだけした私も、慌てて後を追いかける。
脱衣所から中を覗くに、店長は帳面を取り出しつつ携帯で撮影をしていた。浴槽内には、最初期に比べて、倍以上のイソギンチャクが増えており、側面にも張り付いているほどであった。緑や紫の新しい色の新規個体はどれも小さく、赤子の様にユラユラと揺れていた。
実はこの子達は――当初に買ったイソギンチャク達と種族間を越えて結ばれた――その愛の結晶であった。
「ふむ。どれも色艶が良く、健康そうですね。この辺りの腕はお見事と言わざるを得ません。特別賞与に上乗せしておきましょう」
「あ、ありがとうございます?」
にしても、お風呂に入って、気持ちいい日々を送るだけなのに、お金までもらっていいものだろうか?
「えと、ところで店長。この子達をどこへ運ぶんですか?」
「貴女が知る必要はありません。もちろん、悪い様にはしませんよ。……貴女ならお分かりでしょう?」
珍しく口角を上げる店長を見て、また我が身に起こった事を思い出しつつ考えた。
――なるほど! 今、思い返せばちょっと驚くことはあったけど、私自身、今は幸せにまみれた非日常の連続なんだ。
新しい飼い主さんのためを思うと、ヤリがいも感じられるというもの。
「では、引き取りますね」
感情の無い語調へ戻る店長に対して、言いにくそうに切り出す。
「あ、あの、店長。そ、その。やっぱり今日、持って行かないとダメですか? その子達――」
イソギンチャクには、分裂などの無性生殖を行う種類もいるが、ウチの子は有性生殖であった。私の子宮の中に卵を産みつけ、そこに精子を振りかけて、やがて孵って、大きくなっていく。
現に私の子宮の中には、今も何個かの卵があった。
「新しい飼い主へ紹介したいですからねぇ。それに、以前にお伝えした通り、これらのイソギンチャクは特殊な個体で、人間の女性――しかも性転換した女の膣内にしか卵を産みません。吐精も同様です」
浴槽内の新しい生命は、全て私が産み育てた子達であり、嬢が移って当然だった。
てか、私が代理出産して、ご飯もあげてるんだから、実質的には私の子供と言っても過言ではない。ぴえん。
「愛着があるのは喜ばしいです。しかし、貴女は商品管理担当者という業務従事者であり、また見合うだけの高給も払って――聞いてます?」
「へっ? え、えぇ。聞いてますよ。ほんと可愛いしお利口で、人類の友ですよねぇ」
「……ハァ。わかりました。まぁこれだけ数を増やしてくれた、貴女の功績は確かに大きい。移送は明日にしましょう。朝にまた来ます」
「ほんとですか? やったー! 店長大好きっ。これから一緒にお風呂入ります?」
たまに精子も摂食した方が成長に良いかと思い立つことがあった。そんな日は、夜の繁華街へ繰り出して、ゆきずりの男性と外でセックスして、膣出しされた状態で急いで帰り、入浴することもあった。
けど、イソギンチャク達とのセックスに馴れ親しんでしまった私は、人間の男性相手だとなかなか満足出来ず、本当にごく稀にしかしなかった。
「忙しいので結構です。明日こそは時間通りにお願いしますね」
そう言って、目も合わさずに風呂場から出て行く。後にも先にも、私からのエッチの誘いを断るのは、この店長だけであった。
玄関で見送った後、待ち切れないとばかりに、大急ぎで脱衣所へ向かう。
「今日も朝まで浸かるぞぉ」
まずはセーター、そして灰色のブラウスへ手を掛けていく。ネットで購入した桃色のブラに包まれた、存在感のある乳房が、ぷるん、と揺れる。
そして、フレアスカートを脱ぎ置くと、ムダ毛処理をしていないにも関わらず、ほぼ無毛で綺麗な脚と、くびれた腰が室内灯に照らされる。
「今日で(一部の)キミ達とはお別れ。だから、たぁっぷりと可愛がってあげるからね。――もしくは可愛がってね」
プチンとブラを外し、パンティも脱ぎ捨て、やはり掛り湯なしで浴槽で飛び入る。
ザッポーン。
お湯は僅かなトロみを帯びており、心なしか、海水みたくいくらか青みがかっていた。
四方八方から――おかえり、お腹へった、さっさとヤラせろ――っと色々な感情を先端に灯した、触手が伸びてくる。
「みんな、いつもみたいに(私を)好きにしていいけど、今日は引っ越しの子達を優先させてあげてね~」
そう言って、側面から生え出る、いくつもの小さな灰色のイソギンチャクを、微笑と共に撫でた。
「んんっ!」
三秒と経たずに、甲高いエッチな声が漏れ出る。まずはお尻の一番肉付きが良いところを、赤い触手がふれてくる。弾力を味わうみたく撫でたかと思うと、その何本かがキスマークを作るみたく吸着してくる。
そのねちっこい感覚は、まるで痴漢されているみたいで、興奮した。
「んもう、ほんとエッチなんだから――ひゃん!」
今度は主に陰毛と脇毛が生えている箇所だった。
女体化してから、体毛がかなり薄い体質になったが、それでも産毛っぽいのは生えてくる。
特に処理せずに入浴を繰り返していると、特定のイソギンチャクが、ご飯とばかりに摂食してくるのだ。
すね毛とか腕毛はともかく、アソコや脇に触手を這わされると――あんっ――毛穴に何かの成分が塗布されているみたいで、ジンジンと熱くなって、ひくん。
そのせいで脇はツルツル、股間にいたってはほぼパイパンみたいに性器が露出してしまい、外で男の人とエッチすると、やたらと興奮される。
「(まぁ人間相手はどうでもいいけど)髪やまつ毛は無事だからいいけどさ……じゃあ、そろそろぉ」
身体のあちこちを舐め触られて、下腹部が熱くなる中、側面の小さな手乗りサイズのイソギンチャクを、左右の手で一匹ずつ、壁からそっと剥がす。
まだ短くて細い触手しか持たないこの子達は、半透明であり、赤ちゃんの様な愛らしさがあった。
その全てが、私の子宮で孵化した、言わば子供みたいなモノなのだから、なおさらだ。胸の奥の温かさは、さしずめ母性と言ったところだろうか。つまるところ、初期のイソギンチャクが彼氏や旦那と言うのなら、この子達は父親違いの私の子供と言えた。
「さぁ、みんな。オッパイの時間だよ~」
まずは、ゾワゾワと蠢く小さなお口を、濡れた桃色の乳首へ近付けていく。
私は、こみ上げる笑みを掻き消す事ができなかった。だって、だって――、
カプッ。
「っづあアッ!」
痛いっ! けど同時に、弾けるみたいな気持ち良さに、思わずのけぞって失禁してしまう。
ガニ。
「(両方っ)あ、ア、アアッ!」
まだ柔らかい、けど何十本という小さな葉歯が、乳首の表面に剣山みたく突き刺さる。けど、出血しないギリギリの鋭さで、ヒルみたく、吸い付いて――。
チュル、チュパ。
「痛ぃん!」
顎を思い切り押し出して、馬みたくいななく。まるで母乳をせがむみたく、必死に食らいつく赤ちゃんイソギンチャクは、その小さな口に、大きな乳首を吸い収める。必死に吸われるつど、激痛と心地よさが、乳首より放たれる。
人間の赤ちゃんだって、歯が生えてきた頃に母乳を吸われると、痛いって聞くし、これくらい――。
ピュ……ドピュ。
「う、エッ――?」
散々味わい尽くした、乳首由来の快楽のはずが、未体験の快感に身震いしてしまう。
なん、と、噛みつくイソギンチャク達の口の端から、白い液体があふれこぼれていた。最初はこの子達の体液かと思ったけど、他の触手がワサワサと伸びてくる事から、私が出したものだと気付く。
――けど、オッパイから出る体液って、もう、アレしか無くない?
ガニッ、ジュプ。
「んんんあああっ!」
鋭い痛みと鈍い快感。そして大きな乳房の中で対流する、熱き母性。私は思わず、歯を食いしばりつつ、乳首に噛みつくイソギンチャクを――オッパイの方へ押し込む!
ギュル、グミィ。
「ひぐぅぅぅ!」
たまらず絶叫。さすがに痛みの方が強いけど、不思議と母乳があふれ出て、湯船を白く汚していく。
ひょっとして私って、痛くされると射乳しちゃう、天性のマゾ牛女?
「はぁぁん。でもいい、よぉ。ママの、たくさん、飲んでぇ」
ヒリつく痛みと灼けつく恍惚に耐えつつ、赤ちゃんイソギンチャクの体幹を撫でる。他の子供達が物欲しそうに揺れる中、まるで血を吸う見たく、吸引を続けていたが。
ゴク――カパッ。
もうお腹いっぱいと、乳首に噛みついていた赤ちゃんイソギンチャクは湯船の中へと落ちていき、今度はお腹や太腿に吸い付いて、遊び出す。
可愛い、と思う前に、無数の触手が乳房に這い寄ってくる。
「ちょ、待って、みんな。ちゃんと、平等に、あげか――らぁぁぁ!」
プスリ。
いた、ひっ? 茶色の触手の先端が、針みたいに尖ったかと思うと、アタシの、乳頭に刺し入って――、
ニュ、グニュニュ。
「いいいぎぎぎぃっ!」
乳首に刺した針の先端が、僅かに拡がっていき、激痛で目がチカチカした。
プシュ。
と同時に、拡張された乳腺を流れ出るみたく、母乳が放物線を描いて浴槽内へ注がれる。
「ひ、あ、あぁ」
白目を剥いたまま、快感と痛みで失神しそうになる。
けど、なんだろうか。やっぱり痛みを感じれば感じるほど、股間が熱くなっていく。
もう痛くて気持ちいいのが好きなんじゃなくて、痛いのが好きになりつつあった。
きっと色んなイソギンチャクの体液を何ヶ月も飲んでいるから、痛みに耐えられたり、快楽に変換できたりの、被虐体質になって来ちゃったのかもぉ――。
ズチャ、シュル。
色とりどりの触手が、おこぼれに預かろうと伸びてきたため、硬くなった乳首の辺りが賑やかになってくる。
「はぁん。いいよぉ、みんなぁ。私のエッチな母乳をいっぱい飲んでぇ」
透明な赤ちゃんの触手が弱々しく伸びてくるも、昔からいる青い触手にはね除けられて、母乳を横取りされる。可哀想とは思いつつ、赤い触手に乳首を噛まれることで、悶えるみたいな嬌声を出す事しかできなかった。
ズルル――ピシッ。
乳頭に刺さっていた触手が引き抜かれると、次は別の触手が水面下から現れる。その触手はさっきとは逆に先端を筒状に拡がらせる。
ひょ、ひょっとして――その空いた空間に、私の乳首をジャストフィットさせると――まさ、か!
ギュギュキュ。
「んおおおおっ!」
まるで、バキューム、みたいに吸い込んで、母乳を搾りっ、とられるぅ!
「痛いけど、ナニコレ。しあっ、わせぇ!」
シュルル、ピチャ、パチャ。
今度は首に巻き付いていた黄の触手が、首から顎、口元へと這い上ると――ガボュ――口内へ何本も侵入してくる。小さな舌へ強引なキスを行うと、内頬や歯はもちろん、歯茎まで舐め尽くすみたく匍匐してくる。
まるで強姦魔にキスを強要されているみたいだけど、恐怖も不安もないため、ただただ幸せの蹂躙を噛みしめた。
「ンゴォ!」
膣の下の、ま、まさか――肛門? 何体かの赤ちゃんイソギンチャクが、迷い込むみたいに触手を突っ込んでいた。
普段ウンコをするところを、柔らかな触手で撫で触られる。未知の体験に、味わったことのない痛みをジンジンと感じてしまう。
肛門の入口あたりを舐められる様に動き続けられたため、やがて括約筋が緩んでしまうと。
ボコッ、ボコポコ。
盛大に放屁してしまい、脚が馬鹿みたいに拡がっていく。
「ガボッ。ゲホッ、ハホッ。んっ、ハァ、ハァ――。! あっ。ま、待って、あなた」
しまった。思わず誘ってしまった。
まだ間に合うかもと、息も絶え絶えに、最愛の旦那様を、流し目で見る。
――だが、もう限界と、あるいは嫉妬に燃え盛ったと言わんばかりに、子供の腕くらいありそうな、疑似男性器を、水面より、誇示するみたく持ち上げる。
「お、お願いあなた。今日あたり、お腹の子が孵りそうなの。だ、だから、その後ならいくらでも好きなだけ姦通させてあげ……ひひぃん!」
飼い主の分際でうるさいと、乳首を吸う触手が代わりに吸引を強める。小さな痕を付けられたころ、私が息も絶え絶えになったため、母乳を垂らしつつ乳首から離れていった。
まるで腫れたみたく膨張する乳首は――カッチカチ――で、乳頭からは水漏れしているみたく、母乳が垂れ流れていた。
ズリョリョッ。
「あああんんんっ!」
おぅっきくて、硬い、私の旦那様が、味わい尽くした膣内へ、何百回目かの入場を果たす。
――ううん。味わい尽くしたなんてもんじゃない。私の膣は、彼の疑似男性器にフィットするみたく、肉体改造をされたと言っても過言ではなかった。
ゴリュッリュ、ゴニュ。
「んほっ。ほっほ!」
膣口を擦り、陰核を刺激して、膣壁を引っ掻き、子宮口を殴打してくる。亀頭の雁に相当する部分が肉壁へ当たるつど、疣が膣内全体をグリグリと刺激するたび、顔も頭の中も、激しく雌化させられてしまぅのぉ。
――けど、今日は。
「おっ、おっ、おねがい。あ、なた。子宮の、あか、赤ちゃんンンンッ!」
激しい交尾中にも関わらず、彼らによって植え付けられた母性が、私の狂った頭を正常に、あるいはより狂気に仕立て上げていく。
唇から涎を垂らし、乳首からは母乳がトロリとつたい、全開の股から愛液が、湯船を汚すみたく流れ出ていった。私は、白目を剥きながら、少しずつイキんでいく。
口内を犯されるのも、乳首を絞られるのも、女性器をガン突きされるのも、そのどれも気持ちイイけど、一番幸せなのは、孵化れるこの瞬間に他ならないっ。
「(母性と快楽で、頭オカシクなりそ)――あな、った。はやく、イッ、て。産まれ、るぅ!」
ドピュ、ドポ、ドロ、ボピュ。
願いが通じたのか、許しを得たのか、はたまた彼の子供であったためか、早漏してもらえた。
膣内で収縮する疑似一物は、一通り吐精し終えた後。
ズリョリョ!
「ふんおおおおっ!」
強引に引き抜かれる。疣が膣口の一番薄いところを引っ掻くたび、爪先がピクピクと痙攣した。
子宮の中で動きが、起こる。小さな小さな――あっ――命が這い出てきて、肉壁をつたいつつ――イィ――浴槽内へっ!
ポコッ、ポコポコ。
「あ、――あ」
……小さな水泡と共に、四つばかしの透明で小さなイソギンチャクがお股から現れ出てくる。
「よか、った。元気そう、で」
まだ小さく軟いため、波風を立てないよう、身体を極力動かさないようにした(というかもう動く元気もないけど)。
誤って他のイソギンチャクの口の中に入ったりしないか、息も絶え絶えに見守る。
「ハァ、ハァ、んっ――はあぁ」
電子パネルが、夜になった事を告げていた。
「今日は、久々にお外に行って疲れもしたし、ちょっと、寝させて――」
身体中を、色とりどりの大小様々な触手にまさぐられながら、徐々に目をつむっていく。
酸素の注入器代わりに二十本ほどの触手を咥える。
きっと私は、彼らに犯される素敵な夢を見るだろう。
だが彼らはどんな夢を見るのだろうか?
いつか、私みたいな女へと、人間の男達を性転換させて、子孫を増やしていく夢でも見ているのだろうか?
――ま、そう日数はかからないかもだけど。
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