妻の姉には頭が上がらない

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二本目 お義姉さんは美獣(後半)★☆☆

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 ラックの下に置いてある、キープ状態の一升瓶いっしょうびんこと、純米吟醸じゅんまいぎんじょう宵沼よいぬまへ、お義姉さんが手を伸ばす。

「もちろんっすよ。――あ、日本酒なら二人サシで飲みません?」

「……そうだねぇ。要ぇ、空いてる皿下げて洗っといて。あと、ふるさと納税で買った千枚漬けと野沢菜を冷蔵庫から出しておいて」

 お、オマケ付きだけど、一応は解放できた。

「う、うん。わかった」

 カナちゃんが目で謝ってくるけど、まぁ僕自身も晩酌ばんしゃくは嫌いじゃないし。

「ねぇユッキーって何が好き?」

 お猪口で冷酒を飲むお義姉さんは、目の前で足を組む。ホットパンツから生え出る、細くも引き締まったキレイな脚に、視線が取られそうになる。

「に、日本酒の銘柄めいがらですか?」

「違う違う。酒の種類ジャンル

「何でも飲みますよ~。ワインでも焼酎しょうちゅうでも梅酒でも」

「イケる口だねぇ。――で、そうやって色んな女を酔わせては、ホテルとかに連れ込んでってきたんだろぉ? このスケベ!」

 二十二時を回ってくると、だいたい猥談わいだんに傾いてくる。この前もカナちゃんに対して、『いつ子供産むの? てかユッキーと週何回で子作りセックスしてる? 産むだけならアタシが産んでやろうか(笑)』なんていじられまくって、涙ぐみながら相談された夜もあった。

「あ、あははっ。ぼ、僕は紳士しんしですよ~」

 シンクの前でおびえるカナちゃんへ目線を送り、リビングから退去させる。よし、とりあえずはノルマクリア。

「ウッソだぁ。ユッキー、絶対に性欲強そうだし~」

 グルン。
 お義姉さんの左腕がこっちの左肩に回り、酒臭い息とお義姉さんの顔が接近してくる。カナちゃんが助かったことに安堵あんどする僕は、いくらか油断してしまっていた。

「い、いやいや。僕の経験人数、カナちゃんで二人目ですから」

 欠伸あくびも噛み殺しつつ、タクシーを呼ぶ算段をする。

「マジで? 絶対に男の人生を損してるわぁ。アタシが男に産まれてたら最低でも二桁ふたけたってるだろなぁ。あ~、男に産まれたかった」

「そうなんですか?」

「ったりまえじゃん。女は面倒くさいぞ~? スキンケアに化粧、女同士の同調圧力、セクハラ、そして何より生理がな!」

 トクトク。
 そしてまさかのコップ日本酒ざけが始まるも、なかなか肩を離してくれない。いつもならそろそろだけど――てか、顔近くない?

「ねぇん。ユッキーぃ」

「な、何すか?」

 右腕の二の腕に豊満な胸が押しつけられて、温かさと柔らかさに戸惑ってしまう。以前から似たようなことはされているけど、やっぱり妻以外の女性だと思うと、ドキマギしてしまう。ましてや義理のお姉さんなんだから――。

「……実はさぁ、彼氏が浮気してやがったのよぉ」

 な、なるほど?

「うへっ。お義姉さんがいるのに浮気とか命知らず――あ、いやいや勿体もったいないことを」

 さすがに酔いが回ってきたのか、少しトークの早さが落ちてるみたいだ。とは言え、こっちも大概たいがいだけど。

「とりま財布から現ナマを抜き取った後、チンコをおもっくそ前蹴まえげりしてやったわ」

「(ヒエッ)つ、使い物にならないかもですねぇ。あ、あははは」

 お義姉さんは金と銀の指輪をはめた右手を伸ばすと、僕の頬に触れる。ジョリジョリ、っと夜になって伸びてきた髭が、微かな音を鳴らす。

「なぁんでアタシって浮気されやすいんだろぉ」

 それは本人達に聞いてくれ!

「――いや、ほんと。理解に苦しむっすねぇ」

「……マジでそう思ってんのぉ?」

 そう言うと人差し指で、僕のカサついた唇をなぞってくる。まるで玩具かマネキンで遊ぶみたく。

「ところでアタシさぁ、キスフェチなんだぁ。ユッキーは何フェチ?」

 酒臭い息に、ちょっとだけ甘みが加わった気がした。

「ええっと? こ、声フェチ、です」

 しまった。バカ正直に答えてしまった。お義姉さんの丸いひとみがトロンと笑う。

「あははっ。何それ、初めて聞いた――」

 するとなぜか、お義姉さんにそっと肩を抱き寄せられると、唇が耳たぶに触れて――?

「ンッ。あっ、はぁん」

 ! とと、唐突とうとつなまめかしいあえぎ声に、股間が完全に反応してしまった。

「アタシの声はどぉ? んねぇ、あっ、ユッキーぃ。そこ気持ちイィ」

 お、お義姉さんの声は、高さは高い方だけど、声質に少し重みがあるというか、ややすればちょっと高めのボーイッシュな感じだった。
 ――そんな独特な嬌声きょうせいを耳元で聞かされると、普段サバサバしてる分、ガチで感じているみたいに錯覚さっかくして、余計に興奮してしまう!

「(てか変態ですみません)お、お義姉さ――んん!?」

 レロォ。
 み、耳穴に温かい粘膜ねんまくが、次いで粘液が付着し、頭の中の奥が熱くなる。
 ヤバい、ヤバいヤバい! 酔いも手伝って、何より最近カナちゃんとご無沙汰ぶさたなのもあって、理性の壁が砂みたく崩れてイキそぉ。

「ふはぁぁ。アタシ眠たくなってきちゃったぁ」

 ! よ、良かった。危なかったぁ。

「そ、それじゃあタクシーをすぐに――」

「空き部屋で寝かせてぇ」

 そ、そう来たか。そしてこっちの返事をつぶすみたく、しだれかかってくる! 女性とは言え大人にガチで寄りかかられると、さすがに踏ん張らないとこっちが倒れる。
 ムニュゥ。
 し、しかも抱きつくみたくだから、お義姉さんの柔らかで温かな部分が、右半身に押し当てられてぇ。

「(こ、このままじゃ色々とヤバい)か、肩を貸すので、タチますよ?」

「ちょっとぉ、義理の姉に『ちます』とか、セクハラ~(笑)」

 そう笑いながら、つややかな唇を舌で舐める様は、男遊びのベテランに見えて仕方がなかった。僕は酔いでふらつきそうになるのをこらえつつ、二人して何とか廊下へと出る。

「んあっ。もぅ、今わざとオッパイ触ったでしょぉ」

 鎖骨さこつの辺りに息を吹きかけられる。

「ち、違いますよ!」

 細い髪に鼻をくすぐられ、またシャンプーとボディソープと体臭の混じった、いわゆるに、理性が溶けそぉ。寝室を通過して、物置代わりにしている奥の小部屋のドアノブを回す。
 ガチャ。
 
「ハァ、ハァ……いよ、っと」

 荷物を足先で避けつつ、カナちゃんが室内運動用に購入した、厚めのマットの上へ、寝かしつけようとした。
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