活字世界の異世界日記~出生先はウェブ小説~

いずくかける

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12話目 多彩な都市、アルファポリス

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 花壇には色とりどりの花が咲き乱れ、レンガ畳の路地と木造住宅が続く。そこに掲げられた看板を見ると、商店や飲食店等、様々な店、様々な人種が入り乱れていた。
 街をぐるりと回った俺とサターシャが確認できたのは、ここは雲に近い場所に浮遊する都市、アルファポリスだという事。それと、この世界はカクヨムや小説家になろうと比べ、大分小さい世界だという事だった。

「ふわぁ~。お洒落なお店がいっぱいですねえ。すすむさん!」

 街並みと言い、並べられた商品と言い、きっとこの世界はサターシャの理想そのものなんだろう。先程からサターシャのテンションが異常に高い。

「とりあえず俺は……腹が減った。思えば、カクヨムで貰ったオレオしか食べてなかった……」
「じゃあ、食事にしましょうよ。あ、通貨ってどの世界も共通なんですかね?」

 一度も金銭取引をした事のない俺には当然わからない。と、言うよりも、通貨と言う者を一度も手にした事のない俺には当然わからない話だった。

「どうだろう? 小説家になろうの通貨はゴールドだったっけ? 確か相場は十円で1ゴールドだったよな」
「ええ、このアルファポリスでも同じだと助かるのですが」
「とりあえずどこかの店に入って聞いてみよう。サターシャ、何か食べたいものある?」
「じゃああそこのピザ屋さんに行きたいです! 見てくださいよ! あのお洒落なたたずまい!」

 なるほど。確かにインスタ映えしそうな店である。きっと女子ならああいう店が好きなんだろう。俺はどちらかというとラーメンみたいに周りを気にしない店の方が好きなんだが。
 とは言え今は腹に物を入れる事が優先される。俺とサターシャはその店の扉を開けた。

「いらっしゃい」
「あの、どうも。えっと、お聞きしたいんですけど……」
「ん? どうされました?」
「私達この世界に転移してきたばかりで、ゴールドって使えますか?」

 サターシャはカバンから硬貨の様なものを取り出し店員に見せた。

「ええ、問題ありませんよ、お客様。ゴールドでも円でもドルでもお取り扱いしております。ここ、アルファポリスはあらゆるジャンルが集まる都市です」
「すすむさん、どうやら問題なさそうですね」
「サターシャ、言いにくいんだけど、俺……金が……」
「ご飯代くらい奢りますよ。小説家になろうのSランククエストで結構稼いでおきましたから」
「そうか? 悪いな」
「いえいえ、これはお礼だと思ってください。なんせこんなに素晴らしい世界に転移させてもらえたんですから」

 「こちらにどうぞ」俺達は店員に案内されるがままに店の一角についた。木製の机にはメニューが置かれている。ページをめくるとピザ以外にもパスタや前菜など、色とりどりな料理の写真が載っていた。

「決まりました? すすむさん」
「えーと、じゃあこれにしようかな」

 俺はメニューで一番安かったマルゲリータを指さした。その時、俺の腹の虫が催促の音を上げてしまった。

「遠慮しないでくださいよ。小説家になろうのSランククエストって、一回十億ゴールド貰えるんですよ?」
「十億!? Dランクとは雲泥の差だな!?」
「付け加えるならば、Aランクと比べても雲泥の差ですよ。他の転移者、転生者を相手にするSランクは危険で敵も強大な分、報酬も跳ね上がるんです。店員さーん」

 サターシャの声に駆け付けた店員に、俺はメニューの端から端まで全部注文した。
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